グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。




第96話 ヴィアンネの使徒

良介はいつも通りに登校すると、校門前にシャルロットがいた。

 

「おはようございます、良介様。」

 

「おはよう、シャルロットさん。

また勧誘しに来たのか?」

 

「いえ、今日は勧誘などではなく、クエストにご一緒できればと思いまして。

学園のクエストではなく、ヴィアンネから発令されたクエストです。」

 

「ヴィアンネから?

俺がそのクエストを請けて大丈夫なのか?

というか、学園のクエストとどう違うんだ?」

 

「ご説明した方がよろしいでしょうか。」

 

「ああ、少しだけ頼む。」

 

シャルロットは説明を始めた。

 

「まずヴィアンネ教司会についてですが・・・ジャン=マリー・ヴィアンネ司祭によって創始された魔法使いの機関です。

困っている人々の元へと使徒を派遣し、魔物を退治するのが使命ですが・・・近年、世界の魔法学園に常駐するようになりました。」

 

「どうしてなんだ?」

 

「理由は様々ですが、基本的には皆様と協力するためです。

クエストを請けて、魔物を退治する。

学園生とあまり変わりませんね。

違うのは今回のように、ヴィアンネからのクエストがあることです。

特に禍々しい魔物が現れた場合、わたくしたち使徒が相手を務めます。

人形館の時がそうですね。

遊園地はまた事情が異なりましたが・・・今回の魔物も、悪魔の如き禍々しさだときいております。

ぜひ、よろしくお願いします・・・お話したいこともあるものですから。」

 

「とりあえず、行くか。」

 

良介はヴィアンネのクエストを請けることにした。

その頃、生徒会室に鳴子が来ていた。

 

「さて、ひとつ問題が明らかになったことで、方針を決める必要がある。

聖奈。

これまでの議論をまとめてくれ。」

 

「はい。」

 

聖奈は虎千代の指示に従って資料を取り出した。

 

「書記は朱鷺坂君じゃなかったかい?」

 

「彼女が当事者であるため、随時で私が書記を務めている。

3回目の裏世界調査までに明らかになったことだが・・・まず・・・裏世界で9月27日に起きた第8次侵攻が、表では起きなかったこと。

それを引き起こしている原因は、おそらく時間停止の魔法であること。

朱鷺坂 チトセの正体。

そして・・・表裏の違いが、彼女によって引き起こされたものだということ。

これが事実です。

そして遊佐・・・裏世界の遊佐 鳴子から得た情報。

第8次侵攻にムサシ級が出ること。

それにより、学園生の半分ほどが死亡すること。

早田 良介、新海 誠、立華 卯衣、相馬 レナの、裏世界における存在が確認できないこと。

裏世界ではJGJが共生派に乗っ取られ、人類を裏切っていること。

その共生派・・・すなわち霧の護り手が、かなりの規模になっていること。

13年後、30年後でもある程度人類が生存していること。

50年後にはほぼ絶滅寸前であること。

どうでしょうか。」

 

聖奈は虎千代に確認をとった。

 

「付け加えろ。

円野が先行して確認したことにより・・・少なくともゲネシスタワーの外から見える部分には、誰もいなかったこと。

ホワイトプラズマを使ったのに、現在も特に動きがないこと。」

 

虎千代は鳴子とチトセの方を向いた。

 

「さて、諸君。

アタシは考えるのは苦手なんだ。

互いの確執を乗り越えて、協力をしてくれないか。」

 

鳴子とチトセは互いを見ていた。

 

「ひとつ、確認しておきたいことがある。」

 

「そうね、私もあなたに聞きたいことがあったの。」

 

「その答えが聞けたら、文句はないか?」

 

虎千代は2人に聞いた。

 

「僕が言えた義理じゃないが、彼女には隠し事が多すぎた。

その上、条件もそろっているんだ。

朱鷺坂 チトセ、君は・・・君が時間停止の魔法を使っているのか?」

 

チトセは笑みを浮かべた。

 

「フフ、まさか・・・まさかよ。

だって私からの質問は・・・あなたが時間停止の魔法を使ったんじゃないの?」

 

鳴子とチトセは無言のまま互いを見ていた。

 

   ***

 

良介とシャルロットはクエスト場所の川に来ていた。

 

「良介様と本格的に組むのは初めてでしたか。

よろしくお願いします。

出発の前に、魔物を見ておきましょうか。

さて・・・こちらは・・・」

 

2人はデバイスで魔物の姿を確認した。

 

「悪魔型の魔物か。

日本で出現するのは珍しいんだったか。」

 

「ヨーロッパでは比較的、ポピュラーな魔物の一種です。

それほど強いわけではありませんが、弱いとあなどるのも危険・・・全力で消滅せしめましょう。

わたくしとあなた様に神のご加護があらんことを。

神よ、願わくは我を守りたまえ。

我なんじに寄りたのむ。」

 

シャルロットは神に祈りを捧げた。

 

「さぁ。

神の敵を倒しにゆきましょう。

正義は我らにあります。

聖戦へ。」

 

シャルロットは先に行ってしまった。

良介はシャルロットを後ろから見ていた。

 

「神とか聖戦とか・・・信者の言ってることはよくわからんな。」

 

良介は頭を掻きながらシャルロットの後をついて行った。

 

   ***

 

学園の校門前。

兎ノ助が1人で独り言を言っていた。

 

「なんか、ちょっと前からすんげーイヤな予感がするんだよな。

そして今まさに、その原因が近づいてきている・・・

お、俺はそいつに立ち向かわなければいけないのか・・・!」

 

「お前・・・何言ってるんだ?」

 

学園の方から誠がやってきた。

 

「おお、誠か。

俺は今からちょっとした戦いがあるんだ。」

 

「何だよ、戦いって・・・」

 

2人が話していると1人の男性がやってきた。

 

「ん?

