グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第80話 島の真実

真理佳が戻ってきて少し経った。

 

「どう、落ち着いた?」

 

純が座っている真理佳に話しかけた。

 

「はい・・・ありがとうございます、鳴海センパイ。」

 

「まったく人騒がせなんだから。

ただの擦り傷じゃない。」

 

天が傷を見ながらため息をついた。

 

「うぅ、海水が染みて痛かったんですよぅ・・・」

 

「ちょっと待ってなさい。

たしか消毒薬はこっちに・・・」

 

天が消毒薬を取ろうとした瞬間だった。

 

「ぎ、ぎぃえぁああぁぁ~!!」

 

アイラの声が聞こえてきた。

 

「今の声は・・・!」

 

「アイラか!」

 

良介たちは声が聞こえてきた方へと走っていった。

すると、浜辺にアイラが倒れていた。

 

「あ、う・・・・・」

 

「東雲センパイ!?

泳いで疲れたんですか?」

 

「ば、ばっかもん・・・!

この状態をどう見たらそうなるんじゃ・・・」

 

アイラはすぐに起き上がった。

 

「どうしたのよ、びしょ濡れで。

水苦手なんじゃないの?」

 

「頭から・・・海水をかけられた・・・」

 

「襲われたんですか!?

もしかして僕を襲ったヤツと同一犯じゃ!?」

 

「もうダメ・・・妾死んじゃう・・・力がモリモリ抜けてく・・・」

 

「水をかけられたくらいで大げさね。」

 

純はため息をついた。

 

「なにが大げさなものか!

妾の弱点を突いてくるなど・・・うぅ・・・」

 

「マジで動けないの?

今のうちにちょっと検体をもらっていい?」

 

天はアイラに近づいた。

 

「ぎゃあ!

なにをするんじゃ、やめんか!」

 

「なによ、いいじゃない。

ちょっと減ったってすぐ増えるわよ。」

 

「か、科学者ってこれだからいやじゃ・・・!」

 

「あ?

今、結希とひとくくりにしたわね?」

 

「まあ、勘弁してやれよ。」

 

良介は天を止めた。

 

「うぅぅ、おのれ・・・魔物だか人間だか知らんが・・・

妾にケンカを売りおって・・・目にもの見せてくれるわ!」

 

「そうだそうだっ!

ヒーローが成敗してやる!」

 

「ク、ククク・・・よくいった円野。

妾に従うがよい。

犯人探しじゃ。

とっつかまえてギッタンギッタンのぐっちょんぐっちょんにしてやる・・・」

 

「そうだそうだっ!

ギッタンギッタンのバッコンバッコンだッ!」

 

「元気だな2人とも・・・」

 

良介は2人の様子を見て呆れた。

 

   ***

 

少し経って、アイラと真理佳は逆襲の準備をしていた。

 

「おっし!

武器が木の棒くらいしかないがまぁいいじゃろ。」

 

「よーし、行くぞぉ!

東雲センパイの仇討ちです!」

 

「うぉい!

死んどらんっちゅーの!」

 

「あ・・・すみません。

えーと、こういう時ってなんて言ったら・・・」

 

「クックック・・・【逆襲】じゃ!」

 

「ぎゃ、ぎゃくしゅう!?」

 

「円野を襲い、妾に海水をぶっかけた犯人に逆襲するのじゃ!」

 

「むむ・・・逆襲かぁ。

確かにそういうヒーローもいますけど・・・

あ、そんじゃ僕、あっち側見に行きますね。」

 

真理佳は別の場所に歩いて行った。

 

「気をつけていけよ。

どこに潜んでいるかわからんからな!

妾や円野の不意をつくヤツじゃ。

良介、お主も用心して・・・」

 

すると、近くで物音がした。

 

「そこかっ!」

 

物音がした方向から真理佳が出てきた。

 

「そういえばセンパイ・・・」

 

「どぅおりゃあぁっ!」

 

「あいたーっ!」

 

アイラの木の棒が真理佳の頭に直撃した。

 

「あれ、円野!?

ゴメン敵かと思った!」

 

「あいたたぁ・・・びっくりした・・・」

 

「すまん、紛らわしかったからつい・・・だいじょうぶか?」

 

「す、すみませんこっちも不用心でした・・・気をつけます!」

 

「ごめんね?

ごめんね?

妾も気をつけるね。

いやはや、歳をとると判断力が鈍るわい・・・」

 

アイラは違う方向へと歩いて行った。

 

「東雲センパイ、なんかいたら呼んでくださいねーっ!」

 

「それで?

真理佳、俺に何か用があるんじゃないのか?」

 

「あ、それでですね!

センパイはどうします?

なんなら僕と・・・」

 

「そういや、お前頭は大丈夫なのか?」

 

「え?

あはは・・・平気です、このくらい。

頭は丈夫なんで・・・」

 

すると、近くの茂みから音がした。

 

「て、敵かっ!?

危ない!

センパイは僕の後ろに!」

 

「いや、おい、ちょっと待っ・・・」

 

茂みの中からアイラが出てきた。

 

「良介!

なんでついてこないんじゃ、はよせんか・・・」

 

「うりゃあああぁっ!」

 

「あだああぁぁ!」

 

真理佳の木の棒がアイラの頭に直撃した。

 

「うわあああ東雲センパイ!!

すすす、すみませんッ!!」

 

「ま、円野おぉぉ・・・!

お主、もしやわざとか!?」

 

「ないない!

わざとじゃないですってば!」

 

「めっちゃいい音がしたろが!

絶対憎しみがこもってたじゃろ今!」

 

「わああん!

東雲センパイ、ヴィランより怖いんですけどおぉ!」

 

「完全に足の引っ張り合いだな・・・」

 

良介は2人の様子を見てため息をついた。

 

   ***

 

天が真理佳の怪我を治療していた。

 

「出会い頭にぶっ倒れたから、どんだけ負傷したのかと思ったけど・・・

たんこぶ以外は大したケガじゃないわね。」

 

「はい!

ありがとうございます!

東雲センパイのほうが強敵でした!」

 

「ここへ来てチャンバラごっことか、なにやってんのホント・・・」

 

天はため息をついた。

 

「すみません、つい盛り上がっちゃって・・・でも如月センパイすごいです。

薬に湿布に包帯・・・いつも持ち歩いているなんて、準備いいですね!」

 

「ん、んん・・・まあね。

持ってないと自分が困るし・・・」

 

「へへへ~。」

 

真理佳はニヤニヤし始めた。

 

「あ?

なによ、ニヤニヤして。」

 

「如月センパイ、なんだかんだいってやっさしーですよね♪」

 

「バカなの?

負傷者ほっといたら余計面倒でしょうが。

化膿だ感染だってことになったら周りが迷惑なのよ!」

 

「そ、そっか・・・すみません。

でも、やっぱり手当してくれるんだから優しいです。

僕、知ってますよ。

そういうのツンデレっていうんですよね!」

 

天は黙って真理佳の頬を抓った。

 

「あたたたた!

な、なんで怒るんですかぁ~!」

 

「軽口たたいてる元気あるなら、あと自分で巻いといて。」

 

すると、そこに良介がやってきた。

 

「真理佳、聞こうと思ってたんだが、1人の時に何があったんだ?」

 

「うーん、咄嗟のことでよく覚えてないんですけど。

ここらへんを見渡せるくらい高い所ないかなって思って・・・

岩場っていうか崖みたいなとこ調べてたんですよ。

で、急に後ろから誰かに組みつかれて、びっくりして海に落ちたんです。」

 

「組みつかれた・・・?

人間だったのか?」

 

「人間・・・?

うぅん、動物だったとしても、そのくらい大きい感じでしたね。」

 

「ふーん・・・どっちにしろ襲ってくるのは危ないわね。

一応、デウス・エクスのメンテを急ぐわ。

有り物の部品で賄えるかしら・・・」

 

「でも、安心してください!

この島に悪の権化がいたとしても・・・

ウィンディ・ガールとして鍛えた力で、みんなを守りきってみせますから!

あ、ウィンディ・ガールって僕の変身した時の名前なんですけど。

もし変身した時は、そう呼んでくださいね。」

 

「はぁ。

別に普通に円野でいいじゃん。」

 

「ダメです、ウィンディ・ガールです!

ちゃんとおぼえてください!」

 

「め、めんどくさっ・・・!」

 

良介は何も言わず、鼻で笑いながら去っていった。

 

「ちょっと、良介センパイ!

何が可笑しいんですか!」

 

真理佳は良介の後を追いかけて行った。

 

   ***

 

良介たちは浜辺を歩いていた。

すると、何かの鳴き声が聞こえてきた。

 

「い、今の・・・なんかの鳴き声ですよね?」

 

「なんじゃ、霧の魔物か・・・?

いや、ちと判断しづらいのう・・・」

 

「魔物なら真面目に対策考えたほうがよくない?」

 

「あ、あのさ、みんな心配しすぎだって。

ただの野犬かもしれないし・・・」

 

「野犬ってあんな声で鳴くことできたか?」

 

良介は首を傾げた。

 

「わからんぞう。

妾や円野の不意を突くヤツじゃ。

鳴海なんか一瞬でパクッといかれちゃうかもしれんぞぉ~。」

 

「そうね。

その場合頭からいってもらわないと怖いのよね。

意識があるままで・・・自分のちょんぎれた胴体が、目の前に・・・」

 

「や、やめてよ!

いや、もし魔物だとしても、魔法使いがこんだけいれば・・・」

 

「魔法使いが集まってもどうにもならんこともあるぞぉ・・・

この歳になるとのう、人知の及ばぬ存在は嫌というほどのう・・・」

 

「ちょっと、なんで脅かしてくるのよ、やめてってば!」

 

「いやぁ、暑いしちょっと涼しくなる話でもと思うて。」

 

「もう、良介!

アンタもなんとかいってやってよ・・・」

 

「うわあぁ!」

 

突然真理佳が大声を出した。

 

「ん?

どうした真理佳。」

 

良介は真理佳の方を見た。

 

「み・・・・・見てください、こんなにでっかい蚊が!

いやぁ、さっきから羽音がブンブンうるさいなぁと思ってたんですよ。」

 

「蚊よりお主のほうがうるさいわい。」

 

「え?

えへへへ・・・」

 

「全然ホメてないからね、円野。」

 

純は座り込んだまま動けなくなっていた。

 

「おい、純。

どうした?」

 

良介が話しかけたが反応はなかった。

 

「完全に腰が抜けてるな。

脅かし過ぎたな。」

 

良介は呆れた。

 

   ***

 

少し経って、天が何か用意していた。

良介と純は天に話しかけた。

 

「なにそれ。

でっかいバネ・・・ネズミ取りみたいな?」

 

「ネズミ取りよ。

拾える材料じゃ原始的なヤツしか作れなかったけどね。」

 

「ネズミ取りって・・・で、このエサ・・・」

 

良介は仕掛けてあるエサを見た。

 

「フランクフルトよ。

海の家にあったヤツ。」

 

「おい、引っかかるのか?」

 

良介は少し呆れながら聞いた。

 

「魔物に有効かはわかんないけど、動物ならイケるんじゃない?

ものは試しよ。

やってみて失敗したらまた考えるわ。」

 

そういうと、天は罠を仕掛けた。

 

「確かに野犬とかだったら、捕まえられるかもね・・・

ひとまず身の安全のためでもあるけれど、最悪助けが来なかった場合・・・

今後こうして狩りをすることも想定しておいたほうがいいわ。」

 

「か、狩り・・・!?

そっか・・・もし助けが来なかったら・・・」

 

「シッ!

静かに・・・」

 

天がそう言って罠の方を見た。

罠の近くには真理佳とアイラがやってきていた。

 

「うわあ~!

ソーセージだぁ~!」

 

「なんじゃと?

円野、妾の分は!」

 

「こんなところに置いといたら腐っちゃいますよ!

もったいないです!

食べ物を粗末にするわけにはいきません、このソーセージは僕が・・・」

 

「ちょうど妾、腹が減っとったんじゃ!」

 

「あっ!

ちょっと僕が先に見つけたんですよ!?」

 

「ええい、ひっぱるな馬鹿力!

こういうのは年功序列で・・・」

 

その途端、罠が発動し、真理佳は手を挟まれてしまった。

 

「あいたぁ!

な、なにこれぇ!」

 

「わはははー!

ざまみよ!

この隙に・・・」

 

すると、アイラの手も挟まれてしまった。

 

「あいたぁ!

なんじゃこれ、トラップ!?」

 

天は呆れながらその様子を見ていた。

 

「新しい餌、用意するか。」

 

良介と純は新しい餌を準備しにいった。

 

   ***

 

少し経ったころ、何かが罠にかかった。

 

「よし、かかったな!

成功したぞ!」

 

「でかした!

おのれ、ここで会ったが百年目・・・」

 

アイラが罠に近づくと、レナがかかっていた。

 

「ああう、ううぁ!

がるっ・・・ぐるるっ・・・グオ・・・ォォ・・・」

 

「そ、相馬 レナ!?」

 

「うぅ、あ!

り、りょー!

りょー、レナ、たすける!

い、いや、ぐるる・・・ご、ぐおぉ・・・グオオォ・・・」

 

するとレナはさっきまで皆が聞いていた鳴き声をした。

 

「なんじゃその声、お主だったのか!?

紛らわしい鳴き方しおって、魔物にでも育てられたのかお主はっ!」

 

「いやーっ!

レナいやーっ!

に、にく・・・にくくうーっ!」

 

「もしかして、僕たちを襲ってきたのも・・・」

 

「れ、レナ、いや。

オマエ、たすけるくれる。

あうぅ・・・

うみ、あそぶ・・・レナ、たすける。

りょー、うみいっしょ・・・きゅぅ。」

 

「とりあえず罠をはずさないと・・・」

 

真理佳はレナから罠を外した。

 

「ふぁ!

おおきに!

レナ、あそぶ!

オマエ、いっしょ、あそぶ!」

 

「うわああぁ!

あ、暴れないでっ!」

 

「うほ、うほほ!

レナ、うみ、オマエ、あそぶ!

うほほ!」

 

「うご・・・テンション上がりまくりね。

海で興奮しちゃったのかな。」

 

「確かにすばやい、人間程度の大きさ、海水ぶっかけることもできる・・・

こやつが犯人じゃったか・・・」

 

「オマエ、あそぶ?

ぬれる、いや?

オマエ、レナ、あそぶ、いっしょ。」

 

「妾、これ以上海水とかムリ。

良介、お主が遊んでやって・・・」

 

「ん?」

 

良介は人の気配を感じ取ると後ろを振り向いた。

すると、薫子がやってきていた。

 

「あら?

みなさんお揃いで・・・ずいぶん遅かったですね。」

 

「うおっ!?

水瀬、なんでここに・・・!?」

 

「事前にお配りした予定表の通りです。

巡回の時間ですので・・・

あなたたちこそ、今までどこに?」

 

「着いてからずっとここの辺にいたんだ。」

 

良介が答えた。

 

「ずっとですか?

まあ・・・どこで行き違ったのかしら?

島のこちら側は開発工事のためにJGJが封鎖しますから警備は不要ですよ。

海の家は業者が休憩所に使いますから、荷物を置いているなら早く撤収を・・・」

 

「ええぇ?

そんなの知らないよ~!」

 

「ブリーフィングの時に説明したはずです。

聞いていなかったのですか?」

 

「それは・・・えーと・・・」

 

「聞いてなかったっちゅーか、なんちゅーか・・・」

 

「ち、遅刻したんで・・・」

 

「俺はそもそもその場にいなかったからなぁ・・・」

 

4人の言葉を聞いて薫子はため息をついた。


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