真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百五十七話

「かぁめぇはぁめぇ……波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「今だ、全軍突撃っ!」

 

 

俺の放つかめはめ波が野盗の集団に直撃し、春蘭の号令で兵士達が残った集団に突撃をかける。俺がかめはめ波を撃った段階で悲鳴と共に逃げ出す連中もいた。が、逃げても無駄だっての。

魏の領土も大分平和になったのだが、未だに小規模の野盗が沸いて出る。普段なら春蘭や霞、華雄辺りが出陣して退治するのだが、今回は俺も同行していた。

 

あの日から既に三週間。未だに桂花は俺と口を利こうとしない。なんつーかもう……意地になっているのか……本当に俺を嫌いになったのか。

 

 

「副長、お疲れ様です」

「純一さん、かめはめ波には完全に馴れましたね」

 

 

等と考え事をしていたら凪と一刀が来た。春蘭が部下を連れて突撃したから、やる事無くなったな。

 

 

「少し気になる事もあったから調査も兼ねてだったが……特に収穫は無しか」

「その様です。恐らく蜀か呉から流れてきた者達かと」

 

 

やれやれ。んじゃ本当に単なる野盗騒ぎだったのか。前回の蜀の策があった為か、少し敏感に成りすぎてるのかもな。

 

 

「でも純一さんが無事で良かった。ヤムチャするかもと思って凪と来てたんですよ」

「お前らの同伴理由はそれか。まったく……信用ねーな」

「いえ、副長の強さは分かっているのですが予期せぬところで副長は倒れてしまうので。特に副長は今、桂花様の事で不安定ですし」

 

 

一刀や俺の発言にフォローのつもりなのかも知れないけど、それは傷を抉る一言だぞ凪。

桂花の声を聞きたい……肌に触れたい……タバコを吸いたい。

 

 

「……もう限界だ。明日辺り俺は大猿になって地球を破壊する」

「どんだけ追い詰められてるんですか。兎に角、少し落ち着いてください」

 

 

こちとらフラストレーション溜まってんだよ。ヘビースモーカーにタバコ吸わせないって鬼の所業だよ。

 

 

「そう言えば今度、華琳の発案で魏内部の武道大会だったな」

「はい、魏の武将全員で華琳様の前での御前試合です!」

 

 

明らかに話題を逸らそうとしている一刀。凪はやる気だねぇ。

 

 

「ま、その御前試合も俺には関係ないか」

「……いえ、副長も御前試合に出る筈ですが?」

 

 

なんですと?いや、出ると言った覚えは無いんだけど……

 

 

「最初は組み合わせに入っていなかったらしいのですが栄華様が『彼も組み込むべきです。きっと盛り上がりますよ』と華琳様に進言したとか」

「前に予算を無理矢理もぎ取ったのを恨まれたか?」

 

 

思い出すのは少し前に予算の会議で栄華と口論になった。その時に予算をいつもの二割増しでもぎ取る事に成功したが、思いっきり睨まれたのは覚えてるが……

そんな話をしながら俺達は撤収をしていた。後の事は春蘭や稟達が後処理をしてくれる事になっている。

 

城に戻り、一刀達と別れた俺は城の芝生に腰を落とした。やれやれ、なんか疲れちゃったな。溜め息を吐いた後に俺は芝生に寝転んだ。報告とかもあるけど少し休んでから……俺は重くなっていく瞼に抗う事なく目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと目を開ければ空が暗くなっていた。ヤバい……少し休むつもりがマジ寝になっていたらしい。あれ、後頭部に妙な柔らかさが……俺は芝生で寝てた筈だが……

 

 

「すー……すー……」

「………桂花?」

 

 

俺の頭の上には桂花の寝顔が……って事は俺の後頭部に伝わる柔らかさは桂花の太股?なんで俺は桂花に膝枕されてるんだ?

 

 

 


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