ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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佐賀県に行きたい


第23話 ハイウェイ線上は戦場にて③

「邪魔だぜぇ!ポリちゃんよぉぉぉおお!」

 

一般的に、絵画の真髄とは題名に沿った対象物であるという見方が定着している

それそのものは別にかまわないと思うが、私はもっと違った視点からも見るべきだと思う

 

「グーデン!ヴェネツィア直行の道はあるか?」

 

「あるのはありますけど……多分…」

 

「封鎖されてるってか?ヴェローナへは?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください…えーっと」

 

確かに、この画伯はこの対象物に特別な思いを注いだ、という考えはあってしかるべきだ

しかしながら、その背景や実用品にも注目していただきたい

見ようによっては単なる邪推と言われても仕方がないが、例えば歴史に沿った作品の場合、この背景は当時の建築技術・自然環境で可能であるのか、この服装はこの人物が着るにふさわしいものなのか、食べ物は時代に見合ったものなのかを考えてみたい

 

「ボニートさん!大変です!この地図イタリア語です!」

 

「オーゥ、エスタディーモ、ピッツァピッツァ、グランディオーソ」

 

「おいバカ共!後ろから新しく8台だぞ!」

 

次に抽象画

解釈は作品によって、だいぶ異なるので一つだけに注目しておこう

ピカソの『ゲルニカ』がなぜ白黒で描かれているのか

私の考察に沿えば、あれは当時の白黒写真を模したのではないかと考える

現代の我々は様々な色で、物事の濃淡を判断できる

だが、当時の情報媒体は全て白黒であった(カラー技術はある)

白黒の絵はカラーの我々にとって衝撃的だが、あの時代を生きた人々からすれば普遍的なものであったと考えるのが妥当であろう

 

「クソッ、ランボルギーニに追い回されるのはゴメンだぜ!」

 

「安心しろ、ありゃフィアットだ!……よぉし」

 

読者の皆様

唐突に芸術観を語りだしてコイツは何が言いたいんだ?と思っている頃合いであろう

ご安心を、私が言いたいのはただ一つだ

 

「ガラス?タイヤ?」

 

「かっこよく決めたいだろ?ここは一網打尽といこうぜ」

 

結論:トラックにカーチェイスは似合わない

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

プシューン!

 

「うわぁあ!」

 

「ハッハッハッハッ!良いなぁ、やっぱりスチームパイプは最高だぁ!どうよ、ボニート!」

 

「アホか!おかげでハンドル加減が狂っちまったじゃねぇか!」

 

「ヒヒッ、そりゃすまねぇ」

 

「ボニートさん!分かりました、このまま真っ直ぐ行けばアドリア海に出れます!」

 

「遅い!俺だったら5秒早く言えるぞ」

 

「そ、そんなぁ!」

 

「あっはっはっはっは!」

 

相も変わらず騒がしい一行だ

女三人寄れば姦しいというが、男でもそう変わらないようだ

 

「出口だ!もしもに備えて、頭伏せとけよ!」

 

「「了解!」」

 

トンネルを抜ける

幸いにも警察の検問は無く、一先ず安心といったところだ

だが、パトカーで追跡するだけが警察ではない

ましてや、イタリアの警察はいくつにも分かれているからパトカーで判別するのも難しい

 

「チッ、案の定ヘリかよ。変なところに税金使いやがって」

 

「脱税者が何抜かしてんだが……いや、ありゃあ…」

 

「どうした?」

 

ホル・ホースの思案顔に疑問が投げかけられる

一般の兵器には良く通じている男だ

ヘリコプターに最新の装備でも取り付けられているのだろうか

ふむ、良く見てみれば確かに変わった形だ

何かこう…横長いというか……

 

「ありゃあ……カモフ!?旧ソの戦闘ヘリだ!」

 

「何ィ!?イタリアは東側になったのか!」

 

「西でもあんま変わんねぇさ!だが俺の『皇帝』でも、あのデカブツが喰らうほどの穴は開けらんねぇぞ!」

 

「ぬぅぅ…クソッたれぇ」

 

