IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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「う、うう…クルナ…ハナセ…」


私が作ったリングに拘束されもがく小さな子、その腕からは高周波ブレードが鈍い輝きが見える度に胸が痛くなる

もっと早くココの場所を特定してれば、

もっと早くに生きてることを知ってたら

こんなことに、こんなことには…ごめん。ごめんなさい

わたしができるのはこうすることだけ


「ア、アウ……ハナ……セ…」

そっと抱き締める…こわばった身体に肌が触れる 肉を焼く音と匂い…わたしの手が真っ赤になり痛みが走る

「ごめんなさい、ごめんなさい」


「もうやめろ!お前が悪い訳じゃない!!」


「ちがうよ、わたしが悪いんだ…ID5なのに、大事な人たちを守れなかったんだ…………」

「束…くっ」


ごめんね、こんな身体にさせてごめんね…ごめ…ん…

「……うう……離れ…て………離……れ…て…おねえちゃ…たば……ねえちゃん」


「え?…」

「や…け…ど……やけどするか…ら…ね」

バイザー越しに見えたのはあの頃わたしによく見せてくれた笑顔…全部に飽きてしまったわたしに夢をくれた笑顔だった




第四話 赤と青(後編)

「最っっ低!女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて、男の風上に置けないやつ!犬に噛まれて死ね!!」

 

叫ぶ声と勢いよく扉がしまる音、そして涙目になり走り出しオレの隣を駆け抜けるのは中国代表候補生凰鈴音さん。その目に涙が光ってる

 

出てきたのは一夏くんの部屋…まさかと思いながら扉を軽くノックしょうとするが声が漏れてきた

 

「一夏」

 

 

「お、おう、なんだ箒」

 

 

「馬に蹴られて死ね」

 

ノックする手を止めそのまま部屋へ入りベッドに大の字に倒れこみ深くため息をつく

 

涙目になり走り去る凰さん、ドアの前で聞いた二人の言葉から推測してナニかあったんだろう (……一夏くん、凰さんと何かあったみたいだな………仕方ない少し手助けするか…)

 

 

と考えながらGストーンにアジャスタシステムを接続し横になりやがて眠りに誘われ目を閉じた…

 

 

第四話 赤と青(後編)

 

 

 

「あの~凰さんっているかな?」

 

「凰さん?さっき出ていくのを見たけど…何かようかしら?」

 

「そっか…いないんじゃ仕方ないか…時間とらせて悪かったな」

 

「い、いいんだよ。あ、あの獅童くん、今度の試合頑張ってね」

 

「?ああ、もちろん頑張るけど」

 

なぜか慌てて離れる二組の女子を見ながら歩き出す。あの日の翌日、一夏くんからあの騒ぎについて聞いたんだけど内容を聞いて少しため息をついた

(料理の腕があがったら毎日酢豚をおごってくれる…………これっておもいっきりプロポーズだよな、それを忘れるなんてなあ~)

 

凰さんとの喧嘩の理由を聞き頭を抱える俺を心配してくれる前にどうやったらこう解釈するんだろう…んでこうして凰さんに会いに合間を見ては二組まで足を伸ばすんだけど全部入れ違い。一夏くんも凰さんと廊下や学食で顔を会わせたりするんだけどすぐに逃げたりするから会話は全然できず数週間がたち五月に入ってしまった

 

どうしたら二人が仲直りできるんだろうと悩みながら今日もクラス対抗戦に向けての最後の特訓をしようと先に行った篠ノ之さんとオルコットさん、一夏くんが待つ第三アリーナのAピットの扉のセンサーに触れ中に入ったときだ

「あたしは関係者よ。一夏関係者。だから問題なしね」

 

「ほほう、どういう関係かじっくり聞きたいものだな」

 

「盗人猛々しいとはまさにこの事ですわね」

 

 

目と耳に飛び込んできたのは一夏くんと喧嘩していた腕を組みたつ凰さん、それに対抗心むき出しで怒気が駄々漏れな篠ノ之さんとオルコットさん

 

