真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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遅れました。
前回、次は本編を進めると言いましたが今回も間話で。


第二百七話

 

 

俺の体調と全体の行軍速度の調整の為に、蜀への行軍は一時的に止まっていた。

村へ逗留し、不足している物の調達や蜀へ到着してからの作戦の立案などを計画する。

 

そんな最中、俺は部下を数名連れて話し合いをしていた。

 

 

「副長、良いのでしょうか?我々はこんなところで遊んでいて……」

「遊びばかりじゃないさ。俺はここ数日寝ていたから、その間に何があったか聞きたい。だが、重苦しい雰囲気で聞くよりもリラックスしていたい……ってね」

 

 

部下と会話をしつつ、俺は手元の牌を切る。

 

 

「あ、チーです。それは理解しているのですが端から見ると我々は遊んでいるだけに見られるかと」

「そうですよ。副長なら将の方々にブッ飛ばされるのにも慣れているのでしょうが我々は慣れていませんので」

「ですよねー、リーチ」

 

 

会話を続けながらも手元の動きは止まらない。会話も手元の動きも皆がスムーズに進む。

一人、リーチが入ったから少し焦るが此処で手を崩すと却って危なそうだ。

 

 

「俺も好きで慣れたわけじゃねーよ。俺が誘って話を聞きたかったからって事にしとくから心配するな」

 

 

そう言いながら安牌を切る。当たりではなかったのか誰も鳴く事は無いまま順が回る。

 

 

「そう言えば隊長が曹操様に怒られてましたよ。于禁隊長が見ていたらしいのですが曹操様の顔は真っ赤だったと言っていましたよ」

 

 

部下の一人が悩みながら牌を切りながら一刀と大将の話をしてくれる。成る程、大方一刀が大将のデリケートな部分を刺激して、大将は素直になれずに反発したって所か。

 

 

「ま、大将も一刀も恋には不器用だからな。ロン、風花雪月」

「ぎゃー、跳満!?」

「副長は逆に器用過ぎます!」

 

 

悩んでいた部下の切った牌は俺の当たり牌だったので、俺は容赦なく取らせて貰った。当てられた部下は悲鳴を上げて、他の部下からはツッコミが入る。ああ、久し振りだから超楽しい。

 

 

「純一さん、って何遊んでるんですか」

「貴様、華琳様の御好意に甘えすぎだぞ!」

「よう。二人とも、どうしたんだ?」

 

 

点棒を指で回して上機嫌でいたら一刀と春蘭が来た。俺は上機嫌だったので、そのまま笑顔で迎え入れる。

 

 

「何で麻雀を……って言うか何で麻雀牌が有るんですか?」

「遠征するのに持ってきた奴が居たんだよ。ま、部下とのコミュニケーションも上司の務めってな」

 

 

何故か遠征に行くのに麻雀牌を持ち込んでいた奴がいたので借りたのだ。しかし、麻雀ってこの時代だったっけ?もう少し後だった気がするけど……まあ、今さら深くはツッコミはしないが。

 

 

「で、これは秋月が勝っているのか?」

「ああ、今は俺が一番稼いでるよ。春蘭は麻雀は分からないのか?」

 

 

興味深そうに麻雀卓を覗き込む春蘭は麻雀のルールを知らない様だ。まあ、頭を使うゲームは苦手なのだろう。

 

 

「うむ。麻雀は今一苦手でな。どうも細かい話となるとな……」

 

 

見事に予想は大当たりした模様。

 

 

「一刀はどうだ?」

「ゲームとかでやった事は有るんですけど、実際にやった事は……」

 

 

ま、一刀くらいの学生で知ってる奴も希だろうな。あ、でも……

 

 

「だったら大将相手に脱衣麻雀でも仕掛けてみたらどうだ?きっと上達するぞ」

「え、それは……興味はありますけど……」

 

 

と言うか一刀なら驚異の成長で大将にも勝てる可能性があると思う。スケベ心を持った男の成長は凄まじいのだ。

 

 

「なんだ脱衣麻雀とは!?教えろ!」

「おおっと他の方が食いついたか!」

 

 

『脱衣麻雀』のフレーズに一刀よりも春蘭が食い付いた。俺の胸ぐらを掴んで説明を求めてる。

 

 

「脱衣麻雀とは、負けたものが点棒の代わりに衣服を脱ぐような取り決めをして行われる麻雀の事だ」

「な、なんと……その様な取り決めの麻雀が存在するのか……」

 

 

まあ、脱衣麻雀の始まりは女性イカサマ師がイカサマをしやすいように服を脱ぐ仕草をして他の人間の気を散らす為にやったのが始まりらしいが……

 

 

「つまり、その取り決めの規則通りにして勝てば合法的に華琳様を脱がす事が出来るのか!?」

「まあ、決まり的にはそうなるな」

 

 

俺の言葉を聞くなり、春蘭は『華琳様、麻雀をしましょう!』と叫びながら大将を探しに走って行ってしまう。春蘭の背中を見送りながら俺は煙管に火を灯した。

 

 

「成功すると思いますか?」

「失敗する方に俺は花京院の魂を賭ける」

 

 

一刀の疑問に俺は紫煙を吐きながら答えた。因にだが春蘭の野望は当然の如く失敗に終わっていた。




『花京院の魂』
ジョジョの奇妙な冒険三部で主人公・空条承太郎が旅の最中で敵との勝負の際に言ったセリフ。
この際、花京院は病院に入院しており、その場には不在で承太郎は勝手に花京院の魂を賭けていた。

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