進撃のTSジャン   作:わっふるなごみん

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進撃のミカサ~ミカサに転生しちゃったけどどうしよう~の息抜きです。
進撃のミカサの方は今後原作から外れる時のために、未だ原作で出てきていない設定を捏造したりしている途中です。


進撃のTSジャン

 私、ジェイミー・キルシュタインは前世の記憶を持っている。所謂転生者だ。

 死んだ覚えはなかったが、気がついたら赤ん坊になっていた。

 それから少し成長し、歩いたり喋ったりしても不自然ではない年齢になると、すぐに情報収集を始めた。

 赤ん坊の頃に窓の外を覗いて気がついたのだが、この世界は前世の現代とはかけ離れていた。

 前世ではよく見るような家ではなく、洋風の家が建っていた。その家は木の骨組みがむき出しだったり等、どこか昔っぽさが出ていた。

 それに赤ん坊である俺の世話をしてくれる母と父の服装や食事などから考えて、昔のヨーロッパ辺りに転生したのかと思ったが、母と父の会話の中にある単語が混ざっていることがあった。

「そういえばケイニーさんの息子のカール君『憲兵団』に入るために訓練兵に志願したらしいわ」

「エルナさん家のビアンカさん、この前この街に配属された『駐屯兵団』の人に一目惚れしたらしいの」

 

 憲兵団、駐屯兵団。この言葉には聞き覚えがあった。

 前世の俺がどはまりしていたコミック、進撃の巨人という作品の中に出てくる用語であり、原作登場キャラが使い捨てされるように死んでいく。

 そんなベリーベリーハードな世界に俺は転生したようだった。

 

 そして、俺は原作に出てくるジャン・キルシュタインの立場かもしれないということ。俺は私だったということ。

 

 私の名前はジェイミー・キルシュタイン。私の生まれた年は835年であり、私の暮らしているウォール・ローゼ南端のトロスト区にキルシュタイン家というのは私の家だけだったことから、私がTSしたジャン・キルシュタインに転生したのではないかという結論にいたった。

 

 TSについては慣れたので特にどうということはないが、恋愛だけはなれることはできないだろう。流石に前世男だった私は男に恋愛感情は持てない。

 

 この世界が進撃の巨人の世界だと気がついてからは、私は怪しまれない程度に筋トレや走り込みなどをして自分を鍛えていた。

 私の家はお世辞にも裕福とはいえない。食事も質素なものであり、肉なんてこの世界に生まれてほとんど食べたことがない。

 前世では親孝行する前に転生してしまったので、この世界では親孝行してあげたいし、私もなるべく裕福な生活を送りたい。

 しかし、一般庶民がそんな生活を送ることができる方法なんていうのは限られており、その方法というのは憲兵団に入るというものだった。

 調査兵団や駐屯兵団でも裕福な生活は遅れるかもしれない。

 けれど、憲兵団に入って努力して位を上げて言ったほうが確実だろうし、調査兵団はいつ死ぬかもわからない兵団であり、駐屯兵団は・……あれ……別に駐屯兵団でもいいんじゃ……。

 ということで、私は12歳になったら訓練兵に志願して、成績上位10位に入って憲兵団に入ろうと思う。もし10位内に入れなかったら駐屯兵団に。

 

 そんなわけで私は既に憲兵団に入るために訓練を始めていた。

 

 

 

 時が過ぎるのは早いもので、私は12歳になった。

 両親にお母さん達が裕福な生活を送れるように憲兵団に入る! と宣言もしたし、筋トレもずっと続けているのだが……、私の体質なのか筋肉がつきにくく、体力も伸びにくく、全体的に身体能力は平均以下だった。それでも諦めずに頑張った結果平均よりもほんの少し上程度にはなったと思う。

 それと二年前、シガンシナ区に超大型巨人が現れ、陥落したという話を聞いたし、実際に私が住んでいるトロスト区に避難してきた人々もいた。

 

 

「貴様は何者だ!!」

「シガンシナ区出身!! アルミン・ありゅ……アルレルトです!!」

 

 金髪で私よりも背が大きい少年の前にハゲで結構迫力のある教官が達、大声で問いかけ、少年は途中自分の名前を噛みながらも言い切る。

 というか、あの少年がアルミンなのか。確かアルミンって結構小柄な方だよね。

 そのアルミンよりも更に小さい。ものすごく小さい私。

 

「そうか、バカみてぇな名前だな!! 親がつけたのか!?」

「いえ!! 祖父が付けてくれましゅた!!」

 

 あ、また噛んだ。アルミンって噛みキャラだったっけ……。

 

「アルレルト!! 貴様は何をしにここに来た!!」

「人類の勝利の役に立つためです!!」

 

 おぉ、今回は噛まずに言えたね。

 

「それは素晴らしいな!! では巨人の餌になってもらおう。三列目後ろを向け!!」

 

 教官の言葉に従い、三列目の人たちは一斉に後ろに振り向き、四列目に並んでいる私と向かい合う感じになる。

 

 そして、教官は私の前まで歩いてくると足を止め、問いかけてきた。

 

「貴様は何者だ!!」

「トロスト区出身!! ジェイミー・キルシュタインです!!」

 

 背筋を伸ばし、はっきりと答える。

 

 第一印象は大事だからね。今いいイメージを持たれておいて損はない。

 

「何のためにここへ来た!!」

 

 憲兵団に入って親孝行するため、と言おうとしたが私は違う言葉を言ってしまった。

「憲兵団に入って、内地でう☆た☆うためです!」

 

 ちょおおぉおおお!!! 私なにネタに走ってるのさ!?

 そのネタは確かに好きだけどさ、一度使ってみたいとは思ってたけどさ!!

 私よ! 親孝行するんだろ!? こんなところでなにをして―――――

 

「あぶなっ!?」

 

 迫り来る教官の頭を一歩後退した回避する。

 私が避けたことに気がついた教官はすかさず私の頭をつかもうと恐ろしい早さで腕を伸ばすが、横に体をずらし、それも避ける。

 

「・……貴様、まぁいい。……貴様は何者だ!!」

 

 教官はなにか言おうとしたが、何も言わず、私の隣にいる人に問いかける。

 

 はぁ……、あぶなかった……。次からはこんなことがないように気を付けよう。

 

 それと、さっきの教官の頭突きと迫る手を回避した事についてなんだけど、どうやら私には相手の未来の動きが分かるのだ。

 わかりやすく言うとNARUTOに出てくる写輪眼の能力みたいな感じだと思う。

 

 ただ、私のは何も消費しないので使い放題、というか常時発動しているのかもしれない。

 

 身体能力などは平均並みだけど、これさえあれば憲兵団に入れるかもしれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

―――――首席、ミカサ・アッカーマン

 持ち前の圧倒的な才覚によって、あらゆる難解な科目を完璧にこなし、歴代の中でも類のない逸材。

 

………

………

………

 

―――――10位、ジェイミー・キルシュタイン

 身体能力は卒業する訓練兵の中では最低クラス、座学も特に抜き出ているわけでもなく中の上辺り。しかし、模擬戦闘などでは首席のミカサ・アッカーマンに勝つことができる唯一の人物。体力は多くはなく、長期戦には弱いが、短期戦では無敗を誇る。

 

 もう少し体が恵まれていれば、とは思うが今のあの小柄な体格でさえ、首席に勝つほどだ、長く生き残ることができればいずれ歴史に名前を残すのはほぼ確実だろう。


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