真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百七十六話

 

 

此処は魏の城の内部にある北郷警備隊お洒落同好会の部屋。この部屋には現在、数名の男女が会合をしていた。

 

 

「秋月さん……素晴らしいです」

「俺も天の国に戻って何もしていなかった訳じゃないんでな」

 

 

栄華の一言に俺は頷き、高速でピシガシグッグッグっとハイタッチを交わす。我ながら素晴らしい服を考案したと言えるだろう。

 

 

「あうあうあう……恥ずかしいです」

「………」

 

 

顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている周泰と同じく顔を赤くして俺を睨む甘寧。彼女達には俺が考案したメイド服を着ていてもらったが現在は女子高生みたいな服装をしてもらっている。

 

 

「貴様……我等にこんな辱めを与えてなんのつもりだ?」

「寧ろ新しい服の考案会議に呼ばれるのは魏では名誉な事なんだがな。まあ、仕事の説明をしないまま連れてきて服を着てもらったのは悪かったとは思うが」

 

 

甘寧は女子高生スタイルのまま俺の胸ぐらを掴みながら睨んでくる。うーん、なんか犯罪チックな光景になってる気がする。

 

 

「じゃあ簡単に説明するけど将や文官に服を着て貰って、その服の感想を言ってもらう。そして、その意見を参考に市井に出していく……って感じかな。まあ様々な服の試着をする仕事と思ってくれ」

「なら、この服も市場に出すと言うのか?」

「いえ、その服は秋月さんの趣味で作った服ですよ」

 

 

俺の説明に納得しかけた甘寧だが、栄華の一言に掴まれている胸ぐらに力が更に込められる。

 

 

「まあ、趣味が混ざるのは悪かったがこれこらが本番だ。何着か用意したから来てみて感想を頼む。オジサンは楽しみにしながら部屋の外で待機してるから」

「着替えを覗いたら始末す……殺すぞ」

 

 

言い直せてませんよ甘寧さん。オブラートに一切包まれてません。むしろストレートなロックです。何を言ってんだか俺も。

今回は甘寧や周泰に頼んだが、今までは魏の将や文官が担当していた。だが同じ人物で意見を回し続けてもマンネリ化してしまう。そこで俺や一刀の帰還に合わせて蜀や呉の人達の意見も取り入れようとなった。そして今回の甘寧や周泰の罰もあるので彼女達には拒否権が存在しない。存分に着替えてもらおうじゃ無いか。

 

 

因みに前回は真桜に試着を頼んだのだが『SUGOI DEKAI』と書かれたシャツにタイトスカートにパンストを着てもらった。正直、めちゃくちゃ似合ってたわ。

なんて事を思いながらタバコを吸っていたら部屋の中から栄華が「どうぞー」っと声を掛けてきたので中に入る。

 

 

「おお、似合ってんなー」

「あ、ありがとうございます」

「……ふん」

「ええ、お二人共よく似合ってます」

 

 

部屋に入ると甘寧はレディースのスポーツウェアを着ていて、周泰はパーカーにハーフパンツとボーイッシュなスタイル。二人とも可愛いからモデルみたいになってんな……いや、正直めちゃくちゃ可愛い。

 

 

「着心地とかどうだ?」

「天の国で運動する時の服なのだろう?動きやすそうだ」

「私のは普段着との事でしたが着やすいですし、私は好みの服装ですね」

「次はこれが良いかしら……こっちも捨てがたい……」

 

 

俺は至極真面目に仕事に勤しむ。甘寧や周泰に服の感想を聞きつつ、その意見をメモしていく。栄華は次に二人に何を着せるか悩んでいる様だ。

この後、お嬢様風の清楚な服やギャルみたいな服、カジュアルなスタイルから男装風な服など様々来て貰った。最初は渋々と言った様子の甘寧や周泰だったが段々気を良くしていったのか文句を言わずに次々に服を着てくれる。なんやかんやと言いながら二人も女の子だからな。オシャレに興味無さそうに見えて、段々楽しくなっていったのだろう。

 

そろそろ良いかな……俺は栄華にアイコンタクト。栄華も俺の合図に気付いて、二人にバレない様にコクリと頷いた。

 

 

「じゃあ、次の服だな。俺は外に出るから着替えたら呼んでくれ」

 

 

先ほどから「甘寧と周泰が着替える為に俺が外に出る・着替えが終わったら俺が部屋に入る」を繰り返している。そう当たり前になった自然な流れだ。そして俺は見た……俺が部屋を出る際に栄華が悪い笑みを浮かべていた事に。アイツも染まって来たなぁ……

 

俺は先程の流れ同様に部屋の外でタバコを吸って待機する。暫くした後に「なんだ、この服は!?」「恥ずかしいです!」とバタバタと騒がしくなり始めた。着替えが終わったらしいな。

俺はニヤリと笑みを浮かべて部屋の中に入る。

 

 

「着替えは終わった?入るぞー」

「ば、馬鹿!入ってくるな!」

「あうあう……」

 

 

甘寧はバニーガール。周泰はFGOの牛若丸みたいな服装である。超似合ってんなー。いや、似合うとは思ってたけど似合い過ぎだろ。甘寧はスレンダーな体だからバニーガールの格好が似合ってるし、周泰は体格と言い背丈と牛若丸に近いからより一層似合ってる。『壇ノ浦・八艘跳』とか教えてみようかな……この娘なら本当に出来そうで怖いが。

 

 

「うぅ……天の国の鎧と聞いて着替えたのに……」

「嘘じゃ無いぞ、周泰の様に素早い武士が着ていた鎧だ」

 

 

周泰が恥ずかしそうに騙されたと言うが決して嘘では無い。

 

 

「ほう……では、この服はなんだ?主に男性が喜ぶ服だと聞かされたのだが?」

「バニーガールを喜ばない男が居ない筈ないだろう。少なくとも俺は超嬉しいぞ」

 

 

両手で自身の胸元を隠しながら俺を睨む甘寧。いや、睨まれても可愛いとしか言いようが無いよキミ。だが、ここで言葉のチョイスを間違えたら酷い目に遭いそうだ。

 

 

「甘寧……襲っていい?」

 

 

この直後、目の前のウサギちゃんからの一蹴で俺はK.O.された。「似合ってる」「可愛い」とか言おうと思ったのに甘寧のあまりの可愛さに欲望が俺を支配してしまったのだ。

 

 




『SUGOI DEKAIシャツ』
『宇崎ちゃんは遊びたい!』のヒロイン宇崎花が作中で着用している普段着。七部丈のシャツで胸の部分に「SUGOI DEKAI」と記載されている。

『牛若丸』
『Fate Grand Order』に登場するライダーのサーヴァント。中義心が厚く真面目な性格。服装は分かりやすく言えば鎧に水着で肌を晒してる面積が非常に多い。服の所々に狸の意匠が施されている。

『壇ノ浦・八艘跳』
牛若丸の宝具で八船を高速で飛び渡り、最後に敵に一太刀を浴びせる技。アニメでは八体に分身をしていた。

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