ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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急展開?そんなことは知りません。

ホル・ホースの口調が気になるこの頃……


第10話 どうせ撃つならピストルで!②

「よ」

 

「これはボニート様。それではお部屋の方に……」

 

「いや、今日は待ち合わせをしているだけなんだ」

 

「左様ですか。では、私はこれにて」

 

時は12:00分

「シチリアのコック」前に来たボニートは辺りを見ながらベンチに座った

ホル・ホースはまだ来てないようだ

 

「ちきしょー、あのアメリカン野郎……15分前ぐらいには来いってんだ」

 

イタリア人は時間感覚がルーズだと言われているが、守る人間はちゃんと守っている

ボニートもその内の一人だ

 

「よう、ボニート」

 

「遅ぇーぞホル・ホース」

 

テンガロハットに西部風の衣装を身にまとった男――ホル・ホースはボニートが今まで仕事をしてきた中で最高の相棒だった人物だ

組んだ回数は計4回

 

「ヒヒッ、そう言わんでくれ。今でこそ全快だが、その前まではナース追っかけてたんだからよぉ」

 

「失敗したのか?」

 

「エジプトでな………ところで仕事って何だ?」

 

ホル・ホースは仕事の内容までは聞かされていない

昨晩いきなり電話がかかってきて、『仕事をしたいからこっちに来い』と言われたぐらいだ

それ以上は何も聞いていない

 

「平たく言うなら護衛だな」

 

「誰の?」

 

「俺の」

 

「お前の?」

 

「俺の」

 

「…おいおい、冗談よせよ。お前にゃ自慢の『キャプテンビヨンド』があるんじゃねーのかよ」

 

「いや、上の人に2人でやれって言われてな」

 

ペリーコロの指示は2人で仕事に当たる事

いや、正確に言うならボスからの指示になる

ブチャラティの任務がどれほどのものかは知らないが、ボスから直々の指令となればきっと難易度の高いものなのだろう

 

「まぁ、そのなんだ。病み上がり最初の仕事としちゃあ簡単な方だと思うが……」

 

「退院祝いが仕事話なんて、酔っ払いでも笑わねぇぜ………」

 

「ずっと笑ってるからな」

 

ホル・ホースはタバコをくわえ、火をつける

ライターはジッポー社の1937年モデルだ

 

「仕事は引き受けてやろう……だが憶えといてほしいことがある。お前とはちゃんとしときたいからな」

 

「言ってみろ」

 

「いざとなったらお前を見捨てる、向こうが強いとわかったら向こうにつく、お前が死んでも仇はとらない」

 

「良いだろう、覚悟しようじゃねぇか」

 

「よォし!契約は成立だ!」

 

ボニートとホル・ホースは固い握手を交わし、笑みを浮かべる

だが、ホル・ホースは何かに気づいたようだ

握手を解き、レストランとは反対側のビルの上を見ている

 

「どしたの?」

 

「いや……ちょっとリハビリついでに、な」

 

 

『皇帝!』

 

 

~~~~~~

 

「見つけたぞ……ボニート・E・ゼルビーニ!」

 

黒シャツを着た青年の手に持つのはウィンチェスターM70

かのベトナム戦争でアメリカ軍が使用したスナイパーライフル、狙撃銃だ

 

「よくも指揮官殿を……指揮官殿を!」

 

銃身にとりつけられたスコープに写るのはボニート・E・ゼルビーニ

彼にとって自分から全てを奪い去ったと言っても過言ではない憎き怨敵

それを今から殺すというのだ

これほどの歓喜は彼にないだろう

 

「死ぃね!」

 

バァン!

 

脳天に穴が開いた彼に掛けられる言葉は無い

 

 

~~~~~~~~

 

「今からどうすんだ?」

 

二人はトラックに乗り、国道を進んでいた

 

「本当なら事務所に戻って色々と対策を練りたいんだが………ちょっと野暮用があってな」

 

「あ~あ、仕事始めに野暮用なンて聞きたくないんだが」

 

「じゃ、ラジオでも聞くか?」

 

このトラックにおいてラジオチャンネルはたった一つのみ

RAIイタリア放送協会だ

ボニートが気にいった理由はオペラ・クラシック等の曲を流しているからである

 

「相変わらずクラシックなんてもんを聞いてんのか」

 

「良い曲だろ?」

 

「あぁ、前振りのねーちゃんの声は魅力的だったよ」

 

「なら残念だったな。そのアナウンサーもう結婚10年目だ」

 

「………イケるかもな」

 

「おい」

 

ハンドルを回し国道を抜け、ボニートはトラックを高架下の人気のない所に停めた

ホル・ホースは疑問の表情を浮かべる

 

「どうした?」

 

「言ったろ、野暮用だって。ついてくるか?」

 

「護衛を頼んでおきながら、その言葉はいただけないぜ」

 

「そーかい」

 

ボニートは荷台の扉を開け、ダンボールを一つとりだした

 

「それで?」

 

「ホル・ホース、俺たちは就職難・雇用なんたらと言われている時代に転職が出来たんだ。ありがたく思えよ?」

 

「はぁ?」

 

ダンボールの中身はアームカバーにサンバイザー、伊達眼鏡にメモとペン、カジュアルな感じのネクタイ・ズボン。首に下げるであろう通行許可証のネームプレート

そして何よりメモ帳に挟まれた「ポルポンズ新聞社」の名刺

まぎれもない『新聞記者』の姿である

 




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ホル・ホースの口調がすんごい気になって気になって…



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