ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜 作:京都府南部民
「6両車目の切り離し完了ッ!ボニート!そっちはどう~だぁ!?」
「今ねじ外してるところだ!お前は先に4両車の仕事にかかれ!」
「あいよ!」
ラ・スタンパ(記事の一部より抜粋)
イタリア鉄道史上最大の怪事件!?
フィレンツェ行き急行列車を襲った真相に迫る!
「んぅ~~~~よいしょっ!ふぅ、取れた」
ラ・レプッブリカ(記事の一部より抜粋)
敏腕刑事エルピディオ氏「解決は困難」
捜査本部は増員派遣を決定
「ホル・ホォース!そっちゃどうだぁ!?」
「最後の1つだ!…クソッ、錆ついてやがる」
「先行ってるぞ!」
コリエーレ・デラ・セラ(記事の一部より抜粋)
被害者が語る「老人になってしまった」?
連結部分が外れた訳は?
「2両車にかかる!」
「おう、行って来い!」
イル・マニフェスト(記事の一部より抜粋)
新しいテロの疑惑、反政府団体の仕業か
フェッロヴィーエ・デッロ・スタート社重役一同「原因究明に勤しむ」
「3両車は終わったぞ!どうだ?」
「後10分あれば……えぇい『皇帝』!ぶち抜きな!」
オッセルヴァトーレ・ロマーノ(記事の一部より抜粋)
車内で銃撃戦が起こった可能性あり
一部関係者は否定
「よし!ホル・ホース!上がってこい!」
この怪事件はイタリア全土に衝撃を走らせた
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「任務は遂行する、部下も守る。お前ごときに両方やるというのは、そうムズかしい事じゃあないな」
「早い、な。たしかに、早い」
運転室
そこは戦いの舞台となっていた
ブチャラティvsプロシュートと言ったところだ
先手はブチャラティの1打から始ったようだ
『スティッキー・フィンガーズ』 の攻撃を喰らい、プロシュートの体にはジッパーと言うジッパーが体にあらわれている
「お前のスタンド『スティッキー・フィンガーズ』……俺の『グレイトフル・デッド』より早いのは百も承知だ………エネルギーを老化に費やしている…からな」
「…………」
「だからこそ、お前は理解して、いねぇ。速く走る車のボンネットほど熱くなるんだからなァ~、動くってこたぁあったまるってことなんだよ、カロリー使ってるからな」
「!」
「気付いたようだな……氷で冷やしても手遅れだぜ…体内温度は上昇してんだからなぁ!」
ブチャラティの全身に皺が現れる
奇跡的に生きていたミスタのスタンド『セックスピストルズ』のNO.6が氷を使って冷やそうとするも効果は無い
「氷ガキカナクナッテル!ブチャラティ!」
「どうした?今さら汗をかいたところで体は冷えねぇぜ」
『グレイトフル・デッド』がブチャラティの腕を掴む
直に触れると老化のスピードは著しく速くなる
だが、ブチャラティは何もしない
「掴んだぞブチャラティッ!これで俺達の仕事は終わりだ!娘は手に入れた!」
「捕まえられるのも覚悟の上だ」
プロシュートは気づいた
ブチャラティが自分の腕をつかみ返していることにだ
「『任務は遂行する』・『部下も守る』、両方やらなくっちゃあならないのが幹部のつらいところだな」
覚悟はいいか?オレはできてる
プロシュートはさらに気づいた
自分を含めブチャラティの足場にまでジッパーが仕掛けられているのを
「ブチャラティッ!まさか、オメー!」
「お前をこのまま列車から追い出せる……『老化』さえ解除すれば、部下は復活する!娘も守れる!」
「てめー、外は時速150㎞だぞッ!腕を離しやがれー!」
「掴んだのはお前のほうだろ?」
ジッパーが一気に開かれる
時速150㎞の世界
プロシュートは開かれた部分を握っているのが精いっぱいの状態だ
「うおぉぉぉぉおおおお!ペッシィ!列車を止めろぉぉぉぉ!」
「(ん?これは………)」
焦るプロシュートとは対照的にブチャラティは冷静だった
覚悟の上で行った行為なのだから
