デュエルアカデミアは毎月1回試験がある。レッドやイエローにとっては昇格のチャンスであり、ブルーは降格の恐れがある。レッド所属である十夜と庵やブルー女子は降格等は基本ないが成績次第で補修がある。故にレッド寮では俺や十夜、庵の好成績組がテスト範囲の復習や幾つか存在する記憶術を教え、徹夜や神頼みをさせないように注意している。
「今夜はかきたまうどんだ。これ食べた後は少し復習してから寝ろよ。徹夜はデメリットの方が大きいからな」
「具は鶏肉・梅しそ・根菜の三種があるからの」
「それぞれ数に限りがあるので早いもの勝ちです」
今日の目標が終わる頃に作りおえた夕食に待ってましたと言わんばかりに机の上に広げていた勉強道具をしまうレッド寮生。
今の時間は午後7時30分。食後に復習とかをして寝るには丁度いい時間だ。
「みんな、手応えはどうだ?」
「私はいつも通りだよ」
「……私も」
「アニキ達の教え方のお陰で自信がついてきたよ」
「そうか。色々と勉強の仕方を覚えていてよかったな」
家の近所にある図書館にあった勉強用の本や専門書とかが多くあってよかった。最初は勉強嫌いで成績が酷かった十夜の成績を改善できたし。
「今月の試験までは片手で数えられる日にちになったから油断はするなよ」
一応釘を刺しとくが、当日に寝坊やパニくって忘れたらどうしようもないな。
【月一試験当日】
「悪いねぇ。試験があるのに手伝ってもらって」
「自分の欲を優先するなってのが両親の教えなんで気にしないでよ、おばちゃん」
「十夜の言う通り。それに、俺達は見た目とは裏腹に力はある方だからトラックを押しやすいだろ」
俺と十夜は購買で働いてるトメさんの手助けをしていた。俺はともかく十夜は筋肉の使い方を無意識に知っているので原作の十代よりは早く動かせるので、30分遅刻はないだろう。ちなみに翔と庵は先にアカデミアに行かせた。あの二人はトラックを押す力はないからな。
「そんじゃ行くぞ。せーの!」
俺が荷台を押し、十夜とトメさんが運転席と助手席のドアを押す。勢いがついたのでそのまま押し上げると、トラックがスムーズに移動していく。これを何回か繰り返すと、アカデミアの校舎前にたどり着いた。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
「いえいえ。それじゃ急ごう大牙!」
「おう。じゃあな、おばちゃん!」
「頑張りなさいよ、二人とも!」
【教室】
「「遅れました!」」
「事情は丸藤君と神宮寺さんから聞いてますにゃ。早く問題用紙を取りにくるにゃ」
「「はい」」
問題用紙を取り、席に座って問題用紙を見る。大体の問題が今までの授業の復習や応用だが、最後の一問だけが異質だった。
Q.レベル7以上の通常モンスター、レベル1の魔法使い族モンスター、レベル4の融合モンスターをそれぞれ3体ずつ答えよ。
(三問目は俺と三沢以外だと答えられるの少ないだろ)
とりあえず書いていく。書いたモンスター名の内二つは社長の嫁だった。
「これで、筆記テストは終了。なお、実技テストは午後二時から体育館で行いま~す」
大徳寺先生の筆記テスト終了の宣言と共に我先と教室を飛び出す生徒達。この島(デュエルアカデミア)では月一試験の日に新しいカードパックが入荷され、購買部の商品となる。そのカードでデッキを補強しようと購買部へと走っていったのだ。
現在教室にいるのは俺と十夜。問題の9割程解答を書いた(十夜が回収される問題用紙を見た後教えてくれた)あと眠気に負けて居眠りしている翔。半分寝ている庵、こっちへと向かっている三沢だけだ。
「翔起きろ~」
ユサユサ
「ハッ! ね、寝てしまってたー!!」
「大丈夫大丈夫。先生が回収する時に少し盗み見たけど、最後の問題以外はしっかり書けていたから」
「そ、そうなの?」
「十夜は目がいいからな。医者が言うには視力が3.0らしい」
「驚くほどの視力だな…」
「それはそうと、私達以外誰もいないけど、どうして?」
「そう言えば…。あ、庵さんが船を漕いでいる」
「今日は新しいカードパックの入荷日さ。他の生徒達は皆購買へと走っていったよ。もっとも、数人は違うがね」
「新カード! 居眠りしなければよかった~!」
「そういう少し抜けたところは気をつけるべきだな」
ピロリン♪
「メール? しかもシンディアさんから? えーと、内容は……why?」
マジで?! いきなりすぎだろ!?
