バカとE組の暗殺教室   作:レール

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体育の時間

渚君が自爆テロを仕掛けた日から数日が経った。

あ、そうそう。殺せんせーは相変わらず殺せてないんだけど、あの日は授業が終わったら普通に家に帰してくれたよ。“僕の考えた理想の学校移住計画”は永久凍結されることになったんだ。

計画が実行されていれば(僕の)世界が一変していたというのに……どんな計画だったかは国家機密なので教えられません。

 

あれからも殺せんせーの暗殺は大なり小なり毎日行われている。

この前は野球大好き少年である杉野友人君が、対先生BB弾を埋め込んだ野球ボールで暗殺に挑戦して失敗したらしい。その後で殺せんせーに手入れされたのか、なんか前より雰囲気が明るくなった気がする。偶に渚君とキャッチボールしてる姿を見掛けるようになったし。

他にも笑顔で近づいて不意を突く集団暗殺を実行したらしいんだけど、まぁ普通にマッハで躱されたそうだ。その時に殺せんせーがクラスの花壇を荒らしてしまったそうで、お詫びにロープで縛られて木に吊るされた殺せんせーを狙っていいという“ハンディキャップ暗殺大会”が行われた。言わなくても分かると思うけど、やっぱり殺せなかったね。

 

そして今日から新しい先生が体育教師を兼ねた副担任としてE組にやって来ていた。今はその先生と一緒にグラウンドで体育の授業をやっている。

まぁ新しい先生っていうのは防衛省の烏間さんなんだけどさ。あ、今は烏間さんじゃなくて烏間先生だった。

 

「八方向からナイフを正しく振れるように‼︎ どんな姿勢でもバランスを崩さない‼︎」

 

……うん、これでも体育の授業をしているんだよ?暗殺教室らしくナイフの素振り中である。

烏間先生が来る前は体育も殺せんせーが担当してたんだけど、身体能力が違いすぎて皆からは不評だった。そりゃ、いきなり反復横跳びで視覚分身やれって方が無理だよ。出来ても残像までだ。

そのことを烏間先生が来るまで自覚していなかったらしく、皆から指摘されて体育から外された殺せんせーは砂場に追い払われていた。今も項垂れながら砂山を作っている。

 

「でも烏間先生、こんな訓練意味あんスか?しかも当の暗殺対象(ターゲット)がいる前でさ」

 

明るい髪色で見た目爽やかそうな前原陽斗君が、訓練に疑問を感じているようで烏間先生に質問していた。

 

「勉強も暗殺も同じことだ。基礎は身につけるほど役に立つ」

 

先生も素振りを中断して真面目に答えているんだけど、その答えを聞いても前原君は疑問を拭えなかったようだ。話を聞いている他の皆も何人かはそんな感じである。

ただこればっかりは僕でも烏間先生の言っていることが正しいと思う。暗殺という非日常的なことだから皆も実感が湧かないだけだろうけど、その動きに慣れていなかったら本番で動けるわけないのだ。

 

「例えば……そうだな。吉井君、坂本君。そのナイフを俺に当ててみろ」

 

そんなことを考えながら訳知り顔をしていたからだろうか。烏間先生に名指しでナイフを当てるように言われてしまった。皆の前で実演しながらレクチャーしようってことかな?

一緒に指名された雄二も前に出てくるけど、どうしてわざわざ自分も呼ばれたのかよく分かっていなさそうである。

 

「僕と雄二の二人掛かりでやるんですか?怪我するかもしれませんよ?」

 

「心配は無用だ、問題ない。それに君達二人とも荒事には慣れているだろう?身体付きや動きを見れば何となくではあるが分かる」

 

あぁ、雄二も呼ばれたのはそういうことか。確かにこの中で純粋に身体能力が高いのは雄二だろう。僕だってそこそこ高い方だと思っている。

そんな僕らの攻撃が二人掛かりで通用しないとなれば、皆にも基礎の大事さが伝わるってもんだ。身体能力だけじゃどうしようもないってね。

指名された雄二も最初の方こそ面倒臭そうな雰囲気を醸し出していたが、烏間先生の言葉を聞いた途端に雰囲気を鋭く変化させていた。

 

