ToLOVEる~氷炎の騎士~   作:カイナ

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第二十六話 女王の反抗と王女の思い

「……」

 

深い森の中、森林浴というには薄暗く、人生を諦めた人達がやってきそうなこの場所に一人の少年が佇んでいた。黒髪をショートヘアにし、整った顔立ちだがその顔には鼻の上を通るように横一筋に伸びている傷が目立つ少年は銀色の軽装な鎧に身を包んだまま目を閉じて静かに森の中に立つ。

 

『ガアアアアァァァァァァ!!!』

 

と、突然そんな咆哮が聞こえたと思うと四方八方から真っ黒な体色の明らかに地球上に存在しない異形の生物が群れを成して少年に飛びかかる。

 

「多いな……ニャル子の奴、わざと俺に大群押し付けたんじゃねえだろうな……」

 

咆哮から数を判断したらしい少年は目を閉じたままめんどくさそうなため息をつき、右足を少し上げると思いっきり、まるで地面に設置しているスイッチを押すかのように地面を踏みしめる。その瞬間彼の周囲の地面が大爆発を起こし、異形の生物を呑み込みそれらの断末魔が響き渡る。

 

「グギャアアアァァァ!!!」

 

「ったく、頑丈だな……」

 

その爆発を耐えきった異形の生物の一体が爆発によって生じた煙を突っ切って鋭い爪を突き立てんと少年に迫る。

 

「しょうがない」

 

その鋭い爪を持つ腕を、少年は目を閉じたまま左手で掴んで止めていた。そして彼は目を開き、紫色に光る瞳を見せる。

 

「少し本気で行くか。エンザ、いざ参る」

 

少年――エンザがそう呟いた瞬間、彼が腕を掴んでいた異形の生物の全身が一瞬で凍り付いた。続けてその氷に右手を当てるとその右手に触れていた部分が爆発、氷が異形の生物ごと木端微塵に砕け散る。

 

『ガアアアアァァァァァァ!!!』

 

仲間がやられた怒りか、異形の生物達の地面が揺さぶられそうな咆哮が響き渡りそれらは一斉にエンザへと襲い掛かる。

 

「はっ!」

 

異形生物達の攻撃をエンザは宙を舞うように飛んでかわし、異形の生物の包囲網を脱出。着地すると一か所に集まった異形の生物達を見据えて左手を地面に押し付ける。と、その地点から氷が地面を伝うように異形の生物達目掛けて伸び、それらの足を氷漬けにして動きを封じる。

それを確認してからエンザは腰を低く構え、右の拳を後ろに構えて左の拳を開き照準を合わせるように異形の生物達へと向ける。握りしめた拳に炎が纏われた。

 

「ふぅ~……はぁっ!!」

 

呼吸を整え、掛け声と共に右手を突き出し、右手の炎が解放。それはまるで槍のように突き進み、足が氷漬けになっているため動けなくなっている異形の生物達を貫く。

 

『グルルルルル……』

 

「……ほんとあいつら、サボってんじゃねえだろうな……」

 

しかしその異形生物の群れはまだ他にも存在しており、新たにやってきた異形生物を見ながらエンザは嘆息。自分をここに連れて来た依頼主に向けて悪態をつきながら右手に赤い刃の刀を、左手に青い刃の刀を握りしめながら異形生物の群れ目掛けて突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

「やーやーエンザさん、ご協力感謝です――」

「くたばれ」

「――タトバッ!?」

 

おふざけ敬礼に満面の笑顔を見せながらねぎらいの言葉を投げかける銀髪美少女目掛けて飛び回し蹴りを叩き込むエンザ。首筋にまるで敵の首を刈り取る鎌のような鋭い一撃が入った美少女は奇声を上げて吹っ飛ばされる。

 

「な、なんばしよっとですかぁ!?」

 

「ニャル子テメエ、依頼の時に討伐予定数過少申告しただろ? いくら予想と違うと言っても限度ってもんがあるよなぁ?」

 