慌てて止めようとするけどとりつくしまもないと言わんばかりに会話が進んでいくにつれ皆ヒートアップしていき遂にそれは訪れてしまった

 

「バカとはなによバカとは!この朴念仁!まぬけ!アホ!バカはあんたよ!!」

 

「うるさい、貧乳!」

 

「一夏くん!!」

 

 

叫んだ瞬間、なにかが砕ける破砕音、衝撃で部屋が揺れた。見ると凰さんが指先から肩までIS装甲化してその拳が壁に触れる寸前で止まってる周囲からでも妙な力場を感じる

 

「い、言ったわね………いってはいならないことを言ったわね!!」

 

 

「い、いや、悪い。今のは俺が悪かった。すまん」

 

 

「今の《は》!?今の《も》いつだってあんたが悪いのよ!!」

 

ギンッと一夏くんを見ながら言葉を並べていく…もうこうなったら収拾がつかない

 

「ちょっとは手加減してあげようかと思ったけど…どうやら死にたいらしいわねいいわよ、希望通りにしてあげる―――全力で叩きのめしてあげる!!」

 

それだけ言うとピットから走り出す凰さんを一夏くんは重々しい表情を浮かべていた

 

「一夏くん、今のは一夏くんが悪い…」

 

「……燐…俺どうしたらいいんだ」

 

……今の凰さんに謝ったとしても聞いてはくれないだろう…多分対抗戦が始まる迄一夏くんを避けるのが目に見えてる

 

 

ならどうすればいいか…方法はひとつだけある

 

「一夏くん、クラス対抗戦の相手は確か凰さんだったよね」

 

 

「ああ、そうだけ……まさか燐」

 

 

「そう、試合中に謝るしかない…ただ、凰さんのISの攻撃を受けずに接近してになるけど…オルコットさん、篠ノ之さん」

 

 

「な、なんだ?」

 

 

「なんでしょうか」

 

 

「試合までのあと六日間、オレが一夏くんの特訓をつけていいかな?」

 

「な、なに!獅童がやるのか!」

 

「獅童さんがですか?でも…」

 

 

「……お願いだ…このままだと一夏くんは謝るどころか凰さんに近づけず確実に負ける。不安なら近くで見てくれてもいい。それじゃダメかな?」

 

 

少し間が空きやがて頷く二人に感謝しながら早速特訓を始める…これを覚えれば勝率は跳ね上がる

 

対抗戦まであと六日。それまでに習得させなきゃ

――――――――

―――――――

 

試合当日 第二アリーナ第一試合

 

試合会場、その上空で俺は鈴と対峙しながらこの六日間を思い出す。マジで地獄だった…でも今は試合に集中するべく目を閉じ心を落ち着かせゆっくりと開いた

 

「一夏、今謝るなら少しくらい痛めつけるレベルを…「いや手加減なしだ」…え?」

 

「…全力の鈴に俺は必ず勝つ…だから手加減はなしだ」

 

 

「へぇ~いうわね……一応いっておくけどISの絶対防御も完璧じゃないのよ。S・Eを突破する攻撃力があるのよ…そこまで言うなら手加減なんかしてやんないわ」

 

 

ブザーとアナウンスが鳴り響くと俺と鈴は動いた

 

甲高い金属音が木霊する。瞬時に展開した雪片弐型で鈴の青竜刀?を二つ繋げた刃を防ぐも弾かれそうになる、セシリアに教えてもらった軌道をこなし再び鈴と向き合う

 

「ふうん、言うだけのことはあるわね…けど」

再び切りかかってくるがそれを逸らしきり払いながらいなしていくが鈴からは余裕の表情。耳にバカっと音が響き肩の装甲がスライドし中心に配置した球体が輝く

 

目には見えない透明なナニかが迫り触れようとした瞬間、一夏の姿が消える

「え?」

 

