どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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本日は二話投稿です
結構やっつけ感出ちゃいましたが、ご容赦下さい



主人公だからって何でもは出来ない

「隠密作戦にはお前も行け。」

 

あっ、はい。

 

孫家に対して不利益、って程ではないが、まぁ俺のせいで同盟を組まざるを得ない状況になった冥琳から、睨まれながら隠密作戦の同行を命じられた。

華琳さんは余裕のゴーサインを出してる。

ってか、こちらから下手に出て協力関係を結んだので、今回は孫家主導という事になっている。

だから基本的には冥琳の命令に逆らえない。

……ヤバい、腹黒眼鏡に報復される。

 

いやまぁ多少は悪いとは思っているが、城門前の混戦が予想される場所は、こちらが矢面に立つんだから、そっちにもメリットはあるじゃん。

大体、どうせ混乱時には火事場泥棒的に色んな軍が殺到するだろうから、筋を通しに来ただけマシだろ!

 

「よろしくお願いします、蒼夜殿。」

 

「よろしくお願いします、蒼夜様!」

 

「い、いや、俺は隠密行動に慣れてないから、よろしくするのは俺の方だ。足を引っ張るかもしれんが、よろしくお願いします、思春さん、明命。」

 

畜生、張曼成行かせて勉強させようと思っていたのに。

……いや、あいつも道連___勉強させに来させるか?

 

「思春、明命、蒼夜が足を引っ張る様なら置いて行って良いぞ。」

 

「良くねぇよ!敵陣で独りぼっちとか、……俺に死ねってか、てめぇ!」

 

「ならせいぜい死なぬ様に努力するのだな。」

 

くっ、ニヤニヤしやがって。

その眼鏡叩き割るぞこの野郎。

 

「はいはい、貴方達が仲良いのはわかったわ。……そんな事より、作戦はいつ決行予定かしら冥琳。」

 

そんな事じゃないですよ華琳さん!

長年の信頼がぶっ壊れる直前だよ畜生!

 

「一番活動が鈍くなるであろう深夜を予定しています。ですので、一度早めの時間帯で将兵に睡眠を取らせる様にお願いします、華琳殿。」

 

「わかったわ。……作戦決行の一刻前までは睡眠させましょう。そして作戦開始直前まで静かに行動する様に命じておくわね。」

 

「でも急に眠れって言われても、夕刻前からそう簡単に眠れないわよねぇ。……軽くお酒でも飲もうかしら。」

 

なんだと?

 

「おい雪蓮___」

 

「あ、いや、じ、冗談よ蒼___」

 

「俺にも飲ませろ。」

 

「「「えっ!?」」」

 

やけ酒だ、やけ酒。

やってられるか畜生。

 

その後俺は雪蓮の天幕で一緒に軽く酒を飲み、そのまま作戦前まで雑魚寝した。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

「では、参りましょう。」

 

今回の作戦指揮官である思春さんがそう言う。

 

今俺の目の前には、高さ20メートルくらいはあるであろう断崖絶壁がある。

ここを登り、崖の上から続いている要塞の中で一番警備が薄い所から侵入する予定だ。

 

はっはっはっ、ここを登るだと?

……なんだ、余裕じゃないか。

山修行で鍛えてた俺からしたら全く問題ない。

成る程、だから冥琳は俺を同行させたのか。

俺のロッククライミング技術にかかればものの数秒で登りきってみせるわ。

 

そして俺達は一斉に崖を登り始めた。

そして崖を登り終え、そこから進むと今度は城壁が見えて来た。

俺達が陣地を敷いている場所の城壁に比べると圧倒的に低い。

ここから来る事はないと思っているのか、警備の数も少ない。

……成る程、これは楽に入れる。

 

そこで俺は城壁の前で空に向かって全力で双頭槍を投げ、即座に城壁を登りきる。

登りきった場所には一人見張りの兵が居たが、俺が急に現れたのにビビって声も出ていない。

そして俺は落ちて来た槍をそのままキャッチして軽く振るい、見張りの首を落とす。

 

廖化一番乗りぃ!

……おっと、横山三国志の甘寧の名言を奪ってしまった。

 

「お見事です。」

 

……多分、思春さん的には普通なんだろう。

褒められたけど、全く感動してなさそうだった。

明命なんて他に見張りの兵がいないか警戒していて、こちらすら見てない。

……隠密って怖い。

俺結構凄い事したと思うんだけどなぁ。

 

まぁそれはともかく、俺達は急ぎ食料庫を目指す。

先程までと違い、平面な足場だと俺が二人にスピード負けする。

速いっ、速過ぎる!

