不死身の不死物語   作:貧弱戦士

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陸 呪いと旅行

「おう、久しぶりだな」

 

「おぉぉぉまぁぁぁぁえぇぇぇえええええ!!!!!!!」

 

 

 

風が吹き荒れる、この広大な荒地。元は荒地ではなかったのだろうと、地面に草木がわずかに残っている

 

だが、その上には2千体の死体が―――。二度と人たちはこの大地を歩けないだろう

 

そんな死体の山の天辺で居座っているのが、まるで野獣のような人物。漆黒のような黒髪、野生児のような目つき、そして服装が白一色

 

間違いない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の兄さんだ

 

 

 

「白峰 虎之助。今、ここに現れるってか?」

 

「何故あなたがここにいるんだぁ!! 答えろ、『白虎』!!」

 

 

 

お互い臨戦態勢に入る

 

 

 

「ん~~~~~~~………気分」

 

「ふざけんなぁ!!!」

 

『ドォオオオン!!!!!』

 

 

 

奴はニヤリと笑、颯爽と答えた。俺はそれが気に食わない その笑顔が気に食わない

 

反射的に言葉と体が動き、奴に目がけて『放った』。炎をも燃やす『聖火』を

 

 

 

「効くか、アホが」

 

「くっ…!」

 

 

 

何もなかったような顔で、この死体の山から下りてくる。一歩一歩、覇気を纏いながら

 

確かに全身くらったはず!? だが、そんな疑問はとうに掻き消えた。なぜなら、こいつという存在を知っているから

 

雲が動き、大地が震えるのを感じる。あいつの狙いは俺であるが…………

 

 

 

「と、とまれ!!!」

 

「ッ!? 何しているトンプ!! そいつ等から離れろ!」

 

「ほぅ、この『最強』に武器を向けるか?」

 

 

 

俺をここまで連れてきたテンプル騎士の一人が、『最強』に立ちはだかりだした

 

何してる? 止めろ!!!!

 

剣の先を向け、鎧・武器・全身がガタガタ鳴っている。『最強』はまたも笑、剣先を撮む

 

 

 

「貴様、何故『最強』に『威張ろう』とする? 武器があるからか? 自分は負けないというアホな事を考えているからか?」

 

「お、おおおお俺は今ここでお前に立ちはだからなきゃいけねぇんだ!!

 

 わかんねぇけど……!!!

 

 だけど、俺は自分の正義のために『テンプル騎士』に入ったんだ!

 

 悪を認めないのが、信念である俺らにはお前を止めなきゃいけねぇんだよ!! 

 

 倒さなきゃいけ「あっそ」」

 

 

 

虎之助は聞き飽きたらしく顔に表情が出て、どうでもいいらしい

 

奴の手のひらが剣先に当てているが、一切も血が出ない。しかも、そのまま押しつぶすように押す

 

あの騎士は計り知れない力に敗れ、剣を離してしまった……だが、これで終わりではなかった

 

 

 

『グググ』

 

「ぐ、ぐあぁあああああああぁぁ!!!?」

 

 

 

剣の持つ方からだんだんと鎧に食い込んでいったのだ。鋭くなく、むしろ『叩く』しかないだろうと部分から

 

ありえない現象が、この騎士たちの目に映っている

 

 

 

「いいか、よく聞け『弱者』とも。すでに己の体を信用しなく、『武器』というのに頼った奴は軟弱ものである。そんな奴らが俺に『武器』を向けるなど………俺の弟以外ありえんのだ!!!!!」

 

『グサ!!!!』

 

「あ………あぁ…………」

 

「トンプ!? い、いやぁあああああああああ!!!!!!」

 

 

 

奴の手のひらが思い切り動いた。そのまま押し、ついには柄の方から刺さった

 

血が辺りに吹き出し、白峰の顔中に飛び付いた。それを感じ、ヤツはまたも笑だした

 

もう一人の騎士は悲鳴声をあげて、そのままガシャンと座り込んだ

 

