真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第三百二話

 

 

 

「ふくちょー、詠と何があったん?」

「昨日の事なら説明しただろ。詠の不幸体質に皆を巻き込まない為に俺が詠の側に居たんだよ」

「その説明は受けたし理解したが、詠の今の態度は納得出来ん」

 

 

真桜の疑問に答えた俺だが華雄が不満そうに呟く。詠の不幸体質発動の翌日。不幸体質が治った事で詠は通常業務に戻ったのだが終始機嫌が良さそうにニコニコしているのだ。

 

 

「詠ちゃん…‥時折、お腹を愛おしそうに手を添えてますね」

「昨日、何をしたのか詳しく聞きたいわね……月もたまに顔を赤くしてるし」

 

 

斗詩と桂花からの指摘に俺は背中に冷や汗が流れる感覚に陥る。あの様子だと昨夜の事を月にも話たな詠ちゃんめ。それと腹に手を添えないで露骨過ぎて桂花達の機嫌が軒並み悪くなってるから。

 

 

「あら、お勤めを果たしたなら良い事じゃない」

「うむ、その調子でワシも早く抱いて欲しいもんじゃな」

「大将に祭さんも煽らないで。血が流れるから……主に俺のが」

 

 

話を察した大将と祭さんが話に加わってくるが、負債を負うのは間違いなく俺になる。

 

 

「と言うか、不幸体質の日に詠がとと様を独占するんだったら結局、ねね達の不幸に繋がっているのですぞ!」

「ううむ……詠が大変なのは理解したのじゃが、妾達は不満じゃぞ」

 

 

ねねと美羽が唸りながら睨んでくる。うーん、いざお勤めを果たそうと頑張れば他の問題が浮上してくるな。でも詠の不幸体質改善の為にも不幸体質の日は特に俺が面倒を……そう、面倒を見なきゃなんだよな。昨日みたいに。昨夜の詠はめちゃくちゃ可愛かった……特に最後の方は俺にしがみついて……

 

 

「鼻の下伸びてるわよ純一。妬けちゃうわねー」

「………」

「だらしのない奴め……喝を入れてやろうか?」

 

 

雪蓮が俺の頬を抓り、その背後では孫権が顔を真っ赤にして、甘寧が刀を抜こうとしていた。おっとイカンイカン。キリッとしなければ。

 

 

「こほん。まあ、色々とあったが詠の不幸体質が始まったら俺が対応するから」

「どんな対応をするか詳しく聞きたいのぅ」

 

 

話を変えようと思ったのに、祭さんはクックッと笑いを堪えながら追求する。おのれ、抜け目の無い経験豊富な熟女め。

 

 

「純一も種馬としての自覚が出たのなら何よりね」

「大将が期待してるのは弟の活躍でしょ……『バキッ!』ありがとうございます!」

 

 

大将の発言に反論したら途中で殴られた。照れ隠しにしても威力はもう少し抑えて貰えると助かります。そんな事を思っていたら桂花がチョコンと俺の服の端を掴んでいた。

 

 

「私が一番じゃなきゃ……やだ」

 

 

涙目になりながら顔を赤くして告げる桂花。破壊力抜群の仕草と表情に俺はK.O.寸前になった。ふと周囲を見ればほぼ全員が顔を赤くするか照れている。うん、今のはヤバかったからね。

 

 

「そんな事、言われたらオジさん張り切っちゃう」

「遂に隠そうともしなくなったか貴様」

「このエロエロ魔人!種馬!」

 

 

思わず滾りそうになったが甘寧と馬超の罵倒で少し頭が冷えた。だが、本人が望むなら非難される謂れはないと思う。

 

 

「だとしても俺は……胸に七つのキスマークを持つ男だからな」

「最低な北斗七星ですね。俺も人の事は言えないけど」

 

 

俺の発言に一刀の鋭いツッコミが入る。馬鹿な話は兎も角、そろそろ蜀や呉に遠征に行く準備しなきゃなんだよな。

トラブルが目に見えてるから不安だけど。

 

 





『胸に七つの傷を持つ男』
ケンシロウの代名詞的な傷跡。
南斗聖拳のシンにより付けられた傷であり、傷跡は北斗七星を描いている。またこの傷跡が北斗神拳伝承者の男としても有名になっており、ジャギはこれを利用して自身に傷を作った上でケンシロウの名を語り、悪事を働いていた。

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