グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第77話 あらかじめの出動

ある朝の学園。

校門前でシャルロットと聖奈が話をしていた。

 

「では、行ってまいります。」

 

「ああ、頼んだ。」

 

「何も起こらないことを神に祈っておりますわ。」

 

そう言うと、聖奈は学園の中に入っていった。

すると、入れ替わりで茶道部の皆がやってきた。

 

「皆さんも、突然のお願いを聞いてくださり感謝します。」

 

「のーぷろぉ!

ちょうどみんなでお話してたところですから!」

 

「わたくしたちも、もっとクエストをたくさん受けて、足手まといにならぬよう・・・」

 

「っていっても、出ない可能性もあるんよね?

魔物が出る前に、警備やなくて警戒って初めてやよ。」

 

「わたくしは教司会からの指令で向かいます。

みなさんは学園のクエストを請けて行かれます。

別段、それ以上の違いがあるというわけではありませんが・・・

念のため認識しておきましょう。」

 

「よくわかりませんがわかりました!」

 

「ヴィアンネ教司会の討伐指令、本当にあったのですね・・・」

 

「あれやろ?

エクソシストやったっけ?」

 

「今はエクソシストではなく【使徒】とお呼びください。

では出発しましょう。

みなさんに神のご加護のあらんことを。」

 

4人はクエストに向かった。

少し経って、兎ノ助は校門前に立っていた

 

「ふぅ・・・魔物に襲われるかもしれねーってのに・・・

小人数しか戦力を出せないってのも、妙な話だな・・・」

 

すると、龍季が愚痴を言いながら校門から出てきた。

 

「あー、クソ。

クソッ!」

 

「むっ。

おい龍季。」

 

兎ノ助は龍季に話しかけた。

 

「ああ?

なんだよ。」

 

「前から言おうと思ってたんだが、女の子がクソとか言っちゃダメだぞ。」

 

「テメーは俺の母親かなんかかよ。」

 

「進路指導官だ!

あ、そうだ。

聞いたぞ。

クエストに出る許可が出たみたいじゃねーか。

てかお前、ここ数か月クエスト出られなかったんだな。

最近初めた制御の特訓の賜物か?」

 

「知らねーよ。

そんなこと・・・全然うまくいかねーしよ。」

 

「ま、なにごともうまくはいかないものだ。

今回のクエストも。」

 

「なんのことだよ?」

 

「いや、なんてゆーか・・・もしかしたら努力の割にむくわれな・・・ん?」

 

突然兎ノ助のデバイスが鳴った。

 

「なんだ、虎千代か。

なになに、なんか用?

えっ!?

マジで?」

 

兎ノ助が虎千代からの連絡の内容に驚いていると、紗妃が走ってやってきた。

 

「兎ノ助さん!

ここでしたか!」

 

「あっ!

紗妃!

お前、もう出られるか?」

 

「はい、準備しています!

とり急ぎ他の人を・・・」

 

龍季は黙っていると、兎ノ助は黙って龍季の方を見た。

すると、紗妃は龍季がいることに気づいた。

 

「朝比奈さん!

こんなところに!

一緒に汐浜まで来ていただけませんか?」

 

「なんの話だ?

全然わかんねーぞ。」

 

「道中お話します!

汐浜ファンタジーランドが魔物に襲われているんです!」

 

「シャルロットたちが対応にあたってるが、規模が大きくて手が足りねーんだ!」

 

「いいのかよ。

ちょっと前までクエスト制限させられてた生徒だぞ?」

 

「今、そうでないならなにも問題はありません!」

 

すると、そこに良介と誠がやってきた。

 

「紗妃、汐浜に魔物が出たんだってな。」

 

「あっ!

良介さんと誠さん、いつの間に・・・!

ちょうどよかった!

よろしくお願いします!

ファンタジーランドを、救いましょう!」

 

「ああ、行くぞ!」

 

良介たちは汐浜に向かった。

 

   ***

 

良介たちが汐浜ファンタジーランドに着くと、ファンタジーランドは既に崩壊しかかっていた。

 

「こいつは・・・酷いな。」

 

良介は周りを見渡しながら、少し苦しそうな顔をした。

 

「な、なんということでしょうか・・・この前はあんなに賑やかだったのに・・・」

 

龍季は黙って目の前の光景を見ていた。

すると、龍季は良介に話しかけた。

 

「おい、確か良介が、今月末にここが襲われるって言ってたよな。

裏世界だかの生徒に聞いたんだろ?

なんで対策できなかったんだよ。」

 

「詳しくは聞いていない・・・確証がなかったからな。」

 

「ああ?

それじゃあ、向こうが嘘つきだってことか?」

 

龍季は良介を睨みつけた。

 

「違う。

こっちと向こうじゃ歴史が異なるからだよ。

裏世界で起きたことがこちらでも起きるとは限らない。

もしここが魔物に襲われなかった場合、クエストを発令するのは無駄遣い・・・

そういう判断だ。」

 

「基本的に、討伐は魔物が出てからでなければクエスト発令されないのですよ。」

 

紗妃が良介の後に説明を付け足した。

 

「じゃあ他のところみてーに、ここに警備でくりゃよかったんじゃねーのか?」

 

「警備のクエストは一定期間中の発令上限が決まっています。

今回はそれをオーバーしており、苦肉の策として出されたのが・・・

シャルロットさんからヴィアンネ教司会に働きかけるというものでした。」

 

「めんどくせーな・・・その結果がこれかよ。」

 

「悩ましいことですね・・・ですがここに来たらすることは1つです。」

 

「ああ、魔物を倒し、人を助ける。

行くぞ!」

 

良介が真っ先に走っていくと紗妃と龍季はその後を追いかけていった。

 

「悪いが、俺は少し別行動させてもらうか。」

 

誠は3人が走っていく姿を見た後、二丁拳銃を手に別の方へと走っていった。

その頃、茶道部の3人は避難者の先導をしていた。

 

「あわわ・・・ホントに魔物がくるとは思わんかったんよ・・・」

 

「ええ。

気を引き締めて救助活動をしましょう!」

 

「せ、せやな・・・!