「え? ちょ? なにいきなり固まって……ええええええええええ!!!???」
「ど、どうしたんだ二人とも!?」
「何か尋常じゃないッス!?」
「!?!?!?」←連続で発生する大声やら悲鳴で急激に覚醒&パニック状態
何でこういうタイミングでブッ込むんだよ。
「三幻神をベースにした儀式モンスターが入荷パックに入っているって唐突すぎだろ」
「何ッ!? それは本当か!?」
「物凄いニュースッス!」
「どうすんの大牙!? もう売り切れてるかもしれないよ!」
「…もしかしたら、いけるか?」
『『?』』
ズレがあっても原作通りに進んでるシーンがあるならワンチャンある…。これは賭けだけど、もし当たりなら必ずあれらのカード入りパックが手に入るはずだ。
「とりあえず購買に向かうぞ。俺の賭けが正しいなら三幻神をベースにしたレアモンスターが見れる」
「……詳しい事情を教えて」←超絶不機嫌ボイス
「「ア、ハイ」」
((怒らせないようにしよう))
その後、当事者4人+精霊の間で庵を不機嫌にさせては駄目だという暗黙のルールが決定した。マジで怖いわ怒った庵は。
「トメさんの運の良さ半端ねぇな…」
「そうだね…」
購買にてカードを見て呆然とする俺達姉弟。
「これが三幻神をベースにした儀式モンスター…!」
「……やっぱりモンスター効果はオリジナルと違うけど、それでも規格外……!」
「召喚条件に幾つかの制限はあるが、それらをものともしない効果だ。三体のうちどれか一体でも儀式召還すれば相当なプレッシャーになる」
俺達の左右から覗き込んでやや興奮気味な翔・庵・三沢。
購買に着いた直後にトメさんが今朝のお礼にと2つのカードパックをくれたので開封すると、シンディアさんが言ってたカードが全て入っていた。そのため、俺達はそれぞれ別の反応をしめしていたのだ。
「大牙。キミはこれらのカードを試験に使用するのか?」
「あ、ああ。一応専用の儀式デッキがあったし、組み込むな。つうか、これらのカード全部【
まさか【影霊衣】でくるとは思わなかった。確実に俺に使わせる気満々だろ。
「【影霊衣】。確か儀式がメインのカゴテリーだったな」
「正解。それと、【影霊衣】の儀式モンスターは全て召喚制限とサポート効果持ちで手札次第では手札をあまり減らすことなく万全な態勢をとることができる。持っているのは俺以外だと、ペガサスミニオンの一人だけだな」
「ペガサスミニオン?」
「ペガサスさんが世界中から集めた何かしらの才能を持つ孤児達で、その内の一人がプロデュエリストだよ」
「……スケールが規格外」
「家族か家族だからね」
「そういう訳だ。とりあえず実技までにデッキの調整を行っておくぞ」
オシリスの影霊衣
水属性/☆10/ドラゴン族・儀式/ATK?/DEF?
『影霊衣』の儀式魔法カードより降臨。レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。『オシリスの影霊衣』の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードを手札から捨てて発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が2000以下のモンスターを全て破壊する。②:このカードが儀式召喚に成功した時に発動できる。デッキから手札が6枚になるまでカードをドローする。このカードの攻撃力・守備力はドローしたカードの数×800ポイントとなる。
ラーの影霊衣
水属性/☆10/ドラゴン族・儀式/ATK?/DEF?
『影霊衣』の儀式魔法カードより降臨。レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。『ラーの影霊衣』の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードを手札から捨て、自分の墓地の『影霊衣』モンスター3枚を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視し、守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0となり、儀式召喚以外ではリリースする事ができない。②:このカードが儀式召喚に成功した時に発動できる。このカードの攻撃力・守備力はこのカードを儀式召喚するためにリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力を合計した数値になる。
オベリスクの影霊衣
水属性/☆10/ドラゴン族・儀式/ATK4000/DEF4000
『影霊衣』の儀式魔法カードより降臨。レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。『オベリスクの影霊衣』の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:自分フィールド上の『影霊衣』モンスター1体を対象として自分の墓地の『影霊衣』カード3枚を除外し、このカードを手札から捨てて発動できる。対象となったモンスターの元々の攻撃力は相手ターンのエンドフェイズまで4000になる。この効果を使用したターン、この効果の対象となったモンスター以外は攻撃できない。②:このカード以外の『影霊衣』モンスター2体をリリースする事で発動できる。相手フィールド上のカードを全て破壊する。この効果を使用したターン、このカードは攻撃できない。