没ネタ集   作:亜莉守

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プロローグ

 

始業式

 

「あ、おはよ」

「おはよ、明久」

「どうしてここに居るのさ」

「いや、俺とお前同じ学校だろ?」

「あ、忘れてた」

 

お前ら友人だろうにというツッコミは無しで。

 

「ところでだが、明久」

「なーに?」

「なんでセーラーなんだ?」

「へ? あああああっ!?」

「はぁ、とりあえずジャージ貸してやっから公園で着替えてこい」

「う、うん ありがとう!」

 

ダッシュで公園に向かう明久を見て広夢がため息をつく。

 

「はぁ、この先が思いやられるぜ」

 

友人? いえいえ、(お互いに)保護者です。

 

                    ☆

 

学校直前の坂道にて

 

『ねぇ、ねぇってば!』

「アキの奴は元気だよなー。流石にこの遅刻しかけの中、他人に話す気力なんか俺には無いぜ」

 

赤い短髪のガタイのいい少年が振り向く。

 

『なんだよ』

『あの子が話しかけてるのに聞こえてないの?』

『はっ、どうでもいいだろ。てかお前は何でジャージなんだ?』

『ああ、これ。うっかりセーラー服着てきちゃってさ』

『はぁ?! セーラー服?!』

 

広夢があちゃーと内心呟いた。

 

「しょうがねーか、フォロー入れねーといらん誤解が増えるな」

「違うぞ、多分こいつの姉貴の陰謀だから」

「ん、お前は?」

「この馬鹿の幼馴染、まあよろしく。ところでお二人さん、もうそろそろ早足で行こうぜ? 遅刻確定しそうだ」

「「あ!」」

 

そのまま普通に登校、遅刻? ぎりぎりセーフ!!

 

                    ☆

 

図書室にて

 

「お、どした? フランス語なんか調べて」

「あー、帰国子女のあの子居るでしょ」

「あー、あのいい笑顔でとんでも発言した彼女?」

「うん、あの子 あの子に『友達になりませんか』って言いたくて、でもあの子こっち来たばかりだから多分英語分からないからその国の言葉で言った方がいいかなって」

「ふぅん」

 

広夢はあいつってドイツからだよなとか考えるけど言わない。

 

「(ま、言ってもしょうがねーか)」

 

基本は放っておくスタンスです。

 

                    ☆

 

放課後、公園にて

 

「あ」

「どした?」

「女の子だ」

 

明久が公園のブランコに寂しそうに座っているツインテールの少女を指さした。

 

「お、本当だ」

 

明久がすぐに話しかける。

 

「ねえ、どうかしたの? 何か悲しいことでもあった?」

「……お姉ちゃんにプレゼント買おうとしたのです」

「うんうん、お姉ちゃんに何買おうって思ったの?」

「おっきいノインちゃんのぬいぐるみです」

「そっかぁ。ぬいぐるみ買えなかったの?」

「はいです。お金足りないって……」

「じゃあ、一緒に見に行こうか」

「へ?」

「お兄ちゃんにも手伝えることあるかもだから……ね?」

「……ハイです!」

 

さくっと話を付ける明久をみながら広夢は呆れた。

 

「相変わらずながら人誑しで……」

「おーい、何やってんのさ。一緒に行くよー」

「ヘイヘイ」

 

そして雑貨屋にやってきた。

 

「でか、そして高っ」

「これかな」

「はい………」

「ふむ、俺の手持ちでギリギリどうにかなるか。えっと、君は?」

「葉月です!」

「葉月ちゃんはお金いくら持って来てるんだ?」

「えっと、これくらい」

 

1万、この年頃の女の子が持つには大きい金額だなと思いながら広夢はつづける。

 

「なら、二人で半分して買うか」

「え、でも」

「気にすんなって。精々今月の昼飯なくなるだけだから」

「おい」

 

明久のツッコミが入った。

 

「で、でも」

「大丈夫、こいつに昼飯作ってもらえれば別に食いっぱぐれないし」

「え?」

 

明久が驚く。意地の悪い笑みを浮かべて広夢が言った。

 

「いやぁ、期待してるぜ。ダーリン?」

「……はぁ、まあいいけどね。ハニー?」

「お兄ちゃんとお姉ちゃんはお付き合いしてるのですか?」

 

葉月が首を傾げた。

 

「え?」

「だって、旦那さんと奥さんですよね?」

 

二人はアイコンタクトを取った。

 

「(あっちゃぁ、子どもの前でやる冗談じゃなかった)」

「(う、うん どうしよう)」

 

よし、誤魔化そう。

 

「あはは、なーんてね。僕らはそれくらい仲がいいんだよ」

「そうなのですか」

「そうだぜ。さて、葉月ちゃんのお姉ちゃんのためにもお人形買わないとな」

 

窃盗騒動フラグは折ったつもりだった。

 

                    ☆

 

窃盗騒動終了後、明久と広夢が昼食中。

 

「は? 観察処分者?!」

「う、うん……この前の窃盗騒動の時にね、僕が犯人扱いされちゃって」

「はぁ、何やってんだよ教員」

「この前紛失した学生証を誰かが無断で使ったみたい。その日に紛失届出しておいたのになぁ」

「ねーわ。まじでねーわ」

「アハハ、うん」

 

文月学園のシステムに疑問を持った広夢、この後じわじわと変えていこうと努力するかも?





広夢は召喚戦争の彼女とは地味に違うけど大元は一緒です。
大幅改変をするつもりはないけど理不尽には対抗する人の話。


設定

久木広夢
今作主人公、明久と瑞希の幼馴染、他にも二人幼馴染が居る。てか全員で一グループ
乱暴な言葉づかいだがこれは素、昔は男に間違われることも多々あった
一応女子制服は来てるので普通に女扱いされてる
転生とかの記憶はないけど魂に刻み込まれているのか『正義の味方』にこだわりがある


吉井明久
今作ではパートナーポジ? 広夢や瑞希とは幼馴染、仲がいい
無自覚に人を救っている節がある
コミュ力は高い


島田葉月
島田の妹、ケンカしたお姉ちゃんにプレゼントを買おうとしたときに二人に遭遇した

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