ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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ただでさえない文才なのに何で「ジョジョ」という高等文学に手を出してしまったんだろう。
だけど完結はさせるつもりです。


それと先に断っておきますが、この作品はジョジョ5部で起きた事全てに介入させることはありません。もしかしたら、今回のプロシュート兄貴・ペッシ戦が唯一の原作介入になる可能性があり、私自身この物語を40~50話ぐらいでシメたいと思っています。
どうかそれをご了承ください。


第14話 フニクリ・フニクラ③

「お前ってかっこつけんのは得意なくせに、後始末はへたくそ何だな」

 

「うるせー、上司の教育が悪かったんだよ」

 

2人がどこにいるか教えてあげよう

バーの食器棚の中だ

幸いにも皿などの物はほとんど入っておらず、大人2人が隠れるにはちょうどいい広さになっている

 

「未知の敵に当たるなんて暴挙は犯したくない」

 

「お前のご先祖様はポエニ戦争で象と戦ったんだぞ」

 

「残念、俺のご先祖様はゲルマン民族・フン族と戦ってたんだよ」

 

「大戦期はパルチザンか?」

 

軽口を立てている暇は無い

この密室空間において気温・温度は非常に上昇しやすい

ロックアイスの袋を束ごと持ってきたのが唯一の精神安定剤だ

 

「だけど、このままって訳にもいかんだろ。今すぐじゃ無くとも、いずれは反撃に出なきゃならねぇンだぜ?」

 

「ホル・ホース、国語が正しくねぇな。俺達は確かにこうしてこそこそしちゃいるが、敵からまだ何もされちゃいない。反撃ってのは攻撃されたってことだ。俺達の任務を遂行させやすくするのに1番良いのはな?『常に先制攻撃を仕掛ける事』さ!俺たちが反撃するんじゃねぇ。連中が反撃するのさ!」

 

「………よぉしその案乗ったぜ。ジョン・ウェインとまでは言わねぇが、30年ぶりの大列車強盗と洒落こむか!」

 

2人は意気込みこそしたが、まだ出るには早い

お互い引き戸を少し開け外の様子をうかがう

男だ

男がカウンターに座って冷蔵庫にあったであろう氷をガリガリと食べている

 

「敵か?」

 

「氷を食べている所を見るとそうだろうな」

 

老化の条件は温度に反応するものだ

それも高温であればある程にだ

 

「だが、奴がこの老化現象を引き起こしたとは考えられないな」

 

それはそうだ

老化させておきながら、その被害を自分も被ってしまうようではお粗末にも程がある

すると、ホル・ホースがボニートにある場所を指さしていた

しかしボニートの場所からはそれが確認できない

体をくねらせ場所を交換しようとするも、両者とも大柄な体型だ

そう簡単には移動できない

 

「おい、ハンバーガーデブ。体ひねらせろ」

 

「うるせーぞピザデブ。足邪魔だ」

 

罵りあいながらも、移動はできたようだ

隙間からホル・ホースが指さした方向を見る

そこには釣りざおがあった

 

「釣りざお?」

 

「奴のスタンドかなんかだろう。それに良く見てみろ」

 

その指示に従い、目を凝らしてみる

その釣りざおにはある物が一つなかった

釣り針がないのだ

見えるのは糸が地面に垂れ下がっているだけで、針の存在は何度見ても確認できない

 

「どんな能力だと思う?」

 

「俺の見立てが正しけりゃ、魚をいつでも釣る事が出来る能力だな」

 

「クジラでも釣って貰うか?」

 

「そりゃ哺乳類だ」

 

しばらく見ていると男に動きが出た

釣りざおを持ちあげ、リールに耳を当てている

 

「何やってんだ?」

 

「おい、俺にも見せろ」

 

ホル・ホースがボニートを押しのけて覗きの隙間を占拠する

だが、ボニートは抵抗する事は無くその場所を譲った

 

「(敵の動きが全く読めねぇ…探してんのか待ってんのか、目的はなんだ?)」

 

「ほぉ~~う、なるほどなるほど」

 

「何か分かったか?」

 

「奴の釣りざお……正確に言うなら釣り糸と言うべきか、釣り糸は壁を通り抜ける。……ここからはあくまで推測だが、釣り糸はある場所に固定する事ができ、そこから振動などを感じ取る」

 

「奴がリールに耳を当てていたのはそのためか」

 

