倒れた皆の治療薬を奪い取るために“普久間殿上ホテル”への潜入を決めた僕らは、警備が配置されていないという通用口を目指して断崖絶壁を登っていく。
確かに高くて険しい斜面で登るのが大変ではあるものの、逆に手足を掛けられる場所も多いのでそこまで難しくはない。強いて言えば烏間先生にしがみついて騒いでいるイリーナ先生が五月蝿かったくらいだ。潜入だって言ってるのに……。
それ以外は特に問題なく断崖絶壁を登り終えたところでホテルの通用口へ辿り着いた。だが明らかに電子ロックが施されている。まぁ普通ならそれだけで十分なセキュリティなんだろうけど……
『この扉の電子ロックは私の命令で開けられます。また監視カメラも私達を映さないように細工できます』
残念ながらこちらには電脳世界の住人である律がいるので解除に手間は掛からない。本当に律は殺せんせーに次いで万能だなぁ。
とはいえ律にも出来ることと出来ないことがあり、今回の潜入に対して律が出来ることはここまでだった。
『ですがホテルの管理システムは多系統に分かれており、全ての設備を私一人で掌握するのは不可能です』
「……流石に厳重だな。律、侵入ルートの最終確認だ」
『はい、内部マップを表示します』
烏間先生の指示で端末に侵入ルートが表示される。ホテル内部の構造は複雑に造られており、見つからずに侵入するには面倒極まりない。任務開始前にマップは頭へと叩き込んだが、改めて見ても長い道のりになりそうだ。
「行くぞ、時間がない。状況に応じて指示を出すから見逃すな」
いよいよ僕らは烏間先生の先導で電子ロックの解除された扉からホテル内へ侵入した。先生のハンドサインに従って足音を殺しつつ歩みを進めていく。
が、侵入早々に最大の難所であるロビーで多くの警備員が待ち構えていた。上階へ行くための非常階段は通用口から近い場所にあるのだが、警備員の人数を考えると発見されずに全員で階段を登るのは無理だろう。
烏間先生もそれを分かっていて打開策を考え込んでいる。でも大量の警備員に見つからず通り抜ける方法なんてーーー
「何よ、普通に通ればいいじゃない」
と、最大の難所を前に立ち往生していたところでイリーナ先生がわけの分からないことを言い出した。何処から拾ってきたのかワイングラスまで持っていて緊張感の欠片もない。
「先生、馬鹿なの?」
「あんたにだけは言われたくない言葉ね」
いやだって……ねぇ?普通に通ったら見つかるから困ってたのに、それを普通に通ればいいって馬鹿としか思えない提案なんだけど。っていうか馬鹿でしょ。
「状況判断も出来ねぇのかよ、ビッチ先生‼︎」
「あんだけの数の警備の中、どうやって……」
そんな馬鹿な発言をしたイリーナ先生に皆も呆れる中、当の先生はといえばチラッとロビーに視線をやったところで、
「だから、普通によ」
あろうことか、宣言通り普通に歩いて出て行ってしまった。
いや、普通とはちょっと違うか。覚束ない足取りで表情も赤くなっており、
当然ながら警備員の視線を集めることになったものの、表面上は超美人であるイリーナ先生に警備員の男共は鼻の下を伸ばしている。
と、そこで先生が自然によろめいて警備員の一人とぶつかった。
「あっ、ごめんなさい。部屋のお酒で悪酔いしちゃって……来週そこでピアノを弾かせて頂く者よ。早入りして観光してたの」
誰だアンタ、ってレベルで猫を被ったイリーナ先生に警備員達はデレデレしっぱなしである。僕も男だからその気持ちは分からないでもないが、マフィア勢力や財界人の集まるホテルの警備員がそれでいいのかと思わないでもない。
とはいえ僕らにとって警備員の質が低いことは好都合だ。彼らの反応に手応えを感じたであろう先生はロビーに置かれていたピアノへと歩み寄る。
「酔い覚ましついでにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの。ちょっとだけ弾かせてもらっていいかしら?」
