『Fate/contract』   作:ナイジェッル

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第44話 『不退転の意志を灯す』

 10年もの歳月を経て、遂に闇の書は覚醒した。ああなってしまえば周辺の被害は馬鹿にならず、時間が経てば必ず死人も出てしまうだろう。それは闇の書を覚醒させた仮面の男達にとっても望ましいことではない。

 次元世界の被害は最小限にして闇の書を封印する。犠牲者は八神はやて唯一人のみと誓っているのだから。

 

 「海鳴市一帯に空間隔離結界を張った。これでなんとか被害は抑えられる。後は、あの闇の書が本格的に暴走を起こし、その瞬間にデュランダルによる永久封印を行うのみだな」

 「ああ、そうだ。我らはこの日をどれだけ待ち望んだことか」

 「唯一心残りなのは、闇の書の主八神はやてがごく普通の少女だったという一点のみ。彼女のような無垢な少女ではなく、歴代の主達のような外道だったのならば良心も痛まなかったものを」

 「これも運命だ。闇の書に魅入られた時点で、彼女に救いなどない。私達が出来ることは、せめて、彼女が守護騎士達と共に眠れるよう手向けを与えてやることだけだ」

 

 仮面の男達とてこのような結末は本意ではない。ただ闇の書だけを封印、もしくは破壊できればそれで良かった。できるのなら、犠牲者なぞ一人も出したくは無かった。

 それでも、現実とは非情なものだ。そのような夢物語を叶えさせてくれるほど甘くない。闇の書を封印するにはより確実で、非情な選択を選ばねばならないのだ。

 

 「では、封印を実行す―――な!?」

 

 男の一人が無言で白銀のカードを手に取り、元来の姿に起動させようとしたその時イレギュラーな事態が彼らを襲った。

 

 「「―――ば、バインド!?」」

 

 そう、彼らの肢体はガッチリとバインドが纏わりつき、拘束されたのだ。しかもバインド量が半端ではなくまるで身動きが取れない。

 ただ彼らに許されたのは身悶えし、混乱することのみだ。

 

 「ハッ、ラストになって気ぃ緩み過ぎなんだよアンタらは。隙だらけだ」

 「最後の最後まで気合入れとかないからそういう目に合うんだぜ?」

 

 二人の元に現れたのは約30名の魔導師。アースラの武装隊の面子だ。

 彼らとて優秀な管理局員。正確無比なバインドを放つことくらいお手の物だろう。

 

 「何故私達の居場所がバレた…………!?」

 「そりゃさっき張られた空間隔離結界の起点を探れば余裕のよっちゃんよ」

 「あれで分からなきゃ武装隊失格だわな」

 「てかこんなビルの屋上に堂々と居座っている時点で見つけてくださいって言ってるようなもんだ。適当な路地裏にでも隠れときゃいいのに、なんなの? やる気あるの? それとも救いようのないかまってちゃんなの?」

 

 呆れた顔で自分達を見下す武装隊員………凄くムカつくなこいつ等。

 初っ端からザフィーラにやられ、つい先日まで前線に出れていなかったくせに。

 嗚呼、此処にいる全員去勢してやりたい。

 

 「そこまでだ、皆。この二人の正体を知った時、先ほどの発言と態度に対してかなり後悔することになるよ。わりと本気でね」

 

 黒の法衣を身に纏ったクロノ・ハラオウンはそう言って、拘束された仮面の男達の前に立つ。

 

 「隊長………それはどういう意味で?」

 「こういう意味だ」

 

 クロノは変身、強化系の魔法を無力化するストラグルバインドを彼らに使用する。

 

 「ぐっ」

 「くそ………」

 

 仮面の男達の身体はみるみる縮んでいき、最終的には女の姿へとカタチを変えた。

 そして彼らの正体が露わになる。その姿は、アースラの武装隊全員が知っていた。

 

 「「「「――――リーゼ姉妹!?」」」」

 

 かつてシロウとクロノと共にアースラの武装隊を鍛え上げた鬼の指導者。

 隊員達にとって恐怖の象徴であり地獄のような訓練を惜しまず導入してきた鬼の姉妹―――リーゼアリアとリーゼロッテ。

 歴戦の勇士と謳われたギル・グレアムが使役する最高位の使い魔だ。

 

 「え? マジで? いやいやどういうことですか隊長! なんでリーゼ姉妹が!?」

 「見ての通り彼女達が、今回の闇の書事件で数々の公務執行妨害を行なってきた仮面の男の正体。そして、この最悪な状況を作り出した張本人だ」

 

 虚しさを隠すことなくリーゼ姉妹を見下ろすクロノと、不敬を働き混乱する武装隊の面々。特にリーゼ姉妹を小馬鹿にしまくった隊員なんて顔面蒼白だ。

 

