I.S.F インフィニット・ストラトス×Fate   作:ボイス

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「…………」

 ダイレクトに転送される映像に、束は無言のまま見入っていた。

 おかしい――

 彼女の頭の中を支配するのは、その言葉のみ。

(どうしてコイツ(衛宮士郎)は死なないんだよ)

 イギリス代表候補生の機体を掌握し、完全な主導権を握った上で襲わせれば不可解な武装で逆に倒される。

 フランス代表候補生の一撃は生身の人間にとっては致命傷となりえるものだった。腹に穿たれているというのにもかかわらず、現にこうして動いている。

 IS『アーチャー』のシールドバリアは消失し、絶対防御は確実に機能していないハズだった。

「…………」

 わからない。

 おかしい。こんなことはありえないはずだ。

 馬鹿げている。

 理解の範疇を超えている。

 『天才』たる自分にとって、把握できないことなどあってたまるものではない。

 しかし、意思とは裏腹に束は口元を覆うようにを手を当て黙考することしかできなかった。

「…………」

 彼女は思考を切り替える。

 ならば、如何様にすれば、この男を殺すことが出来るのだろうか?

 死にはしないが、怪我をすればするほどに、衛宮士郎の動きが鈍くなっているのは明らかである。

 頸動脈の通る首をくびり落す?

 心臓、肺といった胸部に穴を開ける?

 重要な臓器が揃う腹部を握り潰す?

 しかるに、手間ではあるがひとつずつ試していくしか方法がない。

「腕の一本でももぎ取れば普通は死ぬし……とりあえず、それから試してみようか。それに……使()()()()()()()()()()()()()()()()

 捨て駒程度には使えるかと踏んでいた代表候補生たちではあったが、結果としては大した活躍もしていない。

 精神感応に予想外な反旗を翻したイギリス代表候補生――

 それなりに使い勝手がいいかと思われていたフランス代表候補生――

 不可思議な攻撃で早々に脱落する中国とドイツの代表候補生――

 役に立たなくなった連中のことなど、束の脳裏からは疾うに切り捨てられている。今はアリーナステージ内に残る()()()()に目処を立てて口の端を吊り上げ――

 ウサギとニンジンが描かれるマグカップを手に取り、彼女はモニターを見入っていた。

 

 

「――っ」

 息を詰まらせる真耶は――眼前に迫る切っ先から、咄嗟に身体を捻っていた。

 瞬前まで居た空間を貫き過ぎる雪片弐型。視界の片隅で捉えながらも真耶は側転し、体制を立て直しながら手に呼び出した銃器による掃射を浴びせていた。

 が――

「――どうしてっ!?」

 やはり何度繰り返しても結果は同じだった。

 銃弾が直撃しているにもかかわらず、『白式』の動きは一向に停まらなかった。シールドエネルギーは一切減少していない。

(攻撃を受けていながら……エネルギーが減らないなんてありえません――)

 不可思議な現象に困惑しながらも、真耶は自身がとれる戦法を繰り返すことしか出来なかった。

 剣戟、銃撃、そのどちらも全く効果がない。だが、それでも彼女は諦めはしない。なんとしても一夏を、『白式』を止めるために。

 撃ち尽くし、空となった弾倉を捨て、瞬時に銃へ給弾を施し――

「――っ!?」

 唐突に、視界を覆うように迫るのは五指。

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって間合いを詰めた『白式』に顔を掴まれ――

 そのまま、力任せに振り回された真耶の身体は――正確には纏う『ラファール・リヴァイヴ』ごとではあるが――宙に浮かされ、地面へと叩きつけられていた。

 打ちつけられる衝撃により肺から息を吐き出し彼女。苦悶にあえぎ、身体を起こすことが出来ない相手の首を掴んだ『白式』は、力を籠め締め上げていく。

「――っ、あああっ!?」

 眼を見開きながらも懸命に拘束を振り解こうとする真耶ではあるが、万力のように絞まる『白式』の指が外れることはない。

 細首を圧し折るかのように呼吸器官を塞がれ、苦悶に喘ぐ相手に――多機能武装腕の雪羅が上がる。

 無防備となる真耶に振り下ろされる零落白夜のエネルギー爪。

 それを――

 横から渾身の力を込めて食い止めるのは士郎であった。

「――やめろッ、一夏ぁッ!」

 斬り返される双剣。

 だが、瞬時に真耶から手を放していた『白式』は後方へと跳び退いていた。

 本来の標的者となる士郎の姿を捉えた一夏の口元が――嘲笑するように歪む。

「…………」

 士郎の頭痛は止まらず、無理を続けた投影行使によって自身の魔術回路は疾うに限界を超えている。

 分不相応の魔術は身を滅ぼす――

 さらなる魔術行使は、身体が耐えられるかどうかもわからない。脳髄が破裂するのも時間の問題であろう。

 激しく咽る真耶の身体を起こし士郎。

「大丈夫ですか、山田先生」

「え、ええ……ありがとうございます……」

 礼を述べ、呼吸を整えた真耶が顔を向け――その表情が一変する。

「――衛宮くん!? あ、あなた……その身体っ……」

 驚きに見入ることしか出来なかったのは、()()である。

 しかし、彼女の視線が向けられているのは、荷電粒子砲による焼け爛れた箇所ではなく、さりとて杭が貫いている部分でもない。士郎が身につけるISスーツの内側から破られる傷口。()()()()()()()()()――