ダメージなんてないかのように、だが痛い事は痛いのか蹴られた首筋を押さえながら文句を述べる美少女――ニャル子に向け、エンザは目を研ぎ澄ませ殺気を交えながら彼女に詰め寄る。それにニャル子はびくっと身体を震わせた。

 

「い、いやーそのー……だって、数が多すぎたらめんどくさいっつって依頼受けてくんないじゃないですか~――」

「否定はしないが依頼時に正確な情報を持ってくんのは当たり前だろうがボケ!」

「――カタキリバッ!?」

 

目を逸らして両方の人差し指をつんつんさせながら言うニャル子に対しエンザは氷でコーティングした拳による拳骨を躊躇いなく叩き込み、ニャル子は再び悲鳴を上げる。

 

「ったく。そもそも俺は静養中だってのに何度も引っ張り出しやがって……」

 

「……というか、エンザさん」

 

ぶつくさ言うエンザに対しニャル子が言葉を投げかける。

 

「デビルークのとこのお姫様の護衛依頼受けてたり、ドクター・ミカドからもたまに依頼受けてたり、さらには私達惑星保護機構からも依頼受けといて今更静養中って……」

 

単刀直入にぶん投げられる言葉。それに今度はエンザが目を逸らす番だった。

 

「……いや、俺復帰を宣言した覚えとかないし。ララちゃん達守ってるのはあれだし、友達だからだし。ただ親の方と交渉して駄賃出るようにしてるだけだし。その、ほら、アルバイトだし」

 

「……相変わらず誤魔化すのへったくそですね……ま、私はエンザさんが依頼受けてくれればなんでもいいんですが」

 

目を逸らして言いよどみながら話すエンザにニャル子は肩をすくめてやれやれとため息をついて返し、その後にこりと微笑んだ。

 

「ま、何はともあれ。今回の依頼はこれで終了です、お疲れ様でした。依頼料は後程振り込みますので。ああ、少し割増しときますからご安心を」

 

「おう。んじゃバーストモード解放して戦ってだるいし、帰るわ。んじゃな」

 

ひらひらと手を振ってニャル子に別れを告げるエンザにニャル子も「はいはーい」と言って手を振り返した。

 

 

 

 

 

その翌日。炎佐はやや青い顔をして結城家のリビングでテーブルに突っ伏していた。

 

「だ、大丈夫、エンザ?」

「まうまう~?」

 

「ご心配痛み入ります、プリンセス・ララ。セリーヌちゃんもありがとう……」

 

心配そうに声をかけるララに炎佐は弱々しく笑いながら返し、頭に花を咲かせているような姿の少女――セリーヌにも頭をよしよしと撫でながらありがとうとお礼を言う。

 

「炎佐、御門先生から薬貰ってきたぞ!」

 

そこにリトが玄関からばたばたとした足取りでリビングに入る。バーストモードを使った炎佐は翌日、つまり今日反動によって体調を崩してしまい、御門ことドクター・ミカドの家まで薬を貰いに行こうとしたのだがその途中で買い物に出かけていたリト、ララ、美柑に偶然出会い、具合の悪そうな炎佐を心配したリトが御門から薬を貰ってくると申し出、彼が一人暮らしだと知っているララと美柑によって炎佐は結城家に強制連行されていたのだ。

 

「サンキュ、リト……」

 

「炎佐さん、お水持ってきました」

 

「ありがと、美柑ちゃん」

 

リトから薬を受け取ったところで美柑が水を入れたコップをことんと炎佐の前に置き、炎佐もお礼を一言言って薬を飲む。と、その時突然玄関の方からバンッ、という音が聞こえて来た。

 

「ん? なんだろ? 悪い、ちょっと出てくる」

 

リトが一言断って玄関に向かい、炎佐と美柑、ララも「なんだろ?」と顔を見合わせて首を傾げた。

 

 

 

 

 

「全く……せまい部屋ですわね。もっと広い部屋はないんですの?」

 

リビングに上がった来客――天条院沙姫はいきなりそんな事を言っており、リトに「そう言われても……」と困惑されていた。

 

「ところで天条院先輩、こんなとこに一体何の用なんですか?」

 

「……」

 