「……やりてぇ事は分かるんだが、荒事に慣れてるってのを知ってて俺達を指名すんだな?」

 

「その通りだ。ナイフを当てることが出来たら今日の授業は終わりでいい」

 

「おもしれぇ……ムッツリーニ‼︎ お前のナイフ貸してくれ‼︎」

 

雄二が大声を出してムッツリーニにナイフを要求すると、ムッツリーニもそれに応えてナイフを投げ渡した。どうやら雄二はナイフを二本使って戦うらしい。

僕はそのスタイルに少し疑問に思う。雄二は基本的に喧嘩では肉弾戦主体だから、喧嘩中に両手どころか片手で武器を使ってるところもあまり見たことないけど……と思っていたのだが、雄二はそれぞれナイフを逆手に持ってボクシングスタイルで烏間先生と対峙する。

なるほど。烏間先生が今日の体育で教えてくれたナイフ術じゃなくて、今までの我流でいくつもりか。

 

「E組に来てからは大人しくしてたからな……久しぶりに本気で行くぜ‼︎」

 

獰猛に吼えた雄二が一息で烏間先生の懐に入ると、ナイフを握った拳を先生の顔面目掛けて躊躇なく振り抜いた。

進学校であまり喧嘩に縁がないであろう皆はもちろん、雄二と一緒に過ごしてきてよく喧嘩に巻き込まれていた僕であっても目を見張る速さだ。

まぁ捉えられる速さではあるんだけど、雄二の真価は速さではなく腕力にある。僕だったら体格差があって防御できても真正面からだと分が悪い。

それに対して烏間先生はというと……

 

「ーーーこのように、ナイフを当てるために必ずしもナイフを使う必要はない。重要なのは最終的にナイフを当てることだ。しかし逆に言えば当てられなければ意味はない」

 

解説しながら普通に真正面から受け止めていた。

とはいえ僕でも何とか捉えられるんだから、防衛省で働いている烏間先生なら捉えることは出来て当たり前か。

そうして先生が解説している間も雄二の猛攻は続いているんだけど、その全てが往なすか防ぐかされていた。

 

雄二はさらに踏み込んで逆の拳でフックを叩き込もうとするが、その腕を外側から押し込まれて空振りに終わる。空振った姿勢から振り回すように肘打ちを繰り出すものの、またもや容易く受け止められてしまった。そこから力任せに押し込もうとしているようだが拮抗したまま動かず、踏み込んだ状態から一気に身体を戻して横蹴りを放ったところを半身になって掌で軽く逸らされる。

正直ここまで雄二の攻撃が通らない場面を見るのは僕も初めてだ。しかも烏間先生は開始地点からほとんど動いていない。

 

「チッ、防衛省上がりは伊達じゃねぇか‼︎」

 

「喧嘩で慣らしているようだが、それだけで勝てるほど本職は甘くないぞ。吉井君も参戦してくれて構わなーーー」

 

と烏間先生が話している間に僕も肉薄しており、右手に構えたナイフで袈裟懸けに斬り掛かっていた。そのナイフを腕ごと受け止められそうになったところで防御を躱すように腕を畳み、振り下ろそうとした腕の遠心力を殺さずに後ろ回し蹴りを放つ。

雄二が真正面から戦って手も足も出ないとなると、僕ではどうやっても単独では勝てないだろう。烏間先生に一撃を加えるためにはフェイントと連携、それにトリッキーな手が必要になってくる。

けど雄二とのやり取りを見ている限りでは、この程度の小細工が通用するとは思えないわけで……

 

「そうだ、相手に合わせる必要など何処にもない。隙あらば不意を突いて攻撃しろ。二人とは実演の関係で戦闘になっているが、君達に求められているのは暗殺だ。そしてその隙を見逃さず精確に付け入るためにも相応の技量がいる」

 

僕の後ろ回し蹴りは上体をスウェーさせるだけで難なく躱されていた。その瞬間を狙って雄二も仕掛けるが烏間先生はものともしない。

二人掛かりになってからは雄二がインファイトで攻め立て、僕がフェイントを織り交ぜたヒット&アウェイで雄二の隙を埋めるように攻撃を繋いでいく。

しかし烏間先生との実力差を覆すことは出来ず、全ての攻撃が無力化されていた。

 

