真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百九十九話

 

 

 

 

桂花が狼狽しているからこそ俺は冷静になりつつある。だからこそ今までの様に、ぐだぐだな感じで終わらせたくない気持ちが強い。

 

 

「桂花」

「は、はい……」

 

 

俺が真剣に桂花を見つめ、両肩に手に添えると桂花にしては珍しく動揺しながらも素直に返事をしてくれた。その顔は期待と不安が入り混じりながらも真っ赤に染まっている。

 

 

「すー……はー……よし。改めて言わせてくれ。桂花、俺と夫婦に……」

「やっほー、純一。怪我の調子はどう?」

「あ、その……秋月、私も謝りに……」

「………」

 

 

深呼吸をして意を決してプロポーズをしようと……したんだけどなぁ……

雪蓮と馬超が部屋に来た。今回の騒動の大元がまたしても俺の行動を邪魔してくれたよ。見つめ合っていた俺と桂花を見て固まってるし。

 

 

「会議が終わった後に雪蓮と翠が謝りに行くと飛び出していったけど……間が悪いわね貴方達」

「大将……そう思うなら足止めをして欲しかったんですが」

「………」

 

 

後から来た大将が状況を察して憐れみの溜息を溢している。桂花に至っては羞恥で顔を真っ赤にしたままプルプル震えてる。可愛いとは思うけど俺としては今回もプロポーズに失敗した事に意気消沈だよ。

なーんか、妙に間が悪いよなぁ……一世一代の告白が残念な結果が多いって言うか。もう告白の雰囲気じゃないし……ぐだぐだシリーズか?ぐだぐだ時空になってんのか?

 

 

「大将……悪いんだが桂花の事を頼む。雪蓮、馬超……俺と戦いたがっていたよな?相手をしてやるよ。なぁに怪我の事は心配するな。怒りのスーパーモードをお見せしよう」

「ちょっと純一?こ、怖い顔よー……あ、あはは……」

「まだ怪我が痛むんだろ!?無理すんなよ!」

 

「はぁ……今回は見逃すわ。気持ちはわかるもの。桂花の事は任せなさい」

「………」

 

 

俺が雪蓮と馬超を連れて外へ出ようとすると大将は桂花のフォローを承認してくれた。桂花は俯いてしまい顔は窺い知る事は出来ないがショックは受けてると思う。

 

 

「……行き当たりばったりだと邪魔も入りやすいし、なんか考えるか……指輪も作りたいし」

 

 

そういや結婚指輪の起源ってどこだったっけ。確かローマだった気がするけど忘れた。今はそれどころじゃないし。

 

 

「覚悟しろよ、お前等?今の俺は阿修羅すら凌駕する存在だ」

 

 

俺のセリフの後に俺の笑みを見た雪蓮と馬超は引き攣った表情となったが知った事ではない。俺の怒りを思いしれ。

この後、めちゃくちゃ模擬戦した。その後で華佗にめっちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

俺が桂花へのプロポーズが失敗してから数日。あの後、仕切り直しの雰囲気では無かったのでプロポーズも一時保留となった。その事を荀緄さんに話したら爆笑された。つうか、この人いつまで魏に居るんだろ?村へは帰らないんだろうか?まさかとは思うが俺と桂花が夫婦になるまで帰らないつもりじゃないよな?

 

 

「それはそうと……なんか不幸な気がすんだよな……っと?」

 

 

考え事をしながら会議室の前を通りがかると違和感を感じた。扉が半端に開いていたので中を覗いてみると軍師や文官が大量に倒れていた。

 

 

「えぇぇぇぇっ!?何事!?」

「あ、あはは……はは……」

 

 

俺が部屋に駆け込むと何故か一人だけ無事だった詠が虚な瞳で乾いた笑みを浮かべていた。いや、マジで何があった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 





『ぐだぐだシリーズ』
Fate/Grand Orderで定期的に行われるイベント。話の内容そのものがぐだぐたな感じになっている事から総称してそう呼ばれている。


『怒りのスーパーモード』
シャイニングガンダムの戦いにおける変形。
ノーマルの状態から全ての機能を解放した状態への変形で搭乗者の怒りによって発動するモード。所謂パワーに偏った変身。
凄まじいパワーを発するが怒りが発動のトリガーである為に冷静さに欠ける為、隙が大きいというデメリットがある。


『阿修羅すら凌駕する存在』
ガンダム00のキャラ、グラハム・エーカーの名言。
グラハムが性能で劣るフラッグ・カスタムでスローネアインの片腕を切り落とした際に発したセリフ。

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