グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第70話 再び裏世界

裏世界。

鳴子はデバイスで連絡を取ろうとしていた。

 

「出ないな・・・」

 

しかし、デバイスには誰も出てこなかった。

 

「だ、大丈夫なんですか?」

 

一緒にやってきた夏海が心配そうに聞いてきた。

 

「大丈夫だよ。

場所と時間はあらかじめ共有しているから。

僕たちがそこに行けば、絶対に会える。

夏海、僕は卒業したら従軍ジャーナリストになるつもりだ。

君もそうなら、今回は貴重な経験になる。

心してくれ。」

 

「は、はい!」

 

近くにいたゆえ子は不安そうな顔をしていた。

 

「ゆえはあまり役に立たないと思うのですが・・・

精一杯、予知しますね。」

 

すぐ近くに誠がいた。

 

「(鳴子さんの協力者・・・誰なんだろうか。

それにしても・・・)」

 

誠は自分の手を見た。

 

「(何故だろうか・・・前と一緒で力が湧いてくるような感じがする。

裏世界に・・・俺に一体何が・・・)」

 

誠は不安そうに街の方を見た。

そこから少し離れたところに結希と卯衣がいた。

 

「準備はいいかしら。」

 

「はい、ドクター。

魔力は100%の状態です。」

 

「前回の襲撃具合を考えるに、すぐ減ると思うわ。

良介君が同行するから、こまめに補給を受けてちょうだい。」

 

「了解しました・・・良介君。

お願いね。」

 

「ああ、わかった。

任せてくれ。」

 

良介は鳴子たちのところに歩き始めた。

 

   ***

 

裏世界の風飛市。

良介たちが歩いていた。

 

「しかしまぁ、変な感じだな。

風飛市がもう1つあるって。」

 

良介はため息をついた。

 

「壊れてるのが裏世界、壊れてないのが表世界。

別のようで同じ場所。

本当に変な感じだな。

それにしても・・・」

 

誠は呆れた顔をして、初音と話している明鈴の方を見る。

裏世界と表世界のことを理解していないようで初音に説明してもらっていた。

 

「なんで表世界と裏世界のことを理解してないあいつがいるのか。」

 

すると、鳴子が誠に話しかけた。

 

「僕がお願いして来てもらったんだよ。

彼女は武闘派だから。

今にも崩壊しそうなビルの近くで、ドカドカ魔法を使うのもなんだからね。」

 

「そういえば、明鈴以外に近距離できるのは俺ぐらいですからね。

誠もどっちかって言うと、遠距離ですし。」

 

誠は無言で頷いた。

 

「JGJの車両は、街の外に待機している。

脱出のときはそこまで走る。

すでにブルイヤールが何体か確認できているから、気を抜かないでくれよ。」

 

「ブルイヤールか・・・何が来ようが関係はないがな。」

 

良介は腰の剣に手をやった。

 

「ランデブーは明日の午後5時。

早すぎても遅すぎても失敗だ。」

 

「明日の午後5時?

そんなにかかるんですか?」

 

良介は不思議そうな顔をした。

 

「かかるんだよ・・・なにが潜んでるかわからない場合はね。

要所要所で建物の中に隠れながら進む。

よろしく頼むよ。」

 

「わかりました。

これは・・・少しきついクエストになるかもなぁ・・・」

 

良介は眉間に皺を寄せた。

 

   ***

 

良介たちは風飛中心街を歩いていた。

すると、鳴子はみんなに話しかけた。

 

「そろそろオフィス街を抜ける。

みんな【表】の風飛中心街を知っていると思う。

ここを抜けたら風飛駅だ。

その駅前に、この前クエストがあった結婚式場・・・JGJグランドホテルがある。

そこまで行ったらいったん休憩しよう。

頼んだよ。」

 

その頃、良介はゆえ子と一緒に歩いていた。

ゆえ子は息が上がっていた。

 

「大丈夫か?」

 

良介はゆえ子に声をかける。

 

「ええ、大丈夫です。

散歩部に仮入部していますから。

戦闘に参加しない分、予知の魔法でお役に立たなければ・・・

良介さんに魔力をいただいているので、後は気持ちの問題です。」

 

すると、そこに沙那がやってきた。

 

「もし、歩けなくなるようでしたらお申し付けください。

お役に立てるかもしれません。」

 

「ありがとうございます・・・おや・・・」

 

ゆえ子は何かに反応した。

 

「どうした?」

 

良介はゆえ子に聞いた。

 

「いえ、これでは間に合いません・・・月宮さん。

しばらく離れてしまいますが、お気になさらず、と遊佐さんにお伝えください。

立華さんの魔力が尽きる前には合流できるのです。」

 

沙那は不思議そうな顔をしていた。

 

「良介さん、霧に覆われても、慌てずに。

ご一緒しますから。」

 

「は・・・?