 「…………ストラグルバインド………こんな魔法、私は教えた覚えはなんだけどな」

 「一人でも精進しろと教えたのは君達だろう、ロッテ……アリア…………」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 闇の書と名乗った女性は、涙を流しながらなのはとフェイトをその濁った紅い双眼で目視する。

 

 「ディバインバスター……ブレイズキャノン」

 

 そして彼女はなのは達を敵と見なし、何の躊躇もなく攻撃性の高い砲撃魔法を行使した。それも、非殺傷設定を解除したもので。

 莫大な魔力を惜しみなく使い、強力な魔法を行使する様はまさに闇の書の力そのもの。

 いくらなのはとフェイトが並みの魔導師よりも強力といえど、たかが二人の魔導師が相手してどうにかなるモノではない。

 

 「フェイトちゃん!」

 「うん!」

 

 魔法少女二人は迫り来る熱線から自分を護るためにいつも以上に頑丈な障壁を全面に展開する。

 

 「小賢しい」

 「「…………!!」」

 

 闇の書の魔力が障壁にぶつかると同時に、まるで砲弾が直撃したような衝撃が二人の少女のか細い腕に響いた。バリアジャケットからの魔力保護を受けていなければ即座に身体中の骨が砕け散っていただろう。

 

 「ぐ、ぅぅぅ…………!」

 「あ……あぁ……!」

 

 馬鹿みたな魔力の熱線に耐える。ただ、耐える。

 反撃の糸口すら望めない今の状況は、極めて危険だ。

 かといってこのまま防御に徹していたところで限界はいずれ来てしまう。

 

 ――――ビギィッ――――

 

 強固なはずの障壁は歪な音を発てながら徐々に壊れていく。

 圧倒的な力を前にしては、所詮人の子なぞ無力に等しい。

 こんな砲撃、殺傷設定で直撃すれば命はない。二人はその現実に身体を震わせた。

 一分後、肉片も残らず蒸発する自分達の姿を幻視する。されど魔法少女は諦めなかった。どのような絶望的な状況下でも、生きることを諦めることはしなかった。

 彼女達は恐怖し震える身体に喝を入れ、踏ん張りを魅せる。

 

 ―――――全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)―――――

 

 遥か上空から降り注ぐ大量の刀剣群。音速に近い速度でソレらは闇の書に迷いなく直進する。その様は、まるで人間相手に戦争の力を、絨毯爆撃を行うようだった。生身の人間が喰らえばミンチになるのはまず間違いない。

 

 「…………」

 

 闇の書はなのは達に放っていた砲撃を切り上げ、無言で腕を上げて馬鹿でかい障壁を展開する。その強度たるや、なのはとフェイトでは比べものにならないほどのレベルだ。

 

 「質量兵器か……それでも私には届かない」

 

 そしてその障壁で降り注いだ刀剣群をなんなく防いだ。

 まるで雨を傘で受け止めるように。

 

 「流石に無銘の刀剣では歯が立たんか――――ならば、この紅槍はどうだ?」

 

 刀剣群の爆撃を防いでいる隙に、白髪の少年が闇の書の懐に飛び込んでいた。

 空中に展開した剣を足場にしている彼は先ほど刀剣を降り注がせた張本人、エミヤシロウ。彼の手には歪な魔力が内包された紅い槍が握られている。

 

 「無駄なことを」

 

 何やら特殊な能力が秘められた槍のようだが、所詮 槍に過ぎない。デバイスでもロストロギアでもない古代文明の骨董品だ。闇の書の力を振るう自分にとって、脅威でも何でもない。

 

 「人の身で私の障壁を突破できるわけがない」

 「ああ、確かに今のオレは貧弱な人間でしかない。だが、扱う武器は特別性だぞ?」

 「なに――――ぐッ!?」

 

 ニヒルな笑みを浮かべ、振るったエミヤの槍はいとも簡単に彼女の右肩を切り裂いた。

 あれほど強固だった障壁が何の意味も持たずに突破されたのだ。

 

 「魔導師殺しの異名は伊達ではないのでね。特にこの破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)はこと魔力を扱う者と相性がいい。実感してくれたかな闇の書よ」

 「おのれ………!」

 「抵抗は止めておけ………まだ間に合う。武装を解除して投降した方が主の為だぞ」

 「断る以外の選択肢はない!」

 

 警戒するに値する敵と判断した闇の書はエミヤから距離を取る。

 

 「二人共、よく耐えた。流石は天才魔法少女だ」

 

 エミヤも一時 闇の書から距離を取り、疲弊しているなのはとフェイトの元まで後退した。

 

 「酷なことを聞くが………まだ戦えるかね?」

 「うん、全然行けるよ!」

 「大丈夫です!」

 