僕らが街で絡まれる時は囲まれることが多く、喧嘩をする際は無意識に攻撃を合わせられる程度にはお互いの動きを把握している。

それが癖付いてしまうほど喧嘩に巻き込まれていたって考えると憂鬱になるけど今は置いておいて、どうやらそれだけでは烏間先生には届かないようだ。

僕は雄二と違ってそこまで勝ちに拘っているわけじゃないから、先生の目的である“基礎は大事”を皆に伝えられれば充分だと思うんだけど……確かにこのまま掠りもせず終わるのはちょっと癪だな。負けず嫌いとか全然そんなんじゃないけど。ちっとも悔しいとか思ってないけど何となく。

 

「雄二ッ‼︎」

 

仕方ないから、もう少し雄二に付き合ってやるとするか。このままの連携じゃ通用しないって言うんなら、さらに通用するまで連携を高めるまでだ。

僕の呼び声に応じて雄二が視線を此方に向けたところで、一瞬のアイコンタクトと最小限の身振りで作戦を伝える。この特技も喧嘩にたくさん巻き込まれて以下略……まぁ色々と過ごしているうちに身についたものだ。

その後に雄二からも僕の作戦に追加する形で指示が送られてきた。この作戦が通用するのは恐らく一回のみ。次の打ち込みで勝負を決める‼︎

 

これまでは雄二の隙を埋めるように細かく攻撃していたが、今度は少し遅れる形でほぼ同時に僕も攻めに出た。

まずは雄二の右拳が先生の顔面目掛けて打ち込まれるが、最初とは違って正面ではなく右頬に狙いを定めている。ちょうど逆手に握ったナイフが正面に来る形だ。

僕も一緒に攻めているからか、雄二の拳を受け止めて片腕を塞がれるのは悪手だと判断したのだろう。烏間先生は雄二の拳を受け止めずに外側へと弾いて顔から逸らす。

 

 

 

その瞬間、雄二が手首のスナップだけで至近距離からナイフを投擲した。

 

 

 

「……っ」

 

超至近距離からのナイフ投擲。これで終わってくれれば良かったんだけど、烏間先生は少し驚いただけで即座に顔を反らして躱す。

ほぼゼロ距離から不意打ちの投擲を躱せるのは凄いと思うけど、それくらいの回避能力があることは直に戦っている僕らが一番分かっている。

投擲したナイフが烏間先生の眼前を通過していき、

 

 

 

そのナイフを僕が空いている左手で掴み取った。

 

 

 

打ち合わせもしていないのに寸分の狂いもなく合わせられた完璧なコンビネーション。

烏間先生の目にはそう映っているはずだ。その証拠にこの戦闘が始まって以来、ずっと涼しい顔をしていた表情が崩れて目を見開いていた。

 

「シッ‼︎」

 

僕は間髪入れず受け取ったナイフで首に狙いを定めて小さく薙ぎ払う。

並みの相手であればこの状況に持ち込めた時点で勝ちは決まったようなものだけど、烏間先生は顔だけでなく上体も反らすことでこれを躱してみせた。

けどまだ終わりじゃない。雄二からナイフを受け取って今は僕がナイフ二本持ちだ。僕の薙ぎ払いを躱すために反らされた上体へと元から持っていたナイフを突き出す。

さらに反対側からは雄二が逆手から順手に持ち替えたナイフで、僕と同じように上体を狙って腕を突き出す構えを取っていた。

この状態で僕と雄二のナイフを同時に防ごうものなら次の攻撃……僕の左手のナイフ、雄二の拳や蹴りは確実に躱せない。

 

「くっ‼︎」

 

その場からほとんど動くことのなかった烏間先生だったが、大きく後方宙返りすることで僕のナイフを躱すとともに距離を取って追撃を封じてきた。

どこまで超人なんだこの人は……これだけやっても攻撃を当てられないなんて。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ。

 

「決めろ、雄二ッ‼︎」

 

小さく薙ぎ払った左手のナイフ、それを僕は空中に置くようにして手放した。その切っ先は烏間先生へと向けられている。

 

「食らいやがれッ‼︎」

 