「はあああ!」

 

頭上から上段に構え加速と共に雪片を降り下ろすも寸前でかわされる…いったい何が起こったかって表情を浮かべる

 

「な、なんで、なんでかわせるのアンタ!」

 

 

「さあな、企業秘密ってとこかな!!」

 

再び切り結びながら俺は燐との特訓を思い出していた

 

―一夏くん、今からやるのは凰さんのIS対策の特訓だけど先ずはコレで目隠ししてくれないかな―

 

 

手渡されたのは黒いはちまき…少し戸惑いながら目を隠す…なにも見えない、ただ感じるのは風と箒やセシリア、燐の気配

 

―今からやるのは《気》を感じる特訓だ。《気》ってのはオレたちが今いる場所にも少なからず存在する自然エネルギーだ…先ずは自然の脈動を感じるために視界を閉ざしてもらったんだ…―

 

―でもこれがなんで鈴のISの対策になるんだ?―

 

―詳しく説明したいけど今は時間がないから実践的にやるよいいね―

 

 

―ち、ちょ?待て!?うわ!?―

 

 

鈴との試合の日まで目隠しした状態で攻撃の氣を感じかわす訓練が続いた…それはマジで地獄だった

 

手本に燐が実際にセシリアのブルーティアーズのビット全方位攻撃をハイパーセンサーをカット、さらに目隠しした状態ですべてかわしたのをみて驚いたぜ

 

なぜこんなことができるんだって俺やセシリアと箒が聞いたら昔、お世話になった人から教わったと聞いた

 

―すごく強くて優しい師匠だったんだ…―

 

 

そう話す燐の瞳の奥に懐かしさとほんの僅かな怒りの色が見えた

 

 

―――――――

――――――

 

 

「すごいですわね一夏さん」

 

 

「ああ、燐の教えかたもすごかったからな…」

 

 

ピットからリアルタイムモニターで観戦する二人の眼前では衝撃砲をなんなくかわす一夏の姿に少し熱がこもった目で見る二人

「でも、燐さんは衝撃砲の事を知っていたんでしょうか?そもそも最近になって採用された兵装のはずなんですけど」

 

「わ、私に聞くな!それより二人の試合を見るぞ」

 

「そうですわね」

 

再びリアルタイムモニターに視線を移した次の瞬間、アリーナに激しい振動に包まれたモニターにアラート表示が流れた

 

 

―――――――――

――――――――

 

 

「な、なんだ?ナニが起こって…」

 

いきなりの事に混乱する一夏の目の前…ステージの中央に土煙がもくもくたってる

 

さっきの衝撃はどうやらソレが遮断シールドを貫いて入った衝撃波らしい

 

ハイパーセンサーから警告音が響き赤い光が土煙を突き抜け襲いかかる

 

なんとか寸前でかわすが僅かにかする…

 

 

「な、なんなのよあれ」

 

 

鈴の驚く声を耳にしながら土煙が晴れソレが姿を表す

 

頭が馬、両腕には半透明な球体が備え付けられ背後には大きな翼。ISを一回り大きくしたナニかがたたずんでいる

 

「鈴!」

 

「え?きゃああ!?」

 

馬型?ISが右腕を掲げ球体に光が走り鈴にめがけ放たれる…寸前で一夏が抱き抱えその場から急加速、光が当たると背後にあった壁が急激に氷づけになる

 

 

「な、なんなのよアレ!」

 

「わからない。だが今は逃げないと不味いみたいだ」

 

鈴の甲龍を抱え加速する白式、しかし狙いを定め今度は左手をかざし赤い激しい熱を伴った光を放つも当たらずアリーナの壁を溶かす

「あり得ない、あんなサイズでビームを撃てるなんて信じられない!ってかおろしなさいよ」

 

 

「バカ暴れんなって…うわっ!!」

 

僅かにスピードが落ちたのを見逃さず今度は赤と青のビームを放つ…逃げられないと覚悟した瞬間ナニかが横切った

 