トラックはスピードを上げるが、相手はヘリだ

いくら逃げようとも、空から来る攻撃を回避する自信はボニートにない

それに搭載されているサムシートでミサイルの誘導も可能だ

トンネルに入り込めば、逃げ道もなく即KO

先にトンネルを抜けることができたのは幸運と言って良いだろう

 

「もう少し後だと思ってたんだがなぁ…」

 

「?」

 

「グーデン、荷台に行け。お前に初仕事だ」

 

「え?」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「ホル・ホーースさん。じゅ、銃ってアレですよね、グロックとかベレッタとかルガーとかが作ってるアレですよね?」

 

「あぁ、そうさ。お前が使うのは……どれが良いかな」

 

遂にイヴェコが装甲車を製造していたことが判明した

トラックの荷台に積まれていたのは、古今東西と言っては過言だが、とにかくありとあらゆる銃器の山だ

シモノフ・NSV重機関銃・スプリングフィールド・69式ロケットランチャー・カールグスタフなどなど

ギャングから武器商人になっても文句は言われないような品ぞろえだ

 

「グーデン。腕伸ばしてみろ」

 

「こ、こうですか?」

 

初仕事

それも銃を使った仕事だ

ホル・ホースも先輩分として最大と万全の準備をしなければならない

 

「そうだなぁ、初心者向けで相手を一発で仕留められるとしたら……コイツかな、持ってみな」

 

「はい……うわ」

 

「銃を持つのは初めてか?だったら覚えときな、それが『銃』ってやつだ」

 

「……………………」

 

「ビビってんのか?」

 

「そんなことはありま!……せん、多分」

 

「………説教臭いのはニガテだからな、あんまりどやこやとは言わねぇが、撃つんなら自分らしく撃てよ。それと気張るな、だが気張れ」

 

矛盾している。だが、筋は通っている

グーデンがこの意味を理解したなら大したものだ

 

『あー、テステス。聞こえるか?』

 

「よく聞こえるぜ、ヘリはどうしてる?」

 

『お前らが荷台に移った辺りで機関砲バンバン撃ちこんできやがる。昨日で車検切れたからボディに傷はいかせたくないんだがな』

 

「ケチケチすんな。何のためのジュラルミン装甲だ」

 

『こういう時のためなんだろうなぁ~………ところで、グーデン』

 

「はい」

 

『記念すべき初仕事だが、降りても構わねぇぞ』

 

「初仕事だ」と言っておきながら「降りても構わない」と言い

嫌な上司の典型例だ

とはいえ、ボニートの上司もそれを上回る程憎たらしいのだから、ボニートがこうなってしまうのも無理はない

 

『今まで雑用ばっかだからな、初仕事の自由ぐらいは与えてやるさ。それに俺の初仕事は「運び」だった。だが、お前のは違う。お前のは「殺し」だ』

 

「殺し……」

 

『そうだ。そしてそれは、一線を超えることになる。お前はまだ引き返せるんだ。ドイツの親父さんとこに頭下げて帰って、別の仕事見つけることだって…………』

 

「それだけはイヤだ!あんな奴の所になんか!……あ…」

 

『…………………』

 

グーデンドルフが初めてボニートに噛みついた瞬間だ

ホル・ホースもそれに感嘆の口笛を鳴らす

何より目だ。目が変わった

 

「一線ぐらい超えてやりますよ!それが道だってんなら突き進んでやるだけだ!」

 

『…進み方は間違えるなよ。真っ直ぐってのは良いが、歩く走るで大分違うからな』

 

「はい!」

 

かくしてここに一人のギャングが誕生した

その名をグーデンドルフ・マッケシュタイン

彼は一線を超える、後戻りは許されない!