 

 

「さぁ、どうする弟。貴様の能力でこいつ等を『生き返す』か? だが、酷いよなぁ……俺らみたいな存在は世界に害するなんて。救う価値あるのか?」

 

「なんで兄さんがそんなことを」

 

「ふふっ。俺も言われたからさ……ある博士に」

 

 

 

視線が何故か空に向けた。兄さんは今、何しているんだ? そこに疑問が出てきた

 

 

 

「………どうする弟。今ここでバトル漫画的なことするか? この世界で誰が一番強いか天下一武道会するか」

 

「しゃらくせぇんだよ。俺を喰いたいなら、そう言えよ」

 

「ご名答」ニヤリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドォン!!!』『バン!!!!』『ガァアアアンン!!!!』

 

 

 

火ぶたがきって落とされた。俺と兄さんは空中に移り、お互い攻防を繰り広げている……

 

わけではない

 

俺が炎を放てば兄さんに喰われ、素早い動きで攻撃するが全て効かなく、接近戦だと……

 

 

 

「はははははは!!! なつかしいなぁ、俺にボコボコにされていた時期を思い出すな弟ぉ!」

 

「この! 化け物! がぁ!!

 

 

 

俺が完全に負ける

 

勝ち目がないのは最初っからわかっていたが、戦わなきゃ生き残れない。まして、逃げても追っかけてくる場合もある

 

どうすれば………!!!

 

そう考えていると、わき腹がまたも熱く痛みが増してきた。しかも、それは前よりも倍に

 

空中から落っこちて、わき腹を支える。兄さんも降り、足先が俺に近づく

 

 

 

「おいおいおいおい、こんなもんかよ『朱雀』さんがよぉ。お前は痛くても、すぐ回復する奴だったのに」

 

「う、うるさいんだよ!! こんなときに……」

 

「ん? おい、わき腹が青く光ってるぞ。どうした」

 

 

 

奴は強引に俺の服を剥ぎ取り、マジマジに『呪い』を見つめる

 

よく見たら、さらに広がっていた

 

 

 

「『呪い』か……にしては、なんかおかしいな」

 

「俺の能力でも治せないもんなんだよ。本当に、どうなってんだよこの世界」

 

「痛むのか?」

 

「ちょっとね。なんて、その数倍痛いよ」

 

 

 

服装をちゃんとし、そのまま立ち上がる。運がねぇ、まさかこいつに見られるなんてよぉ

 

 

 

「おい弟、俺が喰らいついてやろうか」

 

「はぁ!? 兄さんそんなことできるの!?」

 

「バカヤロー。前までお前らの風邪とかインフルエンザとか俺が治してやったろ? あれと同じだ」

 

「つか、さっきまで僕たち戦ってたよな」

 

「弱いお前に興味ない。強くて不死身のお前に興味あるんだよ。おら、さっさと腹出せ」

 

 

 

またも服を脱がされ、今度は変な絵図で兄さんの牙が俺のわき腹に刺さろうとしている

 

いや、喰われそうだな

 

 

 

「(なるほど。これは妹のよりかは、最悪な奴だな。まぁ、俺にかかればなんともないが……)」

 

 

 

兄さんは思い切り口を開けて、いざ咬みつこうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?!?!?!?!?」

 

「に、兄さん……?」

 

 

 

だが、途中で兄さんの意気込みが消えたかのように咬みつく前に俺に離れた

 

そして、何回も牙を吹きしまい込んだ。一体なにが……

 

 

 

「そういうことかよ、チクショー。罠だってか」

 

「え? どういう……「弟、これを解きたきゃソイツを探せ。俺はどうやらこの世界で狙われているらしいから、一旦帰る。じゃあな」ちょ!?」

 

 

 

そのまま一瞬にして消えて行った。この死体の山と、俺を拘束した気絶した騎士と兄さんに殺された騎士を置いといて

 

 

 

「………………くそぉおおおおお!!!! なんかめんどくせぇーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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