ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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今回はボニート君視点です


第7話 これも素晴らしき我が人生①

「天にまします我らが父よ、ポルポの魂はあなたの御許に行かれ……」

 

絶対ない、そんなことあってたまるか

あの人が天国に行くなら、俺はきっと大天使の一人に選ばれている

神様?流石に麻薬を売り買いしている人間がなるなんて恐れ多い

…じゃあ大天使も無理か

目の前に弔問客の方が現れた

挨拶をしないと

 

「惜しい人を亡くしました」

 

「しばらく『パッショーネ』も静かになりますね」

 

「本当にお悔やみ申し上げます」

 

次々と挨拶しに来た弔問客の方々と一区切りつけると、俺は教会の外に出た

2時間近く中にいたんだ

少しぐらい休んでも罰は当たらないだろう

 

 

 

~5分後~

 

「ふぅ~」

 

この葬式の最中に俺はある決心をした

禁煙だ

20の誕生日からほぼ毎日と吸っていた

そろそろ潮時だろう

医者からも度々注意されているからな

 

「それにしても……」

 

何でおれが葬式の幹事をしなきゃならないんだ

それもこれもポルポさんがあんなこと言わなきゃ……

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~

 

「ポルポは死んだ。死因は拳銃による自殺」

 

「……とでも触れこんでおけ、私は今からアメリカペンシルヴァニア州の別荘に身を潜める」

 

「遺産の27億は君にやろう。なに、はした金だ」

 

「君の仕事はただ一つ。パッショーネを見届ける事」

 

「だが基本的には自由に動いてもらって構わないよ。君も24歳、一人前の男だ」

 

「それでは向こうでよろしくやっておくよ。何か困った事があったとしても電話は掛けてくるなよ。せっかくのバカンスが台無しになるからねェ」

 

「それじゃ頑張りたまえよ、若人」

 

~~~~~~~

 

「なァにが『頑張りたまえよ、若人』だ。自分もまだまだ52歳だろうが…」

 

「なぁ、ちょっと隣良いかな」

 

若い男が頭を下げながら、隣に座ってきた

喪服を着ているところから見ると弔問客の一人のようだ

きっとポルポさんの陰険な試験を乗り越えた奴だろう

パッショーネの中には「ポルポさんのお陰で組織に入る事が出来た!」とか言って、ポルポさんをやたらと信奉している連中がいるのは確かだ

 

「今誰の葬式やってるか知ってるか?」

 

「おいおい何言ってるんだよ。我らが恩師ポルポさんの葬式に来ない奴なんていないに決まってんだろ」

 

「ほぉ、『ポルポさん』ときたもんだ……フフフフフ、ハーハッハッハッハ!」

 

「どうした?いきなり笑いだしたりして」

 

男が驚くのも無理はない

俺自身、笑顔を見せる事はあっても笑い声をあげるほど笑った事は無い

口を大きく開けて良い事は、この業界においては無い

後ろから薬を盛られたり、スナイパーの良い的になる事があるからだ

だが、これは…笑うよりほかにない

 

「死人にまでSignóreをつけるのは、恐らくお前だけだろうぜ。ましてや見てねェ所じゃ呼び捨てにしているらしいのになぁ」

 

「……何の話をしている」

 

おぉ怖い

これだから1980年生まれの若者は苦手なんだよ

 

「いやぁ、俺も何言ってるかわかんねぇんだよ。とりあえずだ、はじめましてブローノ・ブチャラティ」

 

「!」

 

「何も驚くこたぁないだろう。お互い同じ上司の下で働いてんだから」

 

「……………………………」

 

ブチャラティが怪訝な表情で俺を見ているのが、良く分かる

俺がブチャラティの事を知ったのは最近の話じゃない

俺がパッショーネのバッジを胸に付け、堂々とネアポリスの町を歩けるようになったころだ

ポルポさんが「見どころのある若造が入った」と言って写真を見せてくれた事がある

もっとも教えてくれたのは生年月日ぐらいなもんだったがな

 

「なるほど……お互いにお見通しと言う訳だ」

 

「そっちの方が詳しいみてぇだがな」

 

どうやら警戒は解いてくれたみたいだ

さて腹割って話すとするか

ちょうど最高のストレガも入ったところだしな

 

 

 

~カフェ ルビコン~

 

 

 

カフェと名前は付いているが、はっきり言ってここは飲み屋だ

顔を赤くした男達の憩いの場として連日連夜大騒ぎしているが、今は昼

客も少なく、ダウンライトが良い味をだしている

ブチャラティに酒を勧めたが遠慮されてしまった

酒よりもコーヒーや紅茶が良いとのことだ

 

「それでポルポさんなんて言ったと思う?『君の6000万を差し引けば10万人が助かる』とか言ったんだぜ?良く言うよ、そのあと5700万のアルピーヌ買ったって自慢してやがる」

 

「はっはっはっは、ポルポには相当使われたみたいだな」

 

「使われたなんてもんじゃねーよ、搾取だよ搾取。いつか革命起こしてやらぁ」

 

少し酔いすぎたようだ

店主に水を頼み、一気に飲み干す

視界が安定してきた

ブチャラティはコーヒーの2杯目を注文したようだ

 

「一つ……聞きたい事がある」

 

「ふん、言ってみろ」

 

「ポルポの隠し財産についてだ」

 

早速食いついてきやがった

これだから1980年生まれの若者は苦手なんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、おもしろい

 

 

 

 

 

 

 

 

「隠し事は一切なしと行こうか、よし話してみな」

 

「……今俺達はこの状況を使い、幹部になろうと思っている」

 

「その為に上納金が必要ってワケか」

 

何も言わずブチャラティは頷いた

 

「その隠し財産、話によると6億の価値があると聞く」

 

「あぁ、そうだ。モンローがつけたネックレス、ナポレオンの指輪、その他の宝石などなど、どれもいわくつきの品だから手は出さなかったが……」

 

「場所を………聞きたい」

 

ブチャラティと俺の視線が重なった

そこには笑いも怒りもない

たったひとつのスゴ味の勝負だ

 

「詳しくは言えないが…………『綺麗な場所の中でも最も綺麗な場所』と言っておこう」

 

「………感謝するよ、ボニート・E・ゼルビーニ」

 

「いやいや、酒につきあってくれた礼さ」

 

ま、とりあえず引き分けということで

 




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