体が……つーか、頭が痛ぇ……
ヤバぃ……体が動かねぇほどにツラい……完璧に二日酔いだよ。あまりにも飲み口が良いから昨日の酒を飲みすぎだ。
「桂花は……起きれる訳ないか」
思えば昨日は相当に酔ってたし……下手すりゃ昨日の事は覚えてない可能性が高い。
むしろ忘れていた方が良いのかも。だって昨日の事を覚えてたら『何すんのよ、このケダモノ!』って言いそうだもの。
「さて……以前の事を考えると、そろそろか……」
俺はフゥーと溜め息を吐くと自室の扉に視線を移した。
「純一さんおはようございます」
「秋月、華琳から今日は朝遅めに起こしに行きなさいって言われたんだけど……」
「………」
予想通り月と詠が来た。しかも詠の発言から差し金は大将と見た。
そして前回と同じで二人は俺と桂花を見てピシッと固まり……
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」
「おはよう月、詠。取り敢えずこれは誤解だから。月は五右衛門風呂で朝風呂沸かしてきて。詠は俺と桂花に二日酔いの薬、お願い」
あぁ……二日酔いに、この絶叫は響くわぁ……俺は月と詠に後の指示を出しておく。
ほら、既にこの部屋に向かう足音を聞くとこの後の展開が先読み出来るから言っておかないとね。
「で……気分はどうかしら純一?」
「二日酔いで最悪。あ、でも昨日の酒は美味かったよ」
部屋に乱入してきた春蘭に縄でグルグル巻きにされた後に大将の前に引きずり出された俺。自分で言うのもなんだが、この状況に馴れすぎだろう。
「貴様、華琳様の前でなんて口の聞き方だ!」
「ゴメン、春蘭……今はその怒鳴り声もキツいんだわ」
春蘭の声が二日酔いの頭にズキズキと響く。
「あら、昨日は桂花とお酒を楽しめた様ね」
「やっぱ大将の差し金か……月や詠に何か言っただろ?」
なんつーか、予想通りの状態になりつつあるぞ。
昨日、桂花に酒を渡した大将は俺を誘うように言って、更に月、詠に朝遅めに起こしに行くようにと伝えた訳だ。
「その分だと気遣いは無駄に終わったかしら?」
「生殺しが続いたけど可愛い桂花は存分に見れたかな」
俺は縄から抜け出しながら大将の質問に答える。昨日のあの状態で何も出来ないってハイパー生殺しだっての。
「そう……まあ、桂花の気分転換にもなったから良しとしときなさい」
「この所、働き詰めだったからか?」
昨日の桂花から聞いた袁紹の話が本当ならバタバタしただろうからな。
「それもあるけど………桂花の一番の悩みは純一だからよ」
「ん、なんて?」
後半、大将の声が小さくなったんで聞き取れなかった。
「気にしなくて良いわよ。桂花から話を聞いたのなら戦に備えなさい。麗羽の事だから、これからの動きは早いわよ」
「りょーかい。俺は朝風呂行くわ」
大将の話を聞き終えた俺は朝風呂へ。あー、頭痛ぇ……さっさっとサッパリしたい。
「ふむ……流石だな秋月」
「ん?何が流石なんだ秋蘭?」
秋蘭の関心に春蘭が反応する。
「気づかないのか姉者。秋月は姉者が縛った縄から、いとも簡単に抜け出しているんだぞ」
「え……あ……」
俺が縄から抜け出した事に漸く気付く春蘭。縄抜けってコツを知ってれば実は簡単に出来たりする。教えないけどね。
「ほいじゃー……俺はこれで」
「はいはい、後の報告書を楽しみにしてるわ」
大将の言葉に俺は少し青ざめる。そういや、昨日の内に報告書を書こうと思ったけど桂花と酒飲んでたから忘れてた。
朝風呂から上がったら書かなきゃな。
五右衛門風呂に行く途中で月と詠に会った俺は今朝の事を謝られた。誤解されるのは多いけどこうして誤解が直ぐに解けるのは良い事だと思う。
俺は詠から二日酔いの薬を貰うと五右衛門風呂設置小屋へ。
「さーて……朝風……ろ……」
「……な、ななななっ!?」
俺が五右衛門風呂設置小屋に行き、扉を開くと其処には一糸纏わぬ姿の桂花が……風呂から出たばかりの状態で体を拭いていた。OH……コイツぁ、とんだToLOVEるだ。
「この……馬鹿ぁっ!!」
「ありがとうございましたぁ!?」
桂花は近くに置いてあった風呂桶をナイスコントロールな投球で俺の顔面に。
この後、俺は再度、春蘭に連行されて大将の前に引き連れて行くのだった。
後に話を聞いたら俺と大将が話をしている間に桂花も起きたらしく、月や詠の薦めで朝風呂へ。
その後、俺が月や詠と会ったが、その頃には桂花も風呂から上がったものだと思っていたらしく何も言わなかったらしい。
結果、俺は桂花の裸を拝ませて貰うというToLOVEるイベントに遭遇したのだった。