そして、そのナイフを雄二が回転回し蹴りで思いっきり烏間先生へと蹴り飛ばした。

先生は大きく後方宙返りしたため未だ着地しておらず、迫り来るナイフを前にしても回避行動を取ることが出来ずにいる。

殺せんせーじゃないんだから空中では躱しようがないだろう。僕らの勝ちだ‼︎

 

「ーーー最後のは非常に惜しかったが、これだけの連携・戦術を用いた戦闘力の高い二人でも俺にナイフを当てられなかった」

 

空気を斬り裂くように真っ直ぐ蹴り飛ばされたナイフだったが、そのナイフは烏間先生に直撃することなく人差し指と中指に挟まれていた。

ゆ、指での真剣白刃取りって……嘘でしょ?漫画やアニメでは見たことあるけど、まさか現実で目にする日が来るとは……

 

「正直見縊っていたことは謝ろう。俺をナイフに触れざるを得ない状況まで追い込んだ点は高く評価する……が、それでも防がれたことを考えればマッハ二十の奴に当てられる確率の低さが分かるだろう」

 

確かにその通りだ。人間である烏間先生を相手にして攻撃が当てられないなら、超生物である殺せんせーに攻撃が当たる確率なんて宝くじで一等を当てるよりも難しいのではないだろうか。

僕と雄二が息を整えている間も先生の話は続いている。

 

「クラス全員が俺に当てられる位になれば、少なくとも暗殺の成功率は格段に上がる。それら暗殺に必要な基礎の数々を体育の時間で俺から教えさせてもらう」

 

と、そこで切り良くチャイムの音が聞こえてきた。烏間先生も体育の終わりを告げ、授業前に脱ぎ捨てていた上着を拾うために立ち去っていく。

 

「……くそ〜、あとちょっとだったのに〜」

 

「あれでもまだ本気は出してねぇだろうがな。ありゃ化け物だ」

 

僕らは二人してその場で座り込み、負けたことに対してつい愚痴を零してしまう。

最後のは絶対に当たると思ってただけに、あれを防がれたら本当にぐうの音も出ない。

ナイフを当てるって意味では人差し指と中指に当てたとも言えるけど、そんなお情けみたいな勝ちでは僕も雄二も納得できなかった。絶対にいつか一人で烏間先生に一撃入れてやる。

そんな風に考えてた僕の耳に拍手と歓声が聞こえてきた。え、何?なんかあったの?

 

「二人とも凄い‼︎ まるで漫画の戦闘シーンをリアルで見せられてるみたいだったよ‼︎」

 

「本当、その辺の喧嘩で慣らしたってレベルじゃなかったのは確かよね」

 

漫画大好き少女である不破優月さんが興奮しながら僕らに言ってきた。なんだか物凄い目をキラキラさせてるよ。

普段はあんまり感情を表に出さない速水凛香さんも目を丸くしている。それだけ生の戦闘が珍しかったのかな?

 

「クラスが一緒になった時、噂と全然イメージが違ったからてっきりデマなのかと思ってたけど……」

 

「あぁ、噂に違わぬ強さって感じだったな」

 

アホ毛が特徴的な学級委員長である磯貝悠馬君と前原君も何か言ってるが、その噂は絶対碌なものじゃないからあんまり聞きたくない。

皆は今の戦闘に興奮して盛り上がってるみたいだけど、次もまだ授業が残ってるからそろそろ着替えないと。しかも次は確か小テスト……熱くなって本気(マジ)戦闘したからどっと疲れてるのに……

 

「ーーー相変わらず二人の喧嘩は曲芸染みてるね」

 

そんな僕らに校舎の方から声を掛けてきたのは、E組の生徒ではあるんだけど今まで停学を食らって登校していなかった赤羽カルマ君だった。

雄二と似た赤髪に飄々とした態度……というか登校してきたってことは停学解けたんだ。初日から遅刻してくる辺り、停学食らっても全然変わってないみたいだなぁ。

 

「カルマ君……帰って来たんだ」

 

「よー、渚君も久しぶり」

 

渚君が話し掛けるとカルマ君も人懐っこそうな笑みを浮かべてフランクに応える。中身を知らなかったら好印象なんだけど……あれは殺せんせーに仕掛けるために猫を被ってるだけだね。

