IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者― 作:オウガ・Ω
「うわああああ~♪」
「どう、リッ君束さんが作ったこの子の感想は?」
「すごいよ束おねえちゃん…お空が手にとどくみたいだあ♪」
雲ひとつない真っ青な空、その空にニンジン型のロケットが飛ぶ。その中で一人の少女が自分より小さな男の子と空を見ている
「リッ君、もしこの空の向こうに行くことが出来るなら何をしたい?」
「う~ん。ボクはねたくさんの星をみたい♪それでねたくさんのお友だちをつくりたい」
「フフ~ならこの束お姉さんにまっかせなさ~い♪この空の向こうに広がる宇宙に行ける《翼》をつくってあげるよ~」
「ほんと!じゃあゆびきりしょ」
「「ゆびきりげんまうそついたらゴルディオンクラッシャ~くらわ~す、ゆ~びきった」」
真っ青な空の上で交わした少し怖い光にな~れな約束…男の子のために少女は作り始めた
成層圏を超え宇宙へ向かう夢の《翼》を
世界を変える《翼》を人々の目にするとき、世界は大きく動き出す
「それがアナタのISですか?」
「ああ、宇宙開発公団次世代深宇宙探査多目的作業用IS…ガオファーだ」
「見たところ武器はついて…」
「まあ武器はないけど」
拳を正面に構えるとジャキンと金色に輝く隕石破砕切断爪《ファントムクロー》を展開する
「まさかと思いますけど、それだけで戦うきですの?」
「ああ、これだけだ…ていうかこれしかないんだよね…ガオファーにはさ」
「そ、そうですか……でも手は抜きませんわよ」
「ならこっちも全力で」
「「行くぞ/いきますわよ!」」
掛け声と共にガオファーとブルーティアーズは空を駆けた
第二話 獅子の咆哮
「ハア!」
「!やりますわね、ならこれはどうです!!」
ブルーティアーズのビッドのレーザーを回避、ファントムクローで受け流し飛翔、両肩のウルテクスラスターを全快にし間合いを摘め守るように立ちはだかるビッド二基を切り払い
(…ビッドはあと二つ…でも一夏くんと戦ってた時より攻撃が鋭いし正確だ…シールドエネルギー残量80……キツいかな…いや!)
「はあああ!」
弱気な考えを振り払うと同時に背後に迫ったビッドを駒のように回転しながらファントムクローで切り払った
「さすがですわね!」
「オルコットさん…こそ!」
声と共に最後のビッドを切り払い、続けてオルコットさんにファントムクローを構え迫る。オルコットさんは二つの誘導型ミサイル、スターライトMk-Ⅲを構えエネルギー弾を弾幕のように撃ち放つ
「グア!」
そう簡単に懐に潜らせてくんないか…仕方ないアレを使うしかない!
「プロテクト・リング!」
胸部シャッターが開き光輪が顕れ迷わず左手のファントムクローを突きだす
「プロテクト!クロオオオオオ!!」
ウルテクスラスターから光がほとばしり左腕にプロテクト・リングを纏ったファントムクローが円錐上にバリアを展開しレーザー弾、ミサイルから身を守りながら突っ込む
「な、何ですの!絶対防御?いえバリアなのですの!?」
「うおおお!ファントム・リング!ブロウクウゥゥン…ファントム・クロオオオオオ!!」
弾幕の雨を抜けるとすでに展開していたファントムリングをファントムクローに纏わせ加速する
――――――――
―――――――
「す、すごいな燐のやつ」
「ああ、まるで」
息を飲んで見守る一夏と箒の目には金色に輝く獅子が咆哮をあげながら突撃する姿とガオファーが重なる
「「まるでライオンだ」」
二人同時に口に出したのに気づき照れ隠しと言わんばかりに箒からそっぽを向かれ落ち込む一夏
気を取り直し二人の試合を見守る
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「ハアアアアアッ!」
ブロウクン・ファントム・クローがオルコットさんのスターライトMk-Ⅲごと殴り抜くと余りの衝撃にオルコットさんの体勢が崩れた
「きゃああああ!?」
今のでシールドエネルギーは削れたはず、再びファントム・リングを展開し追撃しょうとした瞬間
「あ、アレ?」
突然目の前が真っ暗になりそのまま地上へ落ちていく
それにGSライドのパワーが上がらない
(し、しまった熱暴走起こしてる…)
身体の奥から熱さが込み上げ意識が遠退いていく…地面がどんどん近づいてくる
(少しだけでいい動いてく…動けよ…オレはまだ……諦めるわけにはいかないんだあああ!!)