 

「良い啖呵だ。んじゃあ、もう少しだけ教えておこう」

 

ホル・ホースはグーデンの持つ銃を指さす

全身1746㎜、ガス圧作動方式の銃と言えば……

 

「コイツはosv96、弾数は5発と少ねぇが一発の威力は天下一だ。専用の弾を使えば更に上がるが、今のお前にゃ普通の弾で十分だろう」

 

「反動は?」

 

「結構、効くぜ。ロシアの知り合いのツテで試し撃ちしたことがあるが、しばらくは腕がブラーンだ…よし、そろそろ出るぜ」

 

「えぇ!?まだ、心の準備が…」

 

「んなもん便所で済ましとけ。ボニート!ドアを開けろ、それと少しだけ持ち上げてくれ!」

 

『早くしろよ!ジュラルミンとは言え、エンジンに異常が出ればおじゃんだ!』

 

トラックが浮き始めた

グーデンはホル・ホースの指示を聞き、銃口をヘリへと向ける

しかし、浮いたとはいえトラックはトラックだ

カーブに差し掛かってしまい荷台の2人は激しくずっこける

 

「折角浮いてんだから真っ直ぐ行きやがれ!」

 

『運ちゃんとして、道交法ぐらいは守りてぇんだよ!』

 

「わ、わわわ、わわ!とにかく車体を安定させてくださいぃ!ボニートさ~ん!」

 

直線のコースが見えてきた

距離はおよそ1300mぐらい

ボニートはここを待っていた

ヘリとの位置を平行に保つにはここしかない

 

『グーデン!一発勝負だ!プロペラの接合部分を狙え!』

 

「待て!初心者に、それも対物狙撃用ライフルだ。一発でソレを仕留めるには無理があるぞ!」

 

『勘違いするなホル・ホース。俺が試してるのは技量じゃねぇ心理だ!やれるか、グーデン?』

 

「…………恨まないで下さいよ!」

 

「アッハッハッハ!それでいい」

 

構えを元に戻し、ヘリに照準を合わせる

狙撃用スコープから見えるのはプロペラの結合部分

ここで撃てばヘリは確実に落ちる

だが、グーデンは緊張してしまった

本当に撃っていいのか、外れたらどうしよう、もしかしたら先にこちらが撃たれるかもしれない

 

「(ヘンな事は考えるな!一線を超えるって言ったじゃないか!撃て、引き金を引けグーデンドルフ・マッケシュタイン!僕は……僕は…)」

 

 

 

~このドラ息子が!~

 

 

 

「!」

 

気付けば引き金を引いていた

ほんの一瞬だった

撃ったという感覚すら残っていない

そういえば、弾は

弾は当たったのか

 

「ボニート……作戦は失敗、外れた」

 

『…………………そうか』

 

初仕事で失敗してしまった

その事実は、グーデンドルフに大きなショックを与えた

目だ。目が変わってしまった

 

『クソッ!トンネルだ!』

 

「連中、これを知ってミサイルを撃たなかったのか」

 

トラックはすでに道路に戻っており、今からまた持ち上げれば上の道路にぶつかってしまう

もはや、どうすることもできない

覚悟を決め、ミサイルの恐怖と共にトンネルに入るしかない

 

『フルスピードで逃げる!何かに掴まっとけよ!』

 

「了解。………ほれ、グーデン」

 

「……………………」

 

第二のトンネルに入った

ヘリコプターそのものは入れない

その代わりに追ってくるのが、搭載されているホーミングミサイルだ

 

「スチームパイプも見当たらねぇ…どん詰まりだな」

 

トンネルの入り口でホバリングしているカモフはミサイルをいつでも撃てるはずだ。だが、動く気配を見せない

ボニート達の逃げるサマを眺めているようだ

 

『野郎、オレたちを嬲る気か』

 

「んじゃ、せめてもの悪あがきだ」

 

ホル・ホースの『皇帝』が、天井の電灯を撃ちぬき始めた

それでミサイルの追尾能力から逃れられるとは考えていない

ヘリの熱センサーで仕留められるのは知っている

 

「ホル・ホースさんは…やけに落ち着いてますね」

 

「…何度か味わったことがある。死ぬって感じる時に何度かな」

 

「ハハハハハ…じゃあ僕も死ぬんですかねぇ?」

 

「さぁな。だけどボニートは必死こいてるだろうからな……まぁ、生きてたら儲けモンだ」

 

