真剣で武神の姉に恋しなさい!   作:炎狼

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暑いですねー
もはやこの言葉しか出てこない

ではどうぞ


双剣完成

 板垣家へ赴いた次の日も千李は普段どおり学校へ行った。まぁ学生だから当たり前と言えば当たり前だが。

 

 昼休みになり千李は2-Sの教室に顔を出した。

 

「英雄ー。いるー?」

 

 千李が軽い感じで呼ぶと千李の顔面めがけクナイが飛んできた。しかし千李はそれを易々と指と指の間で挟み取ると、投げてきた本人に投げ返した。

 

「なにすんのよあずみー。私じゃなかったら死んでたわよ?」

 

「ハッ。だれもアンタじゃなけりゃそんなもん投げるかよ。あと英雄様なら今お手洗いだすぐ帰ってくると思うぜ」

 

 あずみが言ったそのとき千李は後ろから声をかけられた。

 

「千李殿!」

 

 千李が振り向くとそこにいたのはやはり英雄だった。

 

「どうも英雄。昨日は肉ありがとね」

 

「なにアレ位たやすい。それにほかならぬ千李殿の頼みだ断る理由がない!」

 

 腕を組みながら高らかに言う英雄を千李は苦笑しながら見ていると不意に英雄の携帯に着信が入った。

 

「ん?おお!?父上だ!珍しい」

 

 そういうやいなや英雄はすぐさま携帯を操作し電話に出た。

 

「もしもし父上。……はいお久しぶりです。……ええはい、いらっしゃいますが?……わかりましたかわります。千李殿父上が千李殿に話があるようなのだがいいか?」

 

 英雄は小声で言ってくると千李に携帯を渡した。千李もそれに了承し携帯を受け取る。

 

「もしもしお電話変わりました。千李です」

 

『もしもし千李ちゃん?久しぶりだねー。元気にしてた?」

 

 このように軽い乗りだが電話の主は九鬼帝その人である。千李もそれに苦笑しながら応対する。

 

「元気でしたよ。それでご用件と言うのは?」

 

『ああえっとね。また護衛の仕事頼みたいんだけどいいかな?金曜なんだけど』

 

「金曜はちょっと無理ですね約束があるんで」

 

 千李は帝の申し出を簡単に断った。おそらくこんなことが出来るのは世界広といえど千李だけだろう。何せ相手はあの九鬼財閥の総帥だそれの申し出を断るなど普通の人間ならまずしないだろう。

 

『そっかそっか。もう用があるかごめんね急に頼んじゃって。じゃあまた今度頼むわ。英雄によろしく言っといてー。それじゃ』

 

「わかりました」

 

 千李がそう返すと同時に電話は切れた。千李は携帯を英雄に返しながら先ほど伝えられた言葉を英雄に言った。

 

「英雄によろしくだってさ」

 

「ああ。ところでなんの父上は何の用だったのだ?」

 

「なんか護衛任務をまた頼みたかったらしいわ」

 

 千李が答えると英雄は思い出したかのように手を叩いた。

 

「確か今父上は中東だったか……なるほどそれで頼んだのだな」

 

「ヒュームさんは一緒じゃないの?」

 

「いやヒュームも一緒のはずだと思うが念には念をと言ったところなのだろう」

 

 英雄の答えに千李は小さく頷くとその場を後にした。

 

 

 

 

 英雄と別れた千李は購買で昼食を買い一年の由紀江のところに向かった。1ーCの教室まで辿り着くと千李はまっすぐに由紀江の元に向かうと由紀江の前の席に腰を下ろした。

 

「やぁまゆっち。一緒させてもらうよ?」

 

「は、はい!いいですよ!?」

 

 かなり動揺していたが千李はニヤニヤとしながら由紀江に聞いた。

 

「友達の方はどう?出来そう?」

 

 そう問われた由紀江の瞳から光が消えた。

 

「……いえあまり進展はないです」

 

「おいおい!何してくれてんだよ先輩。ウチのまゆっちがどんよりムードかもし出し始めちまったじゃねーかコノヤロウ!!」

 

 由紀江のどんよりムードに気付いた松風が千李に抗議の声を浴びせてくるが千李はそれを苦笑いしながら受け取っていく。

 

「まぁねー。確かに今のままじゃきついかもねー。でもここだけの話私も小さいころは友達なんていなかったわよ?」

 

「え?でも大和さんたちとは小学生のころからの友達なんじゃ?」

 

 千李の言葉に由紀江が怪訝そうな声を上げる。確かに由紀江が大和に聞かされた話では千李は既に小学生のころから大和たちと遊んでいたことになっていた筈だしかし、千李はそれを違うといっているため疑問に思ったのだ。

 

「ああ、まぁそうっちゃそうなんだけどねー……えっと何から話せばいいかな。私はね――――」

 

