遂に始まった籠城戦。
中々城を落とせない蜀は様々な手を使ってきた。既に使われなくなった地下古水道に侵入しようとしてきたが桂花の指示により封鎖罠設置がされており、蜀の兵を潰した。更に直接城門を攻め落としに来た連中には無限丸太落とし装置で返り討ちにした。
しかし、どうしても城を落としたい蜀の皆様は未だに諦めずに城攻めを続けている。中でも胡軫は気合いが入っている。
「こうなったら自決か特攻……DEAD OR ALIVE」
「結果的にどちらも死にますよ、それ。それにそんなの許しませんからね」
なんちゃってシルバースキンを着たまま城壁の上から様子を見ていたのだが、俺の呟きに一刀の鋭いツッコミが入る。
「そんな真似したら私も許さないわよ」
「あ、そうだ。真桜は?」
腕を組んで俺を睨む桂花。桂花と一刀のダブルブリザード視線に俺は視線を泳がせながら先程から姿の見えない真桜の事を訪ねる。
「大丈夫よ。別の作戦が有るから、そちらを任せているだけ」
「そうかなら良いが……」
姿が見えないから心配してたんだけど他の作戦に行ってたのか……部下が頑張ってるなら俺も……
「一刀、弾岩爆花散で奴等を吹っ飛ばしてやるから後は頼んだぞ」
「明らかに自爆技じゃ無いですか。純一さんはバラバラになったら元には戻りませんよ」
等と一刀とバカな会話をしていたのだが周囲が騒ぎ出してきた。
「華琳様!地平の向こうに大量の兵が!」
「敵の増援か!?」
「劉備もそれほどまでの余裕が有るわけ……」
慌てて城壁の向こうを見れば、確かに地平の辺りに大量の煙が見える。桂花の叫びに俺も驚き、一刀も驚愕していた。
「狼狽えるのはやめなさい!……桂花。新たな部隊の旗印を確認なさい」
「旗は……何あれ!?こんな大量の旗って……それに将軍格の旗が幾つも!どこかの連合軍なの!?」
「………まさか西の部族連合か……!?」
ザワザワとし始めたが大将の叱咤に皆が黙り、状況確認が始まった。
「んー……ちがいますねー………」
「あれは、まさか!」
「旗印は夏侯、郭、典、許、楽、于、李、お味方の旗ですねー」
俺も身を乗り出して城壁から身を乗り出して見てみると風の言葉通り見えているのは味方の旗。
「え、だって、春蘭たちは明日の朝までかかるって……それに、李って、真桜だよな?なんで向こうに居るんだ!?」
「こっそりと探しに行ってもらったのよ………まあ、必要無かったみたいだけれど」
一刀の呟きに答えた桂花。どうやら真桜が探しに行くまでもなく皆が帰還していた様だが。
やれやれ……これで大丈夫だな……
俺は城壁に背を預けて座り込む。
あー……なんか疲れたな……
天の国……現代か……今は何もかも皆、懐かしい……
俺は疲れからか瞼を閉じる。其処で俺の意識は途絶えた………
◇◆side桂花◇◆
春蘭達が予想以上に早く帰還をしてくれたおかげで一気に反攻の兆しが見えてきた。私達は華琳様の指示で蜀を押し返し始めた。
すると、いつもなら五月蝿いくらいの秋月が妙に静かだった。
ふと見てみれば秋月は城壁に体を預けたまま座り込み、静かになっていた。
壁に寄りかかったまま動かなくなった秋月。その姿に私はすごく嫌な予感がした。
「ちょっと、秋月?」
「…………」
私が声を掛けても返事が無い。ちょっと……まさか……
「あ、秋月!?」
「……………すかー……ぐー……」
心配して叫んだ私に返ってきた返答は人を小馬鹿にした様な小さな寝息。コイツ……この間で寝たって言うの!?
「この馬鹿……」
「寝ているのなら寝かせてやりなさい。今回の純一は大金星だったのだから」
こっちが心配したってのにコイツは……殴ってやろうかと思ったら、小さな笑みを浮かべたまま華琳様が私の肩に手を置いて制止する。
蜀を追い払って戻ってきた春蘭が北郷に食って掛かってるけど私は溜め息を吐くしかなかった。
「心配させないでよ……馬鹿」
私は秋月の隣に腰を下ろす。起きたら文句言ってやるんだから覚悟しなさい。
『弾岩爆花散』
ダイの大冒険の敵キャラ『フレイザード』の奥の手。
『氷炎爆花散』の変形で、身体を爆弾の如く破裂させた後に自身の体であった岩を操り、嵐の如く相手に攻撃を加え続ける必殺技。
この岩石一つ一つがフレイザードの意思を持っており、砕けば砕くほどフレイザードが有利になる。
自分の身体なので好きに元の身体に戻ったり、巨大な岩石にする事も可能。