グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第55話 クロージングアクト

ある日の学園。

校門前に良介と誠と兎ノ助がいた。

 

「フェス?

なんかあったか良介。」

 

今回のクエストの内容に首を傾げる誠。

 

「WIND FESTAのことじゃないのか?」

 

「そうだぞ。

毎年春にやってるアレ。

今回の課外活動はそのフェスの警備と雑用だ。

はぁ・・・」

 

兎ノ助はなぜかため息をついた。

 

「フェスねえ。

そんなところにクエストで行けるとはな。」

 

誠は嬉しそうに笑った。

 

「いちおうな、遊園地とは違って遊びじゃないからな。

会場設営からトラブルへの対応まで、やることいっぱいありそうだからな。

はぁ・・・」

 

兎ノ助はまたため息をついた。

 

「世界的に有名なアーティストも来るらしいな。

スタッフだったら話すことができるかもな。」

 

良介も嬉しそうに笑った。

 

「そんじゃ、早速準備しに行きますか。」

 

良介と誠は準備しに行こうとした。

 

「おいっ!?」

 

「ん?

どうした兎ノ助。」

 

良介は呼び止めてきた兎ノ助の方を向いた。

 

「気遣えよ!

俺を!

さっきからため息ついてる俺を!」

 

「どうしたんだよ。」

 

「俺も行きたい!」

 

「行けばいいじゃねえか。」

 

誠が即答で返した。

 

「だって俺、こういうとこに出るの禁止されてるって知ってるだろ?」

 

「知らねぇよ。」

 

今度は良介が即答で返した。

 

「ひでえ・・・」

 

兎ノ助はその場でうなだれた。

 

   ***

 

フェス会場、ももとあやせがいた。

 

「うわぁ・・・人がいっぱい・・・」

 

ももは嬉しそうに周りを見渡す。

 

「これだけ人がいたら、危ないことも起きるかもしれないわねぇ。」

 

「大丈夫ですっ!

侵攻後初めてのWIND FESTAですから!

みんなと協力して、絶対に成功させましょう!」

 

「まあまあ。

元気ねぇ~。

わたしも負けてられないわね~。

それじゃあ、頑張って困ってる人を探しましょうか~。」

 

近くで良介と誠が2人の会話を聞いていた。

 

「今の会話を聞く限り、第7次侵攻の記憶はあるみたいだな。」

 

「ああ、普通なら忘れるはずなんだがなぁ・・・」

 

誠はため息をついた。

 

「まあ、クエストをこなすとしますか。」

 

「ああ、ついでにフェスも楽しんどかないとな。」

 

誠は楽しそうに笑った。

同時刻、少し離れたところに明鈴と恋がいた。

 

「ウィンドフェスタ・・・風飛だからウィンドなの?」

 

「フフフ、それもあるし、春一番ともかけておる。

夏でなく、冬が終わるこの時期にやるのも春一番だからじゃ。」

 

「おおー、物知りアル!」

 

「そうじゃろそうじゃろ・・・

(さっきすたっふに教えてもらったんじゃが、まあいいか。)」

 

「で、春一番ってなんなのだ?」

 

恋は呆れた顔をした。

また別の場所、結希がいた。

 

「まあいいわ。

何事もなく終わるように祈っていましょう。

・・・誤報だといいのだけれどね。」

 

   ***

 

恋は1人で絵を描いていた。

そこにももがやってきた。

 

「あれ?

恋ちゃん、なにしてるの?」

 

「見てわかろう。

絵を描いておる。

思ったより客が多いらしくてな。

会場が負けてしまわんように、急遽彩ることになった。

じゃからその手伝いと言うわけよ。」

 

「なるほど・・・いいなあ、得意な分野があって。」

 

「お主がそれを言うか。

お主ほど接客に向いとる者はおらんじゃろ。

客が困ってるときは任せるぞ。」

 

「そ、そうだねっ!

がんばるよ!

ここにいちゃダメだよね!

もっと人がいるところに行ってくる!」

 

ももは客が多いところへと向かっていった。

 

「うむ。

その意気じゃ・・・

なぜ年下のわっちが・・・」

 

恋がため息をついていると良介がやってきた。

 

「よう、恋。」

 

「む、良介、お主も御用聞きがよいじゃろ。

桃世と行ったらどうじゃ?」

 

「そうだな・・・そうするか。

そんじゃ、俺も向こうに行くとするか。」

 

良介もももと同じく客が多いところに向かった。

その頃、結希のところに明鈴と誠がやってきた。

 

「ししどゆきー!

ししどゆきー!」

 

明鈴が結希の名前を連呼していた。

 

「フルネームはやめてちょうだい。」

 

結希はため息をついた。

 

「結希、ミキサーってやつが壊れたらしい。

直せるか?」

 

「ミキサー?」

 

「果物とかジュースにするやつアル。」

 

「それじゃねえよ。」

 

明鈴に誠が即座にツッコミを入れた。

 

「私より詳しい人がいると思うけど。」

 

「完全に壊れてるから交換しなきゃいけないらしい。」

 

「なら私が行くまでもないんじゃないかしら。」

 

「交換するやつまで壊れてたんだよ。

機械に詳しいやつじゃないと直せない状況なんだよ。

他にもアンプ、スピーカー、それに・・・」

 

「機材が、全部?」

 

「それで、なんか演奏が止まっちゃって再開できないって!」

 

「どうする?」

 

2人の話を聞いて結希は少し沈黙したが、すぐに口を開いた。

 

「行きましょうか。

見たら何が起きているかわかると思う。

やってみましょう。」

 

結希は機材のところに向かった。

 

   ***

 

その頃、客たちは文句を言っていた。

 

「あ、あわわ・・・どうしちゃったんだろ。」

 

ももは狼狽えていた。

 

「み、みなさん落ち着いてくださいー!