薬の効果が幾分か顔色も良くなり少しは調子が戻ったらしい炎佐の言葉に対し、沙姫はうつむく。

 

「実は私……家出してきたんですの」

 

「「えー!?」」

 

その言葉にリトと炎佐の言葉が重なる。ララが軽く叱るように「ダメだよー家出なんかしちゃ!」と言うがリトが「お前が言うな!」とツッコミを返した。

 

「しかし、何故家出を?」

 

「突然、お父様から海外留学をしろと勧められたのですわ」

 

漫才をしているリトとララを横にしながら炎佐は冷静に話を進める。父親から海外留学を勧められ、嫌だと言ったのだが一度言い出したら聞かない人であり、しかし今回ばかりは沙姫にも退けない事情があったらしく思わず家を飛び出してしまったらしい。

 

(……なんか、ララの時と似てるな)

 

自分の意に沿わない事を親に強要される。そういえばララの時もそうだったとリトは考えていた。ララも同じことを感じているのか「沙姫……」と声を漏らす。

 

「あの、お口に合うか分かりませんけど、どうぞ」

 

「まぁ! ありがとう!」

 

美柑が来客である沙姫にお茶を出し、笑顔でお茶を受け取って飲んだ沙姫は「美味しいハーブティ」「結城リトと違って気の利く妹さんね!」と美柑を絶賛する。

 

「ふぅ……まあ、そんなワケで」

 

お茶を飲み、一息ついたところで沙姫は本題に入った。

 

「私はしばらくここに身を隠しますわ!! まさかこんな庶民の家にいるなんてお父様も思いませんでしょうからね!!」

 

要するに突然の泊めろという申し出。なお沙姫本人は「本当はザスティン様の所へ行きたかったんですけど、お仕事がお忙しいでしょうし」「私ったらなんて健気な娘」と陶酔している。

 

「……どうする?」

 

「まぁ、断ってもムダっぽいし……」

 

苦笑を交えながらリトと美柑も話し合っていた。

 

 

 

 

 

「まぁっ! なんて美味しい料理ですの!」

 

時間が過ぎて夜中。美柑の作った夕食を食べた沙姫は料理を「うちのコックより美味しくてよ!」「結城リトの妹には勿体ないですわ」と再び美柑を絶賛。その満面の笑顔での言葉はお世辞ではなく本心からそう言っていることを思わせ、美柑は嬉しそうにえっへんと胸を張ってみせる。

 

「うん。美柑ちゃんの料理はとても美味しいし、毎日でも食べたくなるよね」

 

「や、やだ、氷崎さんったらそんな……」

 

と、一緒に夕食を食べていた炎佐も笑顔で美柑の料理を絶賛。その言葉を受けた美柑はぽんっと頬を赤くし、照れたように頬に手を当てた。

 

「っていうか。なんか流れで僕まで泊めてもらう事になっちゃったけど、いいの?」

 

「ああ、気にするなよ。こうなったらもう一人泊まるも二人泊まるも一緒だしさ、炎佐、まだ身体本調子じゃねえんだろ? 遠慮しなくたっていいよ」

 

「そう? じゃあお言葉に甘えるよ。まあ、せめて食器洗いくらいはするよ」

 

「おう」

 

炎佐も結城家に泊まる事になっていた。

それから食事を終え、炎佐は食器洗いをし、沙姫は入浴を済ませた頃。ピンポーンとチャイムの鳴る音が聞こえ、リトは「はーい」と声をかけて玄関に向かう。

 

「夜分に失礼する」

 

「九条先輩!」

「綾! 凜!!」

 

礼儀正しく一礼しながら挨拶するのは九条凛。その隣にはどこか不安気な様子を見せる綾の姿もあり、凜とリトの声に反応したらしい沙姫が玄関に出て二人を見て嬉しそうな声を出す。

 

「沙姫様……まさかと思いましたが、ここにおられたとは……」

 

「心配して探してくれましたの!? ごめんなさい!」

 

凜の言葉に沙姫は彼女らを心配させてしまった事を謝罪する。

 

「いえ……」

 

が、凜はそれを否定。

 