 なのはとフェイトは疲れているがまだ余力がある。やる気も残っているようなので安心した。

 

 『エミヤ……仮面の男……いや、リーゼ姉妹を捕縛した』

 

 クロノからこの状況を作り出した張本人を捕縛したという朗報が寄せられる。

 しかし、まさか仮面の男達の正体が本当にリーゼ姉妹だったとは。彼女達の弟子であるクロノの心境は複雑なものになっているだろう。

 

 『バックにいる人物は、十中八九ギル・グレアム提督だ。僕は彼らと決着をつけるために一時戦線を離脱するけど、そっちは持ち堪えれるかい?』

 『ああ、問題ない。心配はするな。お前は、お前のやれることを為せ』

 『すまない――――健闘を祈る』

 

 念話が切られた。

 主戦力であり、相棒であるクロノの一時離脱はなかなかの痛手ではあるが、それを補える存在はちゃんと揃っている。

 

 「ユーノ・スクライア到着しました!」

 「続けてアルフ参上!」

 

 サポート系万能魔導師ユーノとアルフが転移して現れた。

 ――――否、それだけではない。

 

 「「「「アースラ武装隊 全員集合しました、副長!」」」」

 『あー、ヴァイスです。遥か後方の狙撃ポイントに到着。いつでもいけますぜ、師匠』

 

 Aランクオーバーの魔導師30名が所属するアースラ『武装隊』全員集合だ。狙撃手のヴァイス・グランセニックも配置についている。戦力としては申し分ない。クロノの穴も埋められる。

 

 「総力戦だ。全員、力を振り絞れ。我らが倒れればこの世界に未来はないぞ!!」

 「「「「「「「「了解ッ!!」」」」」」」」

 

 皆の瞳に不退転の意志が灯される。

 闇の書、もしくは闇の書のなかで眠っている主を説得できれば勝機はあるのだ。

 その小さな望みに皆は全力を注ぐ。

 

 「無駄なんだ。いくらヒトが集まろうと………私を、闇の書の意志を止めることはできない」

 

 透明な涙を零しながら闇の書は、持てる魔法、蒐集してきた人類の英知を惜しみなく使う。禁術などもお構いなしだ。

 彼女もまた眼前の敵を殲滅するために全力を尽くす。その身が堕ちた魔導書なれば。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 クロノは捕縛したリーゼ姉妹と、ギル・グレアムを管理局本局にある一つの部屋に連行した。逃亡を阻止するために、腕の立つ局員を扉の外で待機させている。

 尤も、ギル・グレアムが本気で逃亡を企てているのなら、この程度の戦力は力不足もいいところであろうが。

 

 「クロノのことだ。粗方のことは掴んでいるのだろう?」

 「はい………多少、確証を得るために時間を費やしましたが」

 

 ソファーに腰を深く下ろし、抵抗する意志が見受けられないグレアムは疲労が溜まった眼でクロノを見る。

 クロノは犯罪者と堕ちたグレアムを軽蔑するのではなく、ただ悲しみに満ちた様子で彼の視線を受け止めた。

 

 「貴方は十一年前の闇の書事件以降、独自に闇の書の転生先を探していましたね。そして、発見した。闇の書の在り処と、現在の主『八神はやて』を。

 しかし、完成前の主と闇の書を押さえても、あまり意味がない。主を捕えようと、闇の書を破壊しようとすぐに転生してしまうから。だがらこそ、監視をしながら闇の書の完成を待った」

 

 待った、ということは………

 

 「見つけたんですね。闇の書の永久封印の方法を」

 

 グレアムは、言葉に出さずこくりと頷いた。

 

 「両親に死なれ、身体を悪くしたあの子を見て心は痛んだが…………卑しい私は、それが運命だと思ったさ。それだけ悲しむ人は少なくなる」

 「あの子の両親の友人を語って、生活の援助を行っていたのも提督ですね」

 

 どこから入手したのか、八神はやての手紙と、ヴォルケンリッターと一緒に映された八神家の集合写真をクロノは懐から取り出しテーブルに置いた。

 

 「せめて、せめて闇の書と共に永久封印されるその時まで、幸せに生活してもらいたかった。自分でも理解しているが、実に………吐き気のする偽善だよ」

 

 それでも、止めることはできなかった。そうでもしなければ、何も知らない無垢な少女を犠牲にするという事実、罪悪感の重さから良心が耐えられなかった。

 

 「封印の方法は、闇の書を主ごと凍結させて次元の狭間か氷結世界に閉じ込める。そんなところですね?」

 「ああ……それならば、闇の書の転生機能は働かない」

 

 クロノは納得がいかない。そう、表情が語っていた。

 捕縛されてからずっと口を閉じていたリーゼ姉妹は、声を荒げてクロノを説得しに掛かった。

 