「おそらくな、だが少し…………何か引っ掛かるんだよな」

 

「釣り糸だけに」

 

「はっはっはっは、そりゃうまい」

 

 

――――ダン!ダン!――――

 

 

「!?」

 

突然の銃声に驚愕の表情だ

もう、隙間何かを気にしていない

思いっきり引き戸を開けた

目の前に釣りざおの男はいない

 

「こっち」

 

「あいよ」

 

2人はカウンターの下に隠れて、しばらく様子を窺う

すると、もう一人男が現れた

特徴的な帽子?を被っており手には拳銃を持っている

その拳銃の銃口は釣りざおの男に向けられていた

 

「あれ、なんて銃?」

 

「S&Wのシリーズだな。38口径ダブルアクション」

 

「またもやアメリカンか……」

 

「ベレッタを使われるよかマシだろ」

 

拳銃談議に花を咲かせている場合ではない

ボニートは先ほどの発砲で割れたであろうグラスの破片を指で掴む

ホル・ホースは『皇帝』を出現させ、タイミングをうかがっている

 

「いつ出る?」

 

「いや、出ない方が良い」

 

「はぁ?どういうこったい?」

 

「焦りから来るタイミングはひどいタイミングだからな。何事も『待ち』の一手という奴さ」

 

『待ち』の一手

ボニートの言葉にホル・ホースの眉間に皺が寄せられる

しかし、それでも動かないのは彼を信頼しているからであろうか

 

――――なぁ~~~~~、あんたよぉ~~~~~肉が食べれね~~んだよ~~~――――

 

――――今すぐ食いたくなるようにしてやっから、離れてろ!――――――

 

帽子の男は老人にせがまれて、身動きが取れないようだ

 

――――いいや、食えなくなるのはお前の方だぜ、ミスターーーーー

 

――――何だと?………てめぇ、まさか!?―――――

 

慌ただしい様子にカウンター下の2人が顔をのぞかせた

これで驚愕の表情を見せるのは本日で何度めであろう

紫の縦縞スーツを着た老人が帽子の男、ミスタの手を掴み……老化させていたのだ!

 

「直は素早いんだぜ……」

 

紫スーツの老人は紫スーツの男になっていた

釣りざおの男が安堵の表情を浮かべながら近づく

 

「兄貴ィ~!流石、プロシュート兄貴はスゲェーや!」

 

「ペッシ、この程度で一々喚くんじゃねぇー。俺達はなぁ、そんじょそこらの仲よしグループとは……」

 

プロシュート兄貴

そう呼ばれた人物は目の前で倒れているミスタの拳銃S&Wの銃口をミスタの頭に向ける

 

「ワケが違ぇーんだからな」

 

 

 

 

 

『ブッ殺す』と心の中で思ったのならッ!

その時スデに行動は終わっているんだッ!

 

 

 

 

 

「ついてこいペッシ!ミスタが1両車目から出てくるのを俺は見た……娘は運転室にいるッ!」

 

「ま、待ってくれよォ~、兄貴ィ」

 

2人が立ち去ったあと、今度はカウンター下の2人が現れた

 

「あ~ぁ、退院祝いの仕事で早速死体が出来ちまったよ」

 

「俺も幹部クラスの初仕事でコレだ。嫌になるぜ」

 

ミスタの死体をまじまじと見つめながら、ボニートは十字を切った

ホル・ホースは冷蔵庫にある全ての氷を取り出し、腕に抱える

 

「どーする?途中下車でもするか?」

 

「そりゃ魅力的だが、2枚の切符を無駄にすんのはいただけないなぁ」

 

「乗り越しのできない電車なんて願い下げだぜ」

 

「安心しな、すでに対策案はできてるぜ」

 

「ほぉ、んじゃ聞かせてもらおうか」

 

ボニートは壁に貼ってある車内案内のポスターに手をつけ、連結部分に指を当てる

ホル・ホースはそれを理解したのか笑みを浮かべ、『皇帝』を出現させる

発案者のボニートも『キャプテンビヨンド』でカウンターの丸椅子を持ちあげている

 

「ヒッヒッヒッヒッ、なるほど、そりゃ大変だぁ。明日のスタンパの1面は俺らが取ったも同然ってワケだ」

 

「レプッブリカもな。題して……イタリア鉄道史上最大の怪事件」

 




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