 だが、士郎は真耶の問いかけには応えなかった。なぜならば、彼の意識は既に『白式』へと向けられていたからだ。

 その『顔』は怒りの色へと染まっていた。

 零落白夜は如何なるシールドエネルギーも切り裂く。だが、絶対防御が正常に作動しなければ、搭乗者にとっては当然生死にかかわる攻撃と成り果てる。

 真耶の機体が正常であろうがなかろうが、士郎にとっては『白式』の行動を看過することが出来なかった。

「……一夏、お前、今自分が何をしようとしたかわかっているのか? 山田先生を手にかけようとしたんだぞっ……!?」

「――――」

 一夏は何も応えない。ただ、冷め切ったように、興味がないといわんばかりの眼が向けられるのみ。

 問答も今の相手には無意味だったと思い出した士郎は息を吐き――

「……そうかよ」

 痛む肺に無理やり空気を送り込み、彼は身体を戦闘用に切り替えていた。

「言ったよな? 力尽くで停めにかかるって。悪いけれど、歯ァ食いしばれよ? どギツイの見舞って眼を覚まさせてやる」

 刹那に――

 僅かに『白式』の身体が沈むのがわかった。

「……山田先生、下がっていてください」

「ま、待ちなさい衛宮くんっ! あなた、まさかその身体で戦うつもりですかっ!?」

「ええ、どういうワケか、あの機体は俺に用があるみたいですしね。それに、時間も掛けていられませんから」

 淡々と応える士郎の肩を掴む真耶は声を荒げる。

「ダ、ダメです! あなたこそ下がりなさいっ! そんな身体で相手をするなんて無茶です! 織斑くんは、わたしがなんとかしますから――聴いているんですかっ!? 衛宮くんっ!?」

 見た限りでもこれ以上士郎に負担をかけさせるワケにはいかない。戦闘継続など黙認できるハズもない。

 真耶の言葉など聴くはずもなく、告げた士郎は半歩ほど右へと動いていた。

 と――

 地を蹴り、一直線に『白式』は士郎へと迫っていた。

 銃器を取り出し身構える真耶よりも遥かに速く士郎は迎えるべく腰を落とし、襲いかかる白の機体の動きを見据えたまま――

 突き出される雪片弐型の切っ先を頬を掠めるようにかわし、繰り出していた黒剣が相手の胴を払う。

 しかし――

 手ごたえはない。

 虚しく空を切るその場所に、『白式』の姿は存在していない。瞬時加速(イグニッション・ブースト)で迫った相手は、瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって消え去り、瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって士郎の右へと移り――殴りつけるように展開していた零落白夜のエネルギー爪を叩き込む。

「――っ、づあっ!」

 相手が死角に移行するのは予想できたことであり、こと忍び寄る『身の危険』に関しては敏感な士郎は疾る凶刃を蹴り弾いていた。

 無理やり身体を動かしたことにより、いたる箇所の傷口という傷口から真紅が垂れる。

 駆ける激痛に意識が飛びかけるが、悲鳴を噛み殺したまま士郎は『白』に向き合っていた。

「……っ」

 血を流しすぎたために身体の震えが止まらない。寒気が酷い。

 士郎を仕留めにかかる――横薙ぎに迫る剣戟を、機体の『白式』ごと弾き返し防ぎはするのだが、腕に走る痺れは停められず。

 そのまま――

 僅かに反応が遅れた隙を見逃さず、再度死角となる右側面に回りこんだ『白式』は士郎の腕を掴んでいた。

「――っ、ちっ!?」

 パワーアシストにより、士郎の腕を掴んだ『白式』は握り潰さんとばかりに力を籠めていく。

 ばきりばきりと音を鳴らし、まるでアルミ缶のように装甲がひしゃげ――生身となる腕にビキリと走る激痛――掴まれ圧し折られようとする腕を刹那に『強化』すると、逆に軸とし、身体を反転させた士郎の蹴りが一夏の側頭部に叩き込まれていた。