「えっと……じゃあフロントに確認をーーー」
イリーナ先生のお願いを聞いた警備員の一人が仕事を全うしようとするが、そんな正体がバレるような真似を見逃す先生じゃなかった。
フロントに確認するため離れようとした警備員の腕を掴んで強引に、それでいて強引には見えないように外面は全く崩さず呼び止める。
「いいじゃない。貴方達にも聞いて欲しいの……それで審査して。よく審査して、駄目なとこがあったら叱って下さい」
そしてその場の全員の視線を惹きつけたところで、イリーナ先生は軽快にピアノの音色を奏で始めた。
しかもそれがメチャクチャ上手くて、弾いている曲は……なんか、あの……僕でも聴いたことのある弾いたら指が攣りそうな曲……そう、“運命”だ。生で聴いたのは初めてである。
※ “運命” × → “幻想即興曲” ○
プロ並みの演奏もそうだが、何よりも魅せ方が上手い。身体全体を使った躍動感のある演奏は視線を釘付けにするには十分な威力を持っているだろう。
そうやって場の空気を支配したところでイリーナ先生は演奏を一度止める。
「ねぇ、そんな遠くで見てないでもっと近くで確かめて」
そこで離れた場所で演奏を聴いていた警備員にも声を掛け、僕らのいる通用口・侵入経路である非常階段の警備が手薄になると同時にハンドサインを送ってきた。ロビーを通り抜けるには今しかない。
先生のおかげで最大の難所を見事に全員で突破することが出来た。犯人側の戦力が分からない中、此方側の戦力を削るようなことにもならなくて一安心である。
「……凄ぇや、ビッチ先生」
「あぁ、ピアノ弾けるなんて一言も……」
一先ずの危機を脱したところで、改めてイリーナ先生の頼もしさに皆は驚きを隠せなかった。確かにいつもの先生からは考えられないくらい頼り甲斐があったからなぁ。
「普段の彼女から甘くみないことだ」
そんな僕らの認識を先導していた烏間先生が否定する。
「優れた殺し屋ほど万に通じる。彼女クラスになれば潜入暗殺に役立つ技能ならば何でも身につけている。君らに
僕らにとってイリーナ先生の暗殺者としての印象と言われると、正直殺せんせー相手に何も出来ず失敗したという印象しかない。だが実際は標的が規格外過ぎただけで、本来の先生の実力は先程見せた通りなのだろう。
「ヌルフフフフ、私が動けなくても全く心配ないですねぇ」
イリーナ先生のお陰で全員無事にホテルへと潜入できたし、まだ僕らには烏間先生もついている。殺せんせーの言うことも理解できるが、だからといって完全に安心は出来ない。寧ろ潜入は此処からが本番なんだから、改めて気を引き締めていこう。
★
気を引き締めていこうとは言ったものの、最も警備の厳しいロビーを抜けてしまえばあとはホテルの客を装って堂々と侵入できる。芸能人や金持ちの子供なんかもいるらしいから、僕らが廊下を歩いていても怪しまれることはないはずだ。
逆に言えば僕らのことを知っている犯人側も、ホテルの客を装って見回りや奇襲をしてくるかもしれない。ホテル内の人間は一般客も含めて全員警戒するくらいがちょうどいいだろう。
でも今のところ怪しい動きをする人間が見当たらないのも確かである。はっきり言って拍子抜けもいいところだ。
「もしかして監視カメラで見張ってるだけで見回りはしてないのかな?」
「これなら最上階まですんなり行けそうだね」
「仮に何かあっても前衛の烏間先生が見つけてくれるよ」
岡野さんの言う通り、烏間先生が先導して警戒してくれていることも僕らが余裕を持てている理由の一つである。少なくとも僕は烏間先生以上に強い人を見たことがない。先生が油断するとは思えないし、何事もなければたとえ奇襲されても大丈夫だろう。
「へっ、楽勝じゃねーか。時間ねーんだからさっさと進もうぜ」