誰だ?」

 

誠がその男性に気づくと兎ノ助も男性の方を見た。

 

「ウ、ウワーッ!

男だーっ!」

 

「おあーっ!

人形が喋った!」

 

男性は兎ノ助を見て驚いた。

少しして3人は話をしていた。

 

「へぇ、あんたが初音の兄貴なのか。」

 

「神宮寺 樹だ。

それで、そっちがセクハラ進路指導官か。」

 

「な、なんだよソレっ!」

 

「初音も茉理も、こんな形しているなんて一言も言ってなかった・・・」

 

「セクハラなんかするか!

俺は紳士な兎なんだぞ!」

 

「どの口で言っているのやら・・・」

 

誠は呆れた。

 

「誠、お前も人のこと言えないだろ。

セクハラ常習犯。」

 

「お前には言われたくねえよ。」

 

樹は2人を見て鼻で笑った。

 

「フフ、若いな。」

 

「は?

何が?」

 

誠は不思議そうに樹の方を見た。

 

「こちらではスキンシップだと思っていることも・・・相手にはセクハラだと受け取られることはよくあるんだぞ。」

 

「なんか実感籠ってるな。」

 

「それはそうと、魔法学園は初めてなもんでね。

立入許可が欲しいんだが、どこで手続きすればいいんだ?」

 

「えっ。

学園に入るの?」

 

「そりゃ入るさ。

理事長に挨拶しに来たんだ。」

 

「うー・・・む・・・そりゃ許可が下りれば誰でも入っていいんだが・・・ホラ、ここ女子ばっかだから。」

 

「だから?」

 

「男に耐性がない奴がいるんだ。」

 

「男子もちゃんといるんだろ?

ほら、君とか。」

 

樹は誠の肩に手を置いた。

 

「魔法使いは草食系が多いんだ。

誠みたいなのは結構レアなんだよ。」

 

「レアって言うな。」

 

「とりあえず、アンタみたいな遊んでそうな男はかなりショッキングなんだよ。」

 

「そこまで心配するほどか?

ソフィアちゃんなんか普通だったし・・・」

 

「あーっ!

あーっ!

ソフィアちゃんってなんだこのナンパ男!」

 

「もちろん礼儀は尽くすが、なーに、年齢差があると怖がるし。

緊張しないように、こっちが親しみを感じさせることも必要さ。

ま、スキンシップだな。」

 

「うぬ・・・!

俺が同じこと言ったらセクハラ扱いされるのに・・・!

憎い・・・アンタが憎い・・・!

いいか、手出し禁止だからな!

それが発覚したときには・・・」

 

「した時には?」

 

「JGJ会長にチクってやる!」

 

「ゲッ!

ま、まさか爺さまの名前が出てくるとは・・・」

 

「ククク、前学園長とJGJ会長は俺と年が近いからな。

その辺の親交は温めてるぜ。

学園の女子は俺が守る!」

 

「そんな年ならもっと落ち着けよ・・・」

 

誠はため息をついた。

 

「それで、立入許可は?」

 

「あ、連絡しとくから事務室行ってくれ。」

 

「んじゃ、事務室までは俺が案内するよ。」

 

すると、樹は誠の肩に手を回してきた。

 

「どうかしたのか?」

 

「誠くん、君のことも初音から聞いてるよ。

学園一のセクハラ魔神だってね。」

 

「セクハラ魔神って・・・まぁ、否定のしようがないか。」

 

「そんな君に事務室に着くまでに、大人のスキンシップというものを伝授してあげよう。」

 

「なんで俺にそんなことを?」

 

「何故か君を見てると若い頃の自分を見ているみたいでね。

だから少しそういうのを教えてあげたいなと思ってね。

どうだい?」

 

誠は少し考えると軽く頷いた。

 

「それじゃ、少しだけ・・・」

 

「OKOK、それじゃ簡単なやつを教えてあげよう。」

 

2人は話しながら事務室に向かった。

 

「いいなぁ~、俺も少しは教わりてえなぁ~。」

 

兎ノ助は羨ましそうに見ていた。

 

   ***

 

良介とシャルロットは川沿いを歩いていた。

 

「改めて、わたくしの戦い方をお伝えしておきましょう。

ヴィアンネ教司会での修行で授かった力は神の力。

聖なる光と神なる言霊・・・歌ですね。

わたくしの光にも歌にも、魔物を浄化消滅させる力があります。」

 

「まぁ、科学的には光は純な魔力に近いらしいけどな。」

 

「わたくしは6年、ヴィアンネ教司会で鍛えられました。

そして使徒として2年、前線に赴き退魔を行い・・・この学園に派遣されたのです。

全ては学園生のみなさんと協力して魔物を滅却するため・・・神の思し召しなのです・・・さあ、まずは小物がやってきました。

神の名のもとに、天誅をくだしましょう。」

 

2人が話していると、1体の魔物がやってきた。

 

「それじゃ、今回は俺も光魔法を使いますか。」

 

そう言うと、良介は手から光の魔法を撃った。

魔法が直撃すると、魔物は霧散した。

 

「お見事です。

この調子でいきましょう。」

 

「ああ、そうだな。」

 

2人は次の魔物の所へと向かった。


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