 衝撃に『白式』の拘束が解かれるが、筋を痛めた腕を庇うように、士郎は息を吐いていた。

「ちっ――」

 バラバラに砕け、ヒビ割れる視界。

 脳内の撃鉄が起こされる。

 イメージは源、意識は最大限界まで引き上げられ、霞んでいた片眼の視界も鮮明となる。

 仕切り直すかのように飛び出してくる『白式』に、士郎は無言のまま迎え撃つ。

 旋風を伴い雪片弐型が一閃される。

「――っ」

 身を捻りかわしはするが、刀は肉を抉り過ぎ去っていた。

 生まれる熱と痛みに士郎は口元を歪めつつも、追撃する刃を弾き飛ばし、切り返して繰り出される一刀を払い落としていく。

 鋼同士のぶつかり合いに――力負けした士郎の姿勢が崩れる。そこへ振り下ろされるエネルギー爪。

 避けることのできない刃に対し、だが、寸でのところで双剣を打ち合わせ、威力を相殺させてやり過ごす。

 止むことのない剣戟――

 速度、間合い、なによりも体力の差が歴然であるにもかかわらず、士郎は真っ向から挑みかかるのみ。

 もはや一歩間違えれば即死となりえる凶刃を、臆することなく弾き逸らす。

「――っ」

 横殴りに迫る旋風を士郎は瞬時に受け流す。だが、勢いは殺せることができずに、地面へ叩きつけられる――寸前に、地を蹴りつけた士郎は踏み込んでいた。

 勇猛に攻める士郎であるが、誰の眼から見ても限界であるのは知れていた。

 呼吸は乱れ、身体の動きは確実に衰えている。

 頭上から落とされる雪片弐型の一撃を、渾身の力を込めて打ち弾く。

「――――」

 指先の感覚などなく、握り締めている得物を取り落としていないのが士郎自身にとっても不思議でならない。

 頭痛に耐え、吐き気を堪えながらも迫る『死』を潜り抜ける。

 こみ上げる血により呼吸すらままならない。息をするだけでも肺に激痛が疾る。

 薙ぎ払われる雪片弐型が腹を掠める。刹那に、宙に舞うのは零れる鮮血。

 追撃するように叩きつけてくる剣閃を――それでも士郎は巧みにいなし続けていた。

 

 

 満身創痍と思えぬ身体で士郎は攻防に徹していた。

「…………」

 手足の裂傷が増え、踏み込む速度も低下している。

 信じられぬといった表情で見入る真耶は言葉もない。

 本来であれば、彼女は士郎に加勢するために動くべきであった。

 だが――

 眼前で展開される二機の攻防に、彼女は手にする銃器で助勢するタイミングを完全に失っていた。

 士郎の顔色は土気色に近く、命の危機に瀕しているというのがわかっていながらも、動くことができなかった。

 見殺しにしているワケではない。教師陣の中でも、真耶はとりわけ人一倍、親身に生徒を想う教員である。

 そんな彼女が、こんな状況下であるにもかかわらず行動できない理由はひとえに『見惚れていた』からだった。

 放心は驚きに。次いで、惹起される。

 それほどまでに、衛宮士郎の剣戟は異常であり異色。

 烈火怒涛――

 以前眼にした更識楯無との模擬戦時に見せた姿とはまた違う。いや、今の士郎の姿の方がより気迫に満ちているように真耶には思えてならなかった。

(これが、彼の本気なのでしょうか……)

 ボロボロと成り果てる衛宮士郎の身体のどこに、これだけの力が残っているというのか。

 鬩ぎ合う剣戟の激しさ――

「衛宮くん……」

 身を案じる真耶ではあるが、士郎は一歩も後退していなかった。

 激しい攻勢。『白式』が振るう剣戟全てを打ち弾き、逆に押し返すべく踏み込んでいく。

 ひとりと一機が繰り出す剣戟は、ただただ叩きつけるのみ。そこに技量など存在しない。双方ともに速度と力任せによってぶつかり合っているだけだった。

 傷ついた身体では考えられず在り得ない。無茶をすればするほどに、自身の意思により肉体を酷使することは、更に痛めつけるだけでしかない。

 その姿は、一種異様――

 加えて、ここに来て士郎の剣戟に勢いが増していく。

 『ブルー・ティアーズ』や『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』を相手にした先ほどまでの比ではない。