しかしここまで潜入が順調過ぎたのか、三階の中広間に到達したところで寺坂君と吉田君が先を急いで烏間先生を追い抜かしていってしまった。
まぁ交渉の期限まで時間がないから急ぐ気持ちも分かるし、早く進める時に進んでおいた方がいいのも間違いない。それに二人が先行した直後に敵が襲ってくる可能性なんてそう高くないだろうし、潜入中だからって僕も気を張って心配し過ぎか。
そこに何人目かのホテルの客らしき男が前から歩いてきた。さっと観察しても怪しいところや殺気なんかは感じ取れない。やっぱり心配し過ぎだったかなーーー
「寺坂君‼︎ そいつ危ない‼︎」
「いかん‼︎ 二人とも下がれ‼︎」
次の瞬間、不破さんと秀吉が大声で通行人に対する警戒を飛ばしてきた。
突然の二人の警告に僕らは反応することが出来ず、咄嗟に反応した烏間先生と敵が動き出したのはほぼ同時だ。先生が先行していた寺坂君と吉田君の襟首を掴んで後ろへ投げ飛ばし、攻撃の手が一手遅れた先生に向けて敵がガスを噴射する。だが後手に回った先生も空かさず敵の持つガスを蹴り飛ばし、敵も反撃を受けて警戒したのか一瞬の攻防を経て二人は距離を空けた。
「……何故分かった?殺気を見せずすれ違い様に殺る。俺の十八番だったんだがな、お嬢ちゃん達」
奇襲に失敗した男はそれを見破った不破さんと秀吉へ問い掛ける。
それは僕も気になっていたところだ。僕らだけじゃなくて烏間先生すら欺いた敵を二人はどうやって見抜いたのだろうか?さぁ、これから不破さんと秀吉の種明かしが始まるぞ‼︎
「お嬢ちゃんではない。ワシは男じゃ」
「……オナベちゃんか?」
「正真正銘、
「まぁまぁ、落ち着いて木下君。こんなところで文字数を無駄にするべきじゃないわ」
「お主もメタな発言をするでない‼︎」
……う〜ん、中々種明かしが始まらないなぁ。
そう思ったのは男も同じのようで、一つ咳払いをしてから再度二人に問い掛ける。さぁ、これから不破さんと秀吉の種明かしが始まるぞ‼︎(二回目)
「……まあいい。それで、何故分かった?」
「だっておじさん、ホテルで最初にサービスドリンクを配った人でしょ?」
……んん?不破さんの言葉を聞いて男の顔をよく見てみると……うん、全然覚えてない‼︎ そんなの覚えてるわけないじゃないか。でも僕以外は思い当たる節があったっぽいので一緒に驚いておこう。
僕が驚いたフリをしている間にも不破さんの推理は進んでいく。
「皆が感染したのは飲食物に入ったウイルスから、そう竹林君が言ってた。クラス全員が同じものを口にしたのはあのドリンクと船上でのディナーだけ。だけどディナーを食べずに映像編集をしていた三村君、岡島君、土屋君も感染したことから感染源はドリンクに限られる。従って犯人は貴方よ、おじさん君‼︎」
そして不破さん最後には探偵ポーズを決めて推理を締め括った。それにしても随分と生き生きしてるなぁ。よっぽど非日常的な状況で活躍できることが嬉しいんだろうね。
しかし上陸した直後のサービスドリンクにウイルスが盛られていたのか。それだったら警戒心が強くて毒にもある程度詳しいムッツリーニが気付かなかったのも無理はない。あの時は船酔いで万全の状態じゃなかったからな。
不破さんの推理を聞いた男は反論出来ないのか唸るばかりである。
「ぬ……そっちのお嬢ーーー坊ちゃんも同じ理由か?」
続けて男は秀吉に理由を訊こうとしたものの、ムッとした秀吉の表情を見て言い掛けた言葉を引っ込めた。うん、気持ちはよく分かる。僕も慣れるまでは少し時間が掛かったもんだ。
問われた秀吉も気を取り直して質問に答える。
「いや、ワシはお主の顔で気付いたわけではない。表情・仕草・目線の動き・身のこなしは自然体を装っておるのに意識はワシらに向けられておったからな。そんな演技をしとる理由が脅迫犯以外に思いつかんかったので危険だと判断しただけじゃ。仮に間違っとってもワシの早とちりで済むしの」
