ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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ちなみに作者は銃と車の知識はまったくありません!
にわか以前に素人以前にはっきり言って無知です!
それをご了承したうえで本話をお楽しみいただければ幸いに思います。


第8話 これも素晴らしき我が人生②

「一応、ブチャラティには財産の事は伝えときましたよ」

 

『あぁ、ブチャラティが気付いたのか、それは上々だ』

 

「えらく信頼してますね」

 

ボニートは事務所にある電話からペンジルヴァニアでバカンス中のポルポに今までの事を報告していた

その電話の向こう側からは銃声が聞こえている

 

「で、そちらはどうですか?」

 

『全然良くないねェ。原住民どもめ、歓迎の仕方を知らないなら引っこんでおればよいものを………』

 

「黒服達は?何のためにMP43なんてクラシックな銃を買ってやったと思ってんですか」

 

『安いだけでブレダを選ぶ君よりかはマシだと思うよ』

 

「枢軸が好きなら国産を愛して下さいよ」

 

『国産?フィアットは車だけで充分だよ』

 

「あ、それは同感」

 

今、ポルポはペンシルヴァニアに元々いた地元ファミリーとの交戦の最中だった

ポルポ自身は戦っているわけではない

黒服達がボニートの給料から無理矢理差し引かれた金で買ったMP43(ナチスドイツの機関銃)を使って応戦しているだけである

 

「たまには運動もしてくださいよ?入国審査の時に一悶着あったそうじゃないですか」

 

『フン!自由の国と称しておきながら検問を設けているアメリカが悪い』

 

「そういうのを暴論っていうんですよ………それじゃ、そろそろ店員の視線が厳しくなってきましたので…」

 

『こちらも激戦になってきた……それじゃ』

 

受話器を置いたボニートは店員に多めのチップをはずみ、店を出た

時間はちょうど14:00

店の裏口に駐車してあるイヴェコ社製特注大型10tトラック「ユーロカーゴML100E」に乗り込んだ

 

「さて」

 

進路はカプリ島の方向に

 

 

 

 

 

 

「♪~ふーふっふー♪ー」

 

ボニートはある人物と待ち合わせをしていた

カプリ島の展望台で待ち続けて15分

近くの出店で買ったフルーツジュースを飲んでいる

 

「それはなんて曲かね?」

 

「ペリーコロさん」

 

ジュースをゴミ箱に放り投げ、ボニートは挨拶をした

ペリーコロ

この名前は『パッショーネ』においては大きな意味を持つ

最古参の幹部であり、ボスからの信頼を一手に引き受ける存在といえば、その重要性が分かるであろう

 

「6億は受け取りましたか?」

 

「あぁ、今頃銀行の中に眠りつく頃合いだろう」

 

「最高のベッドですね。俺もご相伴にあずかりたい」

 

「わしは味わった事があるぞ」

 

胸ポケットから出された写真には若い男性が女を侍らせ、札束の山に座っている姿が映っていた

 

「これはどこの御曹司ですか?」

 

「30年前のわし」

 

「!?」

 

写真と何度も見比べたが、同一人物とは思えない

写真のペリーコロは長身でその目はギラギラとしており、正に「危ない男」を漂わせている

目の前にいるペリーコロは背は低く目は眼光こそあるものの写真のような覇気はない

 

「時の流れって恐ろしいですね」

 

「そうか?わしは楽しんでおるがね」

 

ボニートは苦笑する

年季の違いを感じさせられる言葉に返答が難しくなっているからだ

 

「しかし……一つだけ腑に落ちぬ事がある」

 

「何か?」

 

「君が6億の隠し財産をみすみす手放した事だよ」

 

「………………………………」

 

6億

一般市民から政治家でもその数字は甘美な額であろう

無論ギャングであったとしてもだ

それを彼――ボニートはあっさりとブチャラティに手渡した

それがペリーコロには謎なのだ

 

「『綺麗な場所の中でも最も綺麗な場所』難しいと思ったんですがね」

 

