ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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第22話 ハイウェイ線上は戦場にて②

「ボニートさん!僕、免許持ってないけど運転できましたよ!褒めてください!」

 

「ん?バーカ」

 

ボニートが特注したイヴェコは、様々な改造が施されている

後部座席に、防弾ガラスにランフラットタイヤなどなど

荷台に銃器を詰め込んでおけば、装甲車と何ら変わらないレベルだ

 

「ホル・ホースさん。ボニートさん、さっきからあんなんなんですけど………」

 

「急用別件その他諸事情、だとよ」

 

「?」

 

グーデンは助手席、ホル・ホースが運転、ボニートは後部座席に寝転がっている

一行はアドリア海を目指しながら高速道路を走っている

アドリア海沿いにヴェネツィアへ向かおうとしているのだ

 

「(どう考えても……やっぱりだ。だが……いや、待てよ)ホル・ホース」

 

「あぁ?」

 

「少し進路を変える。次の分かれ道、左のところを右に曲がってくれ。」

 

「何言ってやがる。そっちはミラノ方面だぞ」

 

「良いから行ってくれ」

 

「……………はいよ」

 

あと少しで左に曲がるところだったが、急カーブし右側の路線に入る

グーデンがその衝撃でサイドガラスに頭をぶつけてしまったが、大して問題はないだろう

それよりもボニートだ

ペリーコロの自殺を見てから何かがおかしい

 

「(親父様よぉ、これがアンタの言う『真実』なのか?)」

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「よし、ここで停めてくれ」

 

「………おい」

 

「ん?」

 

「てめぇ、任務ほっぽり出す気じゃねぇだろうな」

 

ブチャラティと別れただけでも大問題だ

彼らの任務は「ブチャラティの任務に助勢すること」

ブチャラティの許可があるから大丈夫なのでは?という意見も出るだろう

確かに大丈夫だと言われれば大丈夫だ

だが、今回の任務はボス直々の指令

ヘタに動くことは許されない

更に言えば、指令の内容に合流の文字があり、別行動を特別許すとは明言されていない

ギャングの世界が現場主義であることは事実(組織によって方針は異なる)だが、それを唱えるには然るべき状況が必要なのだ

ボニートがブチャラティと別れたとき、別行動を取らねければならない状況であっただろうか?

 

「任務は遂行するさ。待ち合わせにも間に合わせる」

 

「当たり前だ。てめぇが約束した事だからな」

 

「………気晴らしだよ。亀の中がじめじめしてんのが悪い」

 

「…へーぇ、もうどうにでもなれってんだ」

 

車から降りたボニートは何という訳でもなく歩き始めた

夜の高速道路、特にこのA4は車の通りが少ない

深夜ぶっ通して、他の町に行くというのは運送業者でもない限り見られない

そして、ボニートにとってここは因縁の場所

 

「(前々から変わんねぇな…この嫌気は)」

 

今から22年前

ちょうどボニートの立っている場所で交通事故が起きた

そう、彼の父母を襲った不幸の出来事

ボニートはその真実を、常に追い求めていた

 

「(10年間、まるで冬眠に備えるアリのように情報を集めてきた。感慨深いとは言わねぇが、やっと辿り着いたっていうのは実感できる)」

 

車からあるものを持ち出していた

エルピディオからもらった事件のファイル

だが、もう用済みであった

ライターの火がうまく着き、ファイルを燃やし始める

実のところを言うと、ファイルを貰う前からボニートはある程度の推測を持っていた

ファイルはあくまでその確証を得る程度のもの

 

「(全部、とは言わねぇ。それでもいくつかの謎は解けた……)」

 

イタリアは太陽の国

だが、夜の風景もよいものだ

月は惜しい事に満月でも三ケ月でもない、十日余りの月

 

「ボ、ボニートさん!」

 

上司が感傷に浸っているというのに、グーデンは声を荒げた

いつもの情けない声ではなく、どちらかというと鬼気迫っているような……

 

「サツだ!こっちに向かってきている!」

 

「サツだと?」

 

赤と青のランプがうるさく鳴り響く

それも両側から挟み撃ちの形でだ

前方5台、後方4台

トラックに乗り込むと、ホル・ホースが助手席に移動していた

気取ったような目が「お前が動かせ」と主張している

 

「気が利くな」

 

「ご自慢の『ねごしえーちんぐ』ってのを見せてもらってないからな」

 

「あぁ、そういえばそうだったな」

 

「ボニートさん!早く車を出して!」

 

「やかましい、舌を噛ませるぞ」

 

「で、でも…………」

 

「グーデン、お前はもう少し自分の上司を信頼した方がいいぜ。なぁ?ボニートさんよぉ、ヒヒヒヒッ」

 

「ハハハハ、そうだぁな。信頼してくれよ、グーデン」

 

そうだ思い出した

このイヴェコにはもう一つ改造されているところがあった

 

「アウトバーンじゃ出来ないことを見せてやるよ……アウトストラーダの走りをな」

 

キーがもう一回りできることだ

 




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