今回アルミンsideとなります。
僕は今ライナーととある日の為に、話し合っていた。
この話の始まりは一週間前の日まで遡る。
あの日、珍しくライナーに頼みたいことがあると言われ、僕はその内容を聞いてみた。
その内容は、もう少ししたらジェイミーの誕生日なのでプレゼントを贈りたいのだが、手伝って欲しいというものだった。
それを聞いたとき、僕も全力で協力してあげたいと思った。なぜなら彼女はこの訓練兵団に入ってできた親友だから。
彼女は僕と似ているところがあった。
兵站行進などを苦手とし、兵法講義を得意とするところ。
確か話をするようになったきっかけは初めての兵站行進の時だったと思う。
僕も彼女も体力は人並み以下であり、僕達は他の人から段々と距離をはなされていた時だった。激しく呼吸をし、しゃべるのも辛かっただろう彼女は僕に「ファイトだよっ!」と声を掛けてくれた。
僕もすぐに彼女に「頑張って!」と声を掛け、訓練が終わるまで何度も応援し合った。
これが多分話し始めるようになったきっかけだと思う。
彼女と話すようになっていろんなことが分かっていった。僕よりも小柄で顔も整っており、綺麗というよりは可愛いといった印象を受ける彼女。容姿も然ることながら、性格も明るく、頭もいい。
そして彼女は僕たちに癒しを与えてくれるということ。
そんな彼女はすぐに第104期訓練兵団全員が認める癒しキャラ(本人には内緒で)となった。
ええと、何の話をしていたんだっけ。
そうそう、ライナーが彼女にプレゼントを贈りたいから手伝ってくれ、という話しを受けたところだったけ。
僕はすぐに了承し、ライナーが今考えている贈りたいものを聞いた。
ライナーが彼女に、軽量化された立体機動装置と刀身ボックスをあげたいと言っていた。
なんでも、「あいつの負担を少しでも軽くしてやりたいからな」とのこと。
確かに装備が軽量化されれば彼女の負担は結構減るだろう。
それに、現存の装備は使用者の負担を軽くするために一定の強度を保てる限界まで軽量化しているものなのだが、本当のことを言えば限界ではない。稀少で高価な材料を使えばもっと軽量化できるだろう。
しかし、立体機動装置などの装備の使用者は大半がすぐに死んで使うことはなくなる。
なのであまり一つ一つに費用をかけすぎるといくら金があっても足りない。兵士の人数は何千といるのだから。
つまり、お金さえあれば現存の装備よりも軽いものが作れるということ。
それに僕が見る限りまだ少し装備には無駄な部分がある。
そこを取り除いたり、より軽量化できる別の方法で再現したりなどをすれば結構軽量化できるのではないだろうか。
その日から僕とライナーで詳細などの意見を話し合った。
そしてライナーと話し合い、最終的な図面が決まったあと、工場都市で現存の装備を作っているところにオーダーメイドで作って欲しいとお願いしにいった。
最初は受けない、と言われていたが、全額先払いの一括で払うと言ったら「この図面通りにつくって正常に動かなくても保証しないぞ」と言いながら受けてくれた。
ちなみに、僕とライナーで話し合っていたときにエレンやミカサに話が漏れ、それがジェイミーを除く皆に広まってしまった。そして皆自分にも協力させてほしいとのことで、費用は皆で少しずつ出し合うことになった。
中でもライナーはほかの人よりも結構多く出していた。
そして、僕はこれとは別に僕個人からの贈り物としてあるもののオーダーメイドを頼んだ。
それは、彼女が何度か欲しいと言っていたもの。去年は誕生日を知った時には既に過ぎており、今年は渡そうとライナーに頼まれるよりも前から計画していたもの。
彼女に渡す日が楽しみだ。
頼んでいたものが完成し、受け取りに行って二日後、彼女の誕生日の日がやって来た。
渡すタイミングは夕食のとき。
皆いつも通りに食堂に入って行く中、僕は中に彼女に渡すものが入ったバッグを持って入り、ライナーは彼女が食堂に入ってくるよりも早く軽量化されたそれを大きなバッグに入れてどこに行くんだといいたくなるような見た目で食堂に入っていった。
