ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜 作:京都府南部民
今回は原作キャラが出てきます(名前だけ)
それとオリキャラも出します(無理やり差しこんだ)
スパゲッティって美味しいね
「なぁ、エスカーニ。無理にとは言わねぇから引き受けてくれねぇか?報酬はたんまりと払うからよ」
『ハハッ、すまないが私も今仕事の途中でね…おっと目標が見えたので失礼するよ』
「何がエスカーニだ!トスカニーニにでもなっちまえってんだ!」
受話器を乱暴に置き、名刺にバツ印を付ける
ボニートのこの行為は本日にわたって21回目となった
ありとあらゆる名刺、電話番号の書かれたメモ帳は次々とゴミ箱に放り込まれていく
「おい!グーデン、とっとと水持ってこい!」
「は、はい!今すぐ!」
グーデンと呼ばれた青年は慌てながら給湯室へ向かった
グーデンドルフ・マッケシュタイン
それが彼の名前だ
ドイツでフリーターをしていたが、親と大喧嘩して家を飛び出しはるばるイタリアにやってくるも、イタリアにくるだけで資金を費やしてしまい路地裏生活を送っていた
挙句の果てに恐喝をしようとするも、その最初の相手をボニートにしてしまったのが運のつき、現在はボニート運搬会社の事務処理係に任命されている
………実情はボニートの舎弟であるが
「お水持ってきましたぁ!」
「遅い!俺だったら後3秒は早くできるぞ!」
「は、はいぃぃぃ!」
怒号が鳴り響く
グーデンドルフにとっては恐怖と親切が混じった声に聞こえてしまう
馬車馬のような奴隷生活を想像していたのだが、ボニートからの命令は基本的に雑用全般
そして何と言っても給金が良い
反社会的な立場になってしまったのが未だ気を引いているが、今の生活を捨てる事も出来ないと悩み続けている
「あ、あの~ボニートさん」
「んぁ?どうした?」
「その……さっきから何をされているのか、気になるのですが…」
「…………同窓会のメンバー集めだよ」
ボニートは『なるべく一般人は巻きこまない』を第一の信条としている
しかし完全にこの言葉を守れるわけではない
「自分から」「自分のせいで」というのは何度かあるからだ
ボニートも巻きこんでしまった以上、最大限の力を使って守ってきたつもりだが、力及ばず最悪の結果を招いたこともある
そういった経緯があってかグーデンドルフには全てを語っていない
言った事があるとしたら「自分はギャングだ」の一言だけだ
「へ、へぇ~、同窓会ですか……」
「今んとこ全員断っているがな」
「はぁ~、そうですか」
ボニートは改めて残った名刺を睨みつけた
残る名刺は54枚
彼の人脈の広さを思い知らされる
だが、全員と親しい訳ではない
人脈作りのために話しかけてきた者もいれば、仕事に情は挟みたくないとそっけない者もいた
ちなみに、冒頭に出てきた『ピサの雀蜂』の異名をとるエスカーニは人脈作りのために話しかけてきた人物だ
「グーデン、今日はもう良いぞ。部屋に戻って休んどけ」
「はい、それでは失礼します」
下の部屋は空き部屋になっているので彼の住居スペースになっている
グーデンドルフは足早に部屋を出ていく
その様を見てボニートは少し鼻で笑った
「さて、どうしたものか」
回転いすで移動し窓の外を見る
19:00のネアポリス
夜はこれからだと言わんばかりに酒飲み達が町を闊歩している
ボニートは溜息をつき、名刺の方へと顔を向ける
「もう少し粘ってみるか」
~2分後~
「腹減った」
帽子を被りボニートは町へと繰り出した
こらえ性がない?いや、彼はまだ禁煙をしている
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「スパゲッティ、スパゲッティ大好き」
スパゲッティとは「ひも」という意味を持つイタリア語spagoから来ており、その歴史は紀元前4世紀に遡るほどである
細さによって名称が変わり、
太いものをスパゲットーニ
少し細いものをスパゲッティーニ
それより細いものをフェデリーニ
更に細いものをヴェルミチェッリ、カペッリーニ