 

―――――――――

――――――――

 

「バイオネットめ、まさかこの日に来るなんて…」

 

…リアルタイムモニターをみて唇を噛み締める。すぐさまハッチを解放してアリーナへ入ろうとするんだけども全システムがシャットダウンされて開かない…この分厚い壁の向こうでは一夏くんと凰さん、二人を狙い撃つバイオネットIS。

オレは深く呼吸し、右腕を正面に構える。右腕の甲部分からナニカかが伸びやがて鋭利な金属製の刃が形成され光り始め体が熱くなる

 

「はあああ!」

 

 

掛け声と同時に一閃、無論型もナニもあったもんじゃないけど、振り抜いた瞬間刃は消え代わりにに分厚い隔壁がガラガラと切り裂かれ落ちる

 

「熱い、でも急がなきゃ…ファントム・ガオー!!」

 

ガオファーを纏いウルテクスラスター全開でアリーナの空を舞う。

 

 

(一夏くんと凰さんは……いた!)

 

加速しながらバイオネットISの砲撃から逃げてる姿が目に入る、でも僅かに加速が落ちた

 

「不味い!プロテクト・リング!」

ウルテクスラスター最大出力で加速し二人の前に立ちはだかり展開したプロテクト・リングにファントムクローを纏わせた

 

 

「プロテクトォ・クロオオオオオオオオオ!!」

 

圧倒的な破壊力を秘めた赤と青のビームが切り裂かれ霧散、現れたのはネービーブルーとグレーの装甲が目立つ額に緑色の宝石を輝かせたISがゆっくりと振り返った

 

 

「大丈夫か一夏くん、凰さん!」

 

「り、燐!?なんでここに!?」

 

 

 

 

「それよりも今は逃げるんだ!アイツの相手はオレがやる」

 

「な、なにいってんのアンタ!あんなのに勝てるわけないじゃない」

 

 

「…大丈夫だ、一夏くん、凰さんを頼む!ファントム・リング、プラス!ファアアントオムゥ・クロオオオオオオオオオ!!」

 

ウルテクスラスター全開で馬型?ISに突っ込み一気に懐へ入り逆袈裟に切り払うと同時に回転回し蹴りを叩き込みたまらずグラリと倒れる

 

「まだまだああ!ドリルガオオオオ!!」

 

量子変換されたパッケージマシン《ドリルガオー》が現れ両腕に火花を散らし装着、金色のドリルを高速回転させながら馬型ISの装甲を撒き散らしながら貫き穿つ

 

「な、なんなのよアイツ…むちゃくちゃすぎる(やっぱり、やっぱりアイツの関係者に間違いないわ!!)」

燐の戦う姿になにかぶつぶつ呟く鈴、だが馬型ISに変化が起こる…全身の装甲が展開すると同時に無数のコードが伸び襲いかかるもガオファーはファントムクローで切り払うが別方向から伸びたコードが腕ごとガオファーを拘束と同時に地面へ力任せに叩きつけ始めた

 

「ぐ、ぐあああああ!」

 

「燐!はあああ!!」

 

 

白いなにかが通り抜けコードが切り裂かれ、攻撃から解放されたガオファーを鈴と一夏が抱き抱えた

 

「な?一夏くん、凰さん、なんで?」

 

「無茶するなよ燐!」

 

「ったくよ、一人でやろうなんて無茶すぎよ!」

 

「うう…でも二人ともS・Eが」

 

 

二人の状態をアナライズするとすでに二桁を切っている…ファイナル・フュージョンをするしか勝つ方法はない

 

あの馬型ISはS・Eと別のエネルギー障壁が二重構造で展開している上に通常では考えられない高エネルギー反応が検知してる…ファイナルフュージョンしてヘルアンドヘブンを放てば勝つことは出来るかもしれないけど爆発時のエネルギーの余波にアリーナが耐えきれない