その後皆そろい、いつも通りに夕食を食べはじめ、皆食べ終わったあと、タイミングを見計らって、ライナーが教官にバレないぎりぎりの声で言った。
「ジェイミー」
そして、それに一拍置いて皆で。
「「「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」」」
突然のことに彼女は驚いており、その慌てようが皆を癒したことは彼女は知らない。
そして、こんなに騒げば当然の如く扉を開いて入ってくる教官。
しかし、ミカサが「サシャが放屁して皆が笑っただけです」といい、教官も「またか」と呆れながら食堂から出ていく。
そして教官が離れたことを確認した僕たちは彼女のお祝いを再開する。
「ジェイミー、誕生日おめでとう」
ライナーはそう言いながらバックから立体機動装置と刀身ボックスを取り出し彼女に渡す。
「え、えぇ?! か、軽っ!? あ、ありがとう」
突然のプレゼントに驚き、受け取った装備の重さに更に驚きながらライナーにお礼を言う彼女。
彼女が重さに驚くのも無理はないだろう。
あれは僕の現段階の知識を最大限に使用したものなのだから。
「重さは従来の60%程にまで軽量化され、強度は従来よりも数%ほど上昇という優れものだ。そこにいるアルミンが設計してくれて、ここにいる皆が費用を出してくれたんだ」
そんなチート性能だけど、その分費用はすごかったよ。
僕とライナーだけでは出せなかったのも事実だ。これは設計途中に気がついて、僕が思いつく最高性能と、費用内で可能な最高性能の二つを設計した。
もし皆が協力してくれなかったら、従来の重さの90%で強度は従来の95%のものになっていただろう。
「み、みんなありがとっ!! 大切に使わせてもらいます!!」
薄ら目に涙を浮かべながら皆にお礼を言う彼女。
さて、次は僕の番かな。
「ジェイミー、僕からはこれを君に受け取って欲しいんだ」
僕はそう言いながら持ってきたバッグからソレを取り出し渡す。
「え、こ、これって。カメラ!? でもカメラってもっと大きくて持ち運びできないはずじゃ………」
「えっと、それは僕が設計した持ち運びができるように小型化させたカメラだよ。それと撮った写真がしゅ……すぐに自動で現像されるようにしてみたんだ」
一般的にカメラは大きく、持ち運びができないものと認識されている。
けれど、僕は様々な知識を応用してやれば小型化して撮影できるようになるのではと考え設計を始めた。
そして、それは順調に進み、あるひとつのことに気がついた。
どうせならすぐに撮った写真が見れるようにしたら彼女はもっと喜んでくれるのでは、と。それから僕はすぐに現像もできるように設計をし直し、完成した。
これは材料は立体機動装置・改や刀身ボックス・改とは違いそこまで稀少で高価なものではなかったので僕のお金だけでなんとか足りた。
「アルミンっ! ありがとっ!!」
「喜んでもらえて、僕も嬉しいよ」
最近ではそこまで噛むことはなくなってきた。訓練兵団に入った頃は噛まない事の方が少なかったくらいだ。
それが今のように減ってきたのは努力してきたからだと思う。
彼女と話すときに噛むなんて恥ずかしい思いはしたくなかったから。
「ねね、このカメラで記念撮影しようよっ! 全員同時には無理だけど、わけて取れば大丈夫だよねっ!」
彼女はそう言うと、十人ずつくらいに分けて、その中心に彼女が立って写真を撮っていった。
シャッターを切るのは僕が行い、僕が写真に写るときは僕が撮ってあげるよと名乗り出てきてくれたマルコに撮ってもらった。
そして、現像された20数枚の写真全てに写った彼女は全て眩しいほどの笑顔だった。
原作にカメラがあるのかどうかや、立体機動装置や刀身ボックスの設定がどうなのかはわかりませんが、この作品ではそうなんだ、ということで納得していただけると嬉しいです。
それと、息抜きのつもりがなぜか結構な頻度で投稿しているこの作品なんですが、これって短編じゃないのでは……?と思ったので連載に切り替えました。