秀吉は勉強が苦手でE組に落とされたけど、演技に関しては抜群に秀でているのだ。その演技力はプロ顔負けと言っても過言じゃないだろう。他の人の演技を見抜くのも同様である。
と、そこでいきなり烏間先生が膝をついて倒れ込んだ。僕らは驚きを隠せずに倒れた先生へ視線を向ける。まさかあの烏間先生が倒れるなんて……これってまさか……
「毒物使い、ですか。しかも実用性に優れている」
殺せんせーが烏間先生の倒れた原因を特定する。そう、奇襲を受けた時の最初のガス……あれが毒ガスだったのだろう。それを烏間先生は咄嗟の判断で動いただけに吸ってしまったんだ。
殺せんせーの推測は当たっていたようで、男は得意気に毒ガスの性能を語る。
「俺特製の室内用麻酔ガスだ。一瞬でも吸えば象すら
「ウイルスの開発者も貴方ですね。無駄に感染を広げない。取り引き向きでこれまた実用的だ」
「さぁね。ただお前達に取り引きの意思がないことはよく分かった。……交渉決裂。ボスに報告するとするか」
男が身を翻して来た道を戻ろうとするも、その時には既に別働隊として動いていた数人が背後へと回り込んでいた。これだけの人数がいて全員が話の間ずっと棒立ちなわけないでしょ。
僕らの迅速な対応に男が戸惑っていると、倒れていた烏間先生がふらつきながらも立ち上がる。……あれ?烏間先生、一瞬でも吸えば象すら気絶すっていう毒ガスを吸い込んだはずじゃ……ま、まぁ今そのことは置いておくことにしよう。ツッコんでる場合じゃないし。
「……敵と遭遇した場合、即座に退路を塞ぎ連絡を断つ。指示は全て済ませてある。お前は我々を見た瞬間、攻撃せず報告に帰るべきだったな」
「……フン、まだ喋れるとは驚きだ。だが所詮はガキの集まり……お前が死ねば統制が取れずに逃げ出すだろうさ」
そう言うと男は今度こそ烏間先生に
先生が毒ガスで弱っている今、ここは僕らも加勢して相手を囲むべきか?でもそれで僕らまで毒ガスを吸ってしまったらいよいよ潜入どころじゃなくなってしまう。どうするのが最善なのかーーー
などと考えていると、距離を詰めるべく飛び出した男に対して烏間先生は一足飛びで顔面へ膝蹴りを炸裂させた。膝蹴りを食らった男はその一撃で崩れ落ち、起き上がることなく完全に沈黙してしまっている。
まさに電光石火の一撃必殺。っていうか毒ガスでふらついている人の動きじゃなかったんだけど……ごちゃごちゃ考えるまでもなく烏間先生に僕らの加勢なんて不要だったか。
しかし烏間先生もギリギリの状態で立っていたことに変わりはなく、そんな状態で戦闘なんて繰り広げようものなら身体が保つわけがなかった。先生は膝蹴り後の着地と同時に今度は受け身も取れず倒れ込んでしまう。
「烏間先生ッ‼︎」
一先ずの決着はついたと見た僕らは、烏間先生を起こしつつ倒した男を拘束する。そして中広間の調度品を使って見つかりにくいように手早く男の身体を隠した。脅迫犯とか関係なく一般客に見つかるだけで騒ぎになりかねないからね。
烏間先生は磯貝君の肩を借りてなんとか立ち上がって歩き始めたものの、その足取りは覚束なく今にも足元から崩れ落ちそうである。
「……駄目だ。普通に歩くフリをするだけで精一杯だ。戦闘が出来る状態まで、三十分で回復するかどうか……」
「……秀吉、あれって僕らを安心させようと無理してるわけじゃないよね?」
「うむ、見た限り普通に素で言っておるな」
なんで象すら一瞬で気絶するっていう毒ガスを吸って動けるんだろう……前々から思ってたことだけど、烏間先生も十分に化け物だよ。
だが烏間先生が頼りになるとはいえ、回復するまで待っていたら交渉の期限に間に合わなくなる。当然ながら殺せんせーは相変わらず動けないまま……つまり残りの潜入は僕らだけでなんとかしなくてはならないということだ。ここまでは先生達の力を借りて順調に進んできたけど、まだまだ待ち構えているであろう未知の敵を相手に僕らの力がどこまで通用するのか……。
