真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第三十四話

 

 

 

 

「あー……死ぬかと思った」

「いや、むしろ良く無事でしたね」

 

 

超級覇王電影弾の失敗をやらかした俺は一刀ととある場所へと向かっていた。しかしまあ、今回の失敗は特に酷かった。なんせ体に螺旋状の気を纏わせようかと気のコントロールをしたら失敗して体が気で捻られた。人間を直接雑巾絞りしたらこうなるよね、的な感じに。しかも、そのまま体勢を崩して顔面から地面に激突。俺の新技開発に興味をもって見学に来ていた華侖も慌ててたし。やっぱ素人が真似しちゃアカン技やね。

 

 

「さて……一刀はもう三姉妹には会ったんだろ。事務所まで貸したとか聞いたけど?」

「あ、はい。純一さんの事も伝えてあります」

 

 

俺が未だに違和感の残る首をゴキッと鳴らしながら聞くと一刀も教えてくれた。そう今日は黄巾の首謀者でもあった張三姉妹と仕事の打ち合わせだ。と言っても調整役や三姉妹の面倒は一刀が担当で俺は予算やライブのアイディアを出す役なのだが。

 

 

と言うわけで張三姉妹の事務所に来たのだが……

 

 

「あー……暇~……」

「もう、なんで私達が待たされなきゃならないのよ」

「仕事なんだからちゃんとして二人とも。もうすぐ来る筈だから」

 

 

 

事務所の扉を開けたらダラけてる天和、待たされてる事にイラつく地和、姉二人とは違って真面目に対応をしている人和と揃っていた。

 

 

 

「一刀、コイツ等の予算は九割カット。ストリートミュージシャンからスタートさせろ」

「気持ちはわかりますけど落ち着いて。この子等、いつも大体こんな感じですから」

 

 

三姉妹の態度に俺はストリートミュージシャンからスタートさせた方が良いと思った。コイツ等ハングリー精神の欠片も無いぞ。

 

 

「あー、もう遅いよ一刀!」

「ちぃを待たせるなんて良い度胸ね」

「お待ちしておりました一刀さん。貴方が予算や案を出してくださる秋月さんですね」

「ああ。前は自己紹介と挨拶しか出来てなかったな。一応、キミ達の予算を国から預かる形になった秋月純一だ」

 

 

 

真っ先に一刀に抱きつく天和、文句をぶつける地和、一刀への挨拶もそこそこに俺に挨拶をしてくる人和。マジでコイツ等をアイドルにしろってか?今の所、人和しか評価できねーよ。

 

 

「なによ、その顔。ちぃ達じゃ不満だっての?」

「不満つーか不安なんだよ」

 

 

地和が俺の表情から何を考えているか察したようだが若干違う。一刀は良い子達と言っていたが俺には果てなく不安が募るばかりだ。

 

 

「ごめんなさい。姉達は歌や踊りには熱心なんですが……」

「お願いします純一さん」

 

 

人和と一刀が真っ先に頭を下げに来た。慣れてる辺り、普段から振り回されてるな二人とも。

 

 

 

「はぁ……まあ今回は顔合わせみたいなもんだし……人和、今後の営業と予算の話をしたいけど良いか?」

「勿論、喜んで」

 

 

 

天和と地和は一刀に任せて俺は人和と簡単ながら打ち合わせを始めた。村で行う営業と予算決め。更に演出やステージの割り振りなどを決めていた。

とりあえず現代のアイドルがしていそうな事を教えると人和は可能な範囲でそれを取り入れていた。吸収力半端無いんだけど、この子……。あれだな兄弟とかで上がダメだと下の子が良くなる的な……

ともあれ、今日の所はこんなもんだな。低予算で組んでライブの結果次第で今後の予算が変わる仕組みだ。

むしろ俺がでしゃばるよりも一刀に任せた方が良さそうだ。

一刀にもある程度任せて、困ったら相談しろとも言っておいたし。

 

その後、天和、地和、人和に見送られて事務所を後にした俺と一刀。意外だったのは天和がライブの話をした時に目を輝かせて、やる気を出した事だった。最後にはちゃんと頭を下げてきたし。まあ、今後もヨロシクってね。

 

一刀は城に戻るが俺は外食してから帰る事にした。適当な店で食事をすませた後に城に帰ろうと思ったのだが、その帰り道で呼び止められた。

 

 

「そこのお若いの……お主も複雑怪奇な運命に翻弄されておるな。御遣い殿も大層、深い運命に晒されていたが主も同様じゃ」

「………えーっと占い師さん?」

 

 

ローブを被って顔が伺えないけど声からして恐らく老婆。その人に突然声をかけられ………と言うか占われた。複雑怪奇な運命って……あんまり良い内容じゃなさそうだし。

 

 

「川の流れは変えられぬ、変えてはならぬ。石を投じれば波紋が広がる。塞き止めれば川は朽ちる。道を増やせば枝分かれをして大河となる。されど大筋は残る、その道を変えてはならぬ。……大局には逆らうな。逆らえば身の破滅となろう」

「色々と難しいな。でも、占いありがとさん」

 

 

正直ちんぷんかんぷんです。まあ、占いは占いだし深くは考えないようにしよ。俺は占い師の婆さんに占い代を払うと煙管に火を灯して城へ帰る事にした。

 

 

「大局には逆らうな……か」

 

 

その部分だけが妙に印象に残ったが……考えてもしゃーないわな。俺は消えていく紫煙と共にその考えを忘れる事にした。

 


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