「いやいや、わしも頭をひねらせたよ」

 

綺麗な場所の中でも最も綺麗な場所

前者の綺麗な場所とはカプリ島の事を意味している

古代ギリシアの人々が「美しい場所」を求めた際に列挙されたのがカプリ島であるからだ

後者の最も綺麗な場所とは「トイレ」のことである

カプリ島はイタリアが誇る観光名所の一つであり、比較的だが掃除は他より施されている

トイレとは汚れる場所である。だから掃除をしなければならない

綺麗かどうかと言われれば話は別だ

だが、掃除当番の日程が毎日組まれている事を考えるならば他の施設よりも綺麗な場所ではあろう

ボニートはそういう意味を含めてブチャラティに伝えた

もっともブチャラティがその言葉を信用したかどうかは分からないが

 

「先行投資は抜け目なく惜しみなくが常識だと思いまして」

 

「つまり、君はブチャラティ…いや、ブチャラティのチームがこれから伸びると?」

 

「若者に期待しましょうよ、老いを楽しめませんよ」

 

「…………ふぉっふぉっふぉ、ポルポから聞いていたが君も中々言う方だな」

 

「いえいえ、それほどでも」

 

ペリーコロは鞄のポケットから封筒を出し出店のカウンターにおいた

封筒には「フィレンツェ急行乗車券」と書かれてあり、中には切符が2枚入っていた

 

「これは?」

 

「ボスからの指令だ」

 

「!?」

 

パッショーネのボス

その正体は謎に包まれており、いわく姿を見た者はこの世にいないと言われている

ボスについては一切の事を調べてはいけない

今までにチンピラだったり警察だったりが調べてきたが、1週間とたたずに変死体となって発見されてきた

 

「現段階では動かなくて良いが…いずれ、そのフィレンツェ急行にブチャラティのチームが乗る。君の仕事はブチャラティのチームと合流し、彼らの任務に助勢する事。ボス直々のご指名だよ、受けてくれるね?」

 

「もちろん」

 

「ならば、よろしい」

 

鞄から更に資料が出てきた

どれもこれも「麻薬収入に関する報告書」「コルシアーノファミリーの抗争による経過」と恐ろしいものばかりだ

ペリーコロはその中から1枚取り出し、ボニートの前にさしだした

紙には誓約書と書かれていた

 

「古い、とは言わないでおくれ。わしもボスもこれが1番信頼できるからね」

 

「…まぁ、おしゃれではありますな」

 

ボニートは迷いなく、空白の欄に自分の名前を書き記した

その様子を見てペリーコロは安堵の息を吐く

 

「うむ、これで安心して仕事を任せられる」

 

「………ペリーコロさん」

 

しかしボニートには1つ気になる事があった

 

「どうかしたかね?」

 

「何故切符が2枚なのですか?」

 

「パートナーを1人見つけたまえ、そして何よりこの指令は2人でないと達成できないとボスの判断だ」

 

「2人ですか………」

 

「うむ、それでは異存ないな?わしは次の仕事があるので急がせてもらうよ」

 

ペリーコロはタイミングよく現れた黒のセダンに乗り込み、その場を去った

後に残されたボニートは額に手をやり思案に耽っていた

コンビで仕事に当たった事もあるし、大人数で仕事をしたこともある

そのおかげか人脈は広いと自負している

いずれもポルポの紹介・推薦によるもので、どれもこれも1流の腕を持った者たちだ

 

「ま、人選はこっちで出来る以上楽はできるかな?」

 

トラックに乗り込み、エンジンを動かせる

重い排気音がボニートの耳に鳴り響いた

流石は世界に名を誇るイヴェコ社

それも特注品となればトラックと言えど箔がつくというもの

 

「とりあえず、事務所に戻って休むとするか」

 

タイヤが動き出した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとお客さん!お金払ってくださいよ!」

 

「コノヤロー!少しはかっこつけさせろってんだ!」

 

タイヤが停止した………

 




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ボニート「食い逃げで捕まえられるとこだった」

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