真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百十二話

 

 

 

 

「さて……此処に集まってもらったのは他でもない」

 

 

俺は城にある某室にて碇司令の如く、顔の前で手を組んで凄みを出す。俺の目の前には一刀、栄華、沙和と並んでいる。

この面子こそ北郷警備隊おしゃれ同好会の幹部だ。因みにこの部屋はおしゃれ同好会の会議場所としていつも使われている部屋だったりする。

 

 

「秋月さん……貴方や一刀さんは兎も角、私は忙しいんですよ」

「いや、俺も純一さんも割りと忙しいんだが……」

 

 

栄華が不満を口にして一刀が反論する。

 

 

「お前の不満も尤もだ栄華。だが……今回の話は今後の北郷警備隊おしゃれ同好会の活動に大きな影響を及ぼす話となる」

「なんですって……」

 

 

俺の言葉に栄華は反応を示した。うん、だが……本題は此処からだ。

 

 

「まず……つい先程、春蘭と秋蘭が倒れて医務室に運ばれた」

「え……あの二人が!?」

「いったい……何が……」

 

 

俺の言葉に驚く一刀と栄華。驚かないのは俺と沙和のみ。なぜならば、その現場に居たからだ。

 

 

「俺がプロデュース……いや、案を出した服が完成し、二人に見せた。そしてそれを華琳が着ている所を想像したのだろう……二人は静かに鼻血を出した。その後、医務室行きだ」

「まさか……稟じゃあるまいし」

「恍惚とした表情で服を見つめながら鼻血が出てたのー」

 

 

俺の説明に一刀は否定気味だったが沙和がその場に居た時の状況を補足説明する。

 

 

「そ、そんな素晴らしい服が出来上がったと言うのですか!?」

「いや……作ったのは月達が着ている様なメイド服。そして天の国の巫女が着る巫女服」

 

 

俺が作った服は計四着。その内の三着を春蘭と秋蘭に見せたのだ。

 

 

「そして……誰とは言わんが『金色の閃光』と呼ばれ人気投票でも上位に君臨し、金髪・ツインテール・鎌と条件が揃ったので思わず作り上げた魔導師の服だ」

「リリカルでマジカルな感じの娘ですか!?」

 

 

俺の説明に一刀は食い付いた。うん、気持ちは良く分かる。

 

 

「あえて言おうタイトルは『死に刈る☆華琳』だと!」

「純一さん!俺はアンタに一生付いていくよ!」

 

 

俺と一刀は熱い握手を交わした。これ以上の熱い握手は存在しないだろう。

 

 

「二人で盛り上がってないで説明してくださいな」

「あ、悪い……と、まあ俺の作った服で魏の柱とも言うべき二人が撃沈したんだ。この流れで行くと……?」

「そっか……桂花や稟なんかは絶対に倒れる」

 

 

栄華のツッコミが入ってから説明を続けて一刀が納得をした。つまりこのままだと『華琳様大好き勢』が鼻血による出血多量で仕事にならんと言う事だ。

 

 

「うー……せっかく盛り上がって来てたのにーなの」

「俺とて悔しいさ……桂花にも着て欲しい服が沢山あるってのに」

「秋月さん、然り気無くノロ気ないで下さい」

 

 

沙和が悔しそうな声を出すが俺だって悔しいんだ。なんて思っていたら栄華からツッコミが入った。

 

 

「因みに桂花にはどんな服を作ったんですか?」

「ふ……所謂『猫耳パジャマ』だ」

 

 

俺は部屋の片隅に置いておいた服を取り出して見せる。その服を見た栄華はスッと俺に手を伸ばし……意図を察した俺は栄華とピシガシグッグッと意思疏通。

 

 

「是非とも着ている所を見てみたいです!」

「他にも月にはブレザー。詠にはセーラー服。華雄には……」

「いや、どんだけ作ってるんですか。見てみたいけど」

「あー、これも可愛いの!」

 

 

作ったは良いがまだ着て貰ってない服が大量にあるので見てもらうと、まぁー盛り上がる事。

だがな一刀……先程言っていた服だが一着だけは既に大将に渡してあるんだ。それを見れるかは……お前次第だぞ。

大量の服を栄華や沙和と見ている一刀を眺めながら俺はそんな事を思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side華琳◆◇

 

 

純一がつい先日私に渡してきた服。これは一刀が天の国で通っていた学校で着ていた服の女子仕様の物らしい。

おしゃれ同好会の活動で作った物を私に届けに来た純一は妙にニヤニヤとしていた。

 

 

「これを着て一刀に見せろって事なのかしら……」

 

 

私は身に纏った『ふらんちぇすか学園制服』を鏡に写して見ていた。

 

 

「一刀が喜ぶのかしら……」

 

 

私はポツリと呟く。純一はなんやかんやで結構気遣いが出来る人間だ。その反面で面白がっている様にも見えるけど。

 

 

「純一の言う通りになるのは癪だけど……一刀に用事があるのも本当の事だし……行こうかしら」

 

 

私は踵を返すと部屋を出る。確か……おしゃれ同好会の会議があるって言ってたわね。私はその会議が良く開催されている部屋へと向かった。

 

 

 

 

 


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