 そこまで千李が言ったところで予鈴が鳴り響いた。

 

「ごめんこの話はまた今度ね。次の金曜集会の時にでも話してあげる。じゃあまたねまゆっち」

 

「あ、はい!また!」

 

 由紀江に手を振りながら千李は自分の教室に戻っていった。

 

 

 

 放課後になり前と同じようにノルマを終えた瑠奈が千李を迎えにやって来た。千李が瑠奈を抱きとめ肩車をしたところで1人の男が話しかけてきた。その男の外見的特徴を言えば……ハゲだった。

 

「お初お目にかかります私2-Sの井上準と申します以後お見知りおきを」

 

「あー君か百代と昼のラジオやってんの。それでなんか用?」

 

 千李が怪訝そうに聞くのと同じように瑠奈も首をかしげる。

 

「はい!失礼ながらそちらの可愛らしいロry……お嬢さんは?」

 

 ……いまロリって言いかけなかったか?

 

 若干の違和感を覚えながらも千李は応対する。

 

「この子は私の娘の瑠奈って言うのよ。ほら瑠奈挨拶」

 

「こんにちわー。お兄さん」

 

 瑠奈が満面の笑みで言うと準は何かに打たれたかのような動きをとった。

 

 ……やっぱりコイツって。アレか。

 

「どうしたの井上君?」

 

「い、いえ少し持病の腰痛が痛み出しまして」

 

「だいじょうぶ?お兄さん」

 

「うん!俺は大丈夫だよお嬢ちゃん!ところで相談なんですが千李先輩!娘さんと握手を――――」

 

「だめ」

 

 千李の答えは即答だった。いや即答と言うより言い切らないうちに答えていたが。その言葉に準は大層残念な顔をしていた。

 

「な、何故!?」

 

「なんか危険な匂いがするんだよねー君から」

 

 準は一瞬顔を曇らせたがそこで後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「こら準。千李先輩を困らせてはいけませんよ」

 

 千李が振り向くとそこにいたのは葵冬馬と榊原小雪だった。それを見た準も驚愕の表情をした。

 

「わ、若それにユキまで!?何でここに?」

 

「いえ、なにやら準が怪しい動きをしていたのでついてきたまでです。……申し訳ありません千李先輩準がご迷惑をかけたようで」

 

 冬馬が頭を下げると千李は気にした様子もなく答える。

 

「別に迷惑なんてかけられてないわ。行動が面白かったし。ねぇ瑠奈」

 

 千李が肩車している瑠奈を見上げながら言うと瑠奈の方も笑いながら頷いた。それを聞いた準がバッと千李のほうを見ながら言った。

 

「じゃ、じゃあまた娘さんとお会いしても!?」

 

 若干興奮気味だったが。

 

「ええ。別にいいけど『健全に』会うだけならね」

 

 そういい残すと千李は踵を返し家路についた。後に残ったのはやりきった顔をしている準だった。

 

「準……。今のは健全な付き合いをしなければ殺すといってるようなものですよ?」

 

 冬馬のあきれた声も今の準には届いていなかった。小雪はと言うと先ほどからケラケラと笑っているだけだった。

 

 

 

 川神院につき玄関まで行くと鉄心が二つの袋を持っていた。

 

「じじい何それ?」

 

「うむ。瑠奈の双剣が出来たのでなお披露目じゃ」

 

 鉄心が言ったところで百代と一子が帰って来た。

 

「お、それ瑠奈の武器か」

 

「双剣だっけ千姉様?」

 

 一子が抱きつきながら聞いてきたので千李はそれに答えながら瑠奈をおろした。

 

「そうよ。じゃあ瑠奈外に出て確かめてみようか?」

 

「うん!」

 

 千李は鉄心から袋を受け取ると5人で外に出た。

 

 外に出ると千李は袋から双剣を取り出した。出てきた双剣は1つは白くそしてもう1つは黒い双剣だった。白の方は刀身の鍔の部分に紅い玉が埋め込まれており、また黒の方も同様にこちらは紫の玉が埋め込まれていた。

 

「へぇ。黒と白の双剣かなかなかかっこいいじゃないか。よかったな瑠奈」

 

 百代が瑠奈の顔を見ながら言うと瑠奈もそれに頷いて答える。

 

「瑠奈。眼帯とってこれもってみなさい」

 

 千李の言葉に反応し瑠奈が眼帯を取りながら双剣を持つと瑠奈は素振りを始めた。その様子に百代が少し嬉しそうな顔をした。

 

「瑠奈。双剣は大丈夫?」

 

「うん。すっごくしっくりくるかんじがするよ」

 

 そう答えた瑠奈は双剣を右に左に持ち替えたりしている。その手さばきたるやまるで何年も扱っている達人のようだった。

 

