Muv-Luv -a red shiver-   作:北方線

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久しぶりににこにこできるサイトでテッカマンをみてむらむらしたので書き始めました。SS自体は執筆経験があまりないので生ぬるく見守ってください。
基本投稿は不定期になります。


プロローグ

オービタルリング内部 

 

 かつて世界を救うために建造された人類の叡智の結晶オービタルリング。その姿に

当時の壮大さはなくいたるところから爆発が起きていた。

 そしてオービタルリング内部、燃え盛る炎の中で、一つの命が消えようとしていた。

赤き魔人は白き魔人に倒され、愛故の憎しみから解放された。そしてそれと同時に、

解放された命を散らそうとしていた。

 

 

 

「シンヤ…」

 

 

 

白き魔人、テッカマンブレードはその腕に赤き魔人、テカッマンエビルだった青年、

相羽シンヤを抱き呟く。その体は予想より軽く、まるで何かが抜け落ちているようであった。

 

 

 

「兄さん、悪い夢を見ていたみたいだよ」

 

「シンヤ…お前、元に…」

 

 

 

ブレードに抱えられ目を開けたシンヤは、テッカマンとなりエビルとして殺しあっていた

時からは考えられないほどのやさしい顔だった。

そしてシンヤはわずかに 顔を傾け呟く。その視線の先には黒くうごめく影があった。

 

 

 

「兄さん、足元を見てみなよ。そこに虫みたいなのがいるだろう」

 

 

 

シンヤが示す先に居たのは、瓦礫や炎に阻まれ辺りをうろついている

拳程度の虫のような生物だった。

 

 

 

「こいつは!?」

 

 

「そいつがラダムの本体さ。ラダムは元々寄生生物なんだ。身体を持たず脳髄だけが高度に進化した知的生命体かもしれない。

どんな環境だろうと高等生物の身体を奪うことでその星を支配できるからね」

 

 

 

シンヤの話を聞きブレードは驚愕し、そして怒りをたぎらせる。こんな小さなものに

、こんなもののせいで愛していた弟と争い、愛していた妹を失い、尊敬する父を失った。

そしてまだ倒さねばならない家族、その呪縛が怒りの炎を激しく燃え上がらせる。

 

 

 

「こいつがお前を! もっと早く気づいていればお前をもとに戻すことも…」

 

「それは無理だよ兄さん。僕はもうすぐ死ぬから、だからラダムは僕を見捨てたんだ。

仕方ないことだったんだ…っぐぅ」

 

「シンヤ!」

 

「大丈夫だよ…。今、世界で生み出されている素体テッカマンは彼らの肉体なんだよ。

…兄さん、ありがとう。僕と本気で戦ってくれて」

 

「もうしゃべるな…」

 

「もともと無理なブラスター化でボロボロだったんだ。最後に兄さんと全力で戦えて

嬉しかったよ」

 

 

 

シンヤがしゃべり終えた瞬間オービタルリングを激しい衝撃が襲った。その衝撃で

ブレードはバランスを失いシンヤも床へと身体を投げ出した。

 

 

 

「これは!?」

 

「Dボゥイ! ラダムがここに攻撃を仕掛けてきてるわ!!」

 

 

 

戦いを見守っていたアキが息を切らせながら二人の元に駆け込み,

その情報を聞き戦いに行こうとするブレードを立ち上がったシンヤが制する。そして

その手には赤いクリスタルがしっかりと握られていた。

 

 

 

「大丈夫だよ兄さん…。僕がいる…。僕が兄さんのために戦うよ…テックセッター!」

 

 

 

そう言ってシンヤは再び赤き魔人となり、背後からかけられる兄とその仲間の声を背に、

燃え盛る炎の中へその身を奔らせた。残るわずかな炎燃え上がらせて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オービタルリング外縁部

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

エビルはオービタルリングに取りついているラダムをテックランサーで切り裂き、ブーメランのように刃を展開させ投げつける。

その先にいたラダムは体を真っ二つに切り裂かれ、そのラダムの死体によって作られた道をエビルは

駆け抜けていった。上下左右から次々に押し寄せてくるラダムをラムショルダーで切り裂き、

空間に余裕ができたところでラダムに突き刺さっていたテックランサーを回収した。

そして多くのラダムを殺したところにブレードが追いつく。

 

 

 

「シンヤーッ!!」

 

「何をしている兄さん! 早く月へ向かえ!! そこにオメガが、ケンゴ兄さんがいる!!」

 

「だがっ…」

 

「俺は、もう助からない…ならば、残り少ない生命、兄さんのために、家族のために使う!!

行くんだタカヤ兄さん! そしてケンゴ兄さんを、俺たちの宿命に終止符を打ってくれ!

それが俺の、いや俺たち家族の願いだ!!」

 

 

 

そう言ってシンヤは再び群がってくるラダムを切り裂いていく。その姿を見送りブレードは

背を向ける。そして悲しみの雄たけびを響かせ月へと飛び立った。

その姿を視界に収めながらエビルは残っているラダムを正面へと回す。

 

 

「兄さん…これが俺に出来る最後の事だ…今までありがとう、兄さん…そして

ごめんよ…」

 

 

ブレードを追おうとラダム達が我先にと押し寄せてくる。そんな奴らを体の真正面にとらえ、

エビルは身体に残っている力を振り絞り胸を前へと突き出す。そして徐々にレンズへ光が

集まり、赤い命の光を迸らせた。

 

 

 

 

「ボルテッカァァァァァァーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

その赤い光に飲まれたラダムは原子レベルから消滅しその先には何も残っていはいなかった。

そしてエビルもまた、赤い粒子を自分のいた空間に残し、その姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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