IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者― 作:オウガ・Ω
アレカラドレグライタッタンダロウ
アツイ…スコシカラダヲウゴカスダケデアツクナル…ソレイジョウニ
コレヲダストキイタミガハシル…テノヒラカラサンカクケイノ『ブレード』ガノビテル
『コウシュウハブレード』ッテイウラシイ…テノヒライガイカラモ『ブレード』ハデル…デモダスタビニ『イタミ』ト『アツサ』ヲカンジル
―さあ楽しい実験の始まりだよ~アッハハハハハハ~―
キョウモジッケンガハジマル…ヒニヒニカラダガアツクナルノガヒドクナル
ニブイ『イタミ』ト『アツサ』ヲカンジナガラヒジカラ『コウシュウハブレード』ヲダス
―フシュッ、フサュ!―
スウタイノ『ジュウジン』タチガメヲチバシラセナガラ、オソイカカッテクル…カルクナデキルトオトモナク《ジュウジン》ノウデガオチル
チヲマキチラシナガラナグリカカッテクル…ワズカニカラダヲウゴカシスリヌケザマドウヲハラウ
コウシュウハブレードヲフルウタビニカラダガアツクナル…ウゴキガニブクナリヤガテヒザヲツイタ
アツイ…アツイ………アツイ!!
「……一夏くん、あと少しだ」
「……99、100!っはあ!き、キツいなコレ…って燐は平気なのかよ?」
「ああ、これぐらいで音をあげたら夢が遠退いてしまうからな」
「「夢?」」
竹刀を降ろし肩で息を切らしながら不思議そうに聞いてくる一夏くんと篠ノ之さん。いまオレと篠ノ之さんと一夏くんは武道館でいよいよ三日後に迫ったクラス代表をかけた戦いに向け特訓していた
ほんとうはISを使えればよかったんだけど、中々使用許可が降りなかったのと
―三日前―
―中学では何部に所属していた―中学からずっと帰宅部だったけど―
―……なおす、IS以前の問題だ!これから毎日、放課後三時間、私が稽古をつけてやる!―
以前、一夏くんが剣道をやっていたんだけど三年のブランクはかなりヤバイ。
先ほど模擬試合をみてもそれが手に取るようにわかる。足さばき、体重移動、竹刀を振るうスピード、踏み込みの速さ…一夏くんよりも篠ノ之さんが早い
―確かに、IS以前の問題かな―
―り、燐まで…でもお前も不味いんじゃ…―
―…そ、そうだった、オレもオルコットさんとやるんだった~…篠ノ之さん、オレもその特訓に参加していいか?―
―な、何故、獅童が参加する必要があるんだ!―
―いや、オレもまだ専用機が宇宙開発公団から届かないし…体を動かさないと鈍るから…―
―マジか、燐!箒もいいだろ?来週は燐もアイツと戦わなきゃいけないんだ、このとおり!!―
―う、わかった…一夏が言うなら仕方ない…特別に獅童も参加させてやろう!―
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てな感じで特訓に参加してるんだけどオレにとって剣道は初めての経験ばかりだった
他の格闘技は束さんと火麻さんに教えてもらったりしていたからできるけど…
「なあ、燐の夢ってなんなんだ?」
「オレの夢?………宇宙飛行士になることかな
「宇宙飛行士?」
「まだ月にしかいけないだろ?」
「…オレは月よりも先にある場所へ行ってみたいんだ…その為にはISが必要なんだ」
「………獅童、ISがなんでお前の夢に必要になるんだ?」
篠ノ之さんと一夏くんがじっとオレを見て答えるのを待ってる
「……ISは宇宙空間での活動を想定して作られてるからだよ。たば、ISを製作した人はこうも言ってるんだ。《まだ見ぬ外宇宙への夢を込めて産み出したんだよ》っとね……どうしたの二人とも」
「いや、しっかりしてんなって思ってな…」
「……一夏にも見習ってほしいくらいだ…休憩はここまでだあと数本してから今日の特訓は終わりにしよう」
軽く水を飲み、再び竹刀を構え稽古を再開するオレ達…竹刀を構え振るうとある人の言葉が浮かんだ
―どうしました燐?―
―師匠、何でそんなに強いんだよ…目が見えないのにさ…何回も投げ飛ばしたり出来るんだ?―
―燐、気を感じなさい…―
―気?…で、でもオレ、オレは…―
―…例え身体が―――であろうが関係ない…大切なのは他人の痛みを感じる心を持つ君の魂だ、なら気を感じることも出来る―
―燐お兄ちゃん、蓮童(れんどう)お兄ちゃん、ご飯できたよ~―
―燐、今日の鍛練はここまでにしましょう…織枝を怒らせるとあとが怖いです―
―そ、そうだな師匠(せんせい)―
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…気の流れは生身の体でなくともある、例えば川、木々、大地、風…すべての自然界にみちあふれている
竹刀を振るうたびに体に流れる《気》の流れを感じるよう集中し振るう、この五年間ずっと続けてきたことだから
「今日はここまでだ!一夏、獅童」
そう考えてるうちに百本の素振りを終えたオレ達は軽く汗をふきそのまま寮へと帰った
でも終始、篠ノ之さんの機嫌が悪かったのは何故なんだろうか?