「こっちの袋も同じだけど……これは?」

 

「そっちは刃を潰してない方じゃな。そっちは普通に物が斬れるぞい」

 

「じゃあこっちはじじい持ってて。まだ瑠奈に持たせるには速いでしょ」

 

 千李が言いながら瑠奈を一瞥すると瑠奈の額に汗が滲んでいた。

 

「瑠奈!」

 

 その場にいた全員が駆け寄ると瑠奈は少し荒めの呼吸をしていた。

 

「いかん!気を使いすぎじゃ。千李瑠奈に眼帯をしてやれ」

 

 鉄心に言われ千李は持っていた眼帯を瑠奈にかけると。だんだんと呼吸が落ち着き始めた。すると瑠奈は糸が切れたように千李の下へ倒れてしまった。

 

「瑠奈!?大丈夫!?」

 

「だいじょうぶなんだけど……体がうごかないの」

 

「少し長い間龍眼を使いすぎたようじゃの。今日はもう休んだ方がよさそうじゃの」

 

 鉄心が言うことに千李は頷き瑠奈を部屋に連れて行った。

 

 瑠奈をベッドまで運ぶと既に瑠奈は寝息をたてていた。そこで千李は違和感を覚えた。瑠奈が千李の服を掴んでいなかったのだ。いつもであれば瑠奈は千李の服を掴んだまま眠る。しかし今回は掴むほどの体力も残っていなかったのだろう。

 

 千李は起こさないように布団をかけると部屋を後にした。

 

 

 

 夕食を終え千李が部屋の近くまで来ると瑠奈の泣く声が聞こえたため千李は急いで部屋に飛び込んだ。

 

「瑠奈!?」

 

 名を呼ぶと瑠奈は千李に気付いたのか泣きながら千李に抱きついてきた。

 

「おがあざ~~~~ん!!!!」

 

「どうしたの!?何か怖い夢でも見たの?」

 

 抱きとめながら千李が聞くと瑠奈は千李の服を掴み離れないようにした。そして瑠奈はしゃくりあげながらも千李に言った。

 

「ひと……りに……しな……い……で」

 

 その言葉を聞いた瞬間千李は謝りながら瑠奈をきつく抱きしめた。瑠奈もそれに答えるように千李をすがり泣き叫んだ。

 

 ……私はなんて馬鹿なことをしたんだ。瑠奈がいつも寝る時私の服を掴んでいた理由なんて少し考えればわかるのに。

 

 瑠奈は極楽院にいた頃から1人で眠ることを嫌がっていたらしいその理由は教えてくれなかったらしいが千李はこれで確信した。

 

 ……瑠奈は起きた時1人でいたくなかったのね。きっと起きた時隣に誰かいることで安心感を得ていたのね。それをわかってやれないなんて母親失格もいいところだわ。

 

「ごめんね瑠奈。今度からは絶対1人になんてしないわ」

 

 そういいながら千李は瑠奈の背中を静かに撫でる。千李は瑠奈が泣き疲れて眠るまでずっと瑠奈の背中をなで続けていた。

 

 

 

 明け方になり雀のさえずりで目を覚ました千李の前に既に起床した瑠奈がいた。

 

「おはようお母さん」

 

「ええ。おはよう瑠奈」

 

 二人は起き上がると互いに向き直ると深々と頭を下げた。

 

「「ごめん(なさい)」」

 

 謝ったのは同時だった。

 

「え?なんで瑠奈が謝るの?」

 

 千李が怪訝そうに聞くと瑠奈は少し赤くなりながら答えた。

 

「だって……お母さんに迷惑かけちゃったし」

 

「そんなのいいのに。私だって瑠奈の考えてることをわかってあげられなかったから私こそごめんなさいよ」

 

「いやわたしも」

 

「いやいや私だって」

 

 互いに一歩も引かない二人の謝り合戦は結構続いたが少しするとお互いに笑い始めてしまった。互いに何時までも引っ張るのが馬鹿らしくなったのだろう。

 

 そして二人が笑い終えた頃一子が迎えに来た。

 

「千姉様ー瑠奈ー朝ごはんできたわよ……ってお互いに向かい合って何してるの?」

 

「いやなんでもないわ。じゃあ瑠奈行きましょうか?」

 

「うん!お母さん!」

 

 二人は仲良く着替えをはじめた。

 

 一子だけは最後まで頭にはてなマークが浮かんでいるように見えたが。




今回は以上です。

帝さんってこんな感じでしたよね
違ってたら言ってくださいうろ覚えなので

瑠奈は一人ぼっちに少しなれてないんです特に寝起きは今回みたいなことになります。

次はいよいよ例の金曜集会の回ですクリスがやっちまう回ですね。
千李姉さんはどう対処するのか見ものです

感想、ダメだし、アドバイスお待ちしております!

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