ならば方法はひとつしかない

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「長官、燐からファイナルフュージョン承認シグナルじゃ!」

 

「うむ、束くん!ファイナル・フュージョン承認!!」

 

「り、了解…ファイナルフュージョン……………プログラムウウゥ・ドラアアアイブッ!!」

 

空間投影スクリーンに移された各コンディションパラメーターにプログラムが流れると同時に腕を大きくあげ束は力一杯クリアパネルを叩き壊した

 

―GAOFIGHGAR―

(リッ君、頑張って…)

 

束は祈るような目で画面を見つめうつむいていた

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「一夏くん、少し離れてくれ…「え、り、燐?」ファイナル!フュウウウウジョオオオオオン!!」

二人から離れ胸部リングジェネレーターからEMTを発生させるとプログラムリングを展開する

 

量子変換されたパッケージマシン《ガオーマシン》三機がガオファーの回りを旋回しながらプログラムリング上を走りやがて合体が始まる

 

まずはドリルガオーⅡが脚へ進入し固定、続けてライナーガオーⅡが胴体へ進入、しかし肩に触れる寸前で量子化と同時に肩を構成、最後にステルスガオーⅢが背中へと接続。二基のエンジンブロックが火花と共に上昇し量子変換され腕にロック、シャッターが開き勢いよく拳が飛び出す

 

最後に脇腹と胸に肩部装甲が競り上がり移動固定し最後にヘッドギアが装着しマスクが閉じGストーンが競り上がりGGGとも読める刻印がみえ瞳に赤い光が走る

 

 

 

「ガァアオッ!」

 

 

左腕にGとも読める刻印が輝き

 

「ファアイッ!」

 

両腕を大きく広げその手から緑の稲妻が迸り

 

「ガアアアァッ!!」

 

再び大きく交差し両腕を腰辺りに構えると同時にステルスガオーⅢの左右の翼が一部スライド展開、緑に輝きウルテク・エンジンが展開した

 

 

それは黒き鋼の巨人

 

バイオネットの驚異からすべてを守るため

 

ISコアとGストーンが融合し生まれた新たなIS…

 

その名も

 

 

勇者王ガオ・ファイ・ガー!!

 

「いくぞ、バイオネット!!」

 

 

「が、合体した…燐?お前のISってソレが本当の姿なのか」

 

 

「なんなのよ…もう!」

 

二人の声を背中に感じながら馬型ISと対峙する。両腕装甲をガパンと展開し現れた球体に光がほとばしる

 

「ウォール・リング!」

 

正面に展開したウォールリングに向け手を突きだした瞬間、赤と青の閃光が襲いかかる…

 

 

「プロテクト・ウォオオオオル!!」

 

着弾するも不可視の障壁に阻まれ止まりながら五芒星状に反転しそれを勢いよく弾き返した

 

「ムン」

 

爆発に包まれやがて煙が晴れる、受けたダメージが瞬時に再生していく

 

 

「なら、ファントム・リング!プラス!ブロウクゥゥゥン・ファアアアントオオオムッ!!」

 

 

右腕にGエネルギーをためながら回転しそれはやがて限界を超え勢いよく展開したファントムリングごと殴り抜くと同時に打ち出し馬型ISの胴体をとらえる…だがS・Eを突き破るが未知の障壁を展開し防いだ

 

「な、ナニ!だがまだ諦めるわけにはいかない!!」

GSライドの出力が高まりそれに呼応するようにさらに力を増していき遂に障壁を破り撃ち抜いた

二段構えの障壁に高エネルギーを秘めた馬型IS…例え障壁を突破してヘル・アンド・ヘブンでコアを抉り出すとしても爆発、二段構えの障壁を打ち破るには今まで以上の力が必要だ

どうしたらいいんだ…

 

「燐、俺に任せてくれないか?」

 

「い、一夏くん?」

 

「さつきのロケットパンチをみてわかったんだけど、あの馬型には絶対防御の他にも障壁が展開されてるんだろ」

 