 「これまでの歴代の主だってアルカンシェルで蒸発させたりしてんだ! 私達がやっていることはソレと変わんない!………いや、闇の書の連鎖を断ち切れる自信があるのだから、むしろ私達の方がまだまともだ!!」

 「クロノ。今からでも遅くはない。私達を解放して。凍結が掛けられるのは、暴走が始まる瞬間の数分だけなんだ」

 

 幾ら親睦のある師とはいえそんなことを許せるほどクロノも愚かではない。

 

 「断固として断る。闇の書の主、八神はやては永久凍結されるような犯罪者じゃない。善良な一般市民だ。違法である以前に、この『クロノ・ハラオウン』が永久凍結を許さない」

 「アンタはそれでいいのかよ!? 唯一無二の父親を殺されたんだよ!? クライド君を殺したのはあの闇の書だ!! 見知らずの子ども一人を犠牲にして、親の仇を封印できるってんだから、子であるクロノは首を縦に振るのが道理だろうに!!」

 「止めなさい……ロッテ、アリア」

 

 加熱していく言い合いを、グレアムは静止させた。

 クロノはどのようなことであっても、八神はやてを護り、尚且つ闇の書をどうにかしようとしている。そのための策も、用意しているのだろう。

 

 「僕はどうしようもなく青臭い餓鬼だからね。あの無実な少女を犠牲にだけはしたくないんだ。それに、永久凍結案には問題がある。まず、外部からの凍結の解除はそう難しくないはずだ。そうだろう、ロッテ、アリア?」

 「「……………っ」」

 「沈黙もまた答えだよ―――封印された闇の書を何処に隠そうと、力を欲する者は必ず現れ、そして封印を解く日が来る。怒りや悲しみ、切望や欲望………そんな願いが、封印された闇の書に集まってしまう」

 

 クロノは尻をソファーから離し、立ち上がる。

 

 「エミヤ達が、今も命を賭して闇の書に立ち向かっている。僕も急いで向かわなければなりません。それでは」

 

 強い意志を感じさせながら、クロノは退出しようとする。

 

 「………待ちなさいクロノ。君に渡すべきモノがある。アリア、デュランダルを」

 「お、お父様!?」

 「我々はもう何もできん。いくら強力な武器を持っていようと、意味はない。ならばせめてアレをクロノに渡していた方が、何かの役に立つだろう」

 

 立ち止まったクロノに、リーゼアリアはしぶしぶ一枚の白銀色のカードをポーチから取り出し、渡した。

 

 「提督………」

 「現存するデバイスのなかでも最高峰の演算能力を持つストレージデバイス、氷結の杖デュランダルだ。旧式量産型デバイスS2Uとは比べものにならん性能を有している」

 

 手に取るだけで理解できる。コレが規格外な代物であることを。

 これほどのモノならば、確かに闇の書の封印も行えよう。ヒトが扱うにはあまりにも分不相応な兵器だ。使い道によっては、下手したら並みのロストロギアよりも危険度が高い。

 

 「コレをどう使うかは、クロノの自由だ」

 「………有難う御座います。グレアム……お師匠」

 

 クロノはデュランダルという新たな力を手にして、急ぎ、戦場へと向かう。

 ここでやるべきことはやった。残る大仕事で、この任務の決着をつける。

 

 

 ◆

 

 

 空間隔離結界により人が消え失せ、外界と化した海鳴市では戦闘が激化していった。高層ビルは次々と崩れ落ち、各魔導師の魔法は真っ暗な夜空を明るく彩る様は、不謹慎ながらも美しく感じた。

 闇の書の魔法は全て殺傷設定が施されている。掠りでもしたら肉が削げ落ちるのはまず間違いなく、まともに喰らえば命は無い。無残な肉塊になるか、それとも肉片も残らず蒸発するか。どちらにせよ最悪の最期になるのは確実。

 それでも、一部のアースラの隊員達は笑っていた。圧倒的不利な命の奪い合いのなかで、戦いを楽しんでいる。その様はまさにバトルジャンキーそのもの。

 

 「この程度の命の張り合い、時空管理局じゃあ日常茶飯事よ!」

 「オラオラどうしたどうした!? 俺ら雑兵すら殺せないぜェ、こんなんじゃなぁ!!」

 

 アースラの武装隊員の三分の一が、血気盛んな益荒男気質な魔導師で構成されている。怪我してなんぼ。命さえ落っことさなければ無問題。そんな思考を持つ彼らの戦いぶりを見ていたなのはは口元を引き攣らせる。

 フェイトはアースラの嘱託魔導師故に、彼らと合同任務に参加したことが何回もあるので流石に慣れているのか、ただただ苦笑するのみだ。

 

