IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者― 作:オウガ・Ω
プロローグ
20XX年…遅々として進まない宇宙開発においてある画期的な発明が発表された
IS…宇宙空間における多目的作業、船外活動を想定し産み出されたマルチフォーム・スーツ
天才、篠ノ之束によって考案、開発発表されたが問題があった
ISは女性にしか動かせない
その為、女尊男婢の構図が生まれ、さらに《白騎士事件》をきっかけにその流れが加速、ISを保有し操縦者がどれだけいるかによって国の軍事力は決まってしまった
開発者の《本当の願い》を無視した形で、あっという間に世界は変わってしまい、同時にIS技術を狙う組織が闇の中からゆっくりとその姿を顕し始めた
その組織の名は《ファントム・タスク》またの名を《バイオ・ネット》
戦争ある所、必ず存在し争いを起こす者に武器を提供し戦火を拡大、長期化させ莫大な資金と得て巨大化した組織
いわゆる死の商人
巧妙に姿を隠し、歴史の影から世界のバランスを担ってきたと豪語する彼らが次に目を付けたのがIS技術。すぐさま彼らは多額の報酬と研究資材を提示し兵器として開発するように協力を求めた
だが少女は断った
ISは彼女にとって子供も同然、それ以上にまだ見ぬ外宇宙へ進出するために産み出した《夢》の技術
兵器とし開発するように協力を求めたバイオ・ネットに対し断固として断り、家族に迷惑がかかると判断した彼女は表舞台から姿を消し、恩師である世界十大頭脳と呼ばれた一人《獅童レイジ博士》がいる宇宙開発公団へ身を寄せ《IS》を本来の目的で運用するための研究を始めた
だが《バイオネット》の悪意はそんな思いを嘲笑うかのようにその魔手を伸ばし始めた
それから一年後、日本
アイランドシティ
宇宙開発公団
「リッ君、リッ君♪」
「た、束姉さん?あ、あのあんまり引っ付かないで当たってるから?」
「何が当たってるのかなリッ君~♪」
「せ、絶対わざとだああああ~(や、柔らかいのが当たってる、当たってるう)」
「う~ん、照れ屋さんだねリッ君は♪」
その豊かな胸にオレの顔を埋めさせながらクンクン匂いを嗅ぎ抱き締めてるのは《IS》を開発した篠ノ之束さん
オレにとってある意味、お母さん(?)みたいな人だ、なんとか柔らかな胸と腕から抜け出しフウッとため息をついた
「今こうしてる暇はないんだから…」
「ええ~私つまんな~い。じゃあさテスト終わったらハグハグしたらダメ?」
「……終わったらね」
「やったああああ!束さん、頑張っちゃお♪」
笑顔で無数の空間モニターを形成して凄まじい速さで各種調整を進める束姉さん。
今日は試作IS《G・S》コア搭載機<G>のテスト飛行の日…日本政府と公団の極秘プロジェクト《GGG(スリージー)》の初試験の日だ
数ヵ月前、日本で世界で初めてISを動かした男子《織斑一夏》君が現れ世界各国がこぞって注目していた
それに伴いあることが判明した…近い内に《バイオネット》が織斑一夏君と専用ISをさらうであろうという情報をいち早くつかみ急遽テスト開始を早めこうして準備の真っ最中だ
「フン~フフ~フン♪フ~ン♪出来たよ、リッ君」
「ありがとう、束さ…「束でいいよリッ君」…だ、ダメだから!其よりテスト始めるよ」
「むう~ノリ悪いな~、じゃ。獅童先生、用意できたよ」
『わかったわい、束君はこのままデータ取りを頼めるかの………燐、用意はいいかの?』
「ああ、いつでもいいよ」
カタパルトデッキに上がり各数値を確認、やがて上昇し固定されガコンッと揺れ正面ハッチが音もなく開き現れたのは
ネービーブルーとネービーグレイに塗り分けられた装甲を両手両足に、独特の形の推進機兼肩部浮遊装甲が両肩左右、そしてヘルメット状のヘッドギアの額に当たる部分には緑色に輝く五角形の物体がはめられ《G》とも読める幾何学的模様が輝いた
「GBRP-01、プロトガオファー、行きます!!」
叫ぶと同時に両肩浮遊装甲が展開と共に加速し弾かれたようにカタパルトから大空へと舞うプロト・ガオファー
宇宙開発公団で篠ノ之束博士と世界十大頭脳の一人、獅童博士が開発した新機軸のIS
その性能は標準的なIS(打鉄、ラファール・リヴァイブ)とは全く変わらない
だが普通のISと違いがあった
それは男性でも扱えること、そして新機軸のISコア《IS・GS》コア
このコアは世界にあるISコアと違いある未知の技術が使われていた
数年前、獅童博士達が地球へ落下した隕石から発見した無限情報サーキット
《G・ストーン》
人の心に強く反応しISコアとの驚異の親和性を示した未知の宝石。現在は獅童博士、篠ノ之束が解析するも未だに未知の部分が多かった
「レイジじいちゃん、束さん。テスト飛行は良好…続けて…?空間センサーに反応多数?まさか!」
空間が歪み現れたのは黒いフルスキン装甲をまとったIS。そのまままっすぐ燐、プロト・ガオファーに向けレールガンを撃ち放った
「うわ!まさか、コイツらファントムタスク…いやバイオネットか!!」
『リッ君逃げて!今のガオファーにはプログラム・リング形成はできても反撃は無理だよ!!』
「でも見逃してくれそうもないみたいだ、ぐあああ!」
何時の間にかに囲まれ周囲から集中砲火を浴びる…絶対防御のお陰でダメージはないけど内部にかかる衝撃は半端じゃない
「どうすれば、獅童博士!リッ君を助けて!!」
「束君、F・Fを使うしかない…バイオネットの目的は君とGストーン、一夏君…燐とガオファーも奴らの目標になっとる…」
「でも、一次移行したばかりのガオファーじゃ耐えきれないよ!」
『束さん、ファイナル・フュージョンを…今、コイツらに《Gストーン》が奴らの手に渡ったら…束さんの《本当の願い》が…グアアアアア!!』
集中砲火は止むこと無くガオファーにダメージを与えていく…燐の言葉が何度も何度も束の心に響きわたる
「わかったよ、でも約束して…必ず戻ってきて。リッ君にいっ君と箒ちゃんを会わせるって、私約束したから…必ず!」
『わかったよ、束…いくぞファイナル・フュージョン!!』
「フ、ファイナル・フュージョン………」
初めて『束』と呼ばれたことに心が暖かくなりドキドキしながら、無数に展開したモニターパネルを凄まじい早さで打ち込みに数値の羅列が目にも止まらない早さで流れ
「…プログラアアアム」
大きく手を振り上げ中心にある一際大きなモニター目掛け…
「…ドラアアアアアイブウウ!!」
声と共に降り下ろされた手がモニターの横にあるパネルを砕くと文字が流れた
―GAOFIGHGAR―
次の瞬間、宇宙開発公団の上空でまばゆい光が溢れた
―――――――
――――――
数日後、IS学園に一人の少年が教室前にいる
腰まで延びた赤い髪に優しい眼差し、やや日に焼けた肌の少年の名は獅童燐(シドウ・リン)
『獅童燐』と『織斑一夏』…《勇気ある者》と《白き騎士》二人が出会いを果たす時、物語は始まる
これは少女と、その妹の《本当の願い》を守る『誰よりも優しい剣を振るう騎士』と『勇気ある者』の物語………
IS《インフィニット・ストラトス》―優しき剣の騎士と勇気ある者―
次回。勇者王、IS学園に顕る!!