「怯むなー!! これ以上行かせるな!!」
はいどうも、向かってくる人をちぎっては投げちぎっては投げ。
無双モードに入ってる高坂です。
いや、実際は結構必死だけどね。
はたから見ると余裕サクサクでもHPが少ないから大変なんだよ。
「くっ! おい! 十勇士の誰かに連絡して来い! 俺たちじゃ止められん!」
今僕がいるのは定石では一番固められる大将までの最短コース。
ご多分に漏れずに人がいっぱいだがまあ、親不孝通りやら川神院やらで大勢相手は慣れているし全員倒す必要はない。
サーチ&エスケープを駆使しながら程々に進んでいる。
――ドーン!!!
「うお!?」
少し遠くから炸裂音が聞こえた。
本当に大砲使う馬鹿がいるらしい。
遠距離と爆発って相性最悪じゃないですか。
やだー。
――ドーン!!!
「いや、こんなに連発ってここは世紀末かよ?」
ひっきりなしに響く音に戦慄する。
あとから聞いた話だと椎名まで矢に爆薬を着けて射たりしたらしい。
なんと恐ろしい。
――ドドーン!!!!!!
…………。
を?
ひときわ大きい爆発音の後にもう後に続く音はなくなったな。
倒したのかな?
「く!? 待て! 無視していくな!!」
さてさて、倒さずにおいてきた人数もだんだん増えてきたな。
後ろからも結構な数が迫ってきている。
「さて、人数減らしておくか」
そう言って追いかけてきた人に向かいなおす。
「やっと諦めたか!大将のところに行きたければ我々全員を……うお!?」
相手より速いスピードで走っただけあって追いかけてくる人たちには少しずつ差ができている。
と、言うことで先頭集団の数人を走ってくる勢い度転ばせるように投げてやる。
「く、なかなかやる……って! 待て!!」
んで、次に早いやつらが追いついて来る前に逃げましょー。
多対一の常套手段だよね、これ。
「うわぁぁぁぁ!! 気持ち悪いよォォォォ!!!」
ん!?
なんか妙に切実な叫びが聞こえた辺りから警戒するべき力の持ち主の気配がした。
が、なんか覚えのある気配だなぁ……。
なんとなくかかわらない方がいい気がする。
なんかあいつたまに壁越えてるんじゃね? って気迫出すときあるんだよなぁ……。
うん、考えないことにしよう。
――ドーン!!
そしてまた炸裂音である。
これ家の本陣の近くからしてね?
……ああ、あのNINJAメイドか。
てか、合戦とはいえこれ生徒同士の戦いだよね?
まあ、昨日のあれの後だと些細なものか。
「ぬははは! お前が正面から突破をかけてきているという馬鹿か!!」
順調に進んでいると前から上半身裸の変態が現れた。
KAWAKAMI以外にもあんなのいるんだなぁ。
まあ、見覚えのない変態と言うことは敵だろう。
「フッ、本当は海から奇襲をかける予定であったがあの兵の壁を越えようとしている奴がいるというならこの俺も動かねばなるまい!!」
――バシャン
そう言ってぬるぬるした液体を被る変態。
「ヌルヌルだ。この西方十勇士が一人、長宗我部 宗男のオイルレスリングを味わうがよい!!」
「……いや、僕そんな誰得なサービス望んでないんだけど……」
そう言うのは竜兵とか相手にやってほしい。
「ぬははは! 部下から聞いているぞ! お前は柔道を使うらしいじゃないか。これならそう簡単に掴めまい!!!」
ああ、なるほど理にかなっている。
「確かに掴み辛そうだね、それ」
そもそもアレに触れたくない。
「そしてこの俺のパワーを相手に寝技絞め技は通用しまい!」
うわぁ、ビジュアル最悪だけど結構よく考えてあるなぁ。
腰を低くして向かってくる男を見ながら考える。
でもまあ……。
向かってくる長宗我部に向かってこっちも駆ける。
「ぬははは!! レスリングのタックルを味わうがよ……ぐあぁぁ!!!」
交差する瞬間、後ろ足の方から斜めに軸を作って拳を突き出してやる。
「柔術なんだよね、僕のは」
そう言う僕の拳には棒手裏剣が握ってあった。
「一応、当身もできれば武器も使えるよ。まあ、これはある程度の強さもつ奴には一切通用しないんだけどね……って、聞こえていないか」
カウンター気味に額に棒手裏剣の柄をたたきつけられた長宗我部は泡を吹いて気絶していた。
まあ、投げられないこともないんだけどこっちの方が楽だったしね。
何よりオイルに組み付くのはごめんだ。
そう思いながら棒手裏剣を袖の中にしまいながら又大将に向かっていく。
……ああ、これを次に使うのいつになるんだろう?