 「何故墜ちない? 特別な力があるわけでもない、唯の人間の分際で」

 「ハハッ、さぁ………どうしてだろうなぁ。少し考えれば分かることなんだが」

 

 膨大な弾幕を回避しながら一人の局員はほくそ笑む。

 

 「………!」

 

 闇の書はアースラの局員一人一人の動きを観察して、確信した―――あの武装隊は、決して強くない。魔力も、魔法も、普通よりかワンランク上の力を持つだけの魔導師でしかないのだ。

 だが、集団での闘い方が異様に巧い。己に足りない部分を、仲間に埋め合い、フォローし合っている。一人では小さな力しかない者が、束になることで大きな力と為っている。だから墜とせないのだ。

 

 「てかマジで降参してくれませんかね。アンタには考えれる頭があんだろ。なら、今自分がしようとしていることがどれだけ悪いことなのかくらいは判断ができるはずだ」

 「笑止。私は主の願いを果たすまでは止まることなどできん……………」

 

 武装隊の言葉を遮るように、突如として闇の書の周りに具現化する短剣群。その数およそ100以上ある。どれもこれもが高密度な魔力で編まれた危険な武具だ。

 

 「チィッ、やっぱり説得するには無理があるか?」

 「諦めんな! まだ諦めるには早すぎる!」

 「とりあえず一回ブチのめして大人しくさせた方がゆっくり話ができる。酷だがな」

 「あれで美人じゃなけりゃあ殺傷設定でいけるってのに!」

 

 これほど力が強い上に美人だと心の底から感心するほどだ。

 いや本当に世界を滅ぼそうとしていなければ十分以上に良い女である。

 それ故に残念と思えて仕方がない。

 

 「刃以て、血に染めよ。穿て、ブラッディダガー………!」

 『Bloody Dagger.』

 

 紅い刃は紅い軌跡を描きながら小五月蠅い得物に殺到する。その変則的な動きは、まるで蛇だ。確実に敵を屠る意志が感じられる。

 しかし、それに怖気づく武装隊ではない。

 

 「「「「こんのォォ―――………人間様の力を、舐めるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」

 

 武装隊は三人一組の陣形を組み、互いの背中を仲間に任せた。そしてただ眼前に迫り来るナイフに向かって高密度な弾幕を張る。

 伊達に魔導師ランクがAを越えているわけではないのだ。

 

 「…………っ」

 

 鬼気迫る気迫だ。いや、それ以上に小さな人間が闇の書に対抗している。

 その事実がかつてないほど彼女に衝撃を与えていた。

 

 「投影(トレース)開始(オン)

 「バインド!!」

 「チェーンバインド!!」

 

 その一瞬出来た隙に、闇の書の両手両足に鎖とバインドが絡まり、身動きが封じられた――――しまった。武装隊に気を取られ過ぎていた。最も警戒するべき、男がいたというのに。

 

 「ナイス副長!」

 「ユーノ君もアルフちゃんもよくやった!!」

 「そら、やっちまいな―――魔法少女!」

 「どでかいの頼むぜ?」

 「「はい!!」」

 

 武装隊に護られ、砲撃のチャージが臨界点まで到達したなのはとフェイトは砲口を闇の書に向ける。そして、激しく迸る魔力を、全力全壊で開放する。

 

 「ディバイィィィィン――――………バスタアァァァァァァァ!!」

 『Divine Buster.』

 「サンダァァァァァァ――――………レイジィィィィィィィィ!!」

 『Thunder Rage.』

 

 少女らしからぬ気合の入った砲撃は一人の女性へと殺到する。

 推定AAAクラスの砲撃魔法×2だ。如何に闇の書と言えど直撃すれば唯では済むまい。

 

 「小癪な真似を」

 「ぬッ!?」

 「な、なんて力だい!!」

 

 闇の書は自身を拘束していた全ての枷を力ずくで破壊した。

 自由の身となった闇の書だが、躱す動作をすることなく、ただ両手を迫り来る砲撃に向けて上げた。

 

 「(シールド)

 

 白銀の障壁が闇の書の掌の前に展開される。それはあらゆる障害を無に帰す至高の盾。現代の魔導師には到底真似できない絶対不可侵の砦。それを、アースラの武装隊は見たことがある。

 

 「「「「「盾の守護獣の………魔力障壁!」」」」」

 

 そう、自分達の集中砲火も、弾幕も、全て遮られた忌々しいあの盾だ。

 その盾を今闇の書が扱い、展開している。

 ならば―――AAAランクの砲撃魔法程度ではとても突破はできない。

 

 「同胞(ザフィーラ)の盾を舐めるなよ」

 

 なのはとフェイトの砲撃は不屈の盾を前にして虚しく掻き消えた。

 やはりヴォルケンリッターと闇の書の主を護るメイン盾の防御力は常軌を逸している。

 

