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ハワイアンビーチズ東。
良介たちは魔物が来るのを待っていたが、未だに一匹も来ていなかった。
「こ、来ないね・・・」
「ってかNEの人たち強すぎ!
わたしたちの出る幕ないじゃん!」
「黙ってろ。
ヤツらが張り切ってんのはトーゼンだ。」
「そういや、魔物一匹倒せば謝礼がハワイ州から出るんだったか。」
「ん?
あ!
だから民間人をウチらに任せてんの!?」
「アイツらはそれで食ってんだ。
こっちのクエストが民間人誘導。
需要と供給が一致してていいだろ?」
メアリーは不敵な笑みを浮かべた。
しかし、少し時間が経つと魔物がやってきた。
「あ、き、来ます!
来ますっ!」
「PMCは生き残ってこそ金が手に入る。
だから加減ってもんがある。
こっちの実力と金を天秤にかけて、最低限を送ってくる。
つまりアタイらならあれくらいやれるってのがプロの判断だ!」
「舐められたもんだな・・・!」
良介は向かってきた魔物を殴り飛ばした。
「おい、良介に続け!
10秒でぶっ飛ばすぞ!」
「は、はいっ!」
メアリーたちは良介の後に続いていった。
***
みちるは何か念仏のように唱えていた。
「できるできる・・・わたしならできる。
せっかく教えてもらったんだもん・・・!」
「み、みちるちゃん、前見ないと危ないよ!」
「智ちゃん!
千佳ちゃん!
わたし、戦えるからね!」
「は、はぁ?
そりゃ良介がいるから戦えるでしょ?」
「もうわたし、ガス欠になんかならないから!」
「え?
ど、どういうこと?」
「魔法に使う魔力を抑えて、でも威力は殺さない・・・裏ワザ!
行くよっ!」
「みちる!
待てっ!」
突然前で戦っていたはずの良介がみちるの隣に現れた。
「それ、1回も試してないだろ!」
「だ、だって訓練の時は使う機会が・・・」
「実戦で初めてのことはするな!」
すると、メアリーが後ろから指示を出した。
「間宮!
魔物の目の前の砂を思いっきり熱くしろ!
フライパンみてーにだ!」
「あ、う、うん・・・でも時間かかるよ!」
「全力でやれ!
良介は間宮に魔力を流し込みながら魔物の相手だ!」
「わかった。」
「南は雷もある程度使えるな!
ヤツらは海水で濡れてる!
アタイと良介と同時に撃て!
間宮の魔法と合わせて焼き焦がすぞ!」
「は、はい!
やります!」
みちるは無言で皆の様子を見ていた。
「テメーは見てろ!
いいな!」
「は、はい・・・」
みちるは肩を落としながら返事をした。
***
メアリーの指示と同時に魔法が放たれた。
「今だっ!」
「はあぁっ!」
「サンダーブレーク!」
三人の雷撃が魔物を次々と倒していった。
「ほとんど倒したのは良介のみたいだったが・・・ま、こんなもんだな。」
すると、一匹だけ生き残った魔物がいた。
「ん、なんだ、まだいたのか。」
「よ、よーし、じゃあトドメ・・・」
千佳がトドメを刺そうとすると、メアリーはみちるを呼んだ。
「おい、無個性!」
「む、無個性って言わないで!」
「トドメはテメーだ。
やれ。」
「えっ!?」
みちるは驚いた。
「あの魔物は瀕死だ。
もう動けねぇ。
やりてーんだろ。
テメーのその魔法で、アレが殺れなきゃイチからやり直せ。
今回は学園生の命が最優先だ。
前線から外すからな。」
「や、やってやるもん!」
「おーし、いい度胸だ。
コイツを片付けたら次、その次!
強えー魔物と有利に戦える機会はそうねぇ!
今の内に慣れとけ!」
みちるが魔物に止めと刺して少し後。
「避難完了・・・おーし、この辺はもういい。
ちょうど、魔力の少ない奴らがへばってくる頃だ。
最後の民間人と一緒に北上しながら、他の学園生と合流していくぞ。」
みちるは立ち尽くしていた。
「無個性。
テメーは戦闘から外れろ。
後方支援だ。」
みちるは何も言わずにメアリーの方を見た。
「テメーは魔法使いになって日が浅ぇ。
まだ成果より命を優先する時期だ。
そこを間違えたら死ぬ。
1発で倒れなかった分、進歩してると思え。」
「はい。」
「みちるちゃん・・・」
「えっと・・・」
良介は何も言わずに剣を鞘に収めた。
「ほとんど初めての実戦が今回だ。
なにやったって恥じゃねぇ。
今は悔しがっとけ。
あとでアタイを笑ってみな。」
すると、メアリーのデバイスが鳴った。
メアリーはデバイスを取り、話を聞いた。
「わかった。
すぐ北の仲月班だ!
NEがやられた!
瑠璃川と不良がテメーらを待ってるぞ!
急行!」
「はい!」
「もー、まだ戦うの・・・」
「愚痴言ってないで行くぞ!」
良介は第1封印を解放すると、猛スピードで飛んで行った。
「あ、待ってくださーい!」
智花と千佳はその後を走って追いかけていった。
メアリーはみちるに話しかけた。
「松島。」
「えっ!?
は、はいっ!」
「ついたら仲月をすぐ避難させろ。
他の全員が戦闘に参加する。
テメーの役目だ。」
「わ、わかった!」
みちるも走って向かった。
***
さらの班に怜がやってきた。
「瑠璃川、朝比奈!
大丈夫か?」
「怜ちゃん先輩!
来てくれたんだ!」
ノエルが嬉しそうに怜の方を見た。
「こちらの戦闘が長引いてな・・・もう、魔物はいないのか?」
怜の後をありすが息を上げながらやってきた。
「はいぃ!
メアリーさん達が来てくれたんですぅ!」
さらが嬉しそうに言った。
怜はその言葉を聞くと、ありすの方を見た。
「すまない、楠木。
急がせてしまったな。」
「ぃ・・・ぃぃ・・・ぇす・・・」
その頃、良介とメアリーは2人で被害の確認をしていた。
「ナチュラルエネミーの被害は死者6人、重傷12人、軽傷大量か・・・」
「この規模なら少ねぇくらいだが、イチ企業にとっちゃ痛手だ。」
すると、メアリーは話を変えてきた。
「PMCに所属している連中、なんで軍に入らねーと思う?」
「ん?
堅苦しいのが嫌とか?」
「実感が欲しいのさ。
もともと正義感で戦うのに挫折したヤツラだ。
PMCは営利企業だ。
金っていう明確な目標がある。
憎いアイツを1匹殺れば、このくらいの金が入りますって実感で戦う。
メンドクセェ精神論がない方が戦える・・・そんなヤツらもいるのさ。」
「実感や金か・・・」
その言葉を聞いて、良介はため息をついた。
すると、メアリーは良介のマントを引っ張り始めた。
「どうした?」
「オラ、手ぇ出されねーからついて来い。
腕相撲、やらせてやるからよ。」
「・・・今からするのかよ。」
良介は苦笑いしながらついて行った。