組手以外の実践で僕の威力でこれ効く奴ってそういないんだよなぁ。
しかも普段は投げた方が早いし……。
それにしても、
「ヌルヌルな武神……ありだな」
こういう敵と相対するにしても美女にしてほしいものである。
――
そしてついに敵本陣についたが
「あれ? 大将逃げてるの?」
大将がいなく、一人のマスクを着けた男が倒れていた。
「てか、死んだふり? できれば君と戦いたいんだけど?」
そう言って声をかける。
「…………」
あれ?
こいつ絶対起きているはずなのになぁ。
そもそもこいつ倒せそうなやつ僕の学年じゃあ心当たりないのに。
「んー、無理強いはできないし大将追いかけさせてもらうよ?」
そうそう言って大将の気配を追いかける。
後ろから安堵したため息が聞こえたが、無理強いするわけにもいかないしほうっておくことにした。
――
そうして気配を追っていくと隠れやすそうな場所で一子ちゃんとおっさんが戦っており、そのすぐそばで直江と敵の大将が向かい合っていた。
「おーい、直江ー。お前戦えたんだ? わざわざ戦線に来るって結構な自信だね」
「お!! 高坂! ちょうどいいところに来た! さあ! やってしまいなさい!!」
おい……!
「なんだよそれ? この状況でそれ言っちゃう? なんで前線来たんだよ? お前実は頭悪い?」
「う!! いや、予想以上に大将が強くってさ……、そばにいたやつもわんこ抑えちゃうし……」
苦笑いしながら答えられた。
いや、直江が大将じゃなくてよかった。
一年の二の舞な光景が頭をよぎったよ。
「おい! この出世街道を歩むこの俺の前で寸劇とはいい度胸ではないか!!」
おおう、敵さんはお冠のようだ。
「ほら、敵さんも待ちかねてるし頼むよ」
そう言う直江はもう離れて観戦大勢だった。
無駄に要領がいい。
「……はぁ。じゃあとりあえず戦ろうか」
「……フ、いい度胸だ。素人ではないようだな。西方十勇士が大将石田、行くぞ!!」
おお、構えで練度を読むってことは結構強いなこいつ。
そう言って刀を抜き放った。
「はあああ!」
あ、こんなもんか。
刃物は脅威だがあの剣聖相手にした後だともの足りない。
「はい、ご苦労様です」
ひょいっとかわして柄の部分を掴んで小手返し。
「ぐあ!」
あっけなく地に伏す大将。
まあ、刀を放さない根性はすごいな。
刃物持っている相手に組技に移るほど切羽詰まってないから離してやる。
うん、刺さったらいやだからね。
「まだやる?」
「……く! 舐めおって! いいだろう。この機会に倒さなかったことを後悔するがいい!!」
そう言うと、何か光りだす大将。
「な……なんだ?」
後ろで直江も驚いている。
これは気が膨れているな。
こいつ、下手したら壁越えか!?
「奥義・光龍……」
「えい!!」
「ぐえ!?」
と言うわけで、早いうちに落としましょう。
間合いを詰めて落とすために組み付いてやる。
裸締めって地味だけど鬼畜技だよね。
「……こ……れは……ないだ……ろ……う……」
「はいおちたー」
うん、変身待ってくれるのはアニメだけである。
「えー……」
後ろで見ていた直江も不満そうだった。
「いや、強くなるの待つ必要なんてないでしょ?」
そう言いながら、戦えないのに前に出てきた馬鹿は黙ってろと言う視線を向けてやる。
「うん、これでこっちのかちだなー」
すると空気の読める子直江君は目線をそらして言った。
まあ、個人戦なら間違いなくwktkしながら待ってたけどね。
悲しいけどこれ、チーム戦なのよね。
「御大将ぉぉぉぉ!!!」
「隙あり!! 川神流水穿ち!!!」
あ、あっちも決着ついたみたい。
「お! ワン子も勝ったみたいだな!」
直江は助かったとばかりにそっちに意識を向けさせようとしていた。
まあ、いいけどさ。
「お疲れ様、一子ちゃん。勝鬨あげちゃいなよ」
「あ、高坂君! でも、大将倒したの高坂君じゃ……」
「そうだぜ、お前がやればいいんじゃないか?」
そう言われるが、
「いや、あんなぐだぐだな終わり方じゃあねえ……」
「あー……、まあ、そうか……。よし、ワン子。高坂もそう言ってるしお前がやっちゃえよ」
「えーと、いいのかしら? それじゃあ、敵将! すべて討ち取ったわ!!!」
――えいえいおーーー!!!!
こうして、一子ちゃんの掛け声とともに東西交流戦は終了したのだった。
以上ですありがとうございました。
いつの間にかお気に入りが千件超えてたりしてビックリです。
いつもありがとうございます。
この作品は一人称の練習も兼ねているのでよろしければ批評をお願いします。
三人称での練習としてなろうで「妖怪って厨二病の華だと思うんだ。」という作品も連載しているのでよろしければそちらの批評もよろしくお願いします。
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