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それでもOKという方は、よろしくお願いします。
良介はいつも通りに登校すると、校門前にシャルロットがいた。
「おはようございます、良介様。」
「おはよう、シャルロットさん。
また勧誘しに来たのか?」
「いえ、今日は勧誘などではなく、クエストにご一緒できればと思いまして。
学園のクエストではなく、ヴィアンネから発令されたクエストです。」
「ヴィアンネから?
俺がそのクエストを請けて大丈夫なのか?
というか、学園のクエストとどう違うんだ?」
「ご説明した方がよろしいでしょうか。」
「ああ、少しだけ頼む。」
シャルロットは説明を始めた。
「まずヴィアンネ教司会についてですが・・・ジャン=マリー・ヴィアンネ司祭によって創始された魔法使いの機関です。
困っている人々の元へと使徒を派遣し、魔物を退治するのが使命ですが・・・近年、世界の魔法学園に常駐するようになりました。」
「どうしてなんだ?」
「理由は様々ですが、基本的には皆様と協力するためです。
クエストを請けて、魔物を退治する。
学園生とあまり変わりませんね。
違うのは今回のように、ヴィアンネからのクエストがあることです。
特に禍々しい魔物が現れた場合、わたくしたち使徒が相手を務めます。
人形館の時がそうですね。
遊園地はまた事情が異なりましたが・・・今回の魔物も、悪魔の如き禍々しさだときいております。
ぜひ、よろしくお願いします・・・お話したいこともあるものですから。」
「とりあえず、行くか。」
良介はヴィアンネのクエストを請けることにした。
その頃、生徒会室に鳴子が来ていた。
「さて、ひとつ問題が明らかになったことで、方針を決める必要がある。
聖奈。
これまでの議論をまとめてくれ。」
「はい。」
聖奈は虎千代の指示に従って資料を取り出した。
「書記は朱鷺坂君じゃなかったかい?」
「彼女が当事者であるため、随時で私が書記を務めている。
3回目の裏世界調査までに明らかになったことだが・・・まず・・・裏世界で9月27日に起きた第8次侵攻が、表では起きなかったこと。
それを引き起こしている原因は、おそらく時間停止の魔法であること。
朱鷺坂 チトセの正体。
そして・・・表裏の違いが、彼女によって引き起こされたものだということ。
これが事実です。
そして遊佐・・・裏世界の遊佐 鳴子から得た情報。
第8次侵攻にムサシ級が出ること。
それにより、学園生の半分ほどが死亡すること。
早田 良介、新海 誠、立華 卯衣、相馬 レナの、裏世界における存在が確認できないこと。
裏世界ではJGJが共生派に乗っ取られ、人類を裏切っていること。
その共生派・・・すなわち霧の護り手が、かなりの規模になっていること。
13年後、30年後でもある程度人類が生存していること。
50年後にはほぼ絶滅寸前であること。
どうでしょうか。」
聖奈は虎千代に確認をとった。
「付け加えろ。
円野が先行して確認したことにより・・・少なくともゲネシスタワーの外から見える部分には、誰もいなかったこと。
ホワイトプラズマを使ったのに、現在も特に動きがないこと。」
虎千代は鳴子とチトセの方を向いた。
「さて、諸君。
アタシは考えるのは苦手なんだ。
互いの確執を乗り越えて、協力をしてくれないか。」
鳴子とチトセは互いを見ていた。
「ひとつ、確認しておきたいことがある。」
「そうね、私もあなたに聞きたいことがあったの。」
「その答えが聞けたら、文句はないか?」
虎千代は2人に聞いた。
「僕が言えた義理じゃないが、彼女には隠し事が多すぎた。
その上、条件もそろっているんだ。
朱鷺坂 チトセ、君は・・・君が時間停止の魔法を使っているのか?」
チトセは笑みを浮かべた。
「フフ、まさか・・・まさかよ。
だって私からの質問は・・・あなたが時間停止の魔法を使ったんじゃないの?」
鳴子とチトセは無言のまま互いを見ていた。
***
良介とシャルロットはクエスト場所の川に来ていた。
「良介様と本格的に組むのは初めてでしたか。
よろしくお願いします。
出発の前に、魔物を見ておきましょうか。
さて・・・こちらは・・・」
2人はデバイスで魔物の姿を確認した。
「悪魔型の魔物か。
日本で出現するのは珍しいんだったか。」
「ヨーロッパでは比較的、ポピュラーな魔物の一種です。
それほど強いわけではありませんが、弱いとあなどるのも危険・・・全力で消滅せしめましょう。
わたくしとあなた様に神のご加護があらんことを。
神よ、願わくは我を守りたまえ。
我なんじに寄りたのむ。」
シャルロットは神に祈りを捧げた。
「さぁ。
神の敵を倒しにゆきましょう。
正義は我らにあります。
聖戦へ。」
シャルロットは先に行ってしまった。
良介はシャルロットを後ろから見ていた。
「神とか聖戦とか・・・信者の言ってることはよくわからんな。」
良介は頭を掻きながらシャルロットの後をついて行った。
***
学園の校門前。
兎ノ助が1人で独り言を言っていた。
「なんか、ちょっと前からすんげーイヤな予感がするんだよな。
そして今まさに、その原因が近づいてきている・・・
お、俺はそいつに立ち向かわなければいけないのか・・・!」
「お前・・・何言ってるんだ?」
学園の方から誠がやってきた。
「おお、誠か。
俺は今からちょっとした戦いがあるんだ。」
「何だよ、戦いって・・・」
2人が話していると1人の男性がやってきた。
「ん?