――――――――
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「山田先生、まだ白式は届かないのか?」
「は、はい…それが一時間前に倉持技研から出たって聞いたんですけど…な、何かあったのでしょうか」
オルコットさんと試合当日、倉持技研から届くはずの白式を載せたトレーラーが今だに来ない
まさかと思ったとき、左手の甲が震える。慌てて一夏くん達がいる場所から離れ耳に近づけた
―燐、聞こえますか?―
「どうしたんだ犬神?お前から連絡くれるなんて珍し…」
―《奴ら》が動き出しました―
奴ら…その言葉を聞いた瞬間、その場から駆け出した
―現在の白式を載せたトレーラーが襲われています。サテライトサーチによる位置座標を送ります…あと《アレ》も束様が届けに来ます!どうか無理だけは…―
「…わかった…イーク!イップ!!」
IS学園のゲートを抜けると同時に叫ぶ…光が体を包む
金色の鋭角的な肩当て、強固なプレートアーマー、脚部装甲、額にV字形ブレードアンテナに左目にバイザーが現れ《アルティメットアーマー》が装着される 「ガンドーベル!!」
空間が歪み現れたのは白いバイク《ガンドーベル》に跨がりアクセルを全開に回しそのまま白式を載せたトレーラーの所在地まで風を纏ったかのように走らせた
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「副主任、これ以上降りきれません!」
「まさか白式を狙ってるのか?」
黒い鳥を模したメカが無数に白式を載せたトレーラーを囲むように展開しミサイル、アサルトライフルを撃ち放ってくる
「あと少しでIS学園に着くのに」
「ダメだ!このままIS学園から離れるんだ、彼処には学生達がいる!!」
副主任の言葉に従いハンドルを切るが一発のミサイルが運転席へ迫る
「………っ!」
もうダメだと目を閉じた…がナニかがよぎった
「ウィルナイフ!はああああ!!」
乾いた音と同時にミサイルが切り裂かれ爆発するなか彼らが見たのは金の装甲を纏った赤い髪が目立つ一人の少年の姿
「き、君は」
「ここはオレに任せて早くIS学園に!」
「だが君一人では!」
「いいから急ぐんだ!」
「わ、わかった」
副主任は頷くとトレーラーを走らせ遠退くのを見届け黒い鳥型のメカを見据える
「…こい、バイオネット!!」
叫びが合図といわんばかりに黒い鳥型のメカが一斉に襲いかかる
「はあっ!」
ウィルナイフを横凪ぎに切り払うと泣き別れになり爆散、続けて背後から迫る一体を袈裟斬りにし爆散していき数が残りひとつになった
「アッハハハハハハ~これはいけませんねぇ」
厭らしい声が響き空を見上げると紫色のトンガリ帽子にマント、ピエロのマスクを被った人物が巨大な傘を広げ浮いている
「ギ、ギムレット…」
「おや、おやおや~おひさしぶりですねぇ~」
「…オレはあいたくもなかったよギムレット!オレは、お前達バイオネットを許さない!!」
「いってくれますねぇ~目的の白式はとりのがしてしまいました~ですがコレは再会を祝して私からのプレゼントで~す!受け取ってくださ~い♪♪」
傘を振るうと破壊したはずの鳥型メカの破片が浮きケーブルが延び引き寄せ合体、現れたのは巨大なカラス型メカが翼を大きく広げ羽ばたきする
「クッ!待てギムレット!!」
「ではさらば~♪フヒヒヒ~♪♪」
そのまま傘を閉じブースターから火を噴きながら彼方へ消えていくギムレット、追いかけようとした燐にカラス型メカが無数の羽を飛ばしてくる。咄嗟にウィルナイフで切り払う
次の瞬間、爆発がおき燐を襲う…アルティメットアーマーを纏ってるとはいえダメージは通る
『カアアアアアアアア!』
「う、うわあああああ!」