ゆえ子、それはどういう・・・っ!?」

 

突然、2人の足場が崩れた。

 

「っ!?

西原さん、良介さんっ!」

 

「うおおぉぉぉっ!?」

 

良介はあまりにも突然だったのため、風の肉体強化で空を飛ぶことができなかった。

地下に落ちた良介は周りを見渡した。

 

「痛っ・・・クソッ、なんでいきなり足場が・・・」

 

良介は落ちた際に打った腰を抑えていた。

良介は上を見た。

だが、どこから落ちてきたのかわからなくなっていた。

 

「これじゃ、飛んでも意味ないな。」

 

と、デバイスが鳴ったので出た。

望からだった。

 

「おいっ!

2人とも無事か?

デバイスつながるな!?」

 

「ああ、なんとかだが・・・」

 

「いや、ヤバっ。

感度がどんどん悪くなってる。

手短に伝えるぞ!

そこは【地下】だ!

本隊とは離れたけどそんなに深くない!

東に行け!

チクショウ、洞窟のマップなんて想定してな・・・」

 

デバイスは切れてしまった。

 

「チッ、切れたか。

しかし、東に行けって言われてもなぁ・・・」

 

良介のところにゆえ子がやってきた。

 

「通じませんね。

衛星は地下に弱いと聞いていますから・・・」

 

「一体どうすりゃ・・・」

 

「あ、取り乱さないよう。

魔物の攻撃ですが・・・攻撃と言うより、分断です。」

 

「分断・・・?」

 

「どんな力かわかりませんが、強制的に移動させられたようですね・・・

入り口まではかなり遠いですが、ゆえの魔法で探しましょう。」

 

「大丈夫なのか?」

 

「大丈夫、細かい所はともかく、みなさんと再会できるところまで視えたのです。」

 

「わかった、それじゃ行くとするか。」

 

良介は地下を進んでいった。

 

「次は右・・・ですね。

おそらく。」

 

「わかった。

右だな。」

 

良介は右に向かって進んでいった。

 

「次は・・・やはり右。

随分と深い所のようですね・・・そもそも出口があるかどうか。」

 

「抜け出せるんじゃないのか?」

 

「予知ははっきりしてます。

ですが・・・もしかしたら魔法で穴をあけるのかも。

ゆえにそんな力はないので、良介さんか向こうの人、ということですね。」

 

「それはそれで面倒だな・・・」

 

良介たちはさらに進む。

 

「それでは、次は左に。」

 

「左か。

わかった。」

 

今度は左に進む。

 

「次は右・・・この洞窟は地図には載っていません。

デバイスもなぜか通じない。

もし霧の魔物がゆえたち2人を狙ったのなら・・・

最も戦力の低いゆえを狙って分断させたのなら・・・注意が必要ですね。」

 

「ああ、気をつけなきゃな。」

 

良介は右に進んだ。

すると、ゆえ子は息が上がり始めた。

 

「すいません、どうやらここまでのようです。

2時間・・・最長記録ですが、ここからおぶってもらえませんか。

良介さんの魔法は威力があります。

なにかあったら・・・

その時はお願いします。」

 

「ああ、こんなところでくたばるわけにはいかないからな。」

 

良介はゆえ子をおぶった。

と、突然洞窟が爆発音と同時に揺れた。

 

「ふぇっ!?」

 

「む・・・あそこに穴が空いたみたいだな。」

 

良介の視線の先に人1人分の穴が空いていた。

 

「おっしゃあ、穴空いた!

2人ともいたぞ!

おい、誰か!

ロープ持ってねえか!」

 

誠の声が聞こえてきた。

 

「おい、ちょっと待て!

今どっから出した!?

まあいい、とりあえず貸してくれ!」

 

その穴からスルスルとロープが降りてきた。

 

「よかったです。

ゆえはなんとか役目を果たせました。

それでは・・・後はよろしく・・・」

 

そう言うとゆえは良介の背中で眠りについた。

 

「はぁ・・・まったく・・・」

 

良介は呆れたように笑った。

 

「おい!

上がる気無いならロープしまうぞ!」

 

「今上がるから!

しっかり持っててくれよ!」

 

そう言うと、良介はロープによじ登り始めた。


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