「………何か申し開きはあるかしら?」
「頑張りすぎました」
寝台に眠る俺に大将が俺を見下ろしながら訪ねる。
「あ・な・た・ねぇ……桂花が身動き取れなくなるってどれだけ激しかったのよ!」
「ちょ……大将、待っ……」
大将が俺の胸ぐらを掴んで揺さぶる。そう、昨夜盛り上がりすぎた俺は桂花を求めて、桂花も俺を誘った。その結果、桂花は足腰が立たなくなり、俺は傷口が開き倒れた。
今現在、俺と桂花は隔離されている。
「まったく……私だって一刀と……ごにょごにょ……」
「んー……なんですか大将?」
俺の胸ぐらから手を離した大将は不満そうに何かを口にした。一刀の名前が聞こえたから何かしらの希望があるのだろう。
「何でもないわよ。純一に二つの命を下すわ。一つは怪我を治すまで絶対安静にする事。二つ目は怪我が完治するまで桂花との接触を禁ずるわ」
「なんですと!?」
大将の命令に思わず口調がねねになった。
「貴方達二人が倒れるのは国にとって負担なの。もう少し、自分の立場と責任を自覚なさい」
「………はい」
思いっきり睨まれてビビる。そりゃ毎回倒れてればそうか……でも桂花に会えないのがキツい。
「ふふっ……桂花にも伝えてあるけど似たような表情だったわよ」
「……ドSの女王様め」
愉悦な顔の大将。明らかに俺と桂花のリアクションを楽しんでやがる。
「貴方が怪我を治せばすぐに会えるわよ。精々養生しなさい」
「……へーい」
最後にそう告げると大将は退室していく。この後、色々な人が見舞いに来た。
警備隊の面々を筆頭に春蘭達や文官の皆さん。大半が仕事の書類を持ってきたのが泣ける。
その後は月や詠に監視されながら書類仕事に勤しむ。その間、月は寂しそうに詠は怒りの視線を送ってきていた。気になったので何故、そんな視線をと聞いてみると……
「桂花と激しくしすぎて傷が開いたんでしょ。だったら僕たちが何かしたら悪化しそうじゃない」
「華琳様からも注意するようにと言われてます」
怒る詠としょんぼりとする月。本当にごめんなさい。
この後、溜まった書類を処理しまくった。そしてそんな風に過ごしていると気が付けば夜になっていた。
「今日はこのくらいにしといたら?」
「また明日頑張りましょうね」
「あ……うん」
そう言ってササッと俺の手から書類を奪う詠と月。もうこの流れに馴れてきてるから泣ける。
「よしっと。じゃあ僕たちは戻るけど安静にしなさいよ」
「また明日、お伺いしますね」
「迷惑かけてすまんね」
本当に面倒かけて、ごめんなさい。と思っていたら月と詠は俺の寝ていた寝台に寄り添って来た。
「迷惑なんかじゃないですよ。私達は好きで純一さんの傍に居るんですから」
「嫌だったら最低限の事を済ませて出ていくわよ……馬鹿」
そう言って俺を挟む形で両頬にチュッとキスをしてくれた月と詠。
「桂花ばっかりじゃなくて僕達も気に掛けてよね」
「怪我を治したら……待ってますから」
顔を赤くして退室していく詠と月。俺はキスされた頬に手を添える。その部分にとても熱い熱を感じて俺は寝台にそのまま寝込む。
「……早く怪我治そ」
そう言って布団の中での独り言は部屋に響いて……そのまま静かになった。