爆風を受け無防備状態の燐にカラスの叫び声…ソニックバスターが襲いかかる
アーマー内では血が沸き立つ苦しみに必死に耐えたその時だった
「リッ君!」
「こ、この声は…束さん!?」
顔を向けた先には巨大なニンジン型ロケット…その下にあるハッチが開きナニかが飛び出す
獅子を模したナックルガードがそのまま燐の左腕に装着されその目が輝く
「遅れてごめんねリッ君。ガオファーとガオーマシンの調整はバッチリだよ!!」
「…わかった。来いファントムガオー!!」
燐の叫びに答えるようにファントムガオーが現れバラバラに分解、アルティメットアーマーがパージされた燐の体に各部装甲が装着され最後にヘッドギアがつき額にGストーンが輝く
「ガオファー!はあ!!」
怪音波攻撃から逃れるや否や接近、胴回し蹴りを頭に決め、さらにジャブ、右ストレートを顔面へ叩き込む
『カ、カアアアアアアアア!!』
あまりの猛攻にたまらずソニックバスターを放つも回避される…だがカラス型メカが更に変化を起こす
各部装甲が展開し破壊され散らばっていたカラス型メカを更に集めISより三回り大型化、頭も二つに増え羽からはレールガンらしきものが見える
「巨大化した?ならガオーマシン!!」
叫ぶと同時に近くを走るリニアからH2Aロケットを模した人間大サイズの《ライナーガオーⅡ》が、その近くを流れる川から地を突き破り《ドリルガオーⅡ》が、山の中から《ステルスガオーⅢ》が音無く姿を見せ空を飛翔する
『カ、カアア!?』
突然現れたマシンからの突撃を喰らいカラス型メカはたまらず体勢を崩し地上へ落ちた
――――――――――
――――――――
同じ頃
???
「長官、燐からファイナルフュージョン要請シグナルだ」
「うむ、ファイナルフュージョン承認!!」
「わかった、束君。シグナルをそちらへ委任するぞ」
『わかったよ』
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「いくよリッ君、ファイナル・フュージョン…」
ニンジン型ロケット内で承認シグナルを受けとるや否や、コンソールを目にも止まらない速さで操作し画面が切り替わり大きく右腕を振り上げ束は大きく息を吸い込み
「プログラアアアアム・ドラアアアアイブ!!」
カシャンと乾いた音と共にパネルを砕いた瞬間、プログラムが走り新たな文字が大きく映り点滅し流れた
―GAOFIGHGAR―
「いくぞ、ファイナル・フュージョオオオンッ!」
叫ぶと同時に胸部装甲のシャッターが上下に開き光と共に金色の幾何学的紋様《プログラム・リング》が伸び再び立ち上がろうとする巨大カラス型メカを弾き飛ばす
プログラムリング上にドリル戦車、ステルス戦闘機、H2Aロケット?を人間大にしたマシンが顕れ進行方向上に走るとリングが吸い込まれるように消えると合体が始まる
先ずはドリル戦車《ドリルガオーⅡ》が装着、続けてH2Aロケット《ライナーガオーⅡ》の小型ブースターがパージ、そのまま左肩から右肩へ侵入…いや量子変換され肩部装甲へ最後にステルス戦闘機《ステルスガオーⅢ》が装着、ガオファー時肩部装甲となっていたのが胸部全面へ移動しエンジンユニットが火花を散らし両腕へドッキング、シャッターが開き勢いよく顕れ、最後にヘッドギアが頭へ装着し口許が空いたマスクがつき金色に輝くアンテナの中央にGストーンが輝いた
『ガァアオッ!』
左腕にGとも読める刻印が輝き
『ファアイッ!』
両腕を大きく広げその手から緑の稲妻が迸り
『ガアアアァッ!!』
再び大きく交差し両腕を腰辺りに構えると同時にステルスガオーⅢの左右の翼が一部スライド展開、緑に輝きウルテク・エンジンが展開した
それは黒き鋼の巨人
バイオネットの驚異からすべてを守るため
ISとGストーンが融合し生まれた新たなIS…
その名も
勇者王ガオファイガー!!
