それは奇跡のようで必然のようで偶然だった。
外に出ればあたり一面の赤い霧、太陽すら見えない。
「何だ……これ」
普通に出かけただけだったはずなのに何でこんなことになってるのさ。
ふと空を見上げている間に何か赤と白の物体が空を飛んで行った。
「?!」
あわてて見直すと今度は黒と白の何かが空を飛んで行った。
「……れっつごー」
今思えば何でこんなことしたのやら。まあ、それが運命だったってことで。
歯車は追いかけはじめた時点で回ってた。
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「……湖?」
霧の中を進めば湖に出くわした。ふと、思うんだけど近所じゃないよね。僕の家、普通に街中だし。
「ん?坊主何やってんだ?」
後ろを振り返れば何故かひし形の氷のような羽の生えた女の人が片膝立てて座っていた。
それに僕の身近に、普通に背中に羽が生えた人なんて居ないし。
「さっき紅白な何かと白黒な何か飛んでこなかった?」
「飛んできたぞ。何だあいつらと知り合いか?」
「ううん、見たから追いかけてきただけ」
「好奇心は猫をも殺すぞ? ま、いいか。つまり迷子か」
「ま、まあ」
その青い羽根に水色の服、時期外れの青いマフラーをしたその人は面倒臭そうに立ち上がった。
「しょーがねーなー、おい坊主、手を出せ」
「?」
彼女は僕に手を差し伸べにぃっと笑った。
「名前は?」
「………明久、絵師の明久」
「そうか、あたいはチルノ 氷精チルノだ。よろしく」
彼女の手を取ると僕の体まで浮き出した。
「え?ええっ?!」
「紅魔館に用事だろ? あたいも暇だし付き合ってやるよ」
チルノと僕は空を舞う、正確には水面すれすれを飛ぶ。
やがて大きな洋館が見えてきた。
「あれは?」
「あれは『紅魔館』吸血鬼が住む洋館さ」
吸血鬼、と聞いて息をのむ。吸血鬼は余所の国に出る妖怪のはずだ。しかも太陽嫌い、この土地では出ないはず。
門のところまで向かうと誰かがボロボロで門にもたれて座っている。
「よ、門番」
門番さんならしい。その人は赤い髪に緑色の中華服を着た女の人だった。
「どうもです。今、館に用事ですか?」
「おう、紅白と黒白が中に入っただろ?」
「ええ、止めたかったのですがご覧の有様で」
なんだかよくわからないけど、あの物体は物騒らしい。僕らが中へ入っていこうとしたら門番さんは立ち上がって言った。
「あ、もしかして入る気ですか? それなら私を倒し「氷符『
まさかの凍らせた?! 門番さんカチンコチンに固まってるし。
凍ってしまった門番さんを横目に見ながら僕らは中へと進んだ。
全然アマ公出てないんだけどね!
設定はバカムラに継承されてます。
幻想郷に迷い込んだ天道太子見習いと湖の氷精の話。