 「咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ…………」

 

 闇の書は詠唱を行ないながら手を天に上げる。そして見覚えのある桜色の魔方陣が展開された。

 辺りに残留していた目視できないほどの薄い魔力がその桜色の魔方陣に収束していっている。かつてない悪寒がこの戦場にいた全員を襲った。

 

 隊員A:「おいおいポチ公の魔力障壁のみならず、ミッドチルダ式のスターライトブレイカーまで扱えるたぁそりゃ反則だぜ」

 隊員B:「ああ、チートにもほどがあるな。流石、闇の書。なんどもアリだ」

 隊員C:「アレって辺りの魔力を収束して撃つだけだから低燃費なんだろ?」

 隊員D:「そうらしいな。だけど限界まで気力と体力を吸われるらしいから低燃費とは言い難い」

 隊員E:「あったりめーだ。あんなのが連発されて堪るかよ」

 隊員F:「でも闇の書って体力も気力も無限大って感じするよな。人間の常識当て嵌らないし」

 約全員:「あー、それもそうだよなぁ」

 

 だが、至って局員達は冷静だった。

 

 「ちょ、なにしてんのさ! みんな早くこの場から逃げないと死んじゃうよ!?」

 「え!? そんなに物騒じゃないよ!!」

 「「「「物騒だよ!!!」」」」

 

 習得者の高町なのはと武装隊の皆はアレのヤバさを分かっていない。

 あんなのを殺傷設定で直撃すれば、障壁ごと消滅させられる。

 否、余波だけでも障壁で護り切れるかどうか分からないのだ。

 

 「………アルフちゃん。良いことを教えてあげよう」

 「な、なにさ」

 

 眼鏡をかけた武装隊の一人が、苦笑を禁じ得ないといった感じで口を開いた。

 

 「収束砲の弱点は収束、そして放つ準備があまりにも長すぎることさ。だからなのはちゃんはフェイトちゃんをバインドで括りつけて収束魔法を放った。違うかな? なのはちゃん」

 「は、はい。スターライトブレイカーは最低一分以上は収束時間を必要とします。だからバインドで相手を固定しておかないと、隙が大きすぎてとても使えない………あ」

 「そ……だから今は逃げる時じゃない。攻撃をする時なんだ。それに闇の書にはなのはちゃんの魔力収束のレアスキルがないから、君より溜めがさらに長くなっているようだね。まぁ………あの収束率を見る限り、その分なのはちゃんよりも攻撃力と殲滅範囲がかなり増されているようだが、なんにせよ騒ぐほどの脅威じゃない」

 

 局員は口元を歪めてそう言った。

 だいたい収束魔法に限らず、威力の高い砲撃クラスの魔法はとにかく隙が大きい。だからこそ、基本的に団体で弾幕のように放ったり、バインドで敵の身動きを封じ込むくらいしなければ当たらない。

 何の策も弄せずに砲撃魔法を使えば、命中させるどころか砲撃準備中にダメージを負ってしまう。

 

 「彼女は判断を間違えたんだ。別にスペック頼りの力押しでくるのもいいが、多少は戦略を立てなくちゃね。これだとあのポチ公の方がずっと厄介だったよ―――と、いうわけでヴァイス。あの女性の脇腹に一発、撃ちこんでやりなさい」

 

 そう彼が言った瞬間、遥か後方にある高層ビルの屋上から、音速を軽く突破した砲弾のような魔弾が収束準備に取り掛かっていた闇の書の脇腹に直撃した。

 

 「が――ぁ―――――!?」

 

 闇の書は強力無比な魔弾の狙撃を受け、地面まで落下した。

 流石、ヴァイスが自慢するだけの威力は有している。アレほどになると戦艦も撃ち落とせる威力だろう。

 闇の書の身体が吹き飛んでいないのは非殺傷設定の賜物か。それとも彼女が頑丈なのか。まぁ、どちらでもいいが。

 

 「あまり武装隊を甘く見るな闇の書よ。如何に強力な収束魔法と言えど、放つ前に潰してしまえばいいのだから容易いものだ。

 此処は現実の世界なんだ。アニメみたいに敵さんが発射を待ってみすみす当たると思うな」

 

 本気で自分達を一瞬にして潰したいのなら、全員にバインドをかけてスターライトブレイカーを放てばいい――――まぁ、至極無理な話だが。

 

 「…………なっ! おい! イレギュラーな事態が発生しちまったぞ!!」

 

 感知能力に長けている局員は声を荒げた。

 せっかくの押せ押せムードが台無しだ。

 

 「一般人が取り残されている!!」

 「「「「はぁ!?」」」」

 「金髪、それに紫色の髪を持つ少女………おそらく小学生程度の年齢だと思われる!」

 「「…………うそ!?」」

 

