真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第五十六話

無罪を勝ち取った次の日。俺は右手が殆ど治った事もあり久々に鍛練場へと足を踏み入れていた。因みに俺は特注で作って貰った胴着を着ていた。まあ、鍛練用にと思って服屋の親父に言ったら作ってくれたのだ。まさかあのまんま作るとは思わなかったけど。

 

 

「久々だけど……一先ず気は使えるな」

 

 

俺は掌に気の塊を作り出そうとする。するとポゥと気の光が灯りホッとした。

休んでいた間に使えなくなったとかシャレにもならん。

 

 

「さて……やってみるか」

 

 

俺はビシッと構えを取る。両手を前に突き出す。そして胸の前でアミダを組むように素早く切る。仕上げに両手を突き出して……狙うは壁に設置された的!

 

 

「フリーザーっ!!」

 

 

特に意味の無い叫びを上げると同時に気弾を発射!やった上手くいった!命中した気弾は見事に的を破壊した。こんなに上手くいったの初めてかも。

 

 

「しっかしまあ……少し休んでた割にはちゃんと使えたな」

 

 

俺は自身の掌を見ながら呟く。こんなに上手くいったのも驚きだが暫く鍛練そのものを休んでたので使えなくなったのかと不安だったが……いや、技が上手くいったのを考えると休む前よりも調子が上がった気がする。

 

 

「副長、朝の鍛練ですか?」

「ん、ああ。おはよう凪」

 

 

考え事をしていたら凪が鍛練場に来た。動きやすい服装をしているから凪も朝の鍛練か?

 

 

「手も治ったから体が鈍る前に鍛えようと思ってな。久々で心配だったけど気もちゃんと使えたよ」

「そうでしたか。気を一度使えた者は余程の事がないと忘れませんよ。体が使い方を覚えますから」

 

 

なるほど。自転車に乗らなくても乗り方は忘れないもんな。

 

 

「………副長、それは新しい胴着ですか?……なんて言うか……派手ですね」

「ああ……うん。天の国で有名な武道家が着ていた胴着なんだ」

 

 

そう。凪の発言の通り俺は派手な色の胴着……つまり亀仙流の胴着を着ている。

それと言うのも服屋の親父に様々な案を出した時に寝不足と深夜のテンションで幾つか悪ふざけの産物。つまり、アニメとか漫画の服も数着案として出してしまったのだ。それを服屋の親父は律儀にも作ってくれて……作ってくれたのに着ないのもなんなので今、着ているのだ。まあ、鍛練用にすればいい。

因みに背中の文字は『亀』や『幸』ではなく『魏』の文字が入っていたりする。

凪は凪で納得したのか『これが……天の……』と呟いている。凪も気を使うし興味があるのか?

 

 

「凪、ちょっと組手をしないか?」

「わ、私が副長とですか!?」

 

 

俺の提案に、なんか恐れ多いとリアクションをする凪。いや、そんな深刻に受け取らないで。

 

 

「そんな大袈裟なもんじゃなくてさ……少し体を動かしたいんだ無理をしない程度にさ」

「そ、そうですか?……だったら」

 

 

凪は不安そうに俺と向き合う。いくら俺が怪我ばかりしてると言ってもそこまで弱く見られてるのはショックだな。一丁脅かしてやるか。

俺は人差し指に気を溜めると凪に向かって指鉄砲の構えを取る。

 

 

「伊達に夏コミ出てねぇぜ、霊丸っ!」

「きゃあっ!?」

 

 

予想外だったのか凪は可愛い悲鳴を上げながらも俺の放った霊丸を避けた。

 

 

 

「副長……病み上がりだからと心配してましたけど今の気弾を見て安心しました。今度は私から行きます!」

「お、おう!来い!」

 

 

 

どうやら凪は俺が弱いのではなく病み上がりの方を気にしていたみたいだ。俺の霊丸を見て気に問題が無くて安心したのと武人としての血が騒いだのか瞳に火が灯ってる。

 

この後、俺と凪は組手をした。まあ、当然の事ながら俺が負けたのだが良い運動になったと思う。

逆に凪は手加減をしながら戦っていただろうから気疲れもあるのだろう。

 

だけどまあ……今日一番驚いたのは……

 

 

「かめはめ波!」

「って嘘ぉ!?ぐぶっ!」

 

 

 

そう……凪がかめはめ波を放ったのだ。どうも俺が仕事を休んでいた間に一刀から話を聞いて、真桜にも話を聞いたらしい。更に以前の熊騒動の際に俺が撃つところを見て修得に至ったとか。

見よう見まねでかめはめ波を修得した悟空を見る亀仙人の気持ちってこんな感じなのね……と俺は才能の差を思い知らされるのだった。




『バーニングアタック』
未来トランクスが使用した技。
印を切るように両手を高速で動かすことで気を練り上げ、突き出した両手から強力な気弾を放つ。
フリーザに放ち、技は避けられたが一瞬の隙を突きフリーザを剣で一振りの下に倒した。

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