『いくぞ、バイオネット!!』
《カアアアアアアアア!》
大きく翼を広げ威嚇すると同時に二つに増えた頭部の内一つのカラスの頭が真ん中から割れ砲頭が競りだし光が集まる
「ウォームリング!」
胸部シャッターが開き光の輪が展開する、それと同時にカラスの頭から強い光と熱量を伴った光線が放たれた
「プロテクト・ウォール!!」
左手を輪の中心につき出すと不可視のフィールドが発生し光線を塞ぐと同時に乱反射させ五芒星状に偏向させまっすぐ弾き返した
《カアアアア!?》
弾かれた光線を受け砕けるもすぐさま再生するカラス型メカは翼を向け無数のミサイルとレールガンらしきも撃ち放とうとする
「うおおお!」
ウルテクエンジンを全開にし間合いを摘め体重をのせた膝蹴り…高速回転させたドリルニーを胴体めがけ撃ち貫く、背後にまでドリルが穿たれパイルバンカー状に伸縮し大きな穴が開く
《カアアアアアアアア!?》
しかしすぐさま再生し元に戻り胴体部に巨大なレンズが構成、光が集まる
「ファントム・リング!!」
再びシャッターが開きリングが形成されガオファイガーは腰を僅かに沈め右腕をゆっくり回転させ始めやがて赤いエネルギーを帯び始めその速度を増していく
「ブロオオオクウゥン・ファアアアアントオオオオム!!」
勢いよく高速回転する右腕が勢いよくリングの中心目掛け打ち出され巨大なカラスメカの胴体、レンズ部分をとらえ貫き穿ち、辺りに金属の破片とオイルを撒き散らし倒れる
「今までのバイオネットのメカと違う…ならば!ヘル・アンド・ヘブン!!」
両腕を交差し大きく左右に広げた腕、その拳に光が溢れだす
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……ムン!」
呪文を唱えながら攻撃のGエネルギー、防御のGエネルギー溢れさせる右手と左手を徐々に近づけ胸の前で突きだした形で組んだ瞬間、緑色の竜巻《EMT》が発生。カラス型メカを包み動きを止める
「うおおおおおおお!!」
ウルテクエンジンを展開し四基のGSライド最大出力で地を抉りながら突進、そのまま両拳をバイオネットロボの胴を貫き、金属片とオイルを撒き散らしながらコアを抉り
「…ムウウン、セヤアアアア!!」
抜き取った瞬間コアが光に包まれ爆発、凄まじいまでの爆風が辺りに溢れやがて晴れると、ガオファイガーが無傷で姿をあらわした
『リッ君!大丈夫?怪我はない!?』
「ああ、大丈夫だ…其よりIS学園にトレーラーは無事ついたかな」
『う、うん…今、最適化し始めてるよ…』
「そっか…じゃオレ戻らないと…束さん、ガオファーを届けに来てくれてありがとう…こんどお礼するね」
『い、いいんだよ、お礼なんて///そ、其より早く戻らないと』
「そうだった…フュージョンアウト!」
ガオファイガーの体が光に包まれアルティメットアーマーに陣羽織みたいなコートを纏った燐の姿が現れる
「…じゃあ束さん、夜にデータを送るけど」
『うん、また後でねリッ君!束さんと熱~い夜をすごそうね~♪』
そういうと束さんが乗ったニンジンミサイルが空に溶けるように姿が消えるのを見てガンドーベルを呼び出すとそのままIS学園へ向け走らせた
もちろん着く前にイークイップを解除して……
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「獅童、どこにいっていた?」
「じ、実は公団からオレのISを直に届けるって連絡があって…さっきまで公団のトレーラーで最適化作業してたんです」
「公団からのトレーラーですか?確かにありますね」
山田先生が目を向けた先には公団からのトレーラー…カムフラージュのために束さんが手配してくれたらしいけどコンテナロゴにニンジンにウサギのマークは不味いんじゃ
「…そういう理由なら仕方がない。あと少ししたら織斑とオルコットの試合も終わる…次はお前の番だから今のうちしっかりと見ておくといい」
じっとオレを見て軽いため息をつくのは一夏くんの姉であり教師の織斑先生…姿を消したオレを山田先生と一緒になって探してたらしい
そして今アリーナでは一夏くんとオルコットさんの試合が繰り広げられている
オルコットさんが駆るIS《ブルーティアーズ》はイギリスが開発した第三世代機で特殊誘導兵装、通称BITのテスト運用機
ファーストシフトへ移行していなく、装備が近接ブレードのみの一夏くんにはかなり不利だ
「…一夏」
「篠ノ之さん、一夏くんなら大丈夫だ」
「…………」
オレの言葉にただ無言でうなずいた、その時試合が動いた
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「このブルー・ティアーズを前にして、初見でここまで耐えたのはあなたがはじめてですわね……ではフィナーレと参りましょう」
試合が始まって27分、なんとか致命傷は耐えたんだがシールドエネルギー残量は67…実体ダメージは中破
かなりヤバイってのはわかる
ここまで持ったのは箒と燐が特訓してくれたお陰だとおもう
「くっ!」
四基のビットが交錯しながらレーザーの雨を降らしてくる。なんとか体を捻りかわすがシールドエネルギー残量はどんどん減っていく中、あることに気づいた
(もしかしたら…)
俺は自分の直感を信じスラスター全開で間合いをつめ正面からぶっかる
「なっ!?無茶苦茶しますわね。けれど、無駄な足掻きですわ!!」
左手を振るうと浮遊していたビットが迫りレーザーが放たれる…それを紙一重で交わしすり抜け様に一閃。手応えを感じた瞬間爆散する
「なんですって!?…くっ!?」
再びブレードを構え斬りかかる俺に向けて右手を振るう…光が砲口に集まる寸前一気に加速、すり抜け様ビットを二基撃墜する
あまりの事に開いた口が塞がらないみたいだ
「お前はビットを動かすのに毎回指示を送らなければならない」
「!」
…図星だったみたいだな…手を動かした方向へビットは移動して俺の死角、遠い距離から狙う
手の動きから予測すれば簡単なことだ!
