寒すぎて布団から出るのすら嫌になるけどしょうがない。嫌がる体を無理やり動かして、布団から出る。寝ぼけ眼を擦って伸びをした。おお、寒い。思わず体がぶるぶるさせて寝る前に脱いでいた上着を羽織る。
「さて、春です。春ですねぇ……」
そう呟きながら、部屋の障子を開けるとそこは、
「………」
物凄く吹雪いていた。予想がついていた光景に思わず
「ですよねー」
と呟いてしまった。ああなんでこんな状況なんだろう。
本日四月上旬のある日、今日から学校なのに吹雪って……行くのが嫌になるなぁ。
ここ最近ずっとこんな天気だ。春が来ないって言った方が正しいかな。ぼうっと考えていると誰かに服の裾を引っ張られた。
「………(くいくい」
「あれ、霊夢?」
彼女は博麗霊夢、僕の居候先の家主で同じ学校に通う同級生。この博麗神社の巫女さん。普段は脇が出た清楚なのかコスプレなのかよくわからない巫女服を着てるけど、流石に寒いんだろうね。和服にもこもこに綿の入った半纏を着てる。
「………」
霊夢が無言で電話を指した。電話からは着信音がするってことは。
「あ、学校から電話?」
「…………(こくこく」
彼女は殆ど喋らない、それでも何を言っているのかはわかるけど、友達である僕やほかの何人かにしかできないけどね。
霊夢に言われて電話を手に取る。
「はい、博麗神社ですが?」
『あ、その声は吉井君ですね』
電話口から聞き覚えのある男の人の声がした。一年の頃にお世話になった福原先生だ。温厚な性格で割と怒らない。それから何かと問題児だった僕のことを見限らないで接してくれた先生なんだよね。
「福原先生ですか、何か御用でも?」
『ええ、そちらの方は吹雪ということで始業式免除のお知らせです』
やっぱりそうなったんだ。この吹雪はきついものがあるよ。
「わかりました。わざわざお電話ありがとうございます(ぺこり」
いや、頭は下げても見えてないからわからないだろうけどなんとなくやっちゃうんだよね。
電話を切ってどうしたものかと考えていると、
「………(こてん?」
「あ、学校さすがにこの吹雪だから免除だって」
「………(ぷくー」
霊夢が不機嫌そうに顔を膨らませた。霊夢は学校好きだもんね。
「しょうがないよ。霊夢、この天気の中行けるの?」
「………(ふるふる」
ここまで吹雪いていたら無理だよ。それこそ『炎を操る程度の能力』とか炎が出てくるカードとか持っている人でも居ない限り。これで学校に行く勇者はいないよね。
これは幻想と魔法が入り混じった世界のオハナシ。
全てはここから始まった。そんなわけで『東方氷娘記』のプロトタイプ?
ニコニコの某日記を見てたせいで霊夢のキャラがこうなった。