真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二十三話

 

 

 

 

◇◆side桂花◇◆

 

 

私はここ暫く不可解な行動をしている秋月の事を華琳様に尋ねていた。秋月は華琳様に城の片隅を使わせて貰うように許可を取っていたが何をしているのか。それに真桜もその小屋に出入りしているみたいだし……

 

 

「純一が何をしてるか……ね」

「はい、許可を取ったとは言っても小屋を作成して何をしているか不明でしたので」

 

 

謁見の間には華琳様、春蘭、秋蘭、栄華、北郷と揃ってる。しかし誰に聞いても誰も秋月が何をしているか知らないとの事だった。

 

 

「そう言えば……最近、純一さんと真桜が警邏の時も良く何かを話してるな」

 

 

北郷が思い出したかの様に言うけど私が知りたいのはその内容なのよ!

 

 

「確かに……予算を出した身としても何をしているのか知りたいですね」

 

 

秋月のやる事に予算の一部を出した栄華も不満気味ね。何をしているのか分からないのに予算だけ持っていかれればそうよね。

 

 

「純一は天の国の物を作ると言ってたわよ。真桜はその手伝いかしらね」

「その様です。真桜も最近は秋月に付いて回ってる様ですし」

 

 

華琳様のお言葉に秋蘭も同意していた。確かに最近、あの二人が一緒の居る事が多いわね……

 

 

「うむ、最近のアイツ等は仲が良いな!」

 

 

春蘭、話が既に違ってるわよ。でも確かにあの二人の距離感が近いわよね……

 

 

「ふむ……純一が何をしているのか気になるわね……なら見に行きましょう。今の時間ならその小屋に居るでしょうし」

「御意!」

 

 

華琳様の提案に春蘭が答えた。その場に居た者が秋月の小屋を目指した。

そして小屋に辿り着くと小屋の回りには何かの作業をして居たのか様々な物が散乱していた。

良く見ればその小屋も少々変わった形をしていた。屋根が高く高めの位置に窓が付いている。

 

 

「先程まで何かの作業をしていたのでしょうか?」

「そうみたいね。あら、小屋の中から話し声が聞こえるわね」

 

 

秋蘭の言葉に同意しかけた華琳様が小屋の中での声に気づく。多分、秋月と真桜ね。

全員で小屋に近づいて扉を開けようとした、その時だった。

 

 

『な、なんや恥ずかしいわ……副長の前で裸になるって……』

『脱がなきゃ始められないだろ。脱ぐときは後ろ向いてるから……』

 

 

中から聞こえてきた声にその場にいた全員の動きが止まる。これって秋月と真桜よね……。

 

 

『え、ええで副長。準備万端や……ちょっと怖いけど』

『最初だけだ。慣れれば癖になるぞ』

 

 

中で服を脱ぐ衣擦れの音が聞こえたと思ったら真桜の少し怯えた様な声が聞こえた……ちょっと……これって

 

 

『ん……うぅ……熱いわ』

『初めてだとやっぱツラいか?』

 

 

何かに耐えるような真桜の声にそれに対して気遣うような秋月の声。

 

 

『あ、でも……めっちゃ気持ちええわ……』

『そうだろ?』

 

 

中の様子が声だけで生中継されている。一緒に来ていた他の皆も顔を赤くして聞き入っている。

 

 

『最初は恥ずかしかったり、熱かったりで大変やったけど……こんなに気持ちええなら皆、虜になってまうわぁ~』

『すっかり顔がトロけてるな……』

 

 

何よ……何よ……こんな事をする為に小屋を作ったの?私には何も言わなかった癖に……

 

 

『でもええんやろか……ウチが初めてで……』

『真桜には色々と世話になったからな。その礼もあるんだから、その気持ちよさに身を任せとけ』

 

 

私はもう我慢の限界だった。何よ!アンタの世話をしたのは私が最初でしょ!私には何もしなかったのになんで真桜の方が先なのよ!

私は小屋の扉の取っ手に手を掛けて勢い良く扉を開いた。

 

 

「ちょっと、アンタ等!何して……るの?」

「…………荀彧、何してんだ?」

「え、ちょっ桂花!?いや、なんで他の皆さんも一緒なん?皆でウチの風呂を覗きかいな!?」

 

 

 

そこに居たのは釜戸の上に大きな桶を構えて、その中に入ってる真桜と釜戸の火の調節をしながら扇子の様なもので自身をパタパタと扇いでる秋月だった。

 


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