と、呼ばれている
トッピングや調理方法によって多様な味に変える事ができ、ナポリタン・カルボナーラ・ペペロンチーノなどの名は聞いた事があるだろう
食べ方はいたって簡単で、フォークで巻き上げ一口で食べる
すすりながら?する人はするだろうがボニートはそのような食べ方はしない
「やっぱりボロネーゼ美味い、イタリアに生まれてよかった」
ボロネーゼ
世界的な呼び名があるとするならばミートソーススパゲッティの事だ
厳密には違うという話もちらほら聞くが、そこは割愛しておこう
イタリアボローニャ地方の調理方法によるスパゲッティで訳すならば「ボローニャ風」となるだろう
そしてボニートの大好物でもある
「このソースとの絶妙なかけあい!麺のちょうどいい柔らかさ!もうたまんない!」
ボロネーゼスパゲッティを食べた口から出るのは大絶賛の嵐だ
高級レストラン「シチリアのコック」はボニート行きつけの店で御用客には護衛付きの個室を用意している
御用客と認定されるには全メニューを1度に頼み、全て平らげる事だ
「もうお腹いっぱい!おーいウェイター君お会計!」
「では、レジの方へご案内いたします」
「あいよ」
ボロネーゼスパゲッティ 30ユーロ
彼の財布にとっては大した出費では無い
~
「あぁ~食べた食べた」
食欲を満たしたボニートにとって、パートナー探しの話をするのは野暮だろう
食事とは食べることも楽しさだが、食後こそその幸せが、いかに素晴らしいものか分かる瞬間なのだ
幸せを感じる時に仕事話を持ちかけられたら顔をしかめる事があるだろう
「そういや事務所に戻ってパートナー選びが残ってるんだったけ………」
自分から思い出してしまったのではフォローのしようがない
さっきの満腹感はどこへやら
がっくりと肩を落としボニートは俯きながら歩き出した
「(どいつもこいつも一癖二癖ある連中だから、はっきり言ってあんまりつるみたくねぇンだけどなぁ~)」
歩くボニートにまばゆい光が差し込んだ
映画館のネオン看板の光だろう
先週にリニューアルオープンしたこの映画館は中々に盛況しており、客の出入りが目立っている
「(映画か………『踊れトスカーナ!』以来何も見てねぇな………………)」
特に興味があるわけではないが適当にパンフレットを取る
パンフレットには映画のスケジュールや評論家の一言などが載っていた
「(『電車泥棒』『ロマンスは午後に』『パニックシティ ~ベルギー篇~』…意外と面白そうだな)」
どうやら興味がわいてしまったようだ
ページをどんどんと進めていく
ボニートはあるページで進みを止めた
ジャンル別ランキングのページだ
「……………!」
ボニートは何を思いついたのかパンフレットを放り投げ、事務所へ向かって走り出した
その光景に何人かが振り返ったが、特に気にする事も無く元に戻った
どうせだから、パンフレットのジャンル別ランキングの1面を紹介しよう
今週最高峰のマカロニウェスタン!
『駅馬車よ、もう一度』
~弾は残っちゃいないぜ?~
強盗と知能犯で有名なカストーノは次の標的を現金輸送の……
マカロニウェスタンとはアメリカの西部劇に対抗する形で生まれた映画でいうなれば、ヨーロッパの西部劇との呼称が似合うだろう
西部劇の主人公が正義感として描かれるのに対して、マカロニウェスタンの主人公は悪漢として描かれる事が多い
共通しているところがあるとすればテンガロハットぐらいであろうか
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「………あぁ、俺だ。ボニートだ」
「仕事を頼みたい」
「それは良かった。じゃあ、明日の12:00ちょうど、レストラン『シチリアのコック』で待ってるからな」
「あぁ?安心しろ極秘回線だから心配するな」
「報酬は仕事が終わってから、お前の言い値で払おう………バカにすんな、これでも幹部クラスだぞ」
「それじゃ頼りにさせて貰うぜ」
「ホル・ホース」
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グーデン君はちょいちょい出します