「お父上の……劉我様の命により、あなたをお迎えにあがりました」

 

「え……」

 

凜の話した目的に、沙姫は固まってしまった。

 

「嫌なら、力ずくでも……」

 

「凜……綾……どうして……」

 

きちんと靴を脱いでから上がる凜とそれに続く綾に対し、沙姫は困惑の表情を浮かべながら後ずさる。

 

「沙姫は行かせないよ!」

 

「ララ……」

 

その彼女の前にララが立ちはだかり、リトに対して「沙姫を連れて逃げて!」と呼びかける。リトも「逃げるって言っても」と一瞬困惑しつつ、沙姫の手を引いて二階に上がっていった。

 

「あなた達、沙姫のお友達でしょ!? どうしてこんなことするの!? 沙姫は海外なんか行きたくないんだよ!」

 

「……分かっている」

 

ララの説得に対し凜は静かに言いながら懐に手を入れる。

 

「だがこれが私の役目だ!」

 

そして叫びながら何かを投擲。それはララの尻尾に装着されるとヴヴヴと音を立てて振動を開始した。

 

「えっ? あっ、あ~っな……何これ~……」

 

「油断したな。君の弱点は分かっている、こんな事もあろうかと用意していた振動リングだ」

 

弱点である尻尾を責められたララは腰砕けになり、部屋から出て来た美柑が「ララさん!?」と叫び、ララも美柑に「外して~」とお願いを始めた。

 

「行くぞ、綾」

 

「……うん」

 

冷静に歩みを進める凜と困惑顔の綾。

 

「はぁっ!!」

 

「!」

 

そこに一人の少年が立ちはだかり、手に持った何かで一撃を凜に叩き込む。が、その一撃を凜は素早く構えた竹刀で受け止めた。

 

「……さっすが九条先輩」

 

「貴様、氷崎炎佐!? 何故ここに!?」

 

「偶然、お泊り会の途中でしてね」

 

少年――炎佐の存在に驚いた凜が叫ぶと炎佐も皮肉気な笑みを浮かべながら一度凜から距離を取り、先ほど凜に一撃叩き込む際に使用した何か――台所用品の何の変哲もないお玉を構えた。

 

「美柑ちゃん、ララちゃんよろしく。後お玉壊したらごめん、弁償するから」

 

「あ、は、はい……」

 

炎佐は構えながら美柑に言い、美柑もララの尻尾についた振動リングを外そうとするがなかなか外れず、最終的には戦いに巻き込まれないようララを部屋に引っ張り込み、凜も綾に「下がっていろ」と指示した。

 

「一つ聞きますけど。ここは僕に免じて退いてくれる、とかありませんか?」

 

「貴様に免じる理由など一つもない……沙姫様は必ず連れ戻す」

 

飄々とした笑みを見せながら問いかける炎佐に対し、凜は竹刀を構えながら言い放つ。それに炎佐は小さく「ですよね」と呟いた。その次の瞬間炎佐の姿がさっきまで立っていた場所から消え、そう思うと彼は凜の懐に入っていた。

 

「せいっ!」

 

「甘い!」

 

胴に一撃入れようとする炎佐だが、普段よりキレのないそれを凜は竹刀で受け止め、直後竹刀を一閃して炎佐を弾き飛ばすとそのまま一気に攻め立てる。

 

「くっ……」

 

お玉が壊れないよう凜の竹刀を受け流して防御する炎佐。しかしその動きには普段の精彩さが無く、凜も不思議そうに目を細めた。

 

「どういうことだ? 動きが鈍いぞ?」

 

「く……まずい」

 

凜の呟きに対し、炎佐はまだ体調が完全に回復していないのかふらついてしまい、凜はその一瞬の隙をついて炎佐の胴に一撃を叩き込む。

 

「ぐはっ……」

 

「……手加減のつもりか? 舐められたものだな」

 

倒れた炎佐に対し凜はそう呟き、「行くぞ、綾」と言って二階に駆け上がった。

 

 

 

 

 

「お前っ! 何してんだ変態っ!!」

 