いつものグーデンらしくない

泣きわめいてボニートに縋り付くのが、彼なのにやけに落ち着いている

達観していると言ってもいい

 

「(悔いは無い……僕は一線を越えたんだ。こうなることは覚悟しなきゃならないんだ)」

 

仕事を終えたというのに、銃を握りしめてしまう

愛着なんぞ湧くワケでもないのに妙に愛おしく感じている

あぁ、何という皮肉なり

思い出すのはドイツの光景

街中を酒飲み共が列をなし、失業者たちが路頭で暮らし、金持ちどもはいい気にワイン

ホールに入ればベルリンフィル、農民たちは讃美歌を歌い、母はフラムクーヘンを作り……

父は、父は、父は、

 

 

 

 

~このドラ息子が!~

 

 

 

 

「!」

 

それは本能による動きだ

閉まった筈の荷台ドアを蹴破り、OSVの銃口を改めてヘリに向ける

目だ。目が変わったッ!

 

「(見ていろよ…クソ親父」

 

トラックとヘリの距離がどんどん離れていく

カモフに搭載されているミサイルは空対空ミサイル、ロケット弾などがあるが、相手がトラックとなると、恐らく対戦車ミサイルを撃ちこんでくるだろう

 

「……射角をもう少し上げておけ、それと撃つなら奴が撃ってきたと同時にだ」

 

「はい!」

 

ホル・ホースはグーデンを止めることなく、それどころかアドバイスをした

賭けることにしたのだ

目の前の若いドイツ人がどこまで底を広げてくれるのかを

 

「来るぞ!」

 

「………………………………」

 

カモフのハードポイントが少し揺れたような気がする

いや、揺れた

その証拠にミサイルの先端が見える

グーデンは落ち着いていた

2度目だからとかそんな甘っちょろい理由じゃない

必ず、撃ってやるという自信があるからだ

 

「(タイミング!3,2,1………)」

 

ズゥウオン!

 

ただの銃声じゃない

良くも悪くもロシアの銃

重みも格もそんじょそこいらの品とは違う

だが、それはミサイルにも言えることだ

良くも悪くもソ連のミサイル

ICBMの技術はアメリカを恐れさせた

規模は違うが、その技術は応用されている筈だ

 

「ボニート!ドアを閉めろ!」

 

『あれ?まだ開いてたのか…ちゃんと閉めたんだけどな』

 

 

ホル・ホースは危惧していた

ミサイルの当たる当たらぬではなく、爆風による衝撃のことだ

ドアは閉まろうとしているが、グーデンが蹴破ったせいか完全には閉まらない

グーデンは放心状態になっており、回避することに頭が回っていないようだ

 

「Turn down!」

 

「え……うわぁ!」

 

頭を押さえつけ、無理やり伏せさせた

その直後に爆風が彼らを襲う

襲うのは爆風だけではない、ミサイルの破片や熱もある

 

「ぬぁあああああ!」

 

「ウッ!がぁああああ!」

 

『何だぁあ!?どうした!?』

 

一番焦っているのはボニートだ

サイドミラーは機関砲にやられ、後ろの状況が全く分からないからだ

その中で、突然の爆発だ

驚いてしまうのも無理はない

 

 

 

 

 

やがて、爆風が収まった

トラックも無事?トンネルを抜けている

 

「あららぁ、ら。コゲ臭ぇの、お風呂入りてぇ」

 

「そうだな。トスカーナにいい湯があるって聞くぜ」

 

「あぁ、メディチ家がうんたらかんたらっていう場所だろ」

 

トンネルの中を悠々と歩き、ヘリの残骸に辿り着く

パイロットを無理やり引きずり出す

顔も体も黒焦げで、誰かを判別するかも難しい

 

「こいつら一体何なんだろうな?うわさに聞く、カラビニエリって奴か?」

 

「連中が俺たちみたいな社会不適合者に、こんなの用意するわけねっだろ」

 

「さぁて、どうだかねぇ?…ん、これは?」

 

パイロットのポケットから何か光るものが落ちた

少し小さい

何かのバッジのようだ

 