誰だ?」
誠がその男性に気づくと兎ノ助も男性の方を見た。
「ウ、ウワーッ!
男だーっ!」
「おあーっ!
人形が喋った!」
男性は兎ノ助を見て驚いた。
少しして3人は話をしていた。
「へぇ、あんたが初音の兄貴なのか。」
「神宮寺 樹だ。
それで、そっちがセクハラ進路指導官か。」
「な、なんだよソレっ!」
「初音も茉理も、こんな形しているなんて一言も言ってなかった・・・」
「セクハラなんかするか!
俺は紳士な兎なんだぞ!」
「どの口で言っているのやら・・・」
誠は呆れた。
「誠、お前も人のこと言えないだろ。
セクハラ常習犯。」
「お前には言われたくねえよ。」
樹は2人を見て鼻で笑った。
「フフ、若いな。」
「は?
何が?」
誠は不思議そうに樹の方を見た。
「こちらではスキンシップだと思っていることも・・・相手にはセクハラだと受け取られることはよくあるんだぞ。」
「なんか実感籠ってるな。」
「それはそうと、魔法学園は初めてなもんでね。
立入許可が欲しいんだが、どこで手続きすればいいんだ?」
「えっ。
学園に入るの?」
「そりゃ入るさ。
理事長に挨拶しに来たんだ。」
「うー・・・む・・・そりゃ許可が下りれば誰でも入っていいんだが・・・ホラ、ここ女子ばっかだから。」
「だから?」
「男に耐性がない奴がいるんだ。」
「男子もちゃんといるんだろ?
ほら、君とか。」
樹は誠の肩に手を置いた。
「魔法使いは草食系が多いんだ。
誠みたいなのは結構レアなんだよ。」
「レアって言うな。」
「とりあえず、アンタみたいな遊んでそうな男はかなりショッキングなんだよ。」
「そこまで心配するほどか?
ソフィアちゃんなんか普通だったし・・・」
「あーっ!
あーっ!
ソフィアちゃんってなんだこのナンパ男!」
「もちろん礼儀は尽くすが、なーに、年齢差があると怖がるし。
緊張しないように、こっちが親しみを感じさせることも必要さ。
ま、スキンシップだな。」
「うぬ・・・!
俺が同じこと言ったらセクハラ扱いされるのに・・・!
憎い・・・アンタが憎い・・・!
いいか、手出し禁止だからな!
それが発覚したときには・・・」
「した時には?」
「JGJ会長にチクってやる!」
「ゲッ!
ま、まさか爺さまの名前が出てくるとは・・・」
「ククク、前学園長とJGJ会長は俺と年が近いからな。
その辺の親交は温めてるぜ。
学園の女子は俺が守る!」
「そんな年ならもっと落ち着けよ・・・」
誠はため息をついた。
「それで、立入許可は?」
「あ、連絡しとくから事務室行ってくれ。」
「んじゃ、事務室までは俺が案内するよ。」
すると、樹は誠の肩に手を回してきた。
「どうかしたのか?」
「誠くん、君のことも初音から聞いてるよ。
学園一のセクハラ魔神だってね。」
「セクハラ魔神って・・・まぁ、否定のしようがないか。」
「そんな君に事務室に着くまでに、大人のスキンシップというものを伝授してあげよう。」
「なんで俺にそんなことを?」
「何故か君を見てると若い頃の自分を見ているみたいでね。
だから少しそういうのを教えてあげたいなと思ってね。
どうだい?」
誠は少し考えると軽く頷いた。
「それじゃ、少しだけ・・・」
「OKOK、それじゃ簡単なやつを教えてあげよう。」
2人は話しながら事務室に向かった。
「いいなぁ~、俺も少しは教わりてえなぁ~。」
兎ノ助は羨ましそうに見ていた。
***
良介とシャルロットは川沿いを歩いていた。
「改めて、わたくしの戦い方をお伝えしておきましょう。
ヴィアンネ教司会での修行で授かった力は神の力。
聖なる光と神なる言霊・・・歌ですね。
わたくしの光にも歌にも、魔物を浄化消滅させる力があります。」
「まぁ、科学的には光は純な魔力に近いらしいけどな。」
「わたくしは6年、ヴィアンネ教司会で鍛えられました。
そして使徒として2年、前線に赴き退魔を行い・・・この学園に派遣されたのです。
全ては学園生のみなさんと協力して魔物を滅却するため・・・神の思し召しなのです・・・さあ、まずは小物がやってきました。
神の名のもとに、天誅をくだしましょう。」
2人が話していると、1体の魔物がやってきた。
「それじゃ、今回は俺も光魔法を使いますか。」
そう言うと、良介は手から光の魔法を撃った。
魔法が直撃すると、魔物は霧散した。
「お見事です。
この調子でいきましょう。」
「ああ、そうだな。」
2人は次の魔物の所へと向かった。