「こ、ここに風呂があるなんて知らなくって……」

 

「そんな言い訳で通るかー!!!」

 

一方リトと沙姫。二人はララ達姉妹が現在住んでいる住居へと逃げ込み、リトがナナとモモに逃げる手伝いをしてもらおうとしていたのだが、彼はうっかりシャワールームへの扉を開けてしまいその先ではモモがシャワーを浴びていた。そこをナナが偶然目撃、リトが覗きに来たのだと勘違いして彼をぼこぼこにしていたのだ。

 

「ちょ、ちょっと! そんな事してる場合じゃ……キャッ!」

 

リトがナナにぼこぼこにされている間に沙姫が追いついた凜に捕まってしまい、沙姫が「放して!」と叫ぶが凜は「ダメです!」と強く言い返す。

 

「! ま……待ってくれ!!」

 

それに気づいたリトがナナを振り払って声を張り上げた。

 

「ふ……二人とも天条院先輩のお付きだろっ、なんでこんな事するんだよ!? 先輩の家出に協力するならともかく――」

「黙れっ!!」

 

リトの言葉を遮る勢いで凜が声を荒げた。

 

「君に、何が分かる……」

 

寂しそうな表情で凜は呟く。

 

「私は代々天条院家に仕える九条家の人間。だからこそ、沙姫様を連れ戻せと言われたら逆らえない」

 

「代々仕える……」

 

凜の言葉をリトが反芻すると、沙姫も「そうですわ」と言って綾を見る。

 

「でも、綾は……元々天条院家と関わりのない家柄。私と凜が海外留学してアメリカへ行けば綾は日本に残る事になる……」

 

「……だから家出なさったのですね」

 

沙姫の寂しそうな言葉を聞いた凜の言葉に沙姫は静かに頷く。

 

「ザスティン様の事もあるけれど……何より三人一緒にいられなくなるとは……辛すぎますわ」

 

寂しげに目を涙で潤ませる沙姫。と、その時綾が「沙姫様!」と叫んで彼女に抱き付いた。

 

「私も、沙姫様と離れたくないです!!」

 

「綾……」

 

泣きながら沙姫に抱き付く綾に優しく抱き返す沙姫。それに凜も浮かない表情を見せた。

 

「……なんだ。皆同じ気持ちだったんだ」

 

そこにララがやってくる。彼女は「だったらやる事は一つだよ!」と元気よく沙姫に言う。

 

「沙姫がハッキリお父さんに言えばいい! 大切なお友達と離れたくないって!」

 

「ララ……」

 

力強くララの主張が始まる。ハッキリ言葉にしないと伝わらない気持ちもある。自分も似たような事があったから分かるんだ、と。もしそれでもダメならその時また家出すればいい。いくらお父さんでも沙姫達の気持ちを無視していいわけないんだ、と。

 

「なんなら私が家出にピッタリの星紹介してあげるっ!」

 

「いえ……地球外はエンリョしときますわ……」

 

最後に明るい笑顔でそう言ってみせるララに沙姫は顔をやや青くしながら返す。

 

「でも……そうですわね。あなたにアドバイスされるのはシャクだけど……その通りかもしれない……話してみますわ……お父様に」

 

しかし続けて何かを悟ったように、彼女は柔らかな微笑みを見せながらそう決意を口にするのであった。

 

「……どーゆー事?」

 

「……さあ?」

 

蚊帳の外だったモモとナナは話について行けず、首を傾げる。

 

「まあ……どんな奴だろうと、人の絆を断ち切る事はできないって話さ」

 

復活した炎佐が彼女らの横に立ち、微笑を浮かべながらそう話を締めた。




さて、まさかの「次の更新何時になりますか?」という初の催促っぽいコメントを頂いてびっくりしながら、その時はまだどういう話にするかも思いついてなかったので分かりませんと答えましたが、頑張って一作書き上げました。
次回はクリスマス編を予定しております。なおクリスマス編のヒロインも決定済みなので……あとは細かい部分をどうするかってのを決めて、時間さえどうにかなれば今度は割と早く書き上げられると思います。多分。
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。

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