だが、逆に冷静すぎたのが問題だったのかもしれない
外の光景にブチャラティは冷静だった分の驚きが来てしまった
「(全車両が分断されている!?)」
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一方、運転室
ペッシはブチャラティから受けた一撃からやっと復活していた
しかし、あたりを見回すと自分の信頼する兄貴がいない
ただ一つ変わっていることと言えば、巨大なジッパーがあらわれていることぐらいだ
「あ、兄貴ィィィィイイイイイ!」
ペッシは窓から外の様子をうかがう
そこにあったのはプロシュートがぎりぎりといった感じでジッパーの端をつかみ、ブチャラティを振り落とそうとしている光景だった
「(兄貴をた、助けねぇと………)」
ペッシは迷う
どうやって助けるのが最良の方法なのか
『ビーチ・ボーイ』 を使っても、緊急停止レバーを引いてもプロシュートは助かるが、問題はブチャラティなのだ
外に出てしまった以上、『グレイトフル・デッド』の老化ガスの範囲は期待できない
ブチャラティを倒せたとしても残りの部下たちが復活し自分たちに報復しに来るだろう
「もう、良いほうなんてわかんねぇー!」
『ビーチ・ボーイ』を片手に掴み、もう片手を緊急停止レバーへと伸ばす
「喰い付いたッ!だが、2人分……ブチャラティめ!」
レバーを引いたはよいものの、電車はそう簡単には止まらない
ブレーキによる車輪の歯止め音が耳にこだましているが、今のペッシにとってはそんなことはどうでもよかった
『ビーチ・ボーイ』は本来1人分の重さしか釣り上げることはできない
今、こうして釣り上げられているのはペッシの精神状態が鬼気迫るものであるからだ
スタンドは精神状態によってその力が変わりやすい
ペッシの中にある「兄貴を助ける」という強い一念が『ビーチ・ボーイ』を強くしているのだ
「あと、もうちょい………列車が止まった!」
『ビーチ・ボーイ』を解除し、運転室のジッパーへ向かう
「兄貴ィィィィイイイイイッ!」
が、しかし
「おぉっと!お前はこっちだぜ!」
「な、何ィッ!?」
後ろから唐突に現れた2人組、ボニートとホル・ホースに引っ張られペッシはジッパーの反対側へと放り出される
時間はちょうど夕方
夕日が辺りを照らしているがボニートたちのいる場所は列車によって影になっている
「お降りの際は右のドアが開きます…ってか」
「足元にご注意をッ!」
ホル・ホースの『皇帝』の弾がペッシ目掛けて放たれる
……だがッ!
「『ビーチ………ボォォォォォイ』!」
キィン!
「ンナッ!?釣針で弾き返しやがった」
とはいえだ、放り出された衝撃がまだ残っているのであろう
ペッシは立つのもままならず、地面に突っ伏している
「最後の馬鹿力ってやつか……」
「とどめさすか?」
「あぁ………いや、少し待て」
地面に突っ伏しているとはいえペッシの顔に喜びの色が出ていた
これから殺されるかもしれないというのに、それもあっけなく殺されるかもしれないというのに
「…兄貴は、言っ…たんだ。『スタンドを…解除して、はいけない』……ただの意気込…みだと思った。だけど本当…だったんだね、兄貴」
「こいつ何を言って…………ッ!」
老化がまた始まった
プロシュートはブチャラティに巻き込まれ、生きていたとしても瀕死の状態、いや、健全な状態だとしても精神力の疲労からパワーは中々出せないはず
2人の読みは甘かったのかもしれない
ボニートの顔に汗が流れた
恐怖・驚愕・畏敬の汗だ
「オレらやばい仕事に当たっちまったなぁ」
「あぁ、ほんと最悪。恨むぜペリーコロさんよ」
氷の束袋で何とか老化をしのぐもペッシは復活してしまったようだ
だが、不思議な事にその目に殺意はない
あるのは決意の目だ
「野郎何かに目覚めちまったみたいだぜ?」
「そりゃ大変。んじゃ、今度こそ本腰入れますか」
「…アイ・アイ・サー……」
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