真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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皆様、良いお年を。


第二百五十七話

 

「では、これより特別試合を開始する!」

「大会の継続は難しいだろうが飛将軍呂布と天の御遣いの兄である秋月の戦いだ。皆の者、不満は無かろう?」

 

 

舞台上では華雄と秋蘭がこれから起こる試合の説明をしてくれていた。この魏の大剣様は観客席で観戦する気満々だし……この四年間で華雄の方が魏を代表する武将に見えるって噂話は本当だったのかもな。

さて、そっちは後で考えるとしても……どうするかな。今の俺は凪との戦いの後で気の総量が減っている状態だ。地味にメガンテのダメージもあるし。

普段の俺の気の総量が100とするなら今の俺は60~70って所か。時間を稼いで回復に努めたいが、そんな時間は無いよね。恋はもう、やる気満々だ。と、なれば矢継ぎ早に技を繰り出すしかないな。

 

 

『それでは魏で行われていた武術大会の恒例となっていました警備隊副長と飛将軍呂布との特別試合を天下一品武道会の会場で開催しまーす!』

「「「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」

 

 

地和の解説に沸き立つ会場。ちょっと待て、いつから恒例行事になった?これを機に恒例にする気か?

 

 

「やるっきゃないか……って逃げるの、速っ」

「…………」

 

 

俺が拳を握り、恋と向かい合う。その間に地和は舞台上から逃げていた。さっきの戦いの事と恋絡みは相変わらず苦手か。

 

 

『本来なら魏王曹操様から試合開始の合図を出していただくのですが……』

「はぁい、華琳が居ないから私が代わりに合図をするわ。それでは、試合始めっ!」

「よし、やる……かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

地和の解説を引き継いで孫策が試合開始の合図を叫ぶ。それと同時に恋が速攻で仕掛けてきた。咄嗟にブリッジで避けた。目の前に方天戟の刃が通り過ぎるって超怖い。

 

 

「だが……反転イナズマキック!」

「………ん」

 

 

ブリッジの体勢から体を捻り、気の力で飛び上がり飛び蹴りを放つ。当然ながら方天戟で塞がれる。流石、びくともしない。

 

 

「ふっ!」

「ぐおっ!?」

 

 

振り抜かれる方天戟を両腕をクロスしてガードする。なんちゃってシルバースキンに気を通してるのにダメージがデカい。ならば防御の型を変えるしかない、俺は両手を前に出して構える。

 

 

「ふ、と、むん!」

「ん……変わった?」

 

 

これぞ赤心少林拳奥義の梅花の型。防御ならばこの技を……と、思ったけど俺が未熟故か普通にダメージがある。いなす技術がなきゃ駄目だな。だが、距離を開ける事が出来たから……

 

 

「かめはめ波!」

「かめはめ波返し」

 

 

俺の放ったはかめはめ波を恋は方天戟をバットみたいに扱って、かめはめ波を打ち返してきた。俺の放った速度よりも速くなった、かめはめ波を普通に食らってしまう。

 

 

「冗談みたいな事をしやがって……」

 

 

ヨロヨロと立ち上がる。参ったな……勝ち筋がまるで見えないぞ。これじゃ四年前と変わらない……だが、俺も四年間を無駄に過ごしていた訳じゃないぞ。いくぞ、禁断の必殺技!

 

 

「ラブリービィィィィィム!」

「………っ!」

 

 

俺は帽子を脱ぐと目からビームを放った……訳ではなく、目元に添えた手から気を放ったはだけだ。だが、傍目には目から放った様に見える。流石にビビったのか恋も避けた。しかし、避けたと同時に恋は方天戟を地面に突き刺し、俺との距離を詰めてきた。

 

 

「素手とは……痛っ!?」

「確か……こう?」

 

 

俺がカウンターで放った拳を恋は受け止めると、そのまま俺を抱き寄せた。更にそのまま俺の体を上下反転させ肩に担いだ。ちょっと待て、この体勢はまさかっ!?

 

 

「きんにくばすたー」

「ぐふぉっ!?」

 

 

恋は俺をキン肉バスターの体勢に固めるとそのまま技を叩き付けられた。前に大河に使った事はあったけど、その時に覚えたのか!?

 

 

「が……げふっ」

 

 

技のクラッチを解かれ、俺は舞台上に倒れる。恋が使うと超必殺技の領域だな。流石にパワー差がありすぎてキン肉バスター返しは不可能だ。

 

 

「女の子がはしたない技を使うんじゃありません……」

「………ごめんなさい?」

 

 

なんとか起き上がり、ポカリと拳骨を落とすと恋はくびを傾げながら謝ってきた。うん、何故か父親目線になったわ。しかし、ダメージが半端無い。伊達にゴツい超人を仕留め続けた技じゃねぇな、おい。

 

 

「そろそろ……仕留める」

「ならば、勝負!」

 

 

恋が方天戟を手に取り、トドメを刺しに来たので俺は右手に気を集中した。あの時は失敗したけど今なら出来る気がする!

 

 

「シャイニングフィンガー!」

「ふっ!」

 

 

恋の攻撃に合わせてシャイニングフィンガーを放つ。以前の失敗を加味して掌全体に気を込めて放ったので前回みたいに突き指はしなかった。恋はシャイニングフィンガーを方天戟の刃で防ぐと、刃とは反対側で俺の腹を凪払う様に殴り飛ばした。シャイニングフィンガーに集中していた俺は反対側に意識が行っておらずノーガードで食らってしまい、舞台上を滑る様に吹っ飛ばされた。

 

 

「が、は……けふっげふっ」

 

 

あー……超痛い。立ち上がれそうにねーや、これは……意識も飛びそうだし……

 

 

「はぁ……あぁ……あの壺は良い……ものだ……」

「マ・クベ的な走馬灯を見ないで下さい」

「ご苦労様、純一。助かったわ」

 

意識が途絶える前に最後に聞こえたのは、手を繋ぎながら天下一品武道会の舞台に戻ってきた弟と素直になれない覇王様の声だった。

 




『反転イナズマキック』
「トップをねらえ!」の必殺技。イナズマキックの派生技。本来のイナズマキックと違って、垂直に飛び上がるのではなく、体に捻りを加えてイナズマキックを放つ。


『赤心少林拳 梅花の型』
仮面ライダースーパー1が修得している拳法の奥義。花を包むような構えで相手の攻撃を弾いて防御する技。極めればどんな攻撃でも防ぐ事が出来る。


『かめはめ波返し』
相手の放ったかめはめ波を打ち返す技。
仕様は様々でかめはめ波を更に大きいかめはめ波で打ち返す、受け止めて投げ返す、棒状の物で打ち返す、棒状の物を旋回させ風圧で打ち返す等種類が多い。


『ラブリービーム』
「ハピネスチャージャプリキュア」の主役キュアラブリーの必殺技。
「ラブリービーム!」と叫びつつ、目の周りに手を添え、指で囲むと、目からビームが発射される。変身ヒロインにあるまじき破壊力を秘めた技。


『キン肉バスター返し』
バッファローマンがキン肉バスターを破る為に開発した技。わざとキン肉バスターを食らい、地面に叩き付けられる前に技の掛け手と受け手を逆転させる技。6を9に変える力業だが、この技を使用するには相手の10倍以上のパワーが無いと不可能とされている。


『マ・クベ』
「機動戦士ガンダム」のキャラクター。
骨董品マニアで白磁の壷らしき物を指で弾き音色を楽しむ姿が描かれる。

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