 互いを仕留めるかの如き振るわれる猛攻は必殺の域へ。

 『白式』の繰り出す零落白夜のエネルギー爪、雪片弐型を双剣で弾き散らし、士郎は間合いへと踏み込んでいく。

「――――」

 息を吐き、舌打ちを漏らす一夏が僅かに後退する。

 めまぐるしい火花を散らし、士郎が振るう双剣の一撃一撃は重さを乗せた威力を持つ。

 それもそのハズに、機体性能で劣る彼が対抗するには魔力を通し絡めた剣戟によるところ。

 受ける側にとっては、爆薬でも叩きつけられたかのような衝撃をその腕に覚えていた。

「――っ」

 士郎の剣を捌きながらも、『白式』もまた間合いを詰めるために攻めに転ずる。

 しかし――

 勢いを変えさせまいとする士郎の腕がそれを許しはしなかった。

 舞うかのように振るわれる双剣を駆使し、または激しさを増していく。白と黒による剣の乱打に、一夏は忌々しく舌を鳴らし防ぎきるのみ。

 相手の腕と脚の運びから軌道を読むのだが、その行動予測の一歩先をいくかのように士郎の剣は迫るのだった。

 故に、防御に回るしかなくなった『白式』に対して、士郎は叩き伏せるかのようによりよく深く踏み込んでは剣の豪雨を打ち込んでいく。

 だが――

 唐突に、見入る誰もが唖然とし、息を呑むこととなる。

 打ち合っていた双剣が、士郎の手元から忽然と消失していた。

「――っ!?」

 見れば、消えたのは剣だけではない。己の身体に纏っていた損壊するIS『アーチャー』も粒子変換し、消え去っていた。

「なんだ――」

 呆けたのは一瞬。されど、一瞬。

 丸腰となる士郎は、相手の間合いの中。

 完全な無防備となるその隙を見逃さずに『白式』が振り下ろした一刀は、狙い違わず、士郎の左肩から右わき腹にかけて袈裟に斬り捨てていた。

「しまっ――」

 一筋に裂かれた箇所から紅が噴出し、焼けつく痛みに士郎の身体がぐらつき、倒れかかる。

「衛宮くんっ!?」

 絶叫に近い声音を上げる真耶は刹那に機体を加速させていた。

 士郎を死なせるわけにはいかない。その執念に駆られた行動ではあるが、彼女の瞳はあるものを捉え、急停止することとなる。

 崩れ落ちそうになる身体を支えるように、士郎の両の脚が瞬時に踏みとどまっていた。

「――――」

 彼の顔つきは、決して諦めてなどいない。

 されど、助けにいかなければならない状況であることに変わりはない。にもかかわらず、真耶は機体を停めて見入ることしかできなかった。

 何故かはわからない。それでも、邪魔をしてはならないと本能がそう告げたとでも言うべきか。

 一方の士郎は意識を失ってはいない。助けに入ろうと動いた真耶には気づいてもいなかった。

 地面へ打ちつけられてもおかしくない一撃を、士郎は気力だけで耐えきっていた。

 それは、倒れてしまえば起き上がることが出来ぬと理解していたために。故に、決して倒れるわけにはいかなかった。

「――っ」

 無理が祟り、耐久、活動限界を迎えたISが強制解除されたことに士郎は呻く。遅かれ早かれ、ISが解除されるだろうとは予想していたことでもある。

 が――

 例えISが解除され展開出来ずとも、己の身体は動かせる。

 勝敗が決したわけではない。衛宮士郎は、まだ負けてはいない。

 死に体でありながらも、身体がまだ戦えると告げてくる。ならば――動くことに支障がなければ、成すべきことなど決まっている。

 魔術回路が悲鳴を上げる。

 少しでも気を緩ませれば、意識を失いそうになるほどに。

 壊れたモノが使えないのならば、壊れていないモノを使えばいい。

 有るモノが壊れたならば、無いモノを総動員するしか方法はない。

 単純なことであるが、手つかずの領域に、手を伸ばす――

「――身体は」

 結果、自らを表す呪文を、彼は自然と口にしていた。

「――I am the bone of my sword.(身体は剣で出来ている)

 己の手足がまだ動くうちに、白の機体を停めねばならない。

 今の自分に出来ることは、停めるために戦わなければならない。ならば、作るのみ。

 最強のイメージを想い、如何なる輩にも負けないモノを――

 自分自身を騙し、他人さえも騙す。その上で幻想するのは最強の模造品。

 故に――

 真横から迫る凶刃を、士郎が斬り払う姿など、誰が想像出来ようか。

 キャスターを除く、その場にいる全員――『白式』を纏う一夏でさえ表情に変化が生まれ、視線を向ける先は、士郎の左手に握られている()()へ。

 黄金に輝く西洋風の剣。

 その剣の正体を知る者はいない。名は『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』――

 吼える一夏が一息とともに上下左右から振る四閃。斬り捨てるかの如く叩きつける剣戟を、黄金の剣はことごとく防ぎ弾いていた。

 叩きつけてくる雪片弐型と、その斬撃を自ら意志を持つかのように防ぎ止める黄金色の剣――

「はあっ――!」

 気合一閃――

 五戟ともなる刃を斬り弾いた黄金の剣の勢いは止まらず。『白式』は斬撃を防ぐために咄嗟に雪羅をかざすが――

 黄金の閃光を伴い振り抜き打ちつけられた剣は、多機能武装腕を半ばから断ち斬ると同時にガラスのように砕け散っていた。

 蹈鞴を踏む『白式』ではあるが、瞬時に手にする雪片弐型が横薙ぎに振るわれていた。

 斬り返される雪片弐型。首を刎ねに来た一撃を、黒い鉈の剣を投影し、ありったけの力を込めた腕で打ち払う。

 迫る凶刃を――黒い鉈の剣で防ぎとめる。

 だが――

 止めたはずの一撃は、黒の剣を貫き士郎の身体を一閃していた。 

「――ぐっ」

 赤を零しながら士郎は呻く。

(まただ――)