「何かのバッジだな……どっかで見たことある、ってこりゃあ」

 

「値打ち物か?」

 

ボニートは第2ボタンをホル・ホースに見せた

第2ボタンにはパッショーネのバッジが縫い合わされている

パイロットのバッジと第2ボタンを並ばせる

 

「要するに……」

 

「あぁ、こいつら全員パッショーネの構成員だ」

 

「内部抗争か?3人仕留めるにゃ、元の取れねぇ装備だが……」

 

「………考えられるが、恐らく違うだろう。どちらかという邪魔者を消しに来たって感じがする」

 

2人は踵を返し、トラックの元へと進む

焦げたバッジから様々な推測ができる

暗殺チームの一員、その他幹部からの刺客、出世を狙った下っ端

考え出せばキリがない

そう考えているうちにトラックへと戻ってきた

コゲが所々に現れ、ガラスも傷がいっている

カスタム費、約6000万(内4000万はローン)のイヴェコは動きはするが、無残な姿になっていた

 

「次、どっちが転がす?」

 

「お前がやってくれ。ちと考えてぇことがある……グーデンにも労いの1つや2つはしねぇとな」

 

「おーおー、優しいことで」

 

「茶化すな」

 

軽く蹴りを入れ、運転席へと向かわせる

荷台を開ければグーデンが銃の手入れをしていた

隣に座り、肩をポンポンと労い代わりに叩く

 

「ホル・ホースから教わったのか」

 

「はい、『耳をほじるような感覚で』って言われました」

 

「はっはっ、ちゃんと掃除してやれ」

 

「……ボニートさんは」

 

「うん?」

 

「初仕事、どんな感じだったんですか?」

 

「今から7年前ぐらいか……メキシコからの密輸品をディーラーに運ぶってやつでな」

 

「………………」

 

「それがまさかの大失敗よ」

 

「え!それって……」

 

「密輸品に小型爆弾が仕込まれててなぁ、高速道路でいきなりドカンよ」

 

「何かお咎めとかは………」

 

「特には無かった。だけど、『自分のケツは~』って言われてよ。グアダラハラで一発ブチかましてやったぜ」

 

「やっぱり、凄いですね……ボニートさんは」

 

「いんや、それは違う」

 

グルゥン!グルゥン!

 

エンジン音が彼らの会話を遮る

戦闘のダメージはそこまで受けてないはずだが、いつも聞く音ではない

何か異常が発生してしまったのか

 

『本日は晴天なりー、よしマイク繋がってるな。ボニート!エンジンがうまく動かねぇぞ!』

 

「マジか!?じゃあ、下見るから少し待っててくれ」

 

戸棚にあった工具箱を取り出し、荷台を開ける

機関砲の弾がエンジンに当たったということはないはずだから、恐らくその周辺機器がおかしくなっているのだろう

 

「ボニートさん!違うってどういうことですか?」

 

「…………この業界でな?初っ端の仕事で成功する率は低いんだ。経験の無い奴が無理やりやらされるようなモンだからな」

 

「じゃあ、僕は…」

 

「おっと勘違いするなよ。だからってスゴいってワケじゃねぇ。ポルポさんなんかは、初仕事で政治家何人か失脚させてんだからな」

 

少し慢心してしまったグーデンだが、先人の偉大な功績を聞き萎んでしまう

それもそのはず

大統領当選直後の与党の人間を何人か失脚させた事件は、時の新聞の一面を飾ったほどだ

尤も、本人は「安い仕事だった」と言っているからスゴいものだ

 

「まぁ、だけど……その何だ…」

 

「?」

 

珍しくボニートが言いよどんでいる

目を瞑り、頭をかき、途中で「あー」と言って間を伸ばせたり

いつもの正々堂々、公明正大、青天白日という感じではない

まぁ、いろんなことは考えられるが彼が言いたいことは、つまりこうだ

 

 

 

 

 

 

 

「よくやったな。グーデンドルフ」

 

「っ!ありがとうございます!」

 

 

 

 

 








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