「あ、ああ…それに」

 

「アイツの中にはメチャクチャなエネルギーがあるから迂闊に手が出せないんでしょ?」

 

「凰さんまで………まさか一夏くん!」

 

 

「そうだ、俺の百式の零落白夜で絶対防御のSEを完全に無効化する…」

 

 

「そしてアタシが龍砲でアイツをアリーナのシールド目掛けて打ち上げる…」

 

 

 

何て無茶な提案を…でも一夏くんの零落白夜ならSEを無効化して切り裂く、さらに凰さんの衝撃砲で馬型ISをアリーナの天井へ吹き飛ばす、最後にヘル・アンド・ヘブンでコアを抉り出し一夏君か凰さんに渡せば

 

「わかったよ、でも約束してくれるかな。絶対に無理しないって」

 

「わかってるよ」

 

「当たり前よ!まだ一夏に…ゴニョゴニョ」

 

 

「「??」」

 

小さく呟く凰さんに首をかしげながら簡単な打ち合わせをしそれぞれの持ち場へ向かう

 

 

『燐!何をやってる』

 

『織斑先生、今からこいつからコアを抉り出してアリーナの外へ押し返します!コアを一夏くんたちに渡してオレとアイツが外に出たら最高出力でシールドを展開してください!』

 

『待て燐!もうじきしたらプロテクトが解ける!そうすれば』

 

 

『オレを…いえオレたちを信じてください…では!』

 

通信を切り今まさに始めようとしたときだった

 

 

「一夏あっ!」

 

キ~ンッと耳に残る聞き覚えがある声…一夏くんが慌てて声がした方をみて唖然となってる

 

なぜならそこには篠ノ之さんが中継室でアナウンスをしていた人からマイクをつかみ叫ぶ姿

 

「男なら、男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする」

 

キンッキンッと再び耳に響く。不味い、今の声で馬型ISがゆっくりと腕を中継席へ向け赤い光が溜まり放たれた

 

「箒、逃げ――――」

 

ダメだらここからじゃ間に合わな…

 

「うおおおおおお!」

 

ナニかがアリーナの外から中継席へ墜ちと同時に赤い光が迫り着弾したかに見えた…が爆発は起こらず中継席は無傷、かわりに赤い装甲を纏ったISが盾を構え立ちはだかっている

 

あれはまさか

 

「ふう今度はうまくいくと思ったんだがな、間一髪だぜ嬢ちゃん、発破をかけるのはいいが無茶して怪我したら彼氏が泣くぜ!」

 

 

「な、何を?/////」

 

「え、炎竜?なんでココに」

 

 

「細かい話はあとだぜ燐、っと氷竜に変わるぜ…」

 

 

赤い装甲がパージされビーグル形態になると代わりに青い装甲が纏われる

 

「燐、お久しぶりです。到着が遅れましたがこれから防衛行動に移ります」

 

「と、凍也…わかった…あとで話を聞かせろよ」

 

 

「「了解!」」

 

「ね、ねえ…あいつらなんなの」

 

 

「心配しなくていいから、オレの仲間だ」

 

「わかった、鈴、手はず通りいくぞ!!」

 

 

「ち、ちょ…ああ、もう仕方ないわね!」

 

 

白式と甲龍が空を駆ける、それをみて馬型ISが再びビームを打ち放つも寸前で回避する

 

 

「はあああ!」

 

 

金色の輝きに包まれ雪片弐型を展開し瞬時加速、素早く懐に潜り込み零落白夜でSEを削り切り裂いた

 

「一夏あっ!退きなさい龍砲最大出力!ぶっとびなさい!!」

 

一夏くんが退くと同時に滑り込むように衝撃砲を展開、最大出力でアリーナの外へと向け打ちだす

 

「よし、ヘル・アンド・ヘブン!!」

 

