真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二十話

 

 

◇◆side真桜◇◆

 

 

最初の印象は変わった兄さんやった。戦場になった街で会うた時、ウチは防柵を作ってたんやけど、そこにフラッと現れた兄さん。

兄さんは黄巾の連中が街の外に来ているのを見ると妙な構えを取った。何してんねん、この人。

 

 

「かぁ…めぇ…はぁ…めぇ……」

「な、気が集まって……凪みたいに気使いかいな!?」

 

 

凪みたいに気を使う人間は見た事あるけど、気の集束が凪よりも濃いんやけど……

 

 

「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「どっひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

兄さんの気弾に驚いた、ウチは尻餅を着いてしもた。その気弾は黄巾の連中を纏めてぶっ飛ばして気弾は空へときえてもーた。

ウチが呆けとる間に兄さんは街の人達に防柵を早く作る様に指示した後に黄巾の前に出て、タバコを少し強めに吸って煙をフゥーと吐く。その煙は兄さんの前に小さな線を引いた。

 

 

「この白線からは……ここから先は全面通行止めだ。通りたきゃ今のをもう2、3回は喰らう覚悟をしろや」

 

 

なんや偉いカッコいい事、言うんやなぁ……

その後、兄さんはウチの上司になった。街での戦闘の後、華琳様から御遣いの兄さんの下で働くように言われた後、そっちの兄さんも上司になったんやった。どちらも兄さんってややこしいけど、隊長と副長に役職分かれたから今後は呼びやすいわ。

 

その後、副長は一度他の街へ帰ったけど直ぐに許昌に来た。その後でウチはめっちゃ後悔した。最初から仕事サボった所為でめっちゃ怒られた。いや、怒られたちゅーか、呆れられたちゅーか……

兎に角、ウチは嫌な気分になった。あの兄さんには嫌われたくないって気持ちが強なった。沙和も怒られた事に肩を落としていたから同じ気持ちなんやろか?

その後、隊長室で隊長と副長が話してるのを盗み聞きし取ったけど副長にはバレてた。そんでウチ等が隠れてるのをアッサリと見破ると話し掛けてきた。

 

 

「さて……今日の事を反省したなら明日以降に反映させてくれよ?」

 

 

うう……怒られた後に気を使われるってキツいわ。しかもあんな困った様に笑われたら何も言い返せへん。

もしも……ウチにお兄ちゃんが居たらこんな感じなんかなって思ったわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side沙和◇◆

 

 

 

沙和が初めて副長に会ったのは街での戦いの時だったの。私は華琳様に糧食の問題を頼んでいたら却下されちゃった時にタバコを吸いながら私達の方へ来たの。

 

 

 

「あの街には警護の部隊と糧食を送っているわ。それで復興の準備は整うはず。華琳様はちゃんと考えているから……安心なさい」

「そういうこと。糧食は全て焼くのよ。米一粒たりとも持ち帰ることは許さない。それがあの街を守るためだと知りなさい。いいわね?」

「そうそう。それに敵から奪ってきましたって言って渡すのも沙和も嫌だろ?ちゃんと胸を張ってやれる事をしようや」

「あ……うん、なの」

 

 

副長はタバコを吸いながら私の頭を撫でたの。タバコは服や髪に臭いが付きやすいから嫌いだけど副長の臭いは嫌な感じはしなかったの。

 

 

「………女ったらし」

「………え?」

 

 

私以外の誰かが言った言葉に副長はキョロキョロと辺りを見回す。なんか可愛いの。

この後、副長は色々な事を聞かせてくれたの。例えば着ている服の名前が『すーつ』って言うらしく天の国の文官が着る服らしいの。私が服に興味あることを話したら天の国の服を色々と教えてくれるって言ってたの、凄く嬉しいのー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side凪◇◆

 

 

初めて会った時の印象は凄い人だった。真桜から話は聞いて戦いの最中に彼の気弾を見たが凄まじい。

気を使うには段階があり、まずは気を体内に張り巡らせて身体能力の向上にする。次に体外への放出や武器に気を纏わせる等の技術を学ぶのだが彼はどうやったのか気の放出から出来たらしい。しかし逆に体に気を張り巡らせて身体能力の強化はまだ出来ないと言っていた。順番がバラバラだった。

 

その後、隊長と共に副長に任命されたあの人は初仕事の次の日に気弾の練習をして自爆したと聞いた。それならまだ仕方ないと思うのだが自爆の仕方が問題だった。

 

気の操作を失敗して気弾を浴びたと聞いたが、先程述べた身体能力強化や気の放出、気を武器に纏わせるの更に先をいく行為を失敗したが平然とやってのけたのだ。なんて無茶苦茶な人なのだろうと思うと同時に医務室に運ばれていく副長を見て、彼と言う人物がより一層わからなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side一刀◇◆

 

 

 

 

初めて純一さんと会ったのは黄巾党の征伐に出た秋蘭達の援軍として着いていった時だった。秋蘭達の戦いの手助けをしていてくれたらしく、秋蘭は純一さんの強さを高く評価していた。華琳はその純一さんに話がしたいと言って純一さんを呼びつけた。桂花からも『あの馬鹿』なんて呼ばれ方してたけど男嫌いの桂花が話題に上げるだけ凄いと思う。

 

 

「話は時折、桂花から聞いているわ。異国から来たそうね?」

「そのようです。自分には何がなんだか解らぬ内に巻き込まれたのが妥当な説明になりますが」

 

 

華琳と話す時、純一さんは背を伸ばしていた。後で聞いたのだが意識的に姿勢を伸ばす相手だと感じたらしい。

その後も華琳と話す純一さんは途中で俺に話を振ってきた。それにより、純一さんも俺と同じく未来から来た事が判明した。その話を聞いて、俺は純粋に嬉しくなった。この世界に俺は一人じゃないと思えたからだった。その後もトントン拍子に話は進み、純一さんも魏に所属となった。ただ……歳上の純一さんを部下に持つ事になったのは複雑だった。

そして迎えた北郷警備隊、始動の日。案の定、俺は真桜や沙和にナメられ、凪には呆れられた。だけど純一さんは毅然とした態度で凪達に接していた。その後の仕事も純一さんがメインで進めて俺は態度でらしい事をせずに一日が終わった。

 

俺は純一さんの方が隊長をするべきだと思ったが純一さんはそれを否定した。そして純一さんの言葉に励まされた。

『他の誰かと比べて自分は駄目な奴だと言うもんじゃねーよ』

そう言われて俺は再び、やる気を起こした。前に華琳に仕事の事で叱られたけど同じ気持ちになった。俺は俺らしくと言われたが純一さんを目標にしたいと思った。

 

次の日になると朝早くから城に爆音が鳴り響いた。何事かと華琳や春蘭や秋蘭も音が鳴り響いた場所へと行ったらしく俺もその場へ急行した。場所は鍛練場……そこには何故か小規模のクレーターの中心地で気絶している純一さん。

一先ず純一さんを医務室に連れていった俺達だが純一さんが目覚めてから聞いた話は俺たちの予想の斜め上だった。

 

純一さんは気弾の練習をしている際にコントロールをミスって自分に落としてしまったらしい。以前のかめはめ波も驚かされたが、まさか拡散エネルギー波までもやってしまうとは純一さんには本当に驚かされてばかりだ。

俺にとって尊敬すべき大人の人がこんな風にドジを踏むなんて思うと俺は純一さんに更に親しみを持てた気がした。


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