そ、そうだ!

こんなときはホウレンソウ!

なにが起きたか聞きに行かないと!」

 

すると、もものところにあやせがやってきた。

 

「桃世さん。

ここにいたのね。」

 

「海老名先輩。

急に音楽が止まっちゃって、お客さんたちが騒ぎ出して・・・」

 

「なんだか機材が全部壊れちゃったみたいなのよ。

だから音が流せないのよねぇ・・・」

 

「ええっ!?

ぜ、全部ってそんなことあるんですか?」

 

「ありえないってみんな言ってるけど、現になってるし・・・

とにかく、今宍戸さんが修理してくれてるから・・・

みんなを落ち着かせましょう。」

 

その頃、結希は誠と明鈴と恋と共に機材を修理していた。

 

「後は、雀さん、ここをネジ止めお願いね。」

 

「わかったアル。

これ、もう直ったの?」

 

「ええ、とりあえずね。

スタッフの人に確かめてもらって。」

 

「わかったアル!」

 

明鈴は機材を持ってスタッフのところに向かった。

 

「私が来てよかったわ。

他の生徒が気づいていたかどうか・・・」

 

すると、恋が聞いてきた。

 

「どういうことじゃ?」

 

「いえ、後にしましょう。

南条さんはこっちをお願い。」

 

「うむ。

重いものは苦手じゃが、今日は絵ばかり描いてたからのう。

肉体労働もせんといかんな。」

 

恋も機材を持ってスタッフのところに向かった。

 

「結希、これでいいか?」

 

誠も修理を終えて、結希に聞いてきた。

 

「ええ、それじゃあお願いね。」

 

「ああ、わかった。」

 

誠もスタッフところに向かった。

 

「これで最低限の機材は用意できたわね。

ねえ、良介君。

お願いがあるんだけど・・・」

 

「ん?

どうした結希。」

 

結希は修理を終えた良介に話しかけてきた。

 

   ***

 

明鈴はあやせのところにいた。

 

「お腹減ったアル・・・」

 

「明鈴ちゃん、お疲れ様。

重い機材を運んで疲れたでしょう?」

 

「疲れてないけどお腹はペコペコアル。」

 

「フフフ、スタッフのみなさんが軽食を用意してくれたみたいよ~。」

 

「ホント!?

うわーい、全部食べるアル!」

 

明鈴は喜んで走っていった。

 

「ぜ、全部食べちゃだめよ~?」

 

別のところ、ももと恋がいた。

 

「なんとか、騒ぎが大きくなる前に再開できたね。

宍戸さんのおかげかな。」

 

「うむ・・・ん?

おお、良介。

お主、どこに行っておった。」

 

恋は戻ってきた良介に気付いた。

 

「最後のステージの時、どこにもおらんかったのう。」

 

「ああ、それは・・・」

 

良介が答えようとしたところ、結希がやってきて答えた。

 

「私が用事を頼んでおいたの。

機材のレンタル元、どこだった?」

 

「レンタル元?」

 

ももは首を傾げた。

 

「このイベントの機材は、全て1つの会社からレンタルされてたんだ。」

 

「そして、故障した機材には少量の霧が入り込んでいたわ。」

 

「霧?

霧が機械を壊すのか?」

 

恋も首を傾げた。

 

「霧は一定濃度になると実体化する。

その場所が機材の中だったりすると・・・

断線させたり、あたかもそれを操っているように見える。」

 

「じゃ、じゃあ機材の中に魔物がいたんですか!?」

 

「ごく小さな魔物で、おそらくは何らかの衝撃で霧散してしまった。

だからこの近辺は安全よ。

でもそのレンタル会社の所在地は・・・」

 

「霧が濃くなっている・・・ということでよいのか?

となるとこの会社か、その倉庫が郊外にあるのかの。」

 

「警告しておきましょう。

壊れたのが今でよかった。

知識が無い人が見たら、ただの故障にしか見えなかったでしょうから。」

 

「あ、危なかったんですね。」

 

「早期に発見できたからもう大丈夫。

さあ、撤収しましょう。」

 

「あ、そ、そうだ。

お客さんの誘導しないと・・・

それじゃあ良介先輩、宍戸さん、また後で!」

 

ももは走っていった。

 

「むう、わっちも看板やポスターを片付けに行くか・・・

ではまた後でな。」

 

恋も行ってしまった。

 

「・・・別の可能性もあるわ。」

 

「別の可能性?」

 

良介は不思議そうに結希の方を見た。

 

「その会社がわざと霧を混入して、このフェスの失敗を狙っていた可能性。

どんな理由があるのか知らないけど、全ての機材に均等に霧が混入していた・・・

少なくとも、故障箇所からはそう見えたわ。」

 

「もしそうだとしたら、誰が・・・」

 

「実はリークがあってね。

その為に私が来たの。

真偽の確認はこれからだけど・・・

今はその会社を監視するしかないわね。

神宮寺さんに頼みましょうか。」

 

「そうだな、その方がいいだろうな。

さて、俺たちもそろそろ行くか。」

 

「そうね、そうしましょうか。」

 

良介と結希は会場の出入り口へと向かった。


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