 即座に投影された鉈状の黒い剣は、半ば三工程ほど飛ばして複製されていた。結果、存在が希薄であり砕ける理由は容易に知れる。

 原因は基本骨子の想定が荒いために。どんなにイメージ通りの外見や材質を保とうとも、そこに構造の理がなければ崩れてしまう。

 劣った空想は、その瞬間に妄想へと成り果てる。

 黄金の剣も、鉈状の黒い剣も、本来であれば模造したならば砕けることなどあり得ない。

 ならば、瓦解させぬためには筋を通したイメージで投影するのみ。

「――投影(トレース)開始(オン)

 出来上がっていた設計図を起こし、イメージだけで複製される。士郎の両手に握られるのは、無骨な錬鉄の夫婦剣(めおとけん)

 伝説に残る名工が、妻を代償にして作りあげた希代の名剣、干将莫耶――

 亀裂模様(龜文)が浮かぶ陽剣(雄剣)干将、水波模様(漫理)が浮かぶ陰剣(雌剣)莫耶。

「あれ、は……」

 思わず呟いたのは真耶。士郎が握り締める鉈状の剣は見覚えがあった。ソレは、彼女の脳裏にしっかりと焼き付けられていたため忘れるハズがない。

 IS『アーチャー』が操る機械じみた双剣とは異なり、中華風のデザインを髣髴させる形状。はじめて士郎と出会った時に眼にした剣であるために。

 

 

「どうしてだよ! どうしてコイツは武装を展開できるんだよっ!?」

 気性荒く、束は手にしていたマグカップを壁へと投げつけていた。

 叩きつけられ砕け散る破片。琥珀色の液体が床や壁にぶちまけられる。

 子供のように癇癪を起こした彼女は手当たり次第に、眼につくもの全てを叩きつけていた。

 憎悪を滾らせた双眸で、怒りに満ちた相貌で――

 衛宮士郎が有するIS『アーチャー』の起動展開は、束が強制的に解除していた。部分展開であろうとも、武装の量子変換でさえも、彼女は確かに封じている。

 耐久限界を超えたわけでもなければ、活動限界を迎えたわけでもない。ただたんに、篠ノ之束の手によって操作された現状である。

 にもかかわらず、この男は何事もなかったかのように双剣を呼び出している。

 束にとっては思いもよらぬ。衛宮士郎という輩に、自身の常識が一切通用しない。

 わからない。

 どうして、この男が抗い続けていられるのかが理解できない。

 纏うISは量産機の流用であるのは間違いがない。振り分けられているコアのナンバリングも裏が取れている。

 シールドバリア、絶対防御を封じてしまえばどうにかなるだろうと目論めば、一向にやられはしない。仕留めるべき決め手さえ欠ける。

 ならば、IS自体を封じてしまえば殺すことなど容易であろうと画策すれば……束の予想をことごとく覆す現状が映され続けていた。

 とりわけ、完全に彼女の怒りが爆発するのは、多機能武装腕の雪羅を斬り断った事実である。

 更に追い討ちをかけるような信じられぬ光景は、『白式』のシールドエネルギーが減りはじめていることだった。相手の剣を防ぐたびに、シールドエネルギーは確実に減少し、復元がされていなかった。

 絶対防御が発動すれば、相応にシールドエネルギーの減りも多い。

 少しづつではあるが、『白式』は機能停止へと追い込まれている。

「なんなんだよ……なんなんだよ、コイツは……」 

 自身が手がけた最高傑作の一機が――絶対防御もシールドバリアも展開している『白式』が、ワケのわからぬ一量産機ごときの武装で両断されるなど如何様にして認めることが出来ようか。

「――――」

 憤怒の形相となった束は歯を軋らせていた。

 コイツはこのまま生かしておくワケにはいかない。

 どのような手品――施される機体カスタム、有する武装かはわからない。

 だが、確実に理解させられたことは一点。

 この男も、機体も、このままのさばらせるには危険である。そのためには、どんな容、方法であろうとも、今此処で始末しなければならない。

 例えるならば、束のイメージする純白のキャンバスに垂れた黒い雫。しかし、たった一滴の雫は白の世界を損なわせる象徴としては十分である。どんなに塗り潰したとしても、その存在を滲ませる。

