真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百九十三話

 

 

 

 

先程まで天和達を正座させていた俺だが……今は詠の前で俺が正座していた。

 

 

「で……この卑猥な服の理由を聞こうかしら?」

「天和達の舞台衣裳です」

 

 

天和達と打ち合わせを終わらせた後に自分の部屋に戻ったら、有無を言わさずに正座させられたので詠が何を怒っているのかと思ったが、ミーア・キャンベルの衣装を俺の部屋で見付けたからか。

 

 

「こ、こんな服で舞台に出るの?」

「そういう需要もあるって事だよ。露出ばかりとは思わんしな」

 

 

詠はミーア・キャンベルの衣装を持ちながら驚愕の表情だ。まあ、衣装はその手の物ばかりじゃないが。

 

 

「因にだが天和達の衣装とは別に、皆にも着て欲しい服があるんだがな」

「ぼ、僕達にも……その、えっちぃ衣装を着させるつもりなの?」

 

 

実はキミ達の服もあるんだよと告げると、詠は以前教えた「エッチ」の言葉を使ってきた。「えっちぃ」とか却って艶があるんだが。

 

 

「そう言うのが着たいなら用意するけど?」

「あ、ちょっと……」

 

 

俺は立ち上がると詠に詰め寄る。近寄られた詠は頬を少し染めながら抵抗を見せるが、それは俺のハートに火が灯るばかりだ。

 

 

「ふ、普段からそうじゃない。この侍女の服だってそうじゃない」

「それは給仕の服として支給した服だからな……俺の趣味全開の服を着させてみたいとは思うよ」

 

 

詠を壁際に追い詰めてドンと手を着きながら語る。怯えた様な詠の表情にゾクッとした。なんか大将が春蘭や桂花を苛める理由が分かったかも……なんか、新しい扉が開いた気が……

 

 

「ば、馬鹿……そんなに見たいなら言ってくれれば……その……」

 

 

そう言って潤んだ瞳で俺を見詰める詠。その瞬間、俺の中でも何が弾けた。SEED的な何かが。

 

 

「詠!」

「あ……」

 

 

俺が詠の肩を掴んで抱き寄せようとする。詠は驚いた様だけどギュッと目を閉じてキスを待つように顔を上げた。その時だった。

 

 

「秋月さん、華琳様がお呼びで……あ」

「ゆ、月……」

「あ、ちょっ、違……」

 

 

タイミング悪く、月が俺の部屋に来た。そして俺と詠を見ると、顔の下から上へとカァーと赤くなって顔全体が赤くなり、ポンと湯気が出た。そして、そのまま倒れそうになる。

 

 

「月!」

「ちょっと月、大丈夫!?」

 

 

先程までの甘い空気から一転。倒れそうになった月を咄嗟に受け止めると詠から心配そうな声が漏れる。

 

 

「恥ずかしさやらなんかで思考が追い付かなかったみたいだな。取り敢えず俺の寝台に寝かせるか」

「そうね。月は私が見てるからアンタは華琳の所へ行ってきなさい。呼ばれてるんでしょ?」

 

 

俺が月を寝台に寝かせると、詠は手慣れた様子で月のメイド服を脱がせようとしてる。成る程、そのまま寝かせたら苦しいもんな。

 

 

「月を脱がせるのを見てないで、さっさと行きなさいよ!」

「ありがとうございます!」

 

 

詠の手並みに感心していたら、月を脱がす所を見るなと裏拳が飛んできて、クリティカルヒット! 思わず礼を言ってしまったが石原刑事か俺は。

 

 

 

 

◆◇side詠◆◇

 

 

僕に殴られてから慌ただしく出ていく秋月を見て僕は溜め息を溢す。思わず流されちゃったけど秋月と接吻しようと……と言うか僕からねだるような事をしてしまった。

 

秋月の寝台で目を回している月を見て、僕は少し申し訳ない気持ちになると同時に、中途半端で終わってしまった接吻を残念に思いながら自分の唇に指を這わせた。

 

 

 




『種割れ』
ガンダムSEED劇中で隠された力が覚醒し戦闘能力が向上する。
頭上で植物の種子が砕け散るようなエフェクトが挿入され、瞳のハイライトが消失する。


『石原達也』
ドラマ『trick』の登場人物。
金髪オールバックで怪しさ全開の広島弁を喋り、やけに裾の短いズボンなど不可思議なファッションと言動が特徴。上司である矢部に心酔しており、理不尽に殴られても「ありがとうございます」と叫ぶ。

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