 魔法少女二名は悲鳴めいた声を上げる。

 特徴を聞いてからのこのリアクションは………なるほど。小学生くらいの年齢となると二人の知り合いか。

 なんにせよ、一般人をこのまま放置しておくわけにもいかない。局員はすぐさま行動に移す。

 

 「障壁、結界が得意なアルフちゃんとユーノ君。あと防御型デバイス持ちの隊員5名ほど取り残されている少女達の元へ急行してくれ。無関係な一般市民だ。絶対に傷つけるなよ!」

 「「「「了解!!」」」」

 

 少しばかり戦力を割くことになるが、人の命には代えられない。

 とにかく万能サポート約二名、隊員五名分の穴を皆で埋めなければ…………。

 

 約全員:「……………な!?」

 

 先ほどとは比べものにならないほどの魔力が、闇の書から溢れ出してきている。

 いや、最初の時点でもかなりの魔力量だったが、その二倍ほどの数値を叩き出しているのではないかと疑えるほどの魔力の放出量だ。

 まさに人外。まるで力の底が見えやしない。

 闇の書は溢れ出る魔力を己の掌の上に凝縮し、圧縮し、閉じ込める。その工程を見ていたエミヤは瞳孔を開き、

 

 「ッ、全員、全力で障壁を張れェェェェ!!」

 

 あらん限りの声で叫んだ。

 その瞬間、目を覆うほどの光が武装隊と幼い魔導師達を襲った。

 

 「闇に飲まれろ」

 

 まるで際限なく広がる魔力波は次々と建造物を薙ぎ倒していく。空間隔離結界のなかでなければ、恐らく死人は万を軽く超えるだろう。

 そして魔力の波が収まる頃には海鳴市に大きなクレーターが形成されていた。

 そのなかで、虫の息だが生きている武装隊隊員達がいた。バリアジャケットと障壁がなければ、消し炭になっていたに違いない。

 そんな死屍累々な場所で、傷を負いながらも立っている魔導師が九名。

 高町なのは、フェイト・テスタロッサ、エミヤシロウ、そして六人の武装隊員だ。

 なのはとフェイトは膨大な魔力を障壁に注ぎ込み、武装隊六名は複合障壁を展開し、エミヤは剣の壁を3重にもして何とか凌ぎきったのだ。

 

 「…………出鱈目にも程があるな」

 

 周辺の建物は軒並み破壊され、武装隊はほぼ壊滅状態。戦闘続行が可能な者が九名残っただけでも奇跡か。

 それにしても、魔力を圧縮、後に拡散させて放出するだけでこの威力とは恐れ入る。

 幸いなのは、一般市民のいる場所まで魔力の波が押し寄せなかったことくらいだろう。

 

 「クソッ、重症者が半数を切ってやがる!」

 

 生き残った武装隊員は仲間の元に駆け寄り、症状を見るが誰も彼もが酷い火傷を負っていた。死人は今のところ確認されていない。

 

 「オレ達が奴の相手、ないし再度説得を試みる。お前達は負傷者を連れてこの場から遠ざかり、助けられる仲間の治療に専念しろ!」

 

 エミヤの言葉に三人の武装隊員は無言で頷いた。

 

 「なのはとフェイトは闇の書から可能な限り離れて後方支援に徹し―――」

 「そうはさせんよ」

 「―――――ッ、貴様!?」

 

 一瞬にしてエミヤの背後に闇の書が現れた。

 

 「転移………! えぇい、どこぞのキャスターか貴様は!!」

 「レヴァンティン」

 

 闇の書はシグナムの愛剣、レヴァンティンを具現化し何の躊躇いも無く斬撃を振るう。

 

 「ハッ、甘く見るなよ!」

 

 長い紅槍をくるりと回転させ背後からの斬撃を柄で受け止めた。

 そのまま軽くステップを踏み、背後を取っていた闇の書に向けて矛先を――――、

 

 「貴様こそ闇の書の力を甘く見るな」

 

 届かせることなく、地中から突如姿を現した百足のような蟲に身体を拘束された。

 自分だけではない、なのはとフェイトにまで拘束が為されている。

 

 「………バインド、にしては悪趣味だな」

 「蒐集された魔導師が扱っていたものだ。断じて私の趣味ではない」

 

 まったくもって遺憾だと言って闇の書はエミヤを蹴りあげた。

 

 「ゴハッ………!?」

 

 全盛期の身体ならまだしも、未発達な身体に強化された蹴りは結構響く。

 一瞬己の中身がスクランブルエッグのようにされたような感覚を味わった。

 

 「シロウ……!」

 「なんで、なんでこんなことをするんですか!?」

 

