真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百五十四話

 

「………何か申し開きはあるかしら?」

「頑張りすぎました」

 

 

寝台に眠る俺に大将が俺を見下ろしながら訪ねる。

 

 

「あ・な・た・ねぇ……桂花が身動き取れなくなるってどれだけ激しかったのよ!」

「ちょ……大将、待っ……」

 

 

大将が俺の胸ぐらを掴んで揺さぶる。そう、昨夜盛り上がりすぎた俺は桂花を求めて、桂花も俺を誘った。その結果、桂花は足腰が立たなくなり、俺は傷口が開き倒れた。

今現在、俺と桂花は隔離されている。

 

 

「まったく……私だって一刀と……ごにょごにょ……」

「んー……なんですか大将?」

 

 

俺の胸ぐらから手を離した大将は不満そうに何かを口にした。一刀の名前が聞こえたから何かしらの希望があるのだろう。

 

 

「何でもないわよ。純一に二つの命を下すわ。一つは怪我を治すまで絶対安静にする事。二つ目は怪我が完治するまで桂花との接触を禁ずるわ」

「なんですと!?」

 

 

大将の命令に思わず口調がねねになった。

 

 

「貴方達二人が倒れるのは国にとって負担なの。もう少し、自分の立場と責任を自覚なさい」

「………はい」

 

 

思いっきり睨まれてビビる。そりゃ毎回倒れてればそうか……でも桂花に会えないのがキツい。

 

 

「ふふっ……桂花にも伝えてあるけど似たような表情だったわよ」

「……ドSの女王様め」

 

 

愉悦な顔の大将。明らかに俺と桂花のリアクションを楽しんでやがる。

 

 

「貴方が怪我を治せばすぐに会えるわよ。精々養生しなさい」

「……へーい」

 

 

最後にそう告げると大将は退室していく。この後、色々な人が見舞いに来た。

警備隊の面々を筆頭に春蘭達や文官の皆さん。大半が仕事の書類を持ってきたのが泣ける。

その後は月や詠に監視されながら書類仕事に勤しむ。その間、月は寂しそうに詠は怒りの視線を送ってきていた。気になったので何故、そんな視線をと聞いてみると……

 

 

「桂花と激しくしすぎて傷が開いたんでしょ。だったら僕たちが何かしたら悪化しそうじゃない」

「華琳様からも注意するようにと言われてます」

 

 

怒る詠としょんぼりとする月。本当にごめんなさい。

この後、溜まった書類を処理しまくった。そしてそんな風に過ごしていると気が付けば夜になっていた。

 

 

「今日はこのくらいにしといたら?」

「また明日頑張りましょうね」

「あ……うん」

 

 

そう言ってササッと俺の手から書類を奪う詠と月。もうこの流れに馴れてきてるから泣ける。

 

 

「よしっと。じゃあ僕たちは戻るけど安静にしなさいよ」

「また明日、お伺いしますね」

「迷惑かけてすまんね」

 

 

本当に面倒かけて、ごめんなさい。と思っていたら月と詠は俺の寝ていた寝台に寄り添って来た。

 

 

「迷惑なんかじゃないですよ。私達は好きで純一さんの傍に居るんですから」

「嫌だったら最低限の事を済ませて出ていくわよ……馬鹿」

 

 

そう言って俺を挟む形で両頬にチュッとキスをしてくれた月と詠。

 

 

「桂花ばっかりじゃなくて僕達も気に掛けてよね」

「怪我を治したら……待ってますから」

 

 

顔を赤くして退室していく詠と月。俺はキスされた頬に手を添える。その部分にとても熱い熱を感じて俺は寝台にそのまま寝込む。

 

 

「……早く怪我治そ」

 

 

そう言って布団の中での独り言は部屋に響いて……そのまま静かになった。


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