 これは、明らかな汚点である。

(男性操縦者は、いっくんひとりのはずなのに……なのに、なのになのになのに、なのになのになのになのになのになのになのに――)

 汚れをこのまま野放しにしておくなど、束は寛容な心を持ち合わせてはいない。

 何よりも、彼女が求め描く世に衛宮士郎は含まれていない。理想とする世界に、イレギュラーは必要ない。

「調子に乗るなよ、ガキがっ――!」

 怒りの溜飲が下がるワケがなく、彼女の口蓋からは呪詛に近い声音が漏れ続けていた。

 

 

 横殴りに迫る凶器を――しかし、寸でのところで身を捻り、手する千将で打ち弾く。

 士郎の口から呻きが漏れるが、攻め込む『白式』に右の莫耶を叩きつける。

 だが、相手もさることながら、打ちつけてくる軌道は読んでいたのか雪片弐型で容易に防ぐ。

 手中で柄を転がすように持ち直すと、眉間へ奔る切っ先。急所へ迫る一撃を――士郎は双剣をもって弾いていた。

 魔力の消費が低い双剣ではあるが、僅かでも精度を落せば、その時点で衛宮士郎の死に際となる。

「――っ、はあっ――!」

 繰り出されてくる剣を弾き、踏み込んでくる『白式』に合わせるかのように袈裟に薙ぐ。

 眼球、脳を焦がすように鳴り続ける頭痛は止まず、逆に強まっていた。

(落ち着け……落ち着け……)

 自分に言い聴かせるように、両肩で息をしながらも、相手の一撃に備え――

 一息で間合いを詰めてくる『白式』は、その手にする刀を突き出してくる。

 心臓を貫きに迫る剣戟。

 刹那に半円を描くように切り払い、奮う士郎は次撃を打ち込んでいた。

 双剣を迎え撃つ雪片弐型。

 『白式』は一歩も引かずに士郎の連撃を防ぎきっていた。

 拮抗する両者の剣戟。そこに腕力の差がありすぎる。

 幾ら自身の筋力を魔術で『強化』しようとも、それは永久に持続するワケではない。対するISに生身で力勝負を仕掛けても結果は見えている。織斑千冬の戦闘データをインストールされた『白式』の剣に対抗できるのも、カウンターさながらに斬り合わせているだけに他ならない。

 剣が疾る。

 叩きつけられた衝撃に腕が痺れ、身体すら跳ね飛ばされていた。

 が――

 雪片弐型が一閃される中、瞬時に体勢を立て直し、咆哮をあげて士郎は勇然と駆けていた。

 嵐のように振るわれる剣の一撃。

 ISを纏わぬ士郎にとって唯一の利点は小回りが効くことであろう。だが、それがISに対して役に立つかと問われれば答えなどない。

 それでも士郎は『白式』の一撃を誘っては空を切らせ、その合間を攻め込み双剣を叩き込んでいく。

 振るわれる旋風を紙一重でかわして見せては、恐れを知らず踏み込み一刀を見舞う。

 触れれば瞬時に斬り捨てられる暴風の中、躊躇することなく果敢に挑む士郎の姿。

 あの傷ついた身体の何処から力が出せるのか。

 ISに対し、力負けしているハズの士郎は――されど一歩も後退していなかった。

 雪片弐型を受けては、流し、弾き、捌いていく。

「――――」

 息を呑む音は幾人から。セシリア、真耶、本音、簪――

 追撃を許さぬ白の旋風。

「くっ――」

 呻く士郎に呼応するかのように、脳天を狙うように振り下ろされる一刀。

 しかし、日輪の如き閃光とともに、士郎は双剣で防いでいた。

 奔る雪片弐型を、士郎の手繰る双剣が受け流していく。

 頭上真下、左右から間髪を容れず襲いかかるのは『白式』。標的を駆逐するだけに振るわれる凶器。その高速を更に上回り抗うのは士郎が手にする双剣。

 『白式』の剣戟が高速であるならば、士郎の剣戟はいわば神速――

 相手の猛攻を、ただ泰然として構え、迎撃しては打ち崩し、圧倒していく。

 めまぐるしい怒涛の攻撃。右眼が視えていない死角を重点的に突いてくる『白式』ではあるが、士郎は動じることなく干将で雪片弐型の軌道をいなし、莫耶で開いた懐へ叩き込む。