 身動ぎながらも、フェイトとなのはは闇の書に問いかける。

 それに闇の書は涙を未だに流しながら口を開いた。

 

 「我が主は自分の愛する者達を奪ったこの世界を、悪い夢であると願った。我はただ、その願いを叶えるために全力を尽くす。主は夢のなかで、永久の眠りを。そして――――」

 

 闇の書はいったん言葉を区切り、そしてなのはとフェイトを怨敵を見る目で睨んだ後に、また言葉を噤んだ。

 

 「主の愛する者達を奪った貴様らには、永久の闇を…………!!」

 「ち、違います! あの時、はやてちゃんの前に現れたのは私達じゃない!! 信じて、信じてください――――闇の書さん!!」

 「………お前も、私をその名で呼ぶのだな」

 「―――え?」

 

 失望したとでも言う風な声に一瞬だけ見せた、闇の書の一際大きな瞳の揺れ。

 だがそれもすぐに収まった。

 

 「いや、今さら貴様らが怨敵でなくても関係はない。我はただ主の願いを叶えるのみ」

 「ほう、それでは………貴様の主は、そんな願いを叶えて満足する人間なのかね?」

 「…………」

 「心を閉ざし、思考を止め、主の間違った願いを叶える。そのような下らぬ道具に為り下がったままで、貴様は本当にいいのか?」

 「―――私は魔道書。ただの道具だ」

 「ハッ、馬鹿を言え。貴様には意志があり、心があるだろうに。それにな、本当に貴様自身が己を道具と思うのなら――――決して、涙なんてものを流したりはしないんだよ」

 

 その悲しみに暮れた顔、頬に流れている透明な涙がなによりの証拠。

 だというのにこの女は思考を止め、あらゆることに諦め、ただの道具として徹している。

 そんな彼女の在り方にエミヤは反吐が出ると吐き捨てる。

 

 「これは……主の涙だ………!」

 「――――あァァァァッ!」

 

 その見苦しい言い訳染みた言葉にとうとうカチンときたフェイトは、雄叫びを上げ力ずくで自分を拘束しているバインドもどきを振り解いた。同じくなのはとエミヤも各々のやり方で脱出する。

 

 「そんな……そんな悲しい顔で言ったって―――――誰が信じるものか!」

 「そうだよ! いい加減、認めて! 貴方には心があるの! 悲しいことは口に出していいの!!」

 「貴女のマスターは、その吐露する心情に応えてくれる。それを無視するほど非道な女の子じゃないよ!!」

 「だから……武装を解除して、はやてちゃんを解放して――――お願い!」

 

 なのはとフェイトの声は確かに闇の書の耳に届いていた。

 しかし、一向に首を縦に振ろうとしない。

 

 「この、分からず屋の頑固者が!!」

 

 エミヤは生前、誤った願望を持つ騎士王アルトリア・ペンドラゴンを最期まで説得しきれなかった。彼女を救うことができなかった。そしてまた、自分は同じ過ちを繰り返そうとしている。それがどうしても歯痒く、我慢ならない。

 

 「………もうすぐ闇の書は暴走を迎える。私に意識があるのはあと少しだろう。その短い間に、主の願いを叶えたいのだ。邪魔はしてくれるな」

 「戯けめ。そのような願いなど聞く耳持たん。何度でも邪魔をしてやるさ」

 「そうだろうな。故に――――」

 

 闇の書はなのは、フェイト、エミヤの周りにブラッディダガーを設置する。

 

 「闇に沈め」

 

 号令の合図と同時にブラッディダガーは発射された。

 鋭利な凶器は未成熟な身体を持つ人間に殺到する。

 

 「…………しぶとい」

 

 三人は一撃も喰らわず、未だに身体を立たせている。

 そして諦めない不屈の意志がその小さき双眼に変わらず残っていた。

 

 「いい加減……言うことを――――――」

 「な、待てフェイト! 何の策もなく」

 

 堪忍袋の限界を当に迎えていたフェイトは、エミヤの静止の声を無視してバルディッシュを構え、

 

 「聞けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 「突っ込む奴がいるか馬鹿者―――――!」

 

 単独で特攻した。

 

 「貴様も我が闇のなかで眠るといい。金色(こんじき)の少女よ」

 

 フェイトの全霊を賭けた一撃を闇の書は容易に障壁で防ぎ、そして――――

 

 「永久に、な」

 「―――――え?」

 

 闇の書の滑らかな唇から出た言葉を合図に、フェイトの身体の繊維は陽炎のように薄れ、徐々に消えゆき、最期はこの世から呆気なく姿を消した。あのヴォルケンリッターと同じように。

 

 『Absorption』

 

 ページを開いていた闇の魔道書はそう発音し、バタリと表紙を閉じた。

 




 ひ、久しぶりに一週間内で更新できた………!

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