GSライド、GSジェネレータが最大稼働し始め力が戻る。地面すれすれでウルテクスラスターで滑空し地上へ降り立つ
「はあ、はあ、はあ…」
「だ、大丈夫ですのアナタ?」
「ああ、それよりも決着を…」
再び飛翔しファントムリング展開と同時にブザーが鳴り響いた
『試合終了。勝者―――セシリア・オルコット』
そのアナウンスを聞いて慌ててウィンドウを開くとさっき展開したプログラムリングがSEを消費した結果らしい
「あはは、負けちゃ……った……」
グラリと視界が歪みそのままゆっくりアリーナの地面へ降下するなか、誰かの声を最後に意識を失った
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――――――――
「獅童!?熱っ!?(熱暴走起こしてる…)」
「お、織斑先生、何でここに」
「……気にするなオルコット、すぐにピットに戻り公団へ連絡を繋いでくれ。今すぐに」
「は、はい」
ピットに戻るオルコットを見届けすぐに獅童のISガオファーを解除すると待機状態のガオファーのアジャスターシステムを起動させる
(GSジェネレータ稼働率40、熱暴走警告イエロー…冷却ジャケット展開)
冷却ジャケットを展開すると同時に各部の異常を示すパラメーターが正常値へ戻るのを見て安堵する
おそらくバイオネットから移送中の白式を守るためガオファイガーで戦い、終えてからこちらに来た
ったくコイツは昔から無茶する…《あの日》からずっとな
少しため息をつきながら連絡が来るのを待った
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――――――――
「ん?ここは」
「お?気がついたみたいだな」
「一夏くん?」
「試合が終わってから倒れるなんて、俺心配したんだぜ…でも千冬姉がここまで運んでくれたんだから後でお礼言ったほうがいいかもな」
「(ち、千冬さんがオレを!?)…そうなんだ。一夏くん。オレ負けちまった…あと少しだったんだけどな」
「俺も同じさ、千冬姉や箒にさんざん言われたけどさ…でも「これから強くなればいい」……え?」
「オレや一夏くんはまだIS初心者だ。ならこれから強くなればいいって思うんだ」
「おう!互いに頑張ろうぜ…あと少ししたら飯だから一緒に食いにいこうぜ」
「わかった、じゃまたあとで」
そう言い一夏くんは医務室からでて行く、オレは体を起こしベッドの外に立つ
「…なんかオレに用ですか?」
カーテンが開かれると、水色の髪に上級生が着る制服を纏った子が扇子を広げ立ってる
「あら、気づいたの…まあ別に用と言うわけじゃないんだけど(じ~~~~~~)」
「?」
「ふんふん……いい体つきしてるね」
「あ、あの何か?」
「……じゃ機会があったらまた会おうね♪獅童燐くん♪」
体をあちこちさわりじっと見ながら、やがてパタンと扇子を閉じ医務室から去っていく…
いったい何がしたかったんだろ?
―――――――――
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『ちーちゃん!リッ君は、リッ君は大丈夫なの!?』
「落ち着け束、燐ならさっき目を覚まして一夏と篠ノ之と食堂にいってる」
『そ、そうなんだ…束さんのせいだよね…あの時、アジャスタしてれば』
今二人が会話してる場所は公団から来たトレーラーの中にある通信室…先ほど燐が倒れたと聞いた束との通話の真っ最中だ
「燐は束に心配をかけさせたくなかったんだ…それに束、お前最近寝てないだろ」
『う、そ、それは…その…だって今作ってるG-IS-03、04の調整が上手くいかなくて…』
「燐の為に何かするのはいいが…お前が倒れたら燐はすぐに公団に戻って看病するぞ」
『でも、これ以上無茶をしたら…したら…リッ君が…』
「…束、私も出来うる限りのサポートをする…大河さんと火麻さんにもそう伝えてくれ…それと元気を出せ束。燐は元気のないお前を見たら何かあったのかって気づくぞ、今日は燐と話すんだろ?ならいつもみたいに無駄に元気な束に早くもどれ」
『う、うん!そうだねちーちゃん。タイガーさんとピューマさんにそう伝えておくね。じゃあね♪』
元気よく手を振りながら通信が切れたのを見てフウッとため息をつく
「やれやれ…昔の束だったら考えられなかったな…ライさん、マヤさん、燐と出会ってからか…」
そう呟くと千冬は公団のトレーラーから出る、トレーラーは静かにIS学園ゲートに向かうのを見届け、そのまま教員寮へと歩いていった
第二話 獅子の咆哮 了
君達に最新情報を公開しよう。
クラス代表をかけた戦いを終えた一夏と燐、だが衝撃の真実が千冬からいい渡される
しばらくして一夏と燐に別々な場所で幼馴染みと無口な少女と出会う
IS《インフィニット・ストラトス》~白き翼の戦士と勇気あるもの~
第三話 出会い
次回もファイナルフュージョン承認
―更識簪―
Catch the Winning Key!
これが勝利の鍵だ!