あぁ、E組にまた問題児が増えちゃったよ。




次話
〜カルマ(の暗殺中)の時間〜
https://novel.syosetu.org/112657/4.html



明久「はい、これで“体育の時間”は終わり〜」

雄二「今回もテキトーに喋ってくぜ〜」

不破「ちょっとちょっと、二人とも前回と比べてダレすぎじゃない?」

明久・雄二「「本気(マジ)戦闘で疲れた」」

不破「いや、後書きと本編に直接的な因果関係ないから。あったら私らメタ発言しすぎでしょ。それは私だけの特権よ」

明久「メタ発言が特権ってキャラとして駄目だと思うんだけど……」

雄二「まぁギャグとして扱いやすいからな。一人くらいはいた方がいいと思うぞ」

不破「まぁそんなことは置いといて。今回はほぼ戦闘回だったけど、二人とも強いねぇ」

明久「まぁ雄二と過ごしてたら自然と喧嘩に巻き込まれて否応無しにね」

雄二「原作でも中学に入ってから喧嘩するようになったからな。その時期に一緒にいたんじゃ仕方ねぇよ」

不破「でもカルマ君と違って停学とかはあんま聞かないけど、その辺はどうなの?」

雄二「そりゃ学内では暴れてねぇからな。街中でも人気の少ないとこに連れ込まれてから喧嘩っつー流れだし、噂だけで確実な喧嘩の証拠はねぇんだよ」

明久「“連れ込まれて”ってところがミソだよね。バレても正当防衛っていう言い訳が成り立つし」

不破「相手から仕掛けた喧嘩だから訴え出る被害者もいないと。……その口振りだと煽って相手から手を出させてるんじゃないの?」

雄二「おぉ、よく分かったな。喧嘩が始まる前に街中で目撃された時のためのカモフラージュだよ。相手が因縁付けてるように周りに見せるのが肝だぜ」

不破「なるほど、二人があれだけ息ピッタリなのも修羅場を潜り抜けてきた証ってわけだね」

明久「あ、それはちょっと違うかな」

不破「え?他に何か理由があるの?」

雄二「あぁ。俺の噂に引き寄せられて喧嘩の気分じゃねぇ時にも不良が来やがるからよ。そういう時は相手にしないんだが……」

明久「雄二は僕を生け贄に捧げてやり過ごそうとするんだよね……原作通り逃げ足も速いから大人数相手でも捕まることはないんだけど」

雄二「そんな俺の思惑に対抗して明久も俺を陥れようとしてくんだよ。流石の俺も多勢に無勢じゃ面倒だから逃げることもある」

明久「だから雄二は僕に気付かれないように考えを巡らせるんだけど、僕だってそれを躱しつつ雄二を出し抜くためには考えを読む必要があって……」

雄二「で、その考えを読んで行動しようとする明久を生け贄にするため、俺はさらに明久の考えを読んで手を打たなければならず……」

明久・雄二「「結果、お互いの事を探っているうちに意思疎通程度だったら無言で出来るようになったわけだ」」

不破「外道だ……友達を友達とも思っていない外道が目の前にいるよ……」

明久「あ、そういえば足引っ掛けて囮にしたこともあったよね?転ばされたから逃げるのマジでギリギリだったんだから」

雄二「てめぇだって俺を路地裏に突き飛ばして逃げたことがあんだろうが。狭くて囲まれはしねぇが、逃げ場もねぇってんで全員相手させられたんだぞ」

明久「……なんか思い出すだけでイライラしてきた」

雄二「……奇遇だな。俺も無性に腹が立ってきたところだ」

不破「ちょ、なんか空気重くない……?」

明久・雄二「「ちょっと表出ろやコラ。あの時の落とし前着けんぞ」」

不破「なんで毎回喧嘩になるの⁉︎ 待って待って、二人とも落ち着いてーーーあ、今日のところはここまで‼︎ 次の話も楽しみに……ってだから二人とも待ってってば‼︎」





殺せんせー「どうして私は一向に呼ばれないんですかねぇ……いえ、別に拗ねてるわけではないんですよ?ただ、私が呼ばれる日は来るのか心配なだけで……来るんですよね?ねぇ‼︎ いつか来るんですよね⁉︎」

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