両腕を交差し大きく横へ広げ、右に破壊の力が、左に防御の力が収束され徐々に正面、いやすさまじい勢いでアリーナのシールドに向かう姿を捉えながら近づけていく

 

 

 

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……ムン!!」

 

呪文を唱えながら攻撃のGエネルギー、防御のGエネルギー溢れさせる右手と左手を胸の前で突きだした形で組んだ瞬間、緑色の竜巻《EMT》が発生。馬型ISを包みこんだ

 

「うおおおおおおお!!」

 

 

ウルテクエンジンを展開し四基のGSライド最大出力で地を抉りながら突進、そのまま両拳で胴を貫こうとした瞬間、

 

 

「いけません」

 

「な、なにがいけないのよ」

「このままコアを抉り出したとしても残された体には膨大なエネルギーが残留、もしヘル・アンド・ヘブンの破壊力に反応したら」

 

 

「まさか!」

 

 

「はい、燐はあなたたちを守るために…」

 

「や、やめなさいアンタ!!」

 

「フンッ!」

 

 

金属片とオイルを撒き散らしながらコアを抉り

 

 

「ぬ、ぬううう……せやあああああ!!」

 

抜き取ったISコアがEMTから抜け二人の手元へ落ちる…その時赤と青の影が飛翔する

 

「いくぞ炎竜!」

 

『おう!』

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「シンパレート値が上昇!80、85、90、100!!」

 

「よし、シンメトリカルドッキングいけるよ!レイジ博士!!」

 

 

――――――――

―――――――

 

 

「『シンメトリカル・ドッキング!!』」

 

氷竜、凍也の身体から氷竜を構成していたISアーマーが分離、同時に炎竜も分離し凍也の身体の回りを旋回しながら装着され左右の腰にクレーンアーム、最後に胸に銀色の盾がつき目が紫に輝く

 

「『超う竜うぅ神ンッ!!』」

 

「が、合体した…はははもう驚かないぞ俺」

 

 

「やっぱり、やっぱり、あいつと同じだわ!」

 

 

あまりの光景に驚きを隠せない二人、超竜神は量子変換された在るものを構築しクレーンアームをガイドレール代わりに懸架、照準を定める

 

 

「『ワンオフアビリティ、イレイザーヘッドXXXL(トリプルエックスエル)!射出!!』」

 

ゴウッ!と勢いよく銀色の長い塊がガオファイガー目掛けて射出され着弾寸前で馬型ISが爆発。しかし遅れてイレイザーヘッドが当たった瞬間空へ膨大なエネルギーの本流が放出されその場にはガオファイガーが無傷で残された

 

「はあ、はあ…なんとかうまくいったか…」

 

 

ほっと一息ついた燐、しかしウルテクエンジンが明滅しやがてフラりと力なく落ちていく…だがガシッと誰かに支えられた

 

 

「全く無茶をしますわね燐さんは」

 

 

「オルコットさん?なんで」

 

「織斑先生に言われて前もってココに待機してたのですの…あとでお話があるから覚悟した方がいいですわ」

 

 

「はい、覚悟しておきます」

 

うなだれる燐を抱えながらピットへ向かうセシリア、クラス対抗戦に乱入した馬型ISは一夏の白式、鈴の甲龍、燐のガオファイガーの連携で勝利を得た

そして新たに現れたG―IS―03炎竜/氷竜。そして二つの心がひとつとなり合体することで誕生する超竜神。ハイパーツール《イレイザーヘッド》はバイオネットとの戦いに勝利をもたらす《鍵》となりうるのか?

 

 

第四話 赤と青(後編)

 

 

 

 




君達に最新情報を公開しょう

クラス対抗戦に乱入した馬型ISを一夏、鈴、燐の共同作戦で倒した三人


そして三人の前に現れた凍也、回収されたISコア?が意味するものは?


IS《インフィニット・ストラトス》―白き翼の戦士と勇気ある者―


第五話 事件後


次回もファイナル・フュージョン承認


―ISコア―


これが勝利の鍵だ!

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