「いやぁ、いよいよ“夏休み”って感じですねぇ」
全員が多かれ少なかれ不安を隠せないでいる中、そんな僕らを他所に場違いな発言をする
取り敢えず全員からブーイングが発生したのは言うまでもない。
「何をお気楽な‼︎」
「一人だけ絶対安全な形態のくせに‼︎」
「渚、振り回して酔わせろ‼︎」
「にゅやーッ⁉︎」
言われた渚君は持っていた袋詰めの殺せんせーを高速回転させ、先生は堪らず悲鳴を上げて苦しんでいた。まぁいきなり意味不明なことを言い出した先生の自業自得だろう。
皆の気が済むまで殺せんせーを振り回し終えた渚君が先生に問い掛ける。
「殺せんせー、なんでこれが夏休み?」
その問い掛けに対して殺せんせーは高速回転のダウンから立ち直って真面目に答えを返す。
「先生と生徒は馴れ合いではありません。夏休みとは先生の保護が及ばないところで自立性を養う場でもあります。大丈夫、普段の体育で学んだことをしっかりやればそうそう恐れる敵はいない。君達ならクリア出来ますよ、この暗殺夏休みを」
あぁ、なるほど。また殺せんせーの悪い癖が出てきたのか。先生って普通の勉強は僕らに合わせて手厚く教えてくれるのに、何故か身体を動かすことに関してはスパルタ教育なんだよね。それはもう限界ギリギリ……を超えてアウトレベルの課題をぶっ込んでくるし。
まぁ今回に限っては感染した皆の命が懸かってるわけだし、たとえ先生に無理だって言われても黙って諦めるなんてことは出来ない。今は如何にして潜入を成功させるかだけを考えていこう。
次話 本編
〜カルマ(の戦闘中)の時間〜
https://novel.syosetu.org/112657/40.html
殺せんせー「これにて“引率の時間”は終了です。皆さん、楽しんでいただけましたか?」
イリーナ「フッフッフッ、ようやく私の実力を魅せつける時が来たようね。次の話からは私が男を虜にする手練手管を全編ノーカットで見せてあげるわ」
烏間「やめろ、そんなものを見せられる読者の身にもなれ。何より話が進まん」
イリーナ「えぇー、いいじゃないのよ。ぶっちゃけ私の出番はこれで終わりなんだし」
殺せんせー「そういうわけにもいきません。いよいよ我々の手を借りられなくなった生徒達の力が試される時なんですから」
烏間「決して無茶はしないでほしいが……そうは言ってられない状況なのも確かだ。彼らの力を信じるしかあるまい」
イリーナ「ま、問題ないでしょ。原作と違って吉井に木下もいるんだから」
殺せんせー「その逆もまた然り、ですよ。私達だけでなく敵の戦力も原作とは違っているかもしれません。油断は禁物です」
烏間「プロの手強さは同じプロであるお前だからこそよく理解しているだろう。暗殺の訓練を積んでいるとはいえ、中学生が数人増えたとしても十分対処できるはずだ」
イリーナ「あーはいはい、私の見立てが甘かったわよ。でもあんたらみたいな化け物が相手じゃなければ何とかなるでしょ」
烏間「……ちょっと待て、何故“化け物”という括りに俺が入っているんだ?防衛省で鍛えているとはいっても普通の人間だぞ?」
殺せんせー「烏間先生、象すら気絶させる毒ガスを吸っても動けたり素手でツキノワグマを倒せるような人間は世間一般的に化け物です」
イリーナ「普通に化け物ね」
烏間「訓練すれば出来ると思うが……まぁそんなことはどうでもいい。引き続き生徒達の潜入を見守ることにしよう」
殺せんせー「そうですね。では今回はこの辺りでお開きにしましょうか。皆さん、次回も楽しみにしておいて下さいね」
明久「烏間先生を倒すにはツキノワグマを倒せないといけないのか……ツキノワグマって何処にいるのかな?」
渚「倒しに行こうとか考えたら駄目だからね⁉︎ まず間違いなく生死に関わるから‼︎」