さらにもう一基のビットを切り裂く…これでアイツの武器はライフルだけだ
一気に加速し間合いを詰め右下段に構えた近接ブレードで逆袈裟に切り払おうとする俺に笑みを浮かべたセシリアの腰部に広がるアーマー、その突起が外れたまっすぐ突っ込んできた
「かかりましたわ。おあいにくさま、ブルーティアーズは六基あってよ!」
回避する間もなく赤よりも白い閃光に包まれた
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「一夏!」
「落ち着くんだ、篠ノ之さん」
「何を言う獅童!一夏が…」
「落ち着いて。モニターを見て」
画面には黒煙が広がるがやがて晴れそこにいたのは純白の機体…千冬は軽く鼻を鳴らすも安堵した表情を浮かべ見ている
「…………(白騎士……あの時以来かな…)」
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―しっかりしろ!熱ッ!?《ゴールドタイガー》、《アリス》に連絡を!!―
―わかった、千冬君。ここは私と《シルバーピューマー》に任せていくんだ!!―
―おう、こいつらの相手はオレらがやる!早くその子を《アリス》の元に連れてけ!!―
―わかった(だが、何てむごいことを…一夏と同じ年じゃないか。バイオネットめ)―
―またアナタ達ですかあああ~ID5?~フヒヒヒ。プロトタイプを返してもらいましょうか♪―
―…熱…い…あ…つ…い……あつ…い…あつ…い…よ―
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どこか懐かしく辛そうな表情を燐は浮かべながら再び画面へ目を向ける
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「ま、まさか…一次移行!?あなた今まで初期設定だけの機体で戦っていたって言うの!?」
セシリアの驚きの声を聞きながら迷わず確認と表示されたウインドウを選択すると様々な情報が流れようやく理解した
この機体がやっと俺専用になったと言うことを、そして手に持つ近接ブレード、かつて千冬姉が振るっていた《雪片》を正眼に構える
「俺は最高の姉さんを持ったよ…俺も、俺の家族を守る」
「……は?あなた何を言って……」
「とりあえずは千冬姉の名前を守るさ!」
雪片を強く握りしめる、再装填したビット二基が俺に向かってくるのをそのまま横一閃に凪ぎ払い、爆発すると同時に突撃
「おおおお!」
懐へ入りそのまま逆袈裟払いを放つ。がその直後ブザーがアリーナに鳴り響いた
『試合終了。勝者、セシリア・オルコット』
「あれ?」
なんでさ?と言う疑問が頭を駆け巡らせながら試合は終了。つまり、結果を言うと俺は負けたってことだった
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―――――――
「ま、負けちまった…」
「結構いいとこ行ってたじゃないか、一夏くん」
「ありがとうな…でも負けちまったからな。とりあえず千冬姉の所いってくる…燐、頑張れよ!!」
「ああ、じゃいってくる!」
軽くハイタッチし織斑先生の所へ向かう一夏くんを見送ると、ピットに立ち左腕のブレスを掲げる
「ファントムガオー!」
背後にファントムガオーが現れ分解、体に装着され頭にバイザーが着きGストーンが緑色に輝いた
「ガオファー!」
G-IS-01《ガオファー》を装着し前屈みになりながら構える
今度はオレの番だ
カウントが0になった瞬間、オルコットさんがいるアリーナの空へまるで弾丸の様に飛翔した
第一話 勇者王、IS学園に顕れる(二) 了
君達に最新情報を公開しょう。
バイオネット、ギムレットから白式を守り抜いた燐。
一夏に続いてセシリアとの戦うガオファー、燐に勝機はあるのか
IS《インフィニット・ストラトス》―白き翼の戦士と勇気ある者―
第二話 獅子の咆哮
次回もファイナルフュージョン承認
―プログラム・リング―
これが勝利の鍵だ!