 超人的なスピードで『白式』の反撃すらもことごとく受け流し潰していく。

 とはいえ、攻めれば攻めるほどに、動き続ければ動き続けるほどに、士郎は体力を失っていた。

 指先程度だったものが、今は両腕にまで及び、過度の酷使に感覚は失せている。内部から崩壊してさえもいた。

 技量、体力は圧倒的に劣る士郎であるが、逆に有して勝るものはISにない魔力のみ。

 雑な運びとなる剣筋ではあるが、一撃は重かった。

 がむしゃらとなり振られる士郎の剣は――だが、確かに力が篭められている。

 ぶつかり合い、開く間合いに刹那に踏み込み、両の剣を一閃させる。

 士郎にとっては考えなど何もない。

 身体は止まらず、心も止まらず。されど、立ち止まってしまっては全てが『止まる』――

 体力を失えばどうなるかなど考えるまでもない。

 もはや思考など意味もなく、身体が動くだけでしかなかった。

 故に止まることはなく、前に進むだけでしかない。

「はあっ――!」

 渾身の力で叩きつけ、打ち弾いていく。

 耳障りな剣戟が響き渡る。

 士郎の繰り出される一撃一撃を捌ききれず、『白式』はその身を後退させていく。

「……真っ向勝負を仕掛けるにも限界か」

 間合いを離す相手に対し、士郎もまた断線しかける思考の中、崩壊寸前の身体を動かし後方へと跳んでいた。

 幾ら担い手を投影した双剣とはいえど、術者本人の体力が持たず。加えて、片腕とはいえ織斑千冬と同等の剣技を振るう『白式』には分が悪すぎる。

 こうなってしまっては、無理やり隙を作り倒すしかない。

 ならば――

「――鶴翼(しんぎ)欠落ヲ不ラズ(むけつにしてばんじゃく)

 手にした双剣へ、最大の魔力を篭めて投げつける。

 左右から一投された剣は弧を描き、十字を象るように飛翔する。

 が――

 高速で迫る双剣を『白式』は雪片弐型を一閃させ、容易く打ち払い軌道を逸らしていた。

 あらぬ方へと弾かれ過ぎ去る黒と白の剣。

 武器を手放し、空手となった士郎へ『白式』は加速する。

「――凍結(フリーズ)解除(アウト)

 士郎もまた結果は読んでいた。簡単に切り払われ、防がれることは予測している。

 そのために、自身の掌に作り上げられていたのは今一度の干将莫耶。

 刹那に、振るわれた斬撃を受け止めていた。

「――っ」

 防がれたことに息を漏らす一夏ではあるが、斬り伏せるべく再度の剣戟を見舞う――寸前、それは起こる。

「――心技(ちから)泰山ニ至リ(やまをぬき)

 『白式』の背後から『牙』が迫る――

 この場で動ける人間など限られる。誰の援護かなどと確認をする間もなく背後からの一刀を打ち弾く。

「――――」

 一夏の表情は唖然としていた。

 切り払ったものは、ついさっきやりすごしたはずの黒の剣。真耶か簪のどちらかが奇襲したとばかりに思っていたために。ありえない方角から襲いかかった正体に、彼の表情は変化を生じさせざるを得なかった。

 だが、驚く一夏とは対照に、士郎は莫耶を叩き込む。

 が――

 『白式』は一瞬にして得物を切り返すと、全力を篭めて打ち込まれた白の剣を斬り砕いていた。

「っ――」

 規格外の反応速度に声が漏れる。

 セイバーなみの反射神経。映像で何度も観た織斑千冬に似た――いや、これが織斑千冬なのだろう。他に言葉が見当たらず、見事としか言えぬ剣戟は、どういうわけか彼女の動きを再現している。

 しかし、だからといって士郎に策が尽きたわけではない。

「――心技(つるぎ)黄河ヲ渡ル(みずをわかつ)

 白式の背後から今一度飛翔するのは最初に投擲した莫耶である。

 夫婦剣である干将莫耶には、とあるひとつの特性がある。それは、磁石のように互いを引き寄せることだった。

 例えどんなに離れていようとも、干将と莫耶は引かれあう。その性質に変わりはない。強力なS極とN極であるのと同義であろう。 

 故に、士郎の手に干将がある限り、莫耶はいかなることがあろうとも、手元へと戻ってこなければならない。

「――――」

 二度目の背後の奇襲を――やはり『白式』は想像以上の反応速度を以って避けていた。

 士郎とて黙って見ているつもりはない。手にする干将を叩き込み――その黒の剣もまた、『白式』は斬り砕く。

 この一瞬、この距離、この間合い――両者は手詰まりとなる。

 士郎は四刀による奇襲も失敗し、一夏は雪片弐型を振り払った恰好となる。

 ()()()()()()()()、と士郎は胸中で声を漏らしていた。

 ■■■■を相手に戦った状況を再現されたかのように。ひとつだけ違うのは、今眼の前で対峙しているのが■■■■ではなく『白式』であるということ。

「――――」

 そこで彼は違和感を覚えていた。何故、自分はそんなことを思い出していたのだろうか。

 部分部分は補完されているが、部分部分は欠落している。

 そもそも、どうして自分はこの状況を似たものだと感じ、■■■■を相手に戦ったことがあると錯覚したのか――

 ノイズまじりな思考の乱れを刹那に払い、士郎の意識は現実へと戻される。

 今、自分が相手にしているのは『白式』であり、■■■■ではない。

(余計なことは考えるな――眼の前の相手に手中しろ)

 そう自身に言い聴かせ――士郎は策を施していた。

「――唯名(せいめい)別天ニ納メ(りきゅうにとどき)

 体内の魔術回路が火を吹くかのように熱を生み出す。

 空手であったはずの両腕は、作り上げられていた双剣を三度握り締めていた。

「――両雄(われら)共ニ命ヲ別ツ(ともにてんをいだかず)――!」

 眼の前の無防備とる機体めがけ、士郎は双剣を左右から振りぬいていた。

 装甲を抉り、勢い余った一刀は、雪片弐型を握る『白式』の腕をも斬り飛ばす。防ぐことが出来ぬ双剣に、『白式』の機体エネルギーが根こそぎ奪われる。

 残った唯一の武器を失った白の機体は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で後方へと移動していた。

 だが、逃げたところでどうにもならず。

 本能で『恐怖』を悟ったのは、一夏()か、それとも『白式(IS)』か――

 例えどちらだとしても、終幕に変わりはない。

 双剣が消え、士郎の手に生み出されているのは弓。しかしながら、矢として番われたモノ、形状を見て、声を漏らすのは誰であろうか。

 黒い光沢、稲妻のようなフォルム――

 『矢』として構える鏃は、魔剣『赤原猟犬(フルンディング)』――

 限界まで引き絞られた弦から放たれた矢は、どれほどかわされようと、また弾かれようと射手の意志ある限り決して標的を外さぬ赤い光弾と化して襲いかかる。

 弾道を読みとり、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で直角に逃げる『白式』ではあるが――

 事も無げに、赤弾は追っていく。

「――――」

 自動追尾式の類かと判断した白の機体は更に加速する。二段階加速(ダブルイグニション)で振り切ろうとするのだが、在り得ない軌道を描き光弾は距離を詰めてくる。

偏向射撃(フレキシブル)……?」

 ぼそりと呟くセシリアの眼前を高速で飛行する『白』と、『赤』がその後を追う。

 信じられないモノを眼にし続けている彼女の視界には、獲物を狙う山猫のように、執拗に追跡しては――逆に対象物を仕留めるべく――速度を増して迫る光が映るだけだった。

 と――

 瞬時にして、標的が射抜かれる。

 蹂躙するかのごとく、赤い猟犬(フルンディング)は『白式』の大型ウイングスラスターを撃ち貫いていた。

 二翼を一瞬にして壊され、空中で大きくバランスを崩す白い機体へ――常識を覆すように、方向転換し真逆に捩れた魔弾は、残るもう二翼のスラスターにも襲いかかり破壊する。

 為す術もなく、衝撃に跳ね飛ばされた機体は墜落するだけ。地表へ激しく叩きつけられ、二転三転とし、倒れたままとなる。

 動き、起き上がることもなく――粒子変換して消えた『白式』の後にはISスーツ姿のまま倒れ伏す一夏の姿だけが残されていた。

「…………」

 決着がついたことを把握した士郎の手から弓が消える。安堵の息を漏らし――刹那に、極度の目眩と押さえ続けられていた吐き気が彼を襲う。

「――こりゃ、相当ヤバイな……ッ」

 頭蓋を割るかといわんばかりの頭痛――

 度重なる魔術行使の代償により、士郎の血液は暴走し脳を激しく圧迫していた。

 と――

 唐突に、彼は身体を懐抱されていた。

 抱きしめられたことに面くらい、また、抱いている相手に驚きながらも士郎は声を漏らすことしかできなかった。

「――――」

「良かった……衛宮くん……本当に……」

 声を詰まらせ、嗚咽混じりに士郎の身体を抱きしめていたのは真耶だった。

「――ッ、先生……苦しいです」

「えっ!? あ、ああ――ご、ごめんなさいっ! わたしったら」

 言って、真耶は慌てて士郎から腕を外すと解放していた。

「でも、本当によかったです。あなたが死ななくて」

「すみません、山田先生……心配をかけてしまって」

「ええ、本当ですよ。すっごく心配してたんですから。だって」

 顔を上げ、真耶は至極嬉しそうにニコリと微笑み――

()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……え?」

 思わず聴き返した士郎の身体にドンと重い衝撃が走る。

 自然と首が動き――

 見入る視界に映るのは、己の腹に深々と刺さり貫いている――真耶が握るブレードだった。


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