全力疾走しているのに背中しか見えん!

本当に置いて行かれる!

 

そして食料庫に到着した時には俺だけ息が上がっていた。

くそぅ、チートスペックめぇ。

そんな俺を余所に、二人は予め工作していたのだろう食料庫に火を着けた。

火の燃え広がる勢いはかなり強い。

火薬使ってんなこれ。

そしてついに黄巾党が火事の存在に気がついた。

 

「おいっ!食料庫に火が着いてるぞ!」

 

残念ながらもう遅い。

既に食料庫から他の建物にも火が移り手遅れになっている。

でも俺達も早く次の行動をしないと、黄巾党に集まられて囲まれるとやっかいだ。

 

「思春さん、こっからどうします?」

 

「張角の首を狙いに行きます。蒼夜殿はいかがなさいますか?」

 

……どうしよ。

この二人に付いて行ったら絶対に足手まといだよなぁ。

 

「……城門に向かおうと思います。門をいち早く開き、外の仲間と合流しようと思います。」

 

「了解しました。御武運を。」

 

その言葉を残して、二人は即座にこの場を去った。

……結局一人かよ畜生め。

まぁ仕方ない。

 

俺が城壁の上を走り城門の方に向かったら、かなりのパニックが起こっていて、黄巾の兵があっちにこっちに走り回っている。

城壁の上の見張りの兵もパニックを起こしていて、俺が近くを走り抜けても気付いていない。

 

そして城の外では予定通り、何時でも突撃出来る様に隊列が組まれているのが見える。

……よし、多少無茶をして、無理矢理開門させるか。

 

俺は城門の内側に行き、開門の装置を作動させようとした。

 

「おいっ!誰だ貴様!何をしている!」

 

まぁ当然見つかりますよね!

俺はその言葉を無視して開門レバーを上から下へと動かす。

 

「なぁっ!!!な、何をっ!こいつっ!殺せっ!殺せぇ!!!」

 

ガコンと言う音ともに、装置が作動してグルグルと縄なんかが巻かれて行き、ゆっくりと門が開き始める。

 

……さぁて、後は味方が突撃して来るまで死なない様にするだけだ。

 

見渡せば百人以上に囲まれている。

一分だ、一分。

一分生き残れば大丈夫。

 

そこからは無我夢中で槍を振るった。

自分でも何人殺したかわからないくらいに全力で暴れていたら、城門が開き切ったのであろう。

関羽が部隊を引き連れて突撃してきた。

 

「はぁぁぁあ!!!」

 

その掛け声と共に振られた青龍偃月刀が、俺の周りを囲んでいた黄巾党を吹き飛ばす。

 

「開門お見事です元倹殿!後は我等にお任せを!」

 

……ふぅ。勝ったな。

流石に慣れない事はするもんじゃないな。

今日はかなり疲れた。

俺は門の外に出て自分の陣地に戻るのだった。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

そして俺が冥琳と華琳さんに事の経緯を報告して二刻後、俺も突撃部隊に合流して城の中で戦闘をしていたら、思春さんの声が戦場全体に響いた。

 

「孫家が将、甘 興覇が太賢良師張角を討ち取った!」

 

「「「___っ、おおおぉぉぉ!!!」」」

 

一瞬の静寂の後、大歓声が城内に響いた。

そうして後は掃討戦となり、程なくして俺達の黄巾討伐作戦は終了したのだった。

 

「よくやったわ!思春、明命!貴女達は孫家の誇りよ!」

 

「はっ、勿体無いお言葉感謝致します。」

 

「お褒め下さり光栄です!」

 

「蒼夜、開門見事よ。春蘭も張梁の首を良く取ったわ。」

 

「どうも。」

 

「はいっ!私にかかれば簡単です!」

 

「愛紗ちゃんも、お手柄だね!」

 

「はい、張宝の首が取れたのは行幸でした。」

 

こうして、俺達は丁度良い感じに功が分散された。

第一功が孫家。

続いて俺達、そして劉備と順当な結果となったのだった。

 

そして、___

 

「黄巾討伐を祝ってぇ~っ、かんぱ~い!!!」

 

大宴会の始まりだ。

 




「おい、伯符様の天幕から守護鬼様が出て来たってよ!」

「何!一緒に飲んで寝てただと!婿殿なの!?守護鬼様婿殿になるの!?」

孫家の兵の間で、そんな噂が立ちました。

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