不死身の不死物語   作:貧弱戦士

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肆 夢と現実

『ネギに手を出すな…』

 

『………』

 

 

 

誰だろう、この人達は……。僕は薄れゆく視界で、ある二人に注目しだす。白いローブを被っている、長身の男

 

それと……

 

 

 

 

人とは思えないほど、全身に炎を纏っている男が二人、この荒れた村に立っている。しかし、何処かで感じた雰囲気だ…温かく、とても優しい感じだ

 

体が動かない。あぁ、そうか……僕は、奴らに気絶されたんだった。何時ものように魔法の練習して、帰ってきたらこうなっていた

 

目の前はまるで現実とは思えなかった。村が焼かれ、奴らがうようよ居た。そんな中僕は入って行き、村人を探した

 

スタンおじいちゃん、ネカネおねえちゃんのお父さんやお母さんも…けれど

 

 

 

『この子はやらせん!』

 

『くっ!!』

 

 

 

みんな…みんな僕を守ってくれた。スタンおじいちゃんとネカネおねえちゃんは、身代わりとなって、石にされてしまった

 

 

 

『………』スッ

 

『やるのか? なら手加減はしねぇぜ……』

 

 

 

僕はなんで……なんで、こんなに使えないんだ? ただの子供だからか? 否 魔法も使えないからか? 否

 

 

 

『…………』ブツブツ

 

『ビシャン!!!!!!!』

 

『チッ!? 雷の魔法か!』

 

 

 

薄れゆく意識の中で、僕はこの二人をもう一度注目する。白い方は詠唱を唱え、雷魔法を連続出している

 

もう一方のは、かわせられないとわかりただ突っ込んでいる。こんなの自殺に近いが、攻撃が当たっていても何ともない顔だった

 

炎の男は腕を全開に広げ、勢いが増し形が変わりだす

 

 

 

『スピード勝負だ。『絶鳥』!!!』

 

『ッ……!』

 

『ビュウゥン!』

 

『ドサッ』

 

 

 

翼の形になり、急に速さが変わった。白い男に突撃したが、間一髪避けていた。そしてまた魔法を唱える

 

炎の男も負けじと、全身の形が変わりだす

 

この二人を見て、僕はわかった。そうだ…………この二人のように強かったら、僕は皆を救えるんだ

 

そして、お父さんにも会える…。轟音がなり続ける中、僕はついに意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ン…………」

 

「おぉ、起きたかネギ」

 

 

 

目が覚めると、そこは知らない場所だった。窓からさしこむ光で、目が覚めたんだろうか。右を見ると、そこに右京さんが居た

 

 

 

「………あ!? お爺ちゃんとおねえちゃん…村のみんなは!?」

 

「……………ネギ」

 

 

 

想像したくない。けれど、これは現実である。僕は右京さんに聞いたが、浮かない顔だ

 

どうやら、最悪の結末が待って―――

 

 

 

「おぉ、生きておったか坊主」

 

「ネギ!? 良かった……本当、良かった」

 

 

 

 

「………へ?」

 

「恐ろしいほど元気だぞ。まるで妖怪だな「「誰が!!!!」」ぐふっ!? 黄金のダブルストレート!?」

 

 

 

部屋の扉から勢いよく、あの二人が現れた。唖然としているが、どうやらこれは現実らしい

 

すると、目から冷たい何かが流れ出した

 

 

 

「うぐっ……ふぇ……」

 

「「「!?!?」」」

 

「い、いきてた……よがったよ………!!」

 

「お、おいネギ…。おい、何ウチの子泣かしてんだ妖怪共!!」

 

「誰が妖怪ですか!? それはポジション的にスタンさんですわ!!」

 

「待てネカネ!? ポジションとはどういう意味じゃ!? これだから最近の若いもんは…!」

 

『ワァーワァー!!』

 

 

 

部屋が騒がしくなった。あぁ、これが現実なんてとても嬉しいよ。その光景をみて、そっと笑い出した僕

 

あぁ………よかった、『夢』で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE右京

 

 

 

ネギはこれから診察するとか言われ、俺たちは一旦部屋から出る。ここはネカネが通っている学校で、安全らしい

 

 

 

「……………右京、お主何したんじゃ」

 

「あ? なんのことだ」

 

「とぼけても無駄じゃ。ネギは夢だと思っているが、ワシ等は騙されんわ」

 

 

 

爺が何時にも増して真剣だ。ネカネは俺を逃がせないように、俺の背後に回る

 

 

 

「ワシ等村人は完全に石化され、ネカネは腕を失った……けれど、どうじゃ? 目を覚ませば呪いは解かれ、ネカネの腕が生えているではないか」

 

「右京、教えて。あなたは……一体何者なの」

 

「…………」

 

 

 

察しがいい奴らだ、ホント。俺は目を合わせられず、遠くの方を見る。けれど、それでもこの空気の重さは軽くならない

 

 

 

「……………俺は「千鳥 右京殿だな」ん?」

 

「私らは『魔法世界』の者だ。千鳥 右京殿はアナタで間違いないか」

 

「あぁ、俺だが」

 

「では、こちらに来てもらおう。もちろん拒否は認めん」

 

「………チッ、テンプル騎士の者か」

 

「テンプル騎士…? スタンさん、それって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナタはこの『現実世界』で害を脅かす存在であると、決定された」

 

 

 

 

 




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