それに魔物が現れたんならダーリン来るし!

かっこ悪いところは見せられへん!」

 

「おー、香ノ葉さんがめらめらです。」

 

「あのおっぱ・・・じゃなかった、シャルはんが安全なところを用意してくれるえ。

その間に、ウチらで危なそうなところを回るんよ!」

 

「はい!

らじゃーです!」

 

「行きましょう!」

 

ファンタジーランド内、別の場所になぜか望と風子がいた。

 

「なんでボクがここにいるんだ?」

 

「これに出なきゃ落第するんでしょ?

聞ーてますよ。

過去の功績で、アンタさんがオペレーターに向いてることが証明されてます。

今回もよろしくおねげーしますよ。」

 

「くっそー!

宍戸のヤツめ!

単位をエサにするのもここまでだぞ!

フ、フフ・・・学園の制度を調べあげた上でシステムの穴を突いてやる・・・!」

 

「マンチキンみたいな人ですね・・・とにかく、おねげーしますよ。

体調についても伺ってますから、気分が悪くなったらすぐ言ってくだせー。」

 

「わーってるよ、もー。」

 

「しかし、完全に初動が遅れましたね。

根拠がないと動けないとはいえ・・・

ミスった感はぬぐえませんねー・・・」

 

風子のところに怜がやってきた。

 

「委員長。

ラビットプールは魔物の排除が済んでいるとのことです。

避難者をシャルロット・ディオールと茶道部が先導しています。」

 

「さすがというかなんというか・・・彼女らだけでも先発しててよかった。

とはいえ、彼女に任せっきりでもいけません。

さっそく働いてもらいますよ。」

 

「ちぇっ・・・」

 

望は風子の言葉に舌打ちした。

風子は怜の方を向いた。

 

「そういえば、良介さんは来てるんですか?」

 

「ええ、副委員長と共に行動しているらしく、かなりの勢いで魔物を倒しているようです。」

 

「さすが良介さんですねー。

しかし、良介さんにも頼りっぱなしにならないようウチらも頑張りますよ。」

 

「わかりました。」

 

「はぁ・・・」

 

望はダルそうにため息をついた。

 

   ***

 

良介たちは魔物と戦っていた。

 

「着ぐるみに寄生・・・ふざけたヤツらだな、おい。」

 

龍季は魔物の姿にイラついていた。

 

「発見が早かったため、魔物の強さ自体はそうでもありません。

そのため、着ぐるみに逃げ込んで成長の時間を稼いでいるそうです。

知性はなくとも、隠れるという本能は持っているようですね。」

 

「ま、そんなところに逃げたところで無駄なんだがな。」

 

良介はそう言うと指をバキバキと鳴らした。

 

「ふうん・・・別に着ぐるみを焼いても、弁償しなくてもいいんだよな?」

 

「ええ。

それは問題ありません。」

 

「ま、いいだろ。

俺が魔法使うときは離れてろよ。

まだ制御ができてねーんだ。

どこに雷が飛ぶかわかんねーからな。」

 

「ええ、そのように・・・あなたのことは聞きました。

ですが、あなたは街でケンカを繰り返してしるはず。

魔法は使わないと言いましたね?

制御できないのにどうしていたのですか?」

 

「んなことどーでもいいだろうが、今はよ。」

 

「魔法使いたるもの、みなの規範にならねばなりません。

この戦いを通して成長されることを期待していますよ。」

 

「ちっ。

メンドクセーな・・・魔物をやっちまえばいいだろ。」

 

「いけません!

私たちが何のために魔物を倒すのか、よく確認・・・」

 

すると、良介が何かに気づいた。

 

「おい、下がれ!」

 

良介が紗妃の腕を掴んで後ろに引っ張った。

 

「きゃっ!」

 

同時に龍季が前に出た。

 

「また出やがったな・・・ぶっ飛ばしてやる!」

 

龍季は魔物が攻撃してくると同時に雷を撃った。

魔物を倒せたが、龍季は魔物の攻撃を受けてしまった。

 

「ってぇ・・・くそ、魔法が遅かったか。」

 

「あ、ありがとうございます・・・朝比奈さん、頬に怪我が・・・!」

 

「いい。

こんなのツバつけときゃ治る。」

 

「い、いけません!

傷が残っては・・・」

 

「んなヒマはねーよ・・・クソッ。

まだ全然ダメだ・・・」

 

そう言うと、龍季は先に行ってしまった。

 

「やれやれ、少し面倒な奴だな。」

 

良介はため息をついた。

 

「良介さん、朝比奈さんに魔力をお願いします。

魔力が充実していたら、傷の治りも早いですから・・・

ですが・・・なにがまだなのでしょうか?」

 

すると、良介は無言で紗妃の戦闘服の一部分を指差した。

 

「あ、私の戦闘服・・・焦げてますね・・・」

 

「指向性の制御・・・それが龍季の【まだ】なんだろ。

それより、早く行くぞ。」

 

「はっ!

わ、わかりました!

追いかけましょう!

1人では危